仮面ライダー麺真 作:ラーメン大好きマン
東京、調布にある小さいラーメン店
そこは平日の昼にも関わらず、とても賑わっていた。
「かーっ!やっぱり店長のラーメンは美味ぇな!!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。あんたもすっかりラーメンの虜になっちまったな…」
このラーメン店に通う常連の男と、彼の話を聞く店長。
「そういや店長、知ってるか?」
「ん?」
「なんだよ、興味なさそうだな…最近ニュースでやってんだろ?『パンドラボックス』だよ!なんでも最近火星で発見されたんだってよ!…浪漫があると思わないかい?」
「べ、別に?お前がどうしてもって言うなら?ニュース見てやってもいいけど?」
「やっぱ気になってんじゃねぇか…」
店長が店のテレビに電源を付けると、何やら物騒なニュースが流れていた。
『こちら調布!!先程突如怪人が現れました!!人々へ危害を加えています!!』
「…怪人?パンドラなんちゃらってやつが関係してるのか?」
「それなんだがな…パンドラパネルの中にある『フルボトル』って物があってな?そいつが原因で怪人が出始めたかと最初は思われていたんだが…」
「そのフルボトルの中には成分が何も『無かった』んだとよ」
「…?じゃあなんで怪人が…」
「待てよ、今ニュースなんて言った…」
「ん?怪人が暴れてるって…あれ?」
「「調布!?」」
その時、大きな音とともに店の扉が壊された。そこには禍々しい形の怪人が立っている。
「なっ!?て、店長!!あれだよ!!あれが怪人!!」
「マジかよ、なんでよりによってウチの店に…!」
「ひぃっ!!や、やめろ!!」
白衣を着た青年の客が怪人に襲われている。客の必死の抵抗も虚しく、彼は殴られ、彼のバッグを怪人は盗んでいった。
「おい兄ちゃん!!大丈夫か!?…にしてもあいつ、なんでバッグを…?」
「ゲホッ…あ、あのバッグの中にはボトルが入ってるんだ…と、止めないと…!!」
「無茶だろ!!そこで寝てろ!!」
店長の静止を振り切って青年は立ち上がると、奇妙なドライバーを腰に巻き付けた。
「なんだ、あのベルト…?」
「ニュースでやってた『ビルドドライバー』だ…!!」
「なんだよそれ!?」
「詳しいことは知らねぇけど、ボトルの成分を引き出すドライバーだとかなんとか…」
青年はベルトに白いボトルを入れるとドライバーのレバーを回した。が…何も起こらない。
隙を見せた青年は怪人に吹っ飛ばされてしまった。
「グハッ!!…なんで、なんで変身できないんだ…!!」
吹っ飛ばされたボトルとドライバーはラーメンのスープが入っている鍋にドボンと音を立てて入っていった。
怪人が青年を今度こそ仕留めようとしたとき…不思議なことが起こった。
「な…なんだ?アレ?」
スープが入った鍋がぐつぐつと音を立てて煮えている。そして怪人の方へ向かって一直線に先程入ったボトルとドライバーが飛んで行ったのだ。
「グギャア!!」
怪人に当たって跳ね返ったドライバーは店長の腰に巻き付いて、ボトルは彼の足元へ転がった。
「て、店長!!」
床に倒れている青年は店長に向かって叫んだ。
「ボトルをベルトに挿して…レバーを回すんだ!!」
店長は先程まで真っ白だった橙色のボトルをベルトに挿し込み、レバーを回した。
「なぁ、白衣のアンタ!!これから店長に何が起きるんだ!!」
「分からない…だが、あのボトルにはさっき何かしらの力が宿ったんだ。橙色のボトル…炎か、不死鳥か、それとも…」
「そんな強いのかよ!!」
すると、店長の頭上には巨大な丼が現れ、彼はそれを頭からかぶった。
「「ど…どんぶり?」」
「グギュあ…」
先程まで呻き声をあげて倒れていた怪人が起き上がり、白衣の青年と客に向かって歩き始めた。
「く…来るな!!こっちに来るな!!」
「て、店長ー!!」
すると、その時…
「しゃあーッ!!」
「グギュバあぁあッ!!」
彼の被っていた丼が割れて、店長の『変身』した姿が見えた。割れた丼の破片が突き刺さり、怪人はまたもや吹っ飛び、呻き声をあげた。
「あれが…仮面ライダー…!」
「あれが!?どんぶり被った!?あれが仮面ライダー!?」
「なんだかよく分からんが、力がみなぎる…!行くぜ!化け物よ!!」
「グオォオッ!!」
店長は怪人を表まで引きずり出すと、荒々しい肉弾戦を繰り広げた。膝蹴り、ヘッドロック、ドロップキック…それでも怪人は怯まず店長に襲い掛かってくる。
「クソっ、霧がねぇな!!…そうだ、このレバーを回せば…!」
店長はレバーを回すと、怪人の方向へ腕を伸ばした。
「うぉっ!?腕から麺が!?」
「グバァッ!?」
彼の腕から麺が飛び出し、怪人の体に巻き付いた。麺の縄はじりじりと店長と怪人を引き寄せている。
「一気にいくぜ!歯ァ食いしばれ!!」
店長は一気に怪人を引き寄せると、ドロップキックで怪人の腹を突き破り、そのまま爆散させた。
「よくも店の扉を壊しやがって…ん?」
「店長ー!!すげぇよアンタ!!」
「店長さん…!」
白衣の男と先程話していた陽気な客が店長の元に駆け寄ってきた。
店長は強引にドライバーを外すと、元の姿に戻った。
「なぁ、白衣の兄ちゃん。一体何がどうなってんだ?」
「今から話すつもりです。…その前に、店長さんの名前を聞いてもいいですか?」
「ん?あぁ、俺は…」
「『湯切快斗』だ。」