斜め下に抜きゲー悪役TS転生   作:神谷涼

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10:このあと滅茶苦茶――

 

 ハメゴイ将軍の事情を聞いた夜。

 またまた、サイコレズ参謀の部屋にいるわけだが。

 

「将軍にあのような事情があったとはな。貴様にも相応の事情があるのか?」

 

「私はデスアクメ様の傍にいられれば、それで!」

 

 うーん、平常運転。

 なんでそんなに好かれてるのかわからん。

 記憶にある限り、かつてのこいつ(おれ)に好かれる要素って外見と強さ以外、皆無なんだが。

 コイツの事情……うーん、本当にないのか?

 はぐらかしてるわけじゃないと思うんだがなぁ。

 他の二人――ドクターと長官にも重い事情があるなら聞いておこうかと思ったけど、将軍みたく当人からナマの声で聞かないと“そういう設定”で済ませちゃいそうなんだよな。

 将軍のアレは、言っちゃ悪いけど初めて“キャラじゃなくて人間”って思えた言葉だったし。

 

 まあ本気でやろって決めたんだ。

 熱が冷めん内に、一歩前に出てみるか。

 

「……将軍はしっかり休めと言っていたが、私は不眠不休で活動できる」

 

「しかし、精神の摩耗を避けるためにも休んだ方がいいですよ。私も吸血鬼ですが、最近はデスアクメ様に合わせて夜に寝てますし」

 

 うそつけ。

 一晩中、人の体まさぐったり嘗め回したりしてるクセに。

 

「ステージではなく能力制御の鍛錬だ。そのために、貴様に頼まねばならん」

 

「はい! デスアクメ様の望みなら、なんでもいたします!」

 

 その表情が信用できねー。

 

「真剣な話だぞ。茶化すなよ。鼻血も出すな」

 

「は、はい」

 

 よしよし、普段からその表情でいてくれよホントに。

 俺だって勇気を出して、一歩進むんだからな。

 

「これから頼むことの途中で貴様の体の一部を消滅させるだろうが、止めずにやれ」

 

「な、何をすればいいのでしょう」

 

 俺も勇気を出して言うんだからマジでちゃんとやれよ。

 普通、もっと心の準備してからすることなんだからな。

 

「肉体にダメージを与えん範囲で、貴様の欲望のままに私を貪るのだ」

 

「え?」

 

「貴様が逐一暴走せんよう、一線を越える。そうすれば、私も貴様を能力に巻き込まず一部と認識できる可能性が高い」

 

 エロゲだからな。

 成人童貞としての勇気、出してやんよ。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

「真面目にやれ」

 

 殴るとギャグ展開に入るから、軽くビンタする。

 

「へぶっ――いいいいいいいんですか!?」

 

「かまわん。貴様、今までさんざん人の体を性欲の対象にしただろうが」

 

 最初の夜から百合乱暴してくるだろと思ったら全然してこねーじゃねーか。

 それでもエロゲキャラか! サイコレズって名前のクセして変なトコでヘタレやがって……こっちはレズレイプ覚悟で添い寝してんだぞ。

 原作補正か?

 俺とサイコレズ参謀のシーンは原作にないから発生しないってことか?

 だったらなおさら、するしかないよな。

 がっつり関係して、離れずいればサイコレズが敗北する可能性は低い。

 原作は単独行動して一人ずつ撃破されるって流れだろ。

 俺ら秘密結社側が人間関係を築くこと自体、原作破壊になるはず。

 

「800年も生きたなら、性経験も最も豊富だろう」

 

「……本当にいいんですか?」

 

 えらく真面目な顔になったな。

 

「かまわん。やれ」

 

 なんでこんな別の意味の悪役セリフでせにゃならんのだ。

 

 

 

    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「………………すごかった、な」

 

「すごい声でしたね。めちゃくちゃ興奮しました」

 

 さすがエロゲだわ。

 演技とかする余裕もなく、乱れまくってしまった。

 正直今も、頭ふわふわ。アへ顔も晒してたんだろな。

 

「で、その……シーツやマットが一部消えているということは、やはり発動してしまったか?」

 

「はい、舌と指は何回も再生していますし、一度しがみついて発動なされた時は危なかったです」

 

「……すまん」

 

「い、いえ! 大丈夫ですよ!」

 

 他の連中もヤられたら、こんなエロゲ的反応するんだろ?

 指と舌でコレだと、エロゲ法則に基づきチン堕ちも発生するんだろなー。

 正直、今でもサイコレズへの警戒なくなって依存心高まってるのがわかるし。

 そのせいか寝取られるかもって思うだけで、あの竿役寝取りコンビにマジな殺意わくんだが。

 

「まだ動けるか? もう一つ検証しておきたい」

 

「な、なんでしょう。さすがに全身で消滅させられると厳しいんですが」

 

「私の血を吸ってみてくれ。痛みを伴うなら辞めておくが……」

 

 こいつ吸血鬼だからな。

 血を吸わせると、同族判定で俺の能力に含まれない気もする。

 

「えっ、ね、願ってもないですが……それこそ、本当にいいんですか?」

 

「私の一部を取り込んだ貴様なら、能力から除外できるかもしれん」

 

「そういうことなら……」

 

 正面から抱きしめてきて、肌が触れあう。

 互いの乳房が押しつけ合う。

 サイコレズ参謀が、首筋に顔を寄せてくる。

 俺の目の前にも、彼女の白い首筋が見える。

 鋭い犬歯が見えた。

 注射とか苦手な身だから、どうしても緊張するなぁ。

 

「痛くするなよ……」

 

「そういうセリフはさっき言ってくださいよ……」

 

「貴様が先に茶化したのだろうが」

 

「痛くはありません。いきますよ……」

 

「ん……」

 

 あ、唇が触れた、と思った瞬間。

 首筋から体がすうっと冷えるような感触。

 そしてすぐ、あたたかいものが流れ込んでくる。

 唾液や、口元の体温じゃない。

 体の芯が冷やされ、また己の熱ではないものであたためられる。

 

「あ……」

 

 声が漏れる。

 性的なそれとは違う、俺自身の一部が吸い出されて、触れ合う相手の一部が代わりに入ってくる。

 どこかなつかしく、心地よい。子宮の中の胎児のような気分。

 俺の心臓が脈打つごと、交わりが深くなる。

 もっともっと深く交わりたくなる。

 目の前の白い首筋。

 

「…………」

 

 勝手に顔が引き寄せられる。

 自然と口が開いて唇が触れ……いつの間にか鋭くなった犬歯をそこに突き立てる。

 彼女を吸い、彼女の中に俺自身を注ぎ込む。

 彼女に吸われ、彼女によって注ぎ込まれる。

 

「…………」

 

 静かな、終わりのない胎内回帰の快楽。

 彼女の胎内に宿り。

 彼女を胎内に宿す。

 彼女には鼓動がなくて。

 俺の鼓動が脈打つごとに、二つの体で二つの血が一つに溶け混じっていく。

 

 あ。

 

 離れてしまう。

 

「……はぁ♡ どうでした?」

 

「あ――」

 

 ヤバかった。

 吸血、やっべーわ。

 これ味わっとけばチン堕ちとかありえんって断言できるくらいヤバい。

 激しい快楽じゃなくて、芯から侵食されてる感じ。

 正直、さっきのセクロスより気持ちよかった。

 しばらく呆けてるしかできねー。

 

「………………」

 

「……ふふ」

 

 撫でるなよぉ、いつも俺がしてた側じゃんそれ。

 

「………………能力は?」

 

「大丈夫でしたよ」

 

「そうか。なら、もう一度頼む」

 

「あまりすると、本当に吸血鬼になってしまいますよ?」

 

 血を吸ったせいか、なんか余裕あるなお前。

 いつも酷い表情ばっかしてるクセに、色っぽい顔しやがって。

 

「いや、その前の失敗した方を、もう一度だ。あまり激しくするなよ」

 

「やさしく、ですね」

 

「そうだ……それと……」

 

「はい」

 

「余裕があれば、私からも貴様にしたい」

 

 コイツ自身も即オチさせられんよう、しときたいからな。

 

「え?」

 

「さっきは貴様が私にするばかりだっただろうが。私からも貴様に――」

 

「ぶほーーーー!!!!」

 

「鼻血を出すなって言っただろ!」

 

「だ、だって我慢してリードしてたのに反則ですよぉ!」

 

 まあ、ちょっと安心したけどな。

 

 時計を見てもまだ朝までかなりある。

 

 だから。

 

 このあと滅茶苦茶セクロスした。

 

 乱れようは相変わらずだったが、行為中にサイコレズ参謀は能力発動に巻き込まなくなってた。

 行為中の発動自体は……まあいいか。

 レイプされても能力発動しなくなったら、危険だからな。

 

 

 

    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「おお、何か掴んだのか! 昨日とは見違えるようじゃないか!」

 

「素晴らしい上達ですわ、総帥」

 

「そ、そうか?」

 

 やはり童貞――いや、この体だと処女?でも道具で既にアレしてたしな。

 とにかく初体験すると違うのか?

 

「表情と色気が違う! 浮きたった様子もなく落ち着いているしな!」

 

「格式ばった社交の場でも十分通用いたしますわ」

 

 お、おう。

 昨日までは浮足立ってて、真面目な場じゃダメだったってことね。

 

「すべては貴様の指導のおかげだ。それに長官も忙しい中、ありがとう」

 

 ハメゴイ将軍とカベジリ長官に言いつつ、ちらっとサイコレズ参謀を見ると。

 すげードヤ顔してんな。

 まあ、メンヘラ顔してるよりいいけどよ。

 

「これならば明日も問題ない! 純粋に、ステージとしても楽しみだ!」

 

「掌握後に、イメージ戦略としてPV配信するのもよろしいかと」

 

「ああ、ありがとう」

 

 将軍も昨日の過去話の時と違う、いつものノリに戻っててよかったわ。

 長官もなんかアレな過去あるのかなぁ。

 早めに聞いとくべきかしら。

 

「ただし、総帥!」

 

「な、なんだ?」

 

 なんか問題点あったかな。

 

「首筋の跡は消しておいた方がよろしいですわ。身内はともかく、外部にそれを晒せば吸血鬼がおり、デスアクメ様がその傀儡であるかのように――」

 

「総帥、能力が発動しているぞ! 天井が!」

 

 あばばばばばばば。

 しまった。

 血吸われた跡、消してない。

 というか消そうって概念自体、頭になかったわ。

 

 はずかしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!

 

 こいつら、ずっと俺が昨夜サイコレズとしたこと気づいてたのかよぉ!!!!

 

「デスアクメ様、大丈夫です! 大丈夫ですから、落ち着いて!」

 

 だって首筋についてるのずっと見られてたんだぜ。

 

「私もデスアクメ様に付けていただいた跡があるので、操られてるなんてみんな思ってませんよ!」

 

 そういう問題じゃねーよ!!!!

 

「今までにない規模で発動しているぞ! スーパーサイヤ人か!?」

 

「これ大丈夫ですの!? 地上まで貫通いたしませんこと?」

 

「ちょ、昨夜と違って私も触れられませんよ! なんかステージ衣装は消えてませんし! 早く解除してください!」

 

 結局。

 

 作戦前日に思わぬ形でアジトが拡張されてしまった。

 まあこのアジトの地下空洞を作ったの、俺の能力だからな……。

 広がった分だけ追加ブロックとして形を整えるだけなんだけど。

 

 ごめんて。

 

 あと羞恥心で発動したせいか、ステージ衣装は消えなかった。

 これはこれで能力制御として収穫……だよな。

 





 いよいよステージに行くつもりだったのに、吸血描写に手を入れすぎた……。

 とりあえず原作破壊と能力制御が一歩前進。
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