どうして……。
どうして俺は全裸でゲロを消去してるんだ……。
「やはり五人だけでは、思わぬ事態に陥った際に困りますわ」
「どぼぢで……どぼぢで……」
「さっさと顔を洗え。口もゆすげ。対吸血鬼ノロウイルスでも使われたのか?」
サイコレズがぁ、吸血鬼のクセにすっぱい臭いのゲロ吐きやがって!
確かにお前、普通にメシ食ってるけどよ!
「い、いえ。あくまでお二人の接吻に精神的な打撃を受けたせいかと思いますわよ」
「いきなり見られてしまうとはな!」
俺だってなんでキスされてたのか、わかんねーよ!
それに、なんで俺がゲロの始末してんだよ。
カベジリ長官がテレポートでモップとか持ってこいよ……もう消したけど。
「全国中継……いえ世界中にあんな告白を発信した以上、今更ですけれど」
「情熱的だったからな!」
「ごぼぼぼ……ごぐはぐ? 告白っで???」
「告白だと?」
なんのことだ?
「総合火力演習の件ですわ。お二人のビジュアルもあって、今や世界中で最大のニュースでしてよ」
「将軍の能力は驚異的だからな。当然、騒ぎになるだろう」
「え? いえ、そうではなく……」
「後のあちらの方が非リアルタイム視聴者には重要だろう!」
「政府も特殊能力テロを秘匿すべく、あれを利用しておりますわ。とはいえ、脅威を諸政府に知らしめつつ、我々への世界的支持にもつながっておりましてよ。むしろ、私や参謀の想定以上の結果と言えますわ」
「あちら? あれ?」
「な、なにがあっだんでずうううう」
参謀は知らんのかよ!
何かやったっけ?
全裸晒したから俺と将軍が、アイドルとして支持を得たってこと?
「今なら、どこのテレビ局も映しておりましてよ」
ぱっ、と。
大浴場の黒い壁面全体に、テレビ映像が流れる。
え、なんか黒いなって思ってたけどコレ、液晶モニターだったの?
豪華――
『私はくだらん世間の目より貴様が大事だ』
『そ、そうか! だが、(ピー)がいるのに、私などに!』
『何を言う。貴様を失ってなるものか。貴様こそ、私になくてはならぬ存在なのだぞ。いかなる形であろうと、手放したりはせん』
『そ、そんな、こんな世界中継されている場で!』
んんんんん???
なんか全裸の美女が、同じく全裸の金髪ショートカット美女を口説いてるぞ。
地上波大丈夫か?
なんかピクリとも動かんエキストラが背景にいっぱいいるな。
でかいスタジアムの真ん中みたいなトコで……
口説いてる女が小脇に、小柄なケツ向けた人間?抱えてて……
って、さっきのステージじゃん!
俺と将軍じゃねーか!!!
は????
俺、こんなこと言ってねぇだろ!
時間停止喰らったから危ないぞって意味で……ええええ?
『この情熱的な告白劇はジェンダーフリーの象徴として、世界中から――』
『敢えて全裸で行った点を、ヌーディスト団体からも――』
『欧米ではこのカップルに絶大な支持が――』
『既にSNS上でも――』
えええーーーー!!!!
マジか。
何? 政府の陰謀? 音声入れ換え?
「改めて見ても赤面してしまうな! あんなにきつく抱きしめながら、情熱的な言葉を浴びせられては、破滅に至らんとした私の悪夢も祓われざるをえない!」
「ま、まあ、女として少しは羨ましいですわよ」
マジか。
マジで俺が言ったのか。
何言ってんだよ、俺!!
「ぐばーーーーーーーっ!!!!」
予想通りだけど、
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
サイコレズ参謀があんまりな状況だから、結局体も洗わず風呂を出てきてしまった……。
将軍はもう大丈夫だろう……たぶん。
むしろ参謀があのままでは風呂にも入れん。
部屋に連れてって話をするしかない。
さっき将軍のメンタルケアしたばっかなのに、次はコイツかよ……。
「じゃあ、ぼんどに、ぢがうんでずね?」
「本当に違う……急に時間停止が使われたから、慌てて能力を使っただけだ」
吐くのやめたら泣き出すしよぉ。
「だっだら゛、なんで、あ゛んな……」
「あんなことを言ったつもりは……少なくとも、そんな意図では……」
あんな動転した状況で、なんて言ったかなんで覚えてねぇ!
正直に話してるのに、なんで言い訳してるみたいに受け取るんだよ!
「心の奥で、わだじよりハメゴイ将軍のごど……」
「私は二股とかハーレムとか面倒だからするつもりはない」
お前ひとりで十分めんどくさいからな!
制度としての後宮みたいな、しっかりしたシステムにでもなってなきゃヤだよ。
その後宮だって中身は実際のトコ、ドロドロだったみたいだし。
「昨夜、作戦前だからっで、じながったがら……」
「そういう意図もない! むしろ、貴様がしてきたのを私が止めていただろうが」
こいつ、めちゃくちゃ性欲つよいしよぉ。
サキュバスと吸血鬼の境界線ってマジどこにあんの?
長生きしてるだけあって、アブノーマル知識豊富過ぎてプレイ幅もやたら広いし……。
「じゃあ、今から……」
「ぐ……仕方ないな……」
まあ既に風呂から直行でお互い全裸だし、ベッドの上だしな……。
正面から抱きついてきて、首に唇をあててくる。
まあ吸血なら、それはそれでいいか。
気持ちいいことは確かだし。
さすがに、あの告白シーン()は、俺も
「吸血しながらプレイして、デスアクメ様を完全に私のものにします」
「え?」
まて、吸血しながらする気か?
どっちも片方だけであんだけアへらされたのに?
「もう、手加減しませんから」
「ま、待て……待って……」
「待ちません」
おま、泣いてたの――
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「っ♡ おっ♡ おっ♡」
やばい。
終わっても痙攣が止まらん。
「はぁ、はぁ♡ 今回はもう、仕方ないですから対外的な恋人の座を将軍に譲り、ますが……次にしたら、許しませんからね♡」
「ふぁい♡ ごめん、なひゃい♡」
快感はヤバい。
断続的に今も続いてて、顔が蕩けきってるのがわかる。
気持ちよすぎて怖いのに、気持ちいいから消す気にならない。
これがまずい。
苦痛とかは能力で抹消できるけど、快楽は抹消できない。
しかも、戸惑ってた最初と違って……快楽を与える元……つまり、サイコレズ参謀を、最中に消そうと思うこと自体できなくなってる。
これを、種付けおじさんやチャラ男にやられて、アへりながら殺されたりするんじゃろか……。
いやエロゲなんだから、監禁されて媚薬漬けコースか?
「じゃあ、夜明けまでまだ時間ありますし、ご褒美ですよ♡」
「え……」
俺、今日はまだ昼飯も食ってないんすけど。
始めたの、夕方前だったよね?
ほら、時計もまだ20時前……夕飯とか……参謀もあれだけ吐いたんだし……
「安心してください。私は吸血鬼ですが、別に昼も夜も寝なくても平気です」
「わた、私が……」
「はい。他の子に手を出せないよう、念入りにさせていただきます」
「あ、ぁ……♡」
うわああああああああ、逃げたいのに体が期待してる……!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
本気で朝までやりやがった……。
女同士だとマジで際限がないのな……。
しかも俺の能力がオート発動するし、こいつが吸血鬼だしで、疲労無視して延々と続く……粘膜擦り切れたりもしない……。
「やっぱり体内に入ると消えちゃうんでしょうか。普通の人間なら10回くらい吸血鬼に変えてるんですが……」
「吸血しっぱなしで延々と……貴様……ぁ……♡」
「不意打ちであんなの見せて、他の子に告白なんかするからですよ」
「うううぅ……」
「外で周りに見せつけた分、私もこれからは遠慮せず将軍に見せつけてやることにします」
うおぉぉ自業自得で何も言えん……!
けど痴情のもつれで内部崩壊とかイヤすぎる……!
恋愛経験も性経験もなかった俺が、サークルクラッシャーになるとか!
「ま、待て。組織の和を乱すようなことはするな」
朝なんだし、どうにか身を起こしてベッドの上に座る。
参謀も向かい合うように座った。
「えぇ~。でも、このままだとデスアクメ様、将軍とばっかりいちゃいちゃするんじゃないですか?」
「そうはいっても、あいつの過去を考えると放置は危険なのだ」
「同情であんな告白して付き合うって失礼ですよ?」
「告白のつもりはなかった……」
「本当なら、私にしっかりした本気の告白してください」
「うぇ? えええ?」
告白って!
あれはだから偶然それっぽくなっただけだし!
「できないんですか?」
「と、唐突にしろと言われてもだな……」
「私をどう思ってるのか言ってくださいよ。体だけの関係なら、そのつもりで扱います」
どろっとした目で睨まれる。
コワイ!
「ひっ、さ、サイコレズ参謀は大事だぞ。唯一、私の力を受け止めてくれる、得難い存在だ」
「能力じゃなくて、私自身ですよ」
「そ、そうだな。私に好意を向けてくれて嬉しい……」
「でも面倒くさい?」
すうっと目が冷たくなってるのわかる……。
体の芯はまだ火照ってるのに、肌が寒い……。
「そ、そんなことはありません!(敬語)」
「じゃあ、私が大事じゃないんですか?」
「大事です……大事だが……恋とか、私はまだよくわからん……」
「ふぅん、そうなんですか」
「ああ、そうだ」
これで切り抜けられた……かな?
なんでこんな百合修羅場をせにゃならんのだ。
しかも一晩中、ほじくられたりしゃぶられたり吸血したりされたりした後で!
でもまだ、参謀の目がコワイ……。
「……私とするの、気持ちいいんですよね?」
「はい、気持ちいいです(敬語)」
「毎晩、私と寝たいですよね?」
「え?」
「寝たいですよね?」
おま、さんざんすることしといて!
「……ね、寝たい」
「お仕事中の立場は私もわきまえていますが……ベッドでの立場はわかってますよね?」
「え……ぅ……はい……」
舌をちろちろさせるなよ……犬歯見せるなよ……お前それで一晩中なにしてくれたと思ってんだよ。
見せられるだけで体が反応するんだよ……。
ベッドでの立場ってアレだろ、セフレ関係ってことだろ?
「じゃあ、これからも毎晩、私と同じベッドで寝ましょうね?」
「ああ……寝る……」
まあ、それで納得してくれるなら。
「私の部屋なんだから『寝させてください』でしょう?」
こ、このヤロー!!!!
唐突にエロゲムーブ始めやがって!
この前まで、添い寝しても幼児退行してヘタレてたクセによぉ!
なんだよこれ、ジャンル変更か? 俺がラスボスから総受け調教枠に変わっちまったのか?
シラフならちゃぶ台返し的に言い返せるのにぃ……!
未だにひくついてる体が! 体が!
「はい……サイコレズ参謀の部屋で、寝させてください……」
うう、ぐったり脱力しながら。
言ってしまった。
「ふふ、部屋を出たらいつも通りですけど。この部屋の中では……わかってますね?」
ちょ、おま。
頭踏むな……って、え?
ちょっと待てこれ。
ベッドの上に正座して座ってたから今、俺……全裸土下座してんじゃん!
「待て、そういう意図では……!」
「まだ部屋の中ですよ。私の恋人になりたくないなら、せめて私のモノになっていてください」
おいいい。
能力上、踏まれても痛くないけどさぁ!
だからって躊躇なく人の頭踏んでくるな、お前!
何? 確かにずっと受身だったけど、俺完全に隷属したと思われてるの?
エロゲの上下関係ってコレで決まっちゃうの?
別に恋人になりたくないなんて言ってないじゃん!
恋とかよくわからんってだけじゃん!
お前、ストーカーしてたクセになんで恋人になる前提なんだよ!
誰が昨日、お前のゲロを掃除したと思ってんだ!
「貴様……っ、おっ♡」
「だからまだ部屋の中、でしょう?」
終わったんじゃなかったのかよおおおお!!!
いきなり指ぃ!
決まった出勤時間がないからって、トップが遅刻はいかんでしょ!
「うぁ、やめ……やめろ。朝なんだから……」
「そうですね。今夜からは毎晩しっかり、他の子の匂いがしないか……一晩中かけて隅々まで確かめればいいんですし」
「う……♡」
ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
マジでこれからその扱いなの!?
気が利いた告白できないと、即奴隷にされるの!?
ちんこで堕ちる世界って、快楽全般でこうなんのか!?
まだ関係破局の方がマシだろコレえええええ!!!!