仮面ライダー麺真 作:ラーメン大好きマン
「…で、何があったか教えてもらえるか?」
めちゃくちゃになった店の椅子に堂々と座る店長、湯切とバッグを大切そうに抱える白衣の青年。そして壁にもたれかかっている先程の陽気な客。
「はい。…この店に怪人が来たのは、恐らく私のせいです…」
「なんだと?」
「私のバッグには『フルボトル』が入っています。元々成分は入っていたのですが、パンドラボックスが開いたことによってフルボトルの成分が全国各地に散らばり、それが怪人となったり人間を乗っ取ったりした結果、私の手元には空のフルボトルが残りました。…だから私は変身できなかったんです。」
「なんでそんな大事なもの持ってラーメン食いに来たんだ…」
「家に置いとく訳にもいかないじゃないですか!」
「お、おう…」
白衣の青年の迫真の勢いに陽気な客は少し驚いた。
「なあ、白衣のあんちゃん。あんた名前は?」
「僕は
「ほんで、そこの陽気なあんたは?」
「
「よし、二人の名前も分かった所で…俺のさっきの姿について教えてもらえるか?」
「はい。先程湯切さんが変身した姿は『仮面ライダー』と呼ばれる兵器です。」
「かめんらいだぁ?」
「恐らく先程ラーメンのスープを取り込んだことでラーメンフルボトルが作られて、湯切さんはラーメンの仮面ライダーに…普通ならあり得ません。」
「じゃあなんで店長は変身できたんだ?」
「ビルドドライバーで仮面ライダーに変身できる条件は二つあります。特殊なガスを浴びるか、ボトルとの適合率が異常に高いか…」
「当たり前よ!俺とラーメンは切っても切り離せないからな…」
「は、はぁ…で、変身の事なんですけど…」
白縫はバッグからホワイトボードを取り出した。それに何かを書いている。
「変身は基本二つのボトルでするんです。兎と戦車、ゴリラとダイヤモンド、パンダとロケット…このように不規則な『ベストマッチ』という法則があります。ベストマッチはボトルの力を引き出す効果がありまして…」
白縫はどんどんホワイトボードに文字を書いているが、湯切や高橋はもう頭がいっぱいだった。
「要するに良い組み合わせの二本のボトルを組み合わせるって事だな?」
「簡単に要約するとそうなりますね。」
「任せとけ、ラーメンに合うボトルを見つければいいんだろ?」
「いや、湯切さんは一本で変身したほうが良いかもしれません。貴方の変身方法はあくまで適合率に頼った方法です。下手に新しいボトルを使えば最悪命に関わりますよ…」
「なるほどな。でも、怪人があの程度なら一本でも大丈夫だぜ?」
「どんな怪人が出るか分からないし、油断大敵だぞ?」
「確かにな…」
湯切は頭を抱えて悩むと、何かに気づいたようで頭を上げた。
「待てよ…?怪人と戦ってたらラーメン作れねぇじゃん!!」
「しばらくは戦いに専念しましょう。変身できるのは店長さんしかいないんです。」
「やだよ!!ラーメン作りてぇよ!!」
「でもよ、店長。怪人が町で暴れてたら店に客が来てくれないぜ?」
「それもそうか…分かった。しばらくは俺がこの街を守るよ。…お前ら、今日はもう帰っていいぞ。色々あって疲れたろ。」
白縫は口をぽかんと開けると、店長に向かって言った。
「え、帰りませんよ?なんなら泊まります」
「ん…?」
「僕の持ってるボトルを奪われないためには店長さんの店に居るのが一番安全だと思うんです」
「そ、そうか…」
「俺も泊まってくぜ」
「なんで高橋も泊まるんだよ!お前は帰れ!」
「歯ブラシと着替えはちゃんと持ってくるからさ~頼むよ~」
「まあいいけどよ…」
湯切は渋々二人を泊めることにした。これから彼らとは長い付き合いになりそうだ、と彼は薄々感じていたのであった。
「なんで野郎三人で一つ屋根の下に暮らさなきゃならんのだ…」