斜め下に抜きゲー悪役TS転生   作:神谷涼

12 / 35
12:頭からっぽでプレイしたい

 

 カベジリ長官がテレポートで我々を回収したのは30分後だった。

 まあスマホとかも消去しちゃってたからしょうがないっちゃしょうがないんだけどさ!

 でも、こんだけ中継されてりゃ気づけよぉ。

 いや無差別洗脳だから定時で回収に来いって言ったのも俺か!

 でも、その定刻にも、なんで遅れてんだよ!

 

「ぐぎぎ、もっと早く回収しろぉ!」

 

 どんだけ全裸でいさせてんだよ!

 めちゃ中継されてたじゃん!

 会場のモニターにも映ってたぞ!

 

「申し訳ございませんわ。情熱的でしたし、てっきり個人的な性癖かと……」

 

「好きで裸になってると思ってんのかー!」

 

「も、申し訳ございませんわ」

 

 思ってたな、このヤロー!

 キャラも崩れるわ、バカー!

 うう、動揺で将軍を消滅させなかった自分を褒めてやりたい。

 

「とりあえずまだ作戦中ですので、お話は後程――」

 

 長官、テレポートして逃げやがった!

 

「くぅ。おい、将軍! 言っておくが私が服を消してしまったのは能力の作用であって、貴様の肌を晒させようとする意図はないからな! というか私自身、肌を晒して泣きたいのだからな!」

 

「あ、ああ。もちろんだとも。しかし、私としても……」

 

 将軍のいつもの「!」がついてない!

 まずい、気まずい。

 四人しかいないから、一人でも減るとたいへんなのに!

 というか、全員が敵に回るとヤバい能力なのに!

 メンタルケアとか求められてもそんなスキルねぇよ!

 

 それに、今は小脇に抱えたこのプリケツ男子をいい加減、誰かに渡したい!

 

「人前であのような痴態を晒し動揺する気持ちはわかる! しかし、今回は仕方なかったのだ! とにかく、こいつをドクターに引き渡したら説明する! 少しだけ待ってくれ!」

 

「あ……」

 

 俺も逃げる!

 少しは頭を冷やさないと、いつ能力発現するかわからんし!

 全裸のままメスイキ野郎を抱えて、裸足でぺたぺた廊下を走るからアレな恰好だけどな!

 誰か、服の準備とかしといてくれよ……。

 

 サイコレズはどこいったんだ。

 まだ作戦中なのか?

 

 

 

     ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 初めてDr.ヤクギメックスの部屋に来たわけだが。

 まあ、まさにマッドサイエンティストの研究室だわな。

 そのへんの培養器にハメゴイ将軍のクローン入ってるし。

 能力制御練習用にって頼んでた長官とドクター本人のクローンもある。

 

「オーウ! この基地に男子が! クローンに予期せぬ性別変異体が!?」

 

「いや、違うぞ。例のNTRとかいう部隊の一人だ。捕獲した」

 

「総帥の能力で消滅しナカッた!?」

 

「それは能力制御が進んだだけだ。別にこいつが私の能力に耐性を持つわけではない」

 

「ザンネーン!」

 

 俺が全裸でもぜんぜん気にしねーな、コイツ。

 とりあえず、白衣だけでも羽織るように借りておこう。そのへんに予備だか使い古しだかが引っかけてあるし。

 胸がでかくて前が閉じられんが、乳首が隠れるだけでも気分的にマシだ。

 

「例のNTR(部隊の名前)の一人で、高速移動と飛行能力持ちだ。貴様が実験体に欲しがっていただろうが」

 

「ありガターい! 何してもオーケー?」

 

「アジトに被害を出さなければ、何をしてもかまわん。ああ、だが無駄に使い潰すなよ」

 

「トーゼン! 特殊能力所有者は世界でもマダマダ稀少! 標本はジーツに貴重なノで!」

 

 ん?

 ああ、そうだ。

 そういえば聞いておこう。

 

「世界全体で特殊能力持ちというのはどれだけいるのだ?」

 

「わかりマセーん」

 

「統計とかないのか?」

 

「総帥もソーですが、能力を隠すか、様々な組織で利用されるノがフツー。政府で秘匿するパターンもあれば、テロ組織や犯罪組織で利用される場合もアリます」

 

「なるほど。能力者だと公表しているNTR(部隊の名前)は特殊なのだな」

 

「ソーです! ハメゴイ将軍は能力分析、細かくさせてクレましたガー。長官と総帥はほとんどデキてないので! 追加標本、貴重!」

 

 普通はマッドの実験体になりたくはねぇよな。

 でも将軍は分析した?

 

「まあ、私は能力が暴走すれば貴様を消してしまうかもしれん。参謀は特殊能力とは異なるし、長官も解析されたくないと言うのならそうだろうが……将軍は許可したのか」

 

「ハイ! 将軍の体はほぼスベテ解剖し、一片残さず研究に使いマシた!」

 

「んんんん????」

 

 なんて?

 

「クローン体に人格移植と記憶転送し、能力がドーなるか実験もさせてクレました! 私は能力者ではないノデー、とても助かりました! 研究に協力的で、私は将軍をこの組織で最も高くヒョーカしてます!」

 

「すると今の将軍はここに来た時の彼女では……」

 

「手首等にあった多数の傷跡、薬物乱用の弊害も消えてマッサラなクローン体!」

 

「…………そうか」

 

 なんで?

 あいつ一人だけ設定、重すぎんか?

 いや、他も実は重かったりするのか?

 

 こんなバカゲーで、なんでそんな重い設定入ってんだよ。

 だったらもっとネーミングまともにして、シリアスにしろよ!

 能力が強すぎると思ったら設定だけやたら重いじゃねーか!

 

「邪魔をしたな。そいつは好きに使え」

 

「また材料よろシクを!」

 

 時間停止対策、もっとマジで考える必要あるか。

 

 

 

     ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「一人にしてすまなかったな。平気か?」

 

「いや問題はないぞ! 服は欲しかったが!」

 

 よし、いつものノリになってるな。

 とはいえ、あんな話聞くと気を遣うんだよなぁ……変に今までと態度変えるのも、こういう時はよくないんだろが。

 

「そ、そうだな。とりあえず我々は仕事を果たしたのだ。風呂にでも行こう」

 

「私と、か? サイコレズ参謀はいいのか?」

 

 ん? なんでそこで参謀(あいつ)の名前が出てくるんだ?

 

「奴は奴で忙しいのだろう。共に仕事を終えた我々が一足先に羽根を休めてもよかろう。思わぬハプニングも発生したしな」

 

 NTRとの交戦は予想通りだったが、時間停止能力の干渉はなぁ。

 

「そ、そうだな! 思わぬハプニングだった!」

 

 なんだ? 妙に歯切れ悪いし内股になって。トイレ行きたいのか?

 

「とりあえず自室で着替えをとってこい。浴室で会おう」

 

「なるほど、ホテル前の如く待ち合わせということだな!」

 

 まあ確かに待ち合わせだが。

 ホテル前ってなんだ?

 実家は金持ちらしいし、仕事の打ち合わせとかそういう意味か?

 

 

 

     ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「ふぅ……やたら肌を晒していたせいで、湯が少し熱く感じるな」

  

「ああ、私も動悸が激しくなってしまう!」

 

 確かにめちゃドキドキしてるけど、なんで当ててくるんだよ。

 まあ、背後から抱きしめられる体勢は新鮮だけど。

 ハメゴイ将軍、背高くて肩幅広いからな。背が低めのサイコレズ参謀だと、こっちが背後から抱く体勢になってるし。あと、将軍は参謀(あいつ)と違って、手つきがいやらしくない。

 

「今日の我々はパートナーだったからな。今後のためにも互いの絆を深めておくべきだろう」

 

「絆、か」

 

 む、なんか妙に勢いのない湿った声色になってる!

 かつて周りに捨てられたとかで絆は地雷とか?

 話題を変えねば!

 

「そ、そういえば将軍よ。ステージ前は私の緊張をほぐすためなのだろうが……歌の最中、なぜ私にキスをしたのだ?」

 

「め、迷惑だったか?」

 

 ああっ、メンタル凹んでる時に叱ってることになるのか?

 立場が上ってめんどくさいな!

 

「いや、そうではなくてだな。あの場で私が取り乱すと能力が発動したかもしれん。貴様を消滅させる可能性とて、十分あったぞ」

 

「消滅してもいいと思ったからな!」

 

 ええええ? なんでだよ。

 わざわざ俺に能力暴発させるためにキスしたのかよ。

 

「お、おい、貴様が消えたら(原作展開がおかしくなって)困るんだが」

 

「私の能力は今回の作戦で、もう用なしだろうからな! 発動させて同時に消滅ならば、十分に役目を果たしたと言える!」

 

 はぁ? なんで俺が護衛についたと思ってんだよ。

 そこで、お前が消滅したら意味ねぇだろが!

 それにこんな世界規模能力、征服後の方がむしろ必要だろ!

 

「私は、貴様を――」

 

「ステージ前にキスをした時も、作戦前に私を消してくれないかと考えていたぞ!」

 

「……なぜだ」

 

「迷っていたからだ! 私は、世界征服など、どうでもいい! 復讐者だ! 今回の作戦で私の能力に巻き込んだ者、今も長官や参謀、私自身のクローンに害される人間を思えば……私の勝手な復讐に彼らを巻き込むことこそ、愚かではないかと思えてな!」

 

 くそー、背後からがっちり抱きかかえられてて顔が見えん。

 どういう表情してんのか知らんが、無駄なシリアス描写しくさって。

 俺は復讐が無意味とか言うの嫌いなんだよ。

 ラーメンハゲを見習えよ!

 俺はブラック業務になってから、情動が疲れるシリアスは苦手なんだよ! バカゲーならバカゲーらしく、頭からっぽでプレイさせろよ!

 

「それで?」

 

「何より、総帥に消してもらえるならば痛くないだろう? 私は結局、今まで何度も自殺に――」

 

「ふんぬ!」

 

「いたっ!」

 

 男一人、片手で軽々と持てるパワーをナメんなよテメー。

 それ以上言わせるか!

 無理矢理、背後から抱えてるのを振りほどいて正面向く。

 顔見せずに一方的に言わせるのは、俺の精神衛生的にもよろしくない!

 おっぱい同士押し付け合う体勢になるが、かまわずSEKKYOUに入る!

 

「いい加減にしろ! 私は貴様の自殺の道具か!」

 

「正直、そのつもりだった!」

 

「私が貴様を利用するだけして、使い潰すつもりだと」

 

「……クローンが同じ能力を発現させれば、本体の私は邪魔だろう。先日の私の身の上を聞いて、私自身を面倒な人間と思わなかったか? カベジリ長官も私が気に食わないらしい。当然だろう、私のような自暴自棄の人間は組織の和を乱すだけだからな!」

 

 だからクローン作らせたってか?

 戦闘員がぜんぶ将軍なのも、将軍だけ自主的に実験体になったからってか?

 元の体なくしたのも、人格転移失敗して消えればいいなーってか?

 こんなネーミングで、クソ重い設定抱えてんじゃねーぞ!

 

「クローンの事情も、先刻ドクターから聞いて初めて知ったぞ」

 

「そこは知っていると思っていた!」

 

 まあな! 俺も、知っとけと思うわ!

 

「とにかく消えることは許さん。貴様は私のものだ。貴様の能力ではない。貴様自身がだ。私は、貴様が欲しいのだからな」

 

 死なれたら、後味わるいだろ!

 とにかく承認欲求を満たせそうな言葉を適当に並べとかんと。

 

「……ああ、おかげで消える気はもうないぞ! 私より遥かに優れた総帥自ら、あれほど情熱的に求めてくれたのだから!」

 

 なんで泣いてんだよ。

 え? 流れ的に、怖いとかつらいとかじゃないよな?

 嬉し泣きってやつ? 実在したの?

 情熱的って意味はよくわからんが、まあ嬉しいならいいか。

 嬉しいんだよな?

 

「私は今回の作戦中、貴様を失わぬよう、共に立ったのだ」

 

「正直、能力を使い終われば始末されるかと思っていた!」

 

「そんなつもりで、私が貴様に指導されていたとでも言うのか……」

 

 普通にショックなんだが。

 せっかくゆるい学生サークルのノリになれたと思ったのに。

 

「……申し訳ない」

 

「謝るな」

 

「……ありがとう! あの日以来、本当に私を求めてくれたのは総帥だけだ!」

 

 よし、なんかうまくコミュとれたらしい。

 立場が上だから気遣われてるとかじゃないよな? たぶん。

 

「これからも貴様には私と共に歩んでもらうぞ」

 

「ああ! たとえサイコレズ参謀になんと言われようと傍にいさせてもらう!」

 

 ん? あいつがストーカーだからってことか?

 レッスン中に顔が近づいて騒いでた程度なら、じゃれ合いみたいなもんじゃろ。

 

参謀(あいつ)もそこまで独占欲は強くない。多少の触れ合いでとやかく言いはすまい」

 

「そう、なのか?」

 

 こつんと、おでこ当ててきた。

 イケメン女子が弱々しい表情でこんな仕草すると、マジでかわいいな。

 

「そうだとも」

 

「ならば遠慮なくさせてもらう!」

 

「ああ、遠慮はいら――」

 

 んぶー!

 ちょ、ちょ! なんで突然キスすんの!

 もう自殺しないって言ったじゃん!

 舌入ってきてる! めちゃ舌吸われてる!

 

 風呂の中で裸だからってお前!

 サイコレズと違って、俺の能力発動したら死ぬぞ!

 

 うおおおお、流れでメンタルケア(たぶん)成功した後だけに噛んだり突き放したりしていいのかわからん!

 

「どうにかすべて制圧が終わりましたわ……」

 

「いやー、プロメテウス研究所とアンブレラ社のエージェントは強敵でした。デスアクメ様、あなたのサイコレズ参謀が今もど――」

 

 おお、ナイスタイミングだ!

 お前ら、助けろ!

 

「おげーーーーーっ!!!!」

 

 吸血鬼が何、ゲロ吐いてんだーーー!!

 





原作()のハメゴイ将軍は前回、敗北して捕まりエロイベントCG1枚でフェードアウトするため、既に原作を大きく逸脱してます。
今回のやたら重い設定は原作ブレイクした上で、原作の適当設定をリアルとして掘り下げたせいで生えてきたもの……という扱い。設定集とか出るほどのゲームではなかったので、たぶん原作メーカーないしサークルもこんな設定考えてません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。