「あの時の粘液音!」
「本人と通話しながらだなんて……」
ハメゴイ将軍とカベジリ長官が、微妙な顔で薬月堂助手ことメカヤクギメックスを見てる。
ホントにな。
死んだ
たぶん、ドクターの方は何とも思ってねーんだろなー。
「なるほど、そういうプレイが……クローンは無理でも、デスアクメ様が分身能力に目覚めれば……いや、私がする側になって楽しんでいただく手も……」
一方で、サイコレズ参謀は真剣な顔でブツブツ言ってる。
内容ぜんぶ聞こえてるからな。
シリアス顔でいろって思ってたけど、その内容はアウトだからな。
「……とりあえず、元の作業を続けろ」
リセット能力の持ち主がメカヤクギメックス……能力持ちってことは、種付け野郎に一度孕まされてるんだよな。
そのへん、博士はどう考えてたんだ?
ドクターに執着あったんじゃねーのか?
たまたま能力発現したから使ってただけで、何とも思ってなかったんだろか。
うーん、わからん。
PCから取り出したデータに、何か手がかりがあればいいんだが。
ホラーなら都合よく日記的データがあったりするんだが、エロゲだからなー。調教日誌とか性癖日誌的なのならワンチャンあるかな……まあ、後で参謀と長官にチェックしてもらおう。
ドクターと博士の、情報のやり取りも念のため調べるべきだろしな。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そして一時間後。
認識阻害マジめんどくせー!
ぜんぜん見つからねー!
「見つかりませんねぇ」
「これ以上、転移を繰り返せば基地全体が崩落しそうですし……この部屋の予備電源も失われかねませんわ」
「データは手当たり次第に移しているが、端末自体が多いな!」
パスワードとかクリアできんのは放置してるもんな。
そのへんのメモっぽいのも一応集めてもらってる。
「当人が死んでも発動したままとかありませんわよね?」
「さっさと外に出た可能性もある!」
「…………」
それもありえるんだよなぁ。
認識阻害能力持ちが、事故死して死体転がったままだけど誰も気づかんってのは定番でもある。
でも、エロゲのネームド立ち絵持ちヒロインがそんなテキトーな死に方するかなぁ。
メカヤクギメックス(助手)は死んだけど、今までで最も苦戦した敵だぞ。
それに独自立ち絵でもない。
いや、誰かの双子とか母親とかクローンって可能性もまだあるけど。
そこまでして立ち絵流用するかなぁ。
種付け野郎が主人公なら、チュートリアルヒロインだろ?
わかりやすく目を引くタイプにすると思うんだよな。
何より、俺らとソックリなら今まで捕虜にしたメスイキくんとオナホちゃんが反応するだろ。
マスクとかしてない、顔そのままだし。
ユニークな髪型のヤツもいないし。
魔法少女的な認識阻害効果も……ん?
待てよ。
「貴様ら、あのメスイキとオナホを捕まえた時、奴らがドクターと会話する様子を見たか?」
「「「え?」」」
詳しく問いただしてもみたが、三人とも会話してる様子は見てない。
で、昨日にメスイキに事情聴取的なのした時、アイツはドクターにそういう反応はしてなかった。
そうそう、“薬月堂さん”って呼んで普通に会話に出してたよな。(25話)
アイツ、ドクターが“薬月堂さん”に似てると思わなかったのか?
ドクターのコトをめちゃくちゃ怖がってたのは覚えてる。
拷問じみた負荷実験を延々されてたって話で納得してたが……うーん。
オナホの方も似たような感じだったよな。
で、コイツら……参謀、将軍、長官の全員が、メカヤクギメックスをドクターそっくりって認識した。
前の認識阻害の影響はかかってない。
メスイキとオナホちゃんだけ、認識阻害を受けてた可能性もあるけど……うちのドクターと同一人物って認識を阻害する意味あるのか?
物理的に、ドクターと博士があってた可能性もあるけど、参謀や長官がそんな自由行動許すとも思えん。
よし。
これはコイツらには相談してもいいか。
「……というわけなんだが、おかしくないか?」
「おかしいな!」
「ドクターの側なら人の顔がわからなくても……まあ、あの方はそういった価値観を持ってらっしゃいそうなので……よくわかるのですけれど」
オナホちゃんはカベジリ長官の同級生だったな。
「
そんでメスイキは、ハメゴイ将軍のイトコ。
ところで、その言い方だと顔と名前覚えられん人間は、友達少ないってことだよね。
俺のことかよ。
クソっ、
まあ俺と違って
「しかし、ドクターは我々の組織に所属してから外出をしていません。原間瀬博士と連絡を取り合っていたことには驚きましたが……故意の情報漏洩をする意味もないはずです」
サイコレズ参謀が真面目な顔してる。
さっき、俺とのプレイ妄想を漏らしてた時と同じ顔だけどな!
まあ実際、五人しかいない組織で内ゲバなんかしたくない。
無暗に身内を疑うのは、よくないってことで……。
「確かにそうだな!」
「負荷実験のせいで記憶に障害が出たかもしれませんものね」
将軍と長官もそのあたり、空気読んでる。
ただなぁ。
「……確かにそうだな」
どうも、おかしいんだよな。
企むタイプのキャラには見えなかったが……何かすれ違いが起きてるのか?
メスイキは何か記憶や精神をいじられてたりするのか?
ドクターが実は特殊能力者とか?
何せ、この組織には俺だけが知ってる……でかい事件があったからな。
デスアクメ、なんで消えたんだ?
俺はなんで、この体になってるんだ?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アイデンテティに悩むのも飽きた、さらに一時間後。
見つからねぇー!
突入してから3時間近い。
拾えそうなデータはもう十分に手に入った。
俺が能力で消さないよう、アジトに転移させた。
メカヤクギメックスの死体も送った。
なのに、認識阻害持ちが見つからねぇ。
「そろそろ外にも援軍が来ているようですわね」
「特殊能力持ちはいそうか?」
「いえ。普通に警察と機動隊が……自衛隊は抑えておりますし。この土地全体を瓦礫で覆い続けている以上、まずは土木用重機を持ち込む必要がありましてよ」
「私が出れば洗脳で処理できるぞ!」
「戦力の分散はしたくありませんね。将軍と長官は、一応の吸血鬼化こそしましたが……まだ不死性も高くないでしょう。口径の大きい銃は危険です」
そうやって参謀らしいお前でいてくれ。
とはいえ、これは手段を選んでられんな。
展開的にコレを使えばいけるって思うのはあるし……。
「……あまりしたくはなかったが、降伏勧告するか」
「外の連中にですか?」
「隠れてる女……いや、いるなら男にだ」
合計でほぼ三時間が経過。
俺や参謀みたいな吸血鬼ボディじゃなければ、人間は普通満足する時間だ。
ラブホの休憩時間でもよくある枠だし、エロゲじゃ“一時間後”の次は“三時間後”がお約束。かなりギャグ寄りなら“八時間後”ってのもあるな……まあ、俺は参謀に“十二時間後”をされたけど……。
オーク同然のエロゲ竿役でも、さすがにモブ覚醒でそんな長時間耐久特化は生まれんやろ。
それに
俺らの想像通り男を匿ってれば、とっくにビクンビクンドロォ状態になってるだろ。
男の方も賢者モードのはず。
よしんば満足してなくても、こっちは立ち絵持ちヒロイン4人だ。
チョロイン相手のマジチンで調子に乗って、ホイホイ出てくる可能性は高い。
気分的にはあんまよくないけどな。
……というわけで。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
博士の部屋からあちこちに、声は通じるよう穴を作らせた。
その上で、他の隔離した部屋に我々自ら転移しつつ声かけする。
テレポート、マジ便利だな!
「生き残りがいるなら出てくるがいい。間もなく、この基地は崩落する。たとえ潰されずとも餓死するぞ。我々は無益な殺生は好まん。逃げ遅れた者がいれば保護する。いるなら出て来い。私の呼びかけに応えろ」
さすが悪の首領だぜ。
声量でけぇ。
シャウトしなくても、落ち着いた口調で声量でかい。
あれ? 自覚なかったけど、参謀らといたしてる時の声もでかいのか?
「あ、あの、デスアクメ様自らなさらずとも」
「そうですわ、予想通りならゲスの類……」
「私ならば能力で制圧できるぞ!」
いや、お前ら明らかに男性嫌悪と男性不信持ちじゃん。
民度低いクソみたいのが出てくる可能性高いのに、交渉役とかさせたくねーし。
殺意や嫌悪感を丸出しにしたら、瞬時に認識阻害を使われるかもしれん。
俺はまあ中身の性自認が、男だからな。
男を性対象にしたいとは思わんが……いや、改めて考えると俺の中身についてコイツ等にバレたらヤバいんじゃ……参謀には殺されそうだし、長官にも強引に手を出しちゃったし……将軍は泣いちゃいそう……。
こわ……考えんとこ。
「ま、まあ私が組織の看板だからな」
三人の頭を撫でたり頬ずりしたりしてごまかそう。
あー、やわらかい。
いい匂いするなー。
しかも、これだけでキュンとした顔してくれるしなー。
面倒な手間かけず、三人いっしょにかわいがってるだけでよければなー。
と、いかん。仕事せにゃ。
「いいのか? そろそろ完全に破壊するぞ。生存者はいないのだな?」
そうして、あちこち巡って声をかけて回ると。
背後から突然、声。
「待て、待ってくれ! ここに、ここにいる!」
「助けてくれ!」
「こんなところで死にたくねぇ!」
わかりやすいモブ声にモブセリフ!
男が三人か。
認識阻害が解けたのか、嗅覚でも感じ取れる。この生臭さ、やっぱヤりやがったな。
俺の背後にくっついてる参謀の体が強張る。
福本モブ(カイジモブ)みたいな連中か?
「おお、生存者がいたか」
にっこり笑ってそちらを向くと……
無駄にガタイのいい、特徴ない顔の土気色肌中年男が三体。
そして、性的にも暴力的にもぐちゃぐちゃにされた女が一人転がってる。
「………………」
なるほど。
これはまた予想以上だな。
いや、予想以下か。
…………女(俺)の呼びかけに応えるなら、パンツくらいはけよ。
「この女が変な能力で助けを呼べなくしたんだ!」
「さんざん殴ってやっと解除させた!」
「もうダメかと思った……! 助かった!」
参謀も長官も将軍も、抑えててくれよ。
「クソっ、助けてやるとか騙しやがって!」
「蹴るな。無益な殺生は好まぬと言ったぞ」
ちょっと俺も自制心に自信がなくなってきたな。
全裸で蹴ろうとするのやめろ。
いらんモノがブラブラしてんの丸見えなんだよ。
「へへへ、もちろんですよ」
「この女に妙なコトされなきゃ、俺らエリートっすから」
「皆さんが、この女の能力でおかしくされちゃいけないんで……」
足越知秘書官、善意でこの連中を匿ったんだろなぁ。
うん、まあ。
この連中が自分にどんな言い訳しながらアレして、そっから手のひら返して殴って解除させたかは、説明されなくてもわかるっていうか……テンプレクズすぎてリアルで見たらドン引きっていうか。
「俺、前からデスアクメ様のファンなんですよ!」
「あの告白マジリスペクトっす!」
「実物は動画よりずっと美人だよなぁ!」
うわ。
唐突に言い寄ってきた。しかもサイコレズと同じ視線だ。
下向いてる長官と将軍、俺の後頭部に顔うずめてる参謀が少し震えてる。
後ろに転がってる、お前らがさんざん殴った秘書官ちゃんも俺らと同じエロゲの同じ顔面偏差値だっただろが!
つうか、このクズモブ……俺らを視姦しながら目の前で硬くしてんじゃねーよ。
お前ら全裸だからぜんぶ見えてんだよ。
見せてんのか?
明らかに事後でドロドロのきたねぇモンをよぉ!
「保護してもらえるんすよね!」
「デスアクメ様、雇ってくださいよ!」
「身の回りの御世話でもなんでもさせてもらうっすよ!」
性的にも暴力的にも暴行しまくったの明らかなクセに……どんだけ図太いんだよ。
しかも、俺の股間やら胸やら凝視しまくってるし。
顔も口元ばっか見やがって、咥えさせたがってるの見え見えだよクソが。
てか、ほんとに服着ろよ。
「なるほど。それは助かる」
「マジっすか!」
「さっそく肩でも揉んで……!」
うわ、マジでめちゃくちゃ近づいてきたわ。
さすがにこれはもう……いいかな。
「長官、あの女を確保しておけ。閉じ込められる場所にな」
カベジリ長官がうつむいたまま、小さく頷くと同時に秘書官は消えた。
このクズども、背後で女消えてもぜんぜん気づかねーなー。
「さて、お前たちは我が傍仕えになりたいのだったか。では、わが胸に飛び込んでくるがいい。久しぶりの男だ、歓迎しよう」
迎えるように両手を広げて見せた。
大きな乳房がエロゲらしく揺れる。
抱えてた将軍と長官を手放す形になるが……二人とも、しっかりくっついてるし。
俺の意図もちゃんとわかってるみたいだな。
なんせ俺、今も万物抹消オーラ起動したままだし。
てか、こいつら見てから内心これでもかなり怒ってるから。
範囲も、かなり広がってる。
「うひょお、やった――」
「楽しませて見せ――!」
「脚でもどこでも舐め――」
欲望まるだし、バカまるだしで飛び込んできたクズどもが。
俺の手前で、三体そろって消滅した。
動画見てて、俺らの敵対組織にいて。
俺の能力ぜんぜん知らねーのな。
それとも自動選別できると思ったのか?
俺がマジでお前らになびいてると思ったのか?
勢いつけてきたおかげで、肉片も残さずキレイに消滅したのがせめてもの幸いだな。
下半身だけ残ったのとか、眺めたくねーし。
「……撤収するぞ。あの秘書官は治療した上で、説得してみよう」
「ええ。あの汚物どもをあっさり殺してしまった点は残念ですけれど。せめて彼女を仲間に迎えられるよう、努力いたしますわ」
「そうだな。相応の報いをくれてやりたかった」
二人にはホントにすまんな。
なーんかああいうの見ることになると思ったよ。
エロだけじゃなく、バイオレンスまでやらかしてたのは予想してなかったが。
「………………」
サイコレズは背中にぎゅっとくっついたまま無言。
「参謀。撤収して問題ないか?」
「…………うっ……えぐ」
えっ、なんで泣いてんの?
いろいろ似たようなコト俺にしたくせに、怖かったとか言うんじゃねーだろな。
「う……デスアクメ様……デスアクメ様もああいうこと、されたんですか」
「「…………」」
おま、何聞くんだよ!
実際にされてトラウマになってる将軍と長官の目からハイライトが消えてるぞ!
「たぶんな。私は記憶を消したし、肉体の傷も消えているが」
「うう、絶対に……もう二度と、誰にもあんな目には……合わせません……」
は?
「そうだな!」
「ええ、決して。二度と受けさせませんわ」
待てや。
将軍と長官がちょっといい話みたいにまとめてるのはいいけどな。
参謀、お前。
お前、暴力振るってないってだけで、性的にはかなり近いことしてるからな!
相手がアへったからって合意になったりしねーからな!
そろそろ完結が見えてきました……。
今回は着地点を考えてから書いてるので、ちゃんと終わるはず……。
(未完の話はいつも考えずに書いてた)