「紅音……」
「……はい」
「紅音は、幸せだったか?」
満開の桜の下で俺が聞くと、紅音は、ゆっくり微笑みながら言った。
「はい……楽郎さんと出会えて……私……幸せでした」
「……そう……か」
紅音の答えに思わず俺は涙を流した。
俺も……紅音の事が……
「俺も……幸せだ……。」
『楽郎さん!』
『楽郎さん?』
『サンラクさん!』
『楽郎さん!?』
『どうしましょう! サンラクさん! どうやら、私はサンラクさんの事が好きみたいです!!』
脳裏に浮かぶのは、楽しかった紅音との思い出
本当に…いろんな事があったよな……。
初めて出会ったのはゲームの中で、それが妹のクラスメイトで……。
たくさん笑って、たくさん泣いて……。
俺は……本当に幸せ者だよ。
「楽郎さん……泣かないでください……よ」
「楽郎さんが悲しいと、私も安心できませんよ……」
「ああ……。」
……神様ってのはなんでこんなにも非情なんだよ……
紅音は悪い事なんてしてないだろ……なのに…なんで……
……紅音……
「ごめんな……最後は笑って……だよな」
涙は止まらないまま、俺は無理やり笑顔を浮かべてみせた
「へへっ…やっぱり、楽郎さんは笑顔が素敵です……」
「……紅音?」
「……なんだか……眠くなっちゃいました……」
「紅音……⁉︎」
「すみません楽郎さん……ちょっとだけ寝ます……すぐに……起きますから……」
「紅音……逝くな……頼む……!死なないでくれ……」
「わたし…は、しにませんよ……ただ……寝るだけ……ですから……」
「あか…ね…」
「楽郎……さ……そこにいますか…」
「ああ……いるぞ!俺はここにいるぞ……!」
お願いだ……神様、紅音を奪わないでくれ…!
「え……へ、楽……郎さん……」
「なんだ……?」
紅音は、笑顔で言葉を紡いだ
「最後に……名前を呼んでくれません……か?」
「……おやすみなさい……紅音」
「は…………い」
紅音は笑顔のまま、ゆっくりと目を閉じた。
「……紅音」
名前を呼ぶが、返事が返ってくる事は無い。
わかってても、俺は紅音の名を呼び続けた。
声が枯れるまで、返事の無い骸の名を呼び続けた。
もしかしたら、奇跡なんてものがあるんじゃないかと思った。
そんなものは無いと知りながら……。
俺は神に縋り続けた。
愛する人の名を呼び続けた。
「紅音……待っててくれよ? すぐに俺もそっちに行くからな……」
俺は俺の向かうべき場所へ向かった。
すぐに会えるから……向こうでも寂しくないよな……。
また、楽しく過ごそう……。
やっぱ私はこういうの好き でも蟻編のラストじゃんこれ()