「「愚かなる社会に、破滅と絶望を!」」
なぜ……どうして、こんなことになってしまったんだ。
「「我らの手で人類に永遠の支配を!」」
誰か、ウソだと言ってくれ……。
「「偉大なる総帥デスアクメ様万歳!!!!」」
……笑えよ。
なんだよ、デスアクメって。
個人の名前がそれかよ。
戸籍管理課、仕事しろよ……。
いや、この体が勝手に名乗った名前だろけど。
ひどすぎる。
ブラック業務に耐え兼ねて無断欠勤3日目。
そろそろ自殺を考えてたことは覚えてる。
気がつくと、悪の秘密結社の総帥だった。
それはまあいい。
現実逃避にラノベや漫画で嗜んだアレだ。
痴女衣装のエロボディ美女にTSしてた。
それもまあ……よくないけど、譲れる。
戦闘員とか幹部だと悲惨そうだが、トップだしな。
問題は名前だ。
秘密結社デスアクメ総帥デスアクメ
お前、そんな名前して、どんだけ自己主張激しいんだよ!
兆歩譲って自分の名前がそれでも、組織名もそれかよ!
敗北時にアへ顔晒しながら死ねってことか!?
社名でも個人でも、デスアクメって呼ばれる人間の気持ちがわかるか!?
センスゼロってレベルじゃねぇよ!
センスマイナスに振り切ってるわ!
バカ! マジでバカ!
こんな名前で、中二玉座でふんぞり返って
体の発育具合から見ても、明らかに中学生じゃないだろ
意識が虚無に呑まれそうになった時。
傍らに立っていた女たちの声で正気に戻される。
「ドーです、総帥。クローン戦闘員の一糸乱れぬ統一性!」
「何せ強く賢く美しい私のクローンだからな!」
「いいえ。デスアクメ様は一時的に奮起なされましたが、今は落胆されている様子」
「やはり、がさつなその女よりも私を素体に使うべきでしたわね」
「なんだと貴様!」
「やめなさい、デスアクメ様の御前ですよ」
「………………」
お前ら、よくシラフでこんな名前呼べるな……と女たちに目を向ける。
4人の、これまた痴女衣装の美女たち。
俺が男だったら、名前がコレでもハーレムだーって喜んだのにな。
この体の持ち主の記憶が、都合よく浮かんでくる。
ハイハイ、こいつらが幹部ね。
こんな名前の組織によく――
(ごふっ)
むせそうになって必死に口をつぐむ。
するとなんか、全身からドス黒い邪悪オーラだかエネルギーだかが噴き出した。
自分のオーラに驚いて心持ち冷静になる。
「ヒッ、総帥、何か問題がッ!?」
「御前で騒いで申し訳ない!」
「どうかお許しを!」
「だから言ったでしょう」
改めて顔を見て。
記憶と照合して。
絶望……!
こ、こいつら……マジか。
力んで表情を硬くしておくしかない。
そのせいか、なんか黒いオーラがあふれたまま止まらん……。
「……私は部屋に戻る。貴様らは次の段階に準備を進めろ」
適当に言って玉座を立ち、この謁見の間っぽいトコを去る。
「ドーなさったんでショー」
「貴様の技術が拙いせいだ!」
「素体が悪いのですわ」
「ああ、デスアクメ様をお慰めしたい……」
背後の声はスルー。
カツンカツンと、いかにもな足音立てて自室に向かう。
どんな靴はいてるんだろって見たけど……おっぱいで足元が見えん。
しかも、やたら揺れるし谷間丸見えだし。
幸いにも体の反射行動や、情報的な記憶はしっかりとある。
部屋の位置どころか、このアジトの内部も思い出せる。
そうして、あの幹部らから顔の見えない廊下まで進んで、力を抜いた。
変なオーラは消えたけど、表情が虚無るのがわかるわ……。
なんだよ、あいつらの名前。
Dr.ヤクギメックス
サイコレズ参謀
ハメゴイ将軍
カベジリ長官
なんか名前並べるだけで全員、バッドエンド系シーンCGがすらすら浮かぶわ。
LGBT配慮とかまるでされてないし……。
これ、明らかにアレでしょ。
バカエロゲーの世界じゃん……こんなゲーム知らんけど。
えっ、するとやっぱこの体って最後にアへ顔晒しながら死ぬの?
原作知識なしで、こんなバカゲーの悪役させられるの? バカなの?
ヒーローだか魔法少女だかの記憶は……この体にもない。
さすがにコレで主人公はないだろ。
組織構成員も幹部以外はクローン兵士ばっかみたいだし。
つまり未知の原作における、第一話にも至ってないわけか……。
悪いコトしなけりゃ大丈夫と思いたいけど。
こんな名前の組織と顔ぶれだと、何もしなくても……他の悪の組織に潰されて性的にバッドエンドCG回収の予感しかない。
名前自体がフラグだから、何をしても詰みそう……。
そして、これが原作ゲームとかない現実だとしたら……俺が錯乱したこの総帥の生み出した第二人格だったりしたら…………もっと地獄だ。
これから一生、デスアクメって名前を背負って生きなきゃいけないんだからな……。
俺は……
俺は…………
無断欠勤三日で、こんな罰を受けなきゃいけないのか?
思いつきと勢いで書きました。
しゃべらすと幹部のイメージも固まってきたので、ひょっとしたら続くかも。