──夢を見ている
──それはとても悲しげな夢だ
──俺の家族達が泣いていた
──父さんが
──母さんが
──瑠美が
──そして、俺の大切な人が泣いていた
京極が───泣いていた
京極が遠ざかっていく気がした。
だから俺は、必死に手を伸ばした。
手を伸ばさなければ、もう二度と会えない気がしたから───
* * *
「京……極?」
あれ、ここどこだ?
「……楽郎?」
「楽郎!?気づいたの!?」
「なあ……ここどこなんだ?あと、お前なんで──」
泣いてるんだよ
その一言が、口から出てこなかった。
「ぐすっ……楽郎?」
「なんだ、京極?」
「夢じゃないんだよね……?」
「さあな。多分、現実だと……思うぞ」
何があったかわからないが、俺はゆっくりとしか話せなかった。
そして京極の俺を見る目は、次から次へと、涙がとめどなく溢れ出ていた。
だから俺は───笑ってみせた
「京極…お前にそんな顔は…似合わないぞ?ほら、いつもみたいに笑おうぜ」
「うん……。うん……。 ごめんね楽郎…。本当に……ごめんね……。」
泣きながらも京極は笑顔を浮かべてみせた。
そんな恋人の事を、何故か動かしづらい体で、京極を抱きしめた。
「なんで謝るんだよ?むしろ俺の方が心配かけたみたいだし、俺が謝るべきじゃないのか?」
「ううん。違うの……。違うんだよ楽郎……。あの時僕が…」
「ッ…!!」
あ、頭が……!!割れそうに痛い!!咄嗟に頭を押さえたが、痛みは引かない。
「楽郎!?」
「きょ、京極!!」
「楽郎!!ねぇ!!楽郎!!」
クソ……なんだよこれ……また、京極に……心配かけるじゃねぇか……
「きょう……ごく」
俺の意識はそこで途切れた。
「楽郎!!起きてよ楽郎!!」
「ねぇ!!」
* * *
「楽郎」
私は車椅子に座る恋人の名前を呼んでみたが、彼からの反応は無かった。
一度目覚めたと思われたが、すぐにまた意識を失った。
主治医の先生曰く、峠は越したらしいが、もう一度覚醒する可能性は限りなく低いとの事だ。
「楽郎……」
私のせいで…ごめんね。
「もう一度起きたら、その時は……」
その時は……
「私と──」
私は楽郎のことが好きだ。もちろん愛している。でも……こんな事になるんだったらいっそ……
だからって、楽郎をこのままにしてはおけない…。
このまま去るなんて虫が良すぎる。
ねえ、楽郎……お願いだから……もう一度目を覚まして……
私は涙を堪えきれなくなった。楽郎が倒れてからずっとこんな感じだな。
「楽郎…また笑ってみせてよ……」
「私はどうなっても良いから……楽郎を助けてよ…神様」
神なんて居るかもわからない。それに縋る事しかできない自分が嫌になる。
「……わたしのせいだ。」
「ヒグっ……わたしのせいだ…。」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
私は…目覚めぬ恋人の傍らで自分の行いを悔いる事しかできなかった。
一度溢れた涙はとめどなく溢れ出していた
次は紅音ちゃんで何か書きたいな…。