いかにもな司令室だが……この早朝には誰もいないらしい。
24時間体制じゃないのか。
スタッフ人数自体も限られてたし、そりゃそうかもな。
「室内に反応はありません、デスアクメ様」
シェルターとしての発想か知らないが、奴らの基地は大半が地下。
今回の標的、時間停止種付け野郎を狩るには都合がいい。
「長官、外を塞ぐよう、設備や壁や床を手当たり次第に転移させろ。この基地を埋めて、出入口を作るな」
「生き埋めですわね」
物理的に出入口をなくせば、時間停止とてどうしようもないはず!
一瞬で部屋中のそこかしこが抉れ、高そうな機材が台無しになる。
さらに下の階層はないらしい。
床もくりぬかれて、歩行も困難な有様になる。
遅れてあちこちで振動、轟音。
「将軍は洗脳を止めるな。カメラ越しにでも見た全員を封じる」
「当然だ!」
歌わなくてもいいはずだが……まあいいか。
俺の黒炎()、都合よく音声と視覚は通すんだよな。
フィクションの暗黒系オーラってまあ、そんなもんなんだけど。
オーラの中に入ってる四人もお互いに声や視線でやりとりできるし。
使ってる俺自身不思議だが、都合がいいなら何より。
散開したりしない。
完全無敵状態で固まったまま、この基地ごと磨り潰してヤツを葬る!
「参謀、地上に通じる場所は換気口を含めてすべて長官に伝えろ。邪魔な壁も抉らせろ」
「了解です!」
同時に、サイコレズ参謀の体が膨れ上がり闇が溢れる。
えっ、なにこれ。
「まあ……」
「なんだと……」
参謀の体から無数のコウモリが……!
おいおい、まるで……まるで……
「吸血鬼みたいだな!」
「吸血鬼ですよ!」
だってお前、ただの変態ストーカーって印象しかなかったし……。
言動も残念なサキュバスみたいな感じだったし……。
吸血ってもプレイの一環でしかしないし……。
何しても死ななさそうなのと、変態的察知能力を目当てに連れて来ただけで……こんなまっとうに吸血鬼らしい能力が使えるとか、あんまり思ってなかったっていうか……そんなイメージ皆無……。
「お前、まともに吸血鬼らしいこともできたのか……」
「できますよ!」
無数のコウモリが部屋中を飛び回り、自在に霧化してはエアダクトや扉の隙間から飛び出していく。
「これで基地内の構造を拾い出し、外部へのルートを塞ぎます。コウモリのソナーと、霧化しての侵入なら、あのクズの逃げ道をすべて塞げるはず!」
「すごいな!」
「あの数の知覚内容をすべて把握できますの?」
「伊達にデスアクメ様から参謀を任じられていませんよ」(ドヤ顔)
ごめん……俺も参謀って名前だけかと思ってたわ。
最近は世界征服計画も、長官がメインかなって思い始めてたし……。
「本当にすごいな……」
しかも真剣な顔で集中してる!
ホントにいつもこの顔でいてくれたらなー。
「連中も目を覚まし始めていますね……轟音と規模から地震や土砂崩れを懸念しているようですが……」
「参謀、この人数で飛べるか?」
「問題ありません」
「私の背後に回れ。頼む」
体勢を変えて、参謀が俺の背後にぴったりくっつく。
「デスアクメ様、オーラの範囲を広げてください」
「おお、わ、わかった!」
サイコレズの背中から、黒い……めちゃでかい翼が生えてる!
翼長5メートル以上はある!
それが羽ばたかず、浮遊する形で四人を宙に浮かせてる!
中二吸血鬼だ!
すげー!!
しかも、さんざんエロいことしたせいか、翼も含めて俺の一部としてオーラで包み込める!
サイコレズの一部、だから俺の一部ってことか!
すごい!
作品ジャンル変わりすぎだろ!
そら、米軍基地も制圧できるわ!
「参謀殿、すごかったんだな!」
「先日(米軍基地)はまだまだ本気じゃありませんでしたのね……」
「……後で私についてよーく話し合う必要がありそうですね」
ちらっと背後見ると、不機嫌に言いつつも目を閉じて集中してる。
本当にちゃんと参謀できるんだな……。
「施設出入口、正面およそ50メートル、右手およそ20メートル」
「これで塞げまして?」
「右手まだです。もう少し前」
「範囲を広げますわ」
「OKです、さらに換気口を――」
俺らが浮遊状態だからってことで床が次々と転移で抉れ、建物やコンクリートの一部と入れ替わる。
その建物やコンクリートを長官がさらに転移させ。
この司令室を、そして見えんけど施設内外も地形変化させてる。
連発テレポート、マジ凶悪だな……。
直径3メートルくらいの球体で、連続空間転移。
地形タイルを直接置き換えまくってるようなもんで、床や壁がみるみるめちゃくちゃになっていく。
「私が必要か疑問を感じるな!」
「誰も来ないからな……」
参謀が吸血鬼能力駆使して、長官がテレポ無双してるんだけど。
俺と将軍は正直、することないからなー。
しかし。
「「「!?」」」
そんな風にぼやいてた瞬間、俺と……おそらく将軍と長官にも異様な危機感が襲う。
「その扉! まっすぐ!」
参謀が指さす。
わかる、これは吸血鬼として血を繋いだせいで生じた精神共鳴。
今、参謀が感じた危機感の一部が、俺らにも伝わってる。
断片的な言葉でも意図が、ある程度読める!
長官が応答もせず、扉の周辺一帯の空間を球状に転移させる。
元は通路があったのだろう。
だが、カベジリ長官のテレポートで構造が作り変えられる。
扉とその周辺の壁が、廊下の奥と入れ替わる。
俺たちから見て元は“扉の向こう”だった場所が……扉の手前、になる。
奥へ転移させられた扉は半ば床にめり込んで開閉不可。
そこに、醜く肥え太った男の姿が見えた。
「!」
一気に、オーラ範囲を拡大。
ヤツが万一にも触れたりできないようにする。
次の瞬間には男の姿は消えていた。
間違いない、種付け野郎本人だ。
「消え――」
足場は悪い。
ヤツに浮遊能力はないはず。
「焦るな! コウモリ! 塞げ! 最大出力!」
よし、それぞれ意図を汲んでくれたな。
参謀のコウモリが司令室中を飛び回り、長官のテレポートが室内のわずかな隙間もなくし、将軍の洗脳が(たぶん)最大出力で放たれる。
「我々の足下、瓦礫の影です! 洗脳たぶん通ってます!」
「視認せず転移攻撃。洗脳続行」
将軍と長官の目を敢えて塞ぐ。
俺も下は見ない。
直視してトラウマ想起したり、変な能力の影響受けたらヤだからな。
「生命反応、なくなりました」
「よし、視認した上でさらに攻撃。念には念を入れろ」
既に男の体は空間ごとバラバラにされ、体中を瓦礫が貫いている状態。
残った肉体も次々とどこかに消えている。
俺や参謀みたいな再生能力があっても、即復活はありえない。
十二分にR18G処刑だが……。
瞬間移動能力持ちのキモオヤジはここにはヤツしかいないはず。
これがヤツ本人で……間違いないはずだ。
セリフの一つも言わせず、徹底したメタ読み攻撃で潰しきった。
しかし、ストーリー的にアレな対処をした以上、本当にヤツを消せたかは不安が残る。
「参謀、さらにコウモリだ。基地内の人間すべてを再把握しろ」
やるからには徹底するしかない。
「長官、我々のような吸血鬼だった可能性もある。全身を距離的にも離れた地中等へバラバラに転移させろ」
二人とも無言で頷いてくれる。
「終わった……のか?」
「我々はこのまま能力を発動し続ける。解除した瞬間、思わぬ罠にかからんようにな」
さすがにこの状況で、将軍といちゃついてられるほど慢心はしない。
何より、簡単に終わりすぎて……実際不安だ。
まだエロイベント完全埋めしてない以上、強制エロイベントも発生しうるしな……。
なるべくサクッと終わった扱いで、ヤツの立ち絵は最初からなかったことにしたい。
たとえ体感時間が長くても、無双で終わらせればゲーム内じゃ描写省略される。
ゲーム的にも参謀の吸血鬼エフェクトとか画像用意してられまい!
エロラノベだと、敵ボスは挿絵ないこと大半だしエロゲでも同じ法則は通るはず!
反撃を許さずコミュもせず、メッセージウインドウ数回タップで終わるイベントにするんだ!
ゲームとしては正直クソ展開だけど、もう今更だろ!
R18版を書こうと思ったけど、こいつらのネーミングでエロを書くとホントにシュールな字面になるのでやめました。
相手の名前を呼べないってハードル高いよね……。
地の文で出してもアレだしね……。