斜め下に抜きゲー悪役TS転生   作:神谷涼

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25:認識疎外

 

「現状、我々の活動はどうなっている?」

 

「国連と米軍は水面下で動いていますが、日本政府は静観の構えですね。未だ国家的問題とはせず、偶発的な事故として処理するつもりのようです」

 

「……自衛隊基地と米軍基地を制圧したのだろう?」

 

 俺はそっちの現場に関わってないから知らんけど、何もせずにいていいんだろか。

 クローン戦闘員って、そんな万能なの?

 

「現場と認識を共有できていないと言うべきですわ。政府自体が現実逃避している状態でしてよ」

 

「制圧状態に問題はないのか?」

 

「断続的に随所で無差別洗脳を施しているからな! 奪還の動きも鈍い!」

 

「今朝も米国内で何回かストリートライブしていただきましたわ」

 

「銃社会で無差別洗脳は少し緊張したぞ!」

 

「撃たレた時のクローンはダースで用意済でス!」

 

 えっ、あれだけあちこち連れまわしたり泣かしちゃったりしてたのに、ハメゴイ将軍そんなことしてたの?

 なんか、すまんな……。

 そんな仕事直後とも知らずにさんざんアレコレして……。

 

「現状、北米のパンデミックが本格化するまでは睨み合いとなります」

 

「大陸の仕込みを動かすのも、米国の動きを止めてからですし」

 

「日本政府には今の形で散発的な圧力をかけるだけで十分ですわ」

 

「…………なるほど」

 

 よくわからんが、ヒーローモノらしく俺らは日本国内の活動に専念してればいいのね。

 少なくとも、対ヒーローが終わるか……エロゲとして完結するまで、世界征服活動に追われはしないと。

 

 うーん、さっさとNTR(部隊の名前)を壊滅させたい。

 そうすりゃ百合ゲーとして確立し、おっさんにレイプされる危機感から逃れられる。

 それ抜きでも、いろいろ胸糞案件を予防するために種付け野郎を始末したいんだよな。

 

 けど、人手が5人しかいない。

 しかも、時間停止についてコイツらが認識してくれんせいで、俺がNTR(部隊の名前)を脅威視する理由がどんどん薄れてきてる。今や、奴らの表だったメンバーは残り1人。

 正直、表立って知られてる3人の優先性は最初から低かった。

 裏を知れば知るほど、放置しときゃよかったってなる。

 適度に幹部連中の危機感を煽ってから、司令をぶっ殺せば……いや、それだとやっぱ将軍や長官が犠牲になってた可能性も高くなるか。

 

 俺一人でどうにかできれば、話は早いんだが。

 正直、時間停止相手じゃ俺は退散させるだけで勝てない。

 参謀だって普通にやられる可能性が高いし。

 将軍の洗脳は、効くまでにタイムラグがあるから厳しい。

 ドクターのクローンによる物量作戦じゃ、どうにもならん。

 

 つまりカベジリ長官のテレポートが一番なんだよな。

 ラクに死なせるのは業腹だけど、奇襲すれば時間停止してもどうにもならん。

 相手の一部をテレポートで吹っ飛ばしてもいいし、体内に異物を転移させてもいい。

 

 そういや捕まえたメスイキ(隊員名)の高速移動はともかく、オナホ(隊員名)のテレパシーも使えるな。

 ヤツの居場所を捕捉できれば意味はあるか。

 

「……捕まえた能力者二人の様子はどうだ?」

 

「おとナシくしテます! 能力分析については昨日と変わりナく!」

 

「まあ、暴れる前に私が洗脳を使ったからな!」

 

「あの状態では洗脳というよりも、精神衰弱状態に近いものを感じますけれど……」

 

 オナホを使う場合、昨日の今日でそこまで信用するのかってことだよな。

 

 エロゲ法則的には信用できるはずなんだが……。

 いや、あれから頭も冷えてるだろし、まだ反抗心を持ってる可能性は十分ある。

 というか一般常識的にはアレで完全屈服する方がおかしいんだよ。

 

 テレパシーによる感知ってのは、逆にテレパシーで相手に知らせることもできる。

 警告を送られたり、救助要請されたりしたら面倒だ。

 

 かといって、これからNTR基地に襲撃をかけるにも……。

 

「NTR基地の位置は割り出せたか?」

 

「はい、割り出せております。内部の詳細な構造も、捕らえた二人を尋問すればすぐわかるはずですわ」

 

「あの、デスアクメ様。確かに我々は目下、待機状態ですけど……」

 

「ええ、あの連中にこれ以上の戦力を割く意味があるとは……」

 

「メンバーもほぼ壊滅! 放置で問題ないだろう!」

 

 こいつら、もうNTRに対して危機感ゼロなんだよな。

 

「あっ、ハラマセ君を手に入れレバ、機械設備が充実!」

 

「「あれは必要ありません(わ)」」

 

 その点は俺も同意。

 催淫能力持ちだし、TSさせてもロクなことにならんだろ。

 

「なるほど。だが、奴らの司令は――」

 

「所詮は現場を引退した男。わざわざ戦力を割く価値などありませんわ」

「一人でどうこうできる段階でもないですし」

 

 めちゃくちゃ俺の発言にかぶせてきたな。

 言わせるつもりはないってことか?

 ていうか、俺ら五人で世界征服しようってのに一人をナメていいわけねーだろ。

 

「時間停止などという能力も存在するとは思えんしな!」

 

 ハメゴイ将軍の率直な言葉に、参謀と長官が気まずそうな顔してる。

 俺を気遣うようにチラチラ見やがって。

 前世でリアル中二病時代に向けられた視線と同じだから、わかるぞ。

 おまえら、時間停止も催淫も俺の妄想と思ってんだろ。

 

 クソ……RTAしすぎた。

 時間停止について認識してもらわんと、NTRへのこれ以上の攻撃は命令自体が難しい。

 ハラマセ博士の催淫能力もたぶん同じだ。

 

「認識阻害能力を使われている」

 

「そういう能力者がいれば、ありえるかもしれませんわね」

 

「それこそ干渉対象が広すぎて無理でしょうね」

 

「そんな都合のいい能力があるとは思えんな!」

 

 すげーぞんざいな対応してきたなお前ら!

 なまあったかい目しやがって!

 ぜんぜん俺の言葉信じてねーじゃん!

 

 てか、将軍……おまえの洗脳が、まさしくチート範囲で干渉する能力だろうが!

 俺や長官の能力だって都合よすぎと思わんのか!

 参謀だって、能力関係なく一晩セクロスしただけで俺を全裸土下座させてただろが!

 

 だいたい将軍と長官は、被害者枠だろが!

 なんで俺のことを「過去のトラウマから妄想に逃げたかわいそうな人」みたいな目で見てんだ!

 お前ら、うっすら優越感あふれてるからな!

 そゆの相手に気づかれてないと思うなよ!

 

 ぐぎぎぎぎ。

 見せ札の三人以外は、認識阻害の影響下と見た方がいいなこれ!

 

 

 

   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 会議後。

 基地攻撃命令を出せる空気じゃないし。

 捕まえたきり屈服も何もさせてない、メスイキの様子を見に全員でドクターの部屋へ来たんだが。

 

「ヒッ!!」

 

「……随分と怯えているな。拷問でもしたのか?」

 

 将軍が洗脳を解いた瞬間、部屋の隅に縮こまってガタガタ震えだした。

 大丈夫なのか、これ。

 

「拷問は非効率! ちょーッと特殊能力発動観察のタメ、私のクローンに自我転移さセてストレス負荷を与えテ調査しタあと、元の体にキチンと戻したダケ!」

 

「ストレス負荷とは何ですの?」

 

「脳に電気信号を送り、身体失調発症が確認でキルまでストレスを与えマした! いつも将軍のクローンにも能力発動を期待し施しテる人道的実験!」

 

 ぜんぜん人道的じゃねぇ!

 

「拷問の方がマシだな!」

 

「心外! 私自身のクローンにハ、発症後も与え続けテます!」

 

「そういう問題じゃないと思いますよ……」

 

 ホントにな。

 

「まあいい。貴様にはNTR内部の情報を教えてもらいにきた」

 

「な、なんでも話すよ! だから、あれはもうやめて!」

 

「拷問じゃないですか」

 

「何も聞いタリしてません! イエス実験! ノー拷問! ストレスで強力な能力に目覚めルカを確認しタだけ!」

 

 受けたヤツにしてみれば、拷問より酷いと思うぞ。

 

「……まあいい。それなら話は早い」

 

 そんなわけで、NTR基地内情報について聞き始めたのだが。

 場所とか顔ぶれとかはまあ、事前情報でわかってたからいいんだ。

 

 むしろ問題は、例の秘書官と助手についての話で……。

 

「秘書官は常に司令の部屋にいるが、出た痕跡もないのにいない時があるだと?」

 

「司令も足越知(そくおち)さん(秘書官)がいない時はマナーが悪くて、変な音たてながらガム噛んだりしてるんだよ」

 

「「………………」」

 

「ハラマセくんとオソロい!」

 

「?」

 

 何、かわいく首かしげてんだコイツ……小学生か?

 わからんのか?

 こっちは全員、さっきの電話思い出してドクター以外はビミョーな顔してんだぞ。

 

「あと、足越知さんも薬月堂(やくづけどう)さん(博士助手)も、恥ずかしがってドアから顔だけ出して対応する時がよくあるかな……」

 

「あの、それって……」

 

「顔真っ赤で、すごく焦っててね。息も荒かったから、最初は病気かなって心配したんだ。でも、後で聞いたら、こっそりおやつを食べてたんだって。女の人はやっぱり甘いものが好きなんだね」

 

 こいつ、幼稚園児か?

 いや、NTRゲーの寝取られる男の性的想像力ってこんなもんか?

 人間としていろんな意味で大丈夫か?

 あ、待てよ。男はこうかもしれんが、女のオナホはどう見てたんだ?

 

「他の隊員も同じ意見だったか?」

 

「ウツボッキー(隊員名)は納得してたけど。そういえば、オナホちゃんは顔真っ赤にして困ってたっけ……やっぱり女性同士だと思うところがあるのかな」

 

「ブフッ…………」

 

 あ。

 

「うわ、危なイ!」

「発動する前に一言いってくれ!」

「監禁施設が壊れてしまいますわ!」

 

 ごめん。

 でも、今のは不意打ちすぎるだろ。

 シラフであの隊員名を聞かされたら……うっかり噴き出したのを抑えてしまった。

 黒い炎が噴き出して、周囲のものを消滅させてしまう。

 立って話聞いててよかったわ。

 座ってたら、椅子とか消しちゃうトコだ。

 

「え、えっと……怒られるようなこと……言った?」

 

 ははは。

 受けショタ枠だっただけあって、表情も仕草もかわいいね。

 乾いた笑いしかでねぇ。

 

「はぁ……いや、すまん。少し思うところあってな。貴様に問題はない」

 

 うーん、現状ではコイツを竿役にする気にも、尻を掘る気にもなれんし。

 イベント回収に使う決心はつかない。

 ドクターに虐待を控えるようにだけ言っとくか。

 いっそ女の体に変えさせてしまうのも手だけど……そのへんは種付け野郎を始末してからだわな。

 

 次は、オナホちゃんの方に聞いてみるか。

 

 この酷いネーミングにも、いいかげん慣れないとこの世界きびしいかなぁ。

 不意打ちで名前ネタぶっこんできやがるし。

 日常会話が思わぬネタにまみれるし。

 

 けど、慣れちゃったらいろいろおしまいな気もするんだよ……。

 





連休中は投下お休みになります。



サブタイはわざとでしたが、本文でも全部「認識疎外」にしてましたね……正しくは「認識阻害」です。
過去でも間違ってる気がするので、
見つけたらちょくちょく修正していきます。
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