「記憶複写だと?」
「それこそが例の
長官、しっかり情報解析してたのね。
NTR基地で回収したデータ、特に敵の博士とうちのドクターのやりとりは優先調査対象だったからな。
俺がアへってる間にも時間はどんどん進んでいたのか……。
未だに俺、服も着てないんだけどな。
「かなり頻繁なやりとりで、事実上の共同開発に近い形でしたね」
参謀、お前にはずっといろいろ密着されてた覚えしかないのに、いつの間にか仕事してたのか……。
えっ、じゃあ俺って最中は誰が誰かわかってないの?
こわくない?
「クローンには私やドクターの記憶が既に移されているからな! ヤツがそれを欲しがったわけか!」
そうだよな。
ドクターのクローンは、自身の学習記憶をさんざんコピってるから並行研究したり助手作業させたりしてるんだろ? 将軍のクローンも、特殊能力こそないけど将軍と同程度の戦闘技術は身に着けてるって言ってたし。
やり取りっても、随分と前のことなのか?
「いえ……それが……」
「専門用語が多く、私や長官にも詳細はわかりませんが。かなり最近まで、それもドクターの方から接触していたようでして」
長官と参謀が、困った顔を見せる。
「ドクターは既に記憶複写を達成しているのではないのか?」
「達成しているぞ! 私がまさに被検体だからな!」
痛々しいからそっちの話あんませんといて。
将軍の体がクローンで、元の体はリストカットとかでボロボロだったのはあまり思い出したくない。あと、能力者の人格転移が危険な実験だったことも。
「……どうも、外部干渉のみで記憶を植え付ける技術を開発していたらしく」
「つまり、クローンではなく他の人間に記憶を移すということか?」
「部分的なものでして、移すというより特定の記憶を植え付ける形になるようですが」
「読み取れた範囲では一定の映像や音声を鍵に、ごく断片的な記憶を流し込む研究のようでしたわ。それも無差別とはいかず、事前に調査を重ねた特定対象にのみ有効なようですけれど」
んんん? 何の意味があるんだ?
ドクターにとっては知識とか全部移さないと意味ないだろ。
「将軍の洗脳に合わせて、一定の記憶や価値観を植え付けようということか? 独裁統治には便利そうだが……ドクターらしくない研究だな」
「そうなんですよねぇ。吸血鬼クローンとか、ゾンビ化ウィルスとか、脳増設とか、そういう類なら納得できたんですが」
参謀の言葉に、将軍と長官も頷いてる。
ヤな信頼性だなぁ。
でも実際そうなんだよ。
サイコレズ参謀が一番わかりやすいけど、こいつら薄いエロゲらしく視野狭窄で価値観も固まりすぎてる。人格として完成してるんだよな。将軍の過去闇あふれるトコは今も治ってないし。長官のお嬢様言葉も、ぜんぜん崩れん。
人間じゃなくて“キャラ”って印象が強い所以。
思わぬ過去設定こそ出てきても、価値観や性格は揺らぐ様子がない。
ブレイクスルーになるのは性的快楽と性的欲求だけ。
あと、一度上昇した好意度は病むことこそあれ、ぜんぜん下がらん。少しは俺への好意度を下げてくれてもいいのよ……長官とか、復讐のため仕方なくみたいなトコもあったじゃん。
けど、そうはならない。
こいつらに限らず、俺自身がそーなってる。なんで毎回、百合乱暴されて悦んでるんだ……。サイコレズに何されてもトラウマにならず、全力で拒みもできない。
Dr.ヤクギメックスはわかりやすい“マッドサイエンティスト”で通してきた。
当人自身は乱暴されなきゃエロ自体興味なさげ、専門分野以外どうでもよさげ。
研究して実験して新しい事実を発見したり、成果を観察したりして喜ぶ……ガチな研究者。
世界征服への技術提供も「資金援助してくれるなら好きに使って」ってスタンスを崩してない。
だからこそ、この研究内容は違和感しかない。
「完成しているのか?」
「まだドクターに直接は聞いておりませんけれど、おそらくは……」
「書かれていたコメント等から考えて、ドクターがほぼ完成させたのは我々の計画実行の一週間前あたりでしょう」
「一週間前……計画実行とは、例の自衛隊総合火力演習の件か」
「はい。しかし、私はこの計画について報告を受けておりませんわ」
「私もです。聞いていればデスアクメ様に私への――」
はいはい。
うーん……アレの一週間前。
ドクターとまだ深く関わってないけど、完成した技術を使わずにいられるタイプじゃないはず。
何らかの形で既に使ってても、おかしくはない。
どこで使われたかといえば。
俺が
つまり、この体に異変が起きる数日前に、それが完成……。
この体にあった人格……元のデスアクメは、唐突に消えて俺になった。
よくある憑依転生みたく、倒れたり死んだり寝込んだりもしてない。
俺自身がループ系ってわけでもない。
唐突に突然、デスアクメの人格が消えたわけだ。
俺自身への悪影響は抹消されるはずだが、気づかず受けた効果には抜け道があるのかもしれん。外部干渉と認識できないレベルならなおさらに。
あの日……。
全員と初対面だったが、こいつらに今と違う点はなかったと思う。
サイコレズが俺に対して内心を偽れるとも思えんし。
将軍と長官も、今の時点で俺を騙し続ける意味はないはず。
ドクターも普通だった。
普通だったが……。
「将軍は、自身のクローンと己をどう見分けさせる? 同じ衣装でもわかるのか?」
「正直に言えば先日まではかなり自暴自棄だったからな! 知性や性格の似たクローンならば、能力を使って見せねばわからないだろう! 今は吸血鬼になったおかげで、感覚的にもすぐわかるぞ!」
うう、将軍は相変わらずさらっと闇が出るなぁ。
まだまだメンタルケアが必要だわ。
しかし、言葉通りだとしたら……。
「……つまり、ドクターについてはわからんということか」
「確かにドクターは自身のクローンを多数使っておりますけれど」
「参謀、お前は出会ったドクターが常に本体に当たるものか、確認しているか?」
「え? いえ、それは特には……」
まあ、お前の場合は俺じゃないからどうでもいいんだろけど。
「あるいは我が組織に所属するDr.ヤクギメックスは全てクローンかもしれん。その上で、原間瀬博士との交流をしていた個体がどれなのか……あるいは彼女全員の総意なのか……調べてみるべきだろうな」
「では、総帥はドクターの叛意を疑っておられますの?」
「いや。叛意はあるまい。だが、好奇心から我々全員を研究対象にするだろうし、我々を危険な実験の被検体とすることも躊躇せんだろう」
「私の時も、まったく躊躇していなかったぞ!」
あー、そうね。
ハメゴイ将軍は既にクローンへ人格転移してるんだっけ。
あーもう、いちいちこいつはよー。
とりあえずエロはこりごりだから、抱き寄せて撫でておこう。
「総帥、髪が乱れるのだが!」
「貴様が多くの点で問題を抱えているからだ、将軍。私や長官もそうだが……貴様は最も傷が深い」
一人だけショートヘアだから撫でやすいしな。
「デスアクメ様! 私! 私も傷が深いんです!」
「それはない」
サイコレズ、お前だけはない。
「あの、それではドクターへ詰問に向かうつもりですの?」
「それに近い形となるが……正直、正面から問い詰めても意味はないだろう」
ちょっと拗ねたように視線をそらす長官も抱き寄せて撫でる。
将軍に比べれば克服してる長官だけど……過去自体は、十分重いからなぁ。
優等生タイプを放置してると、勝手に闇を抱え始めるのもまあ、よくあること。
うーん、やっぱ複数人ケアはめんどくさいな。
「……はぁ」
思わずため息をついてしまう。
ハーレム主タイプはここでむしろ奮起するんだろけど。
どうにも面倒にしか……
「あっ、両脇それぞれにハメゴイ将軍とカベジリ長官を迎えられた以上、デスアクメ様の下半身、いえ上半身も含めた胴体を、この私サイコレズに提供くださるつもりなんですね! みなまで言わずともだいじょうぶ! わかりました! 一週間程度で私の愛が尽きないこと、これより全身全霊を以て証明させていただきます! デスアクメ様さえそのつもりなら、一つ棺にて幾世紀、幾千年を過ごそうとも、私の愛は不滅! たとえ絶食しようともデスアクメ様の血をすすり、私の血で喉を潤していただく限り、愛のウロボロスは永劫なる円環の理となるのです! さあ二人で未来への不安を忘れ、いざ永遠の快楽の渦に――」
「四人いるのに勝手に二人にするな」
いかん。
あまりの面倒の極みと、気持ち悪さについつい思い切り蹴ってしまった……。
勢いつきすぎて、参謀が半ばミンチになってる。
うーむ……一週間延々とヤられても、パワーに変化のない己の体がこわい。
ちょっと遅いかもしれんが、スプラッタな復活してるサイコレズを見せんよう二人の目を手で隠しておこう。
部屋の絵面はひどいが、二人はそれでもムーディーに感じてるのかぴったり身を寄せてくる。
あー、やわらかくてあったかくて、いい匂い。
これは複数ヒロインのありがたみではあるが……なんか体の芯が渇いて、とろんとしてくる。
劣情ではないし、尿意とかでもない……。
ん?
目隠してしてた二人も潤んだ目で見上げてきてる。
あ。
これ、サイコレズの血臭に吸血鬼本能が疼いてるのか。
俺も吸血鬼って自覚しちゃったからか……。
でも、先日の種付け野郎がさんざん肉塊になるトコ見てもぜんぜん気にならんかったのにな。
血臭っても相手との関係性が大事なんだろか。
無心に二人の頭を撫でながら考えてると。
「ぜぇ、ぜぇ……デスアクメ様、さすがに今のはきつかった、ですよ……」
おお、さすが吸血鬼経験値トップだ。復活も早い。
「そうだな。やりすぎてしまった。詫びと言ってはなんだが……来るがいい」
「やったー!!!!」
「下半身にくるな!!!!」
「ぐぇ」
おまえ、それでも吸血鬼か!
キスとか喉とかより、人の股間にばっか顔埋めようとしやがって!
今度は加減して蹴り、膝を立ててサイコレズを持ち上げる。
「貴様がくるのはこっちだ」
そのまま前につんのめらせて……近づいた肩口、首筋に牙を突き立てた。
「ふぁ? はぅ……デスアクメ様、吸血すきですね……♡」
まあな。
「えへへ、じゃあ私も……♡」
サイコレズが俺の首に口を寄せてきた。
その間に、他二人にもちらっと目配せ。
「私も日が浅いからな! 血に渇いている!」
「私も失礼させていただきますわ、参謀殿」
二人が参謀の両手首にそれぞれ口を近づける。
「ふぁ?」
一週間、多対一でヤられた気持ちを少しは味わえ。
「ひっ……ちょ、さっきので私、血が足りな、三人がかり、やめ……」
うるせー。
三人がかりでさんざんヤりやがって!
しばらく動けん程度に搾っておいてやる!
「アッーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
おまえ、ホント……見た目いいのに、こういう時びっくりするほど色気ないな……。
あと、長官や将軍と比較するようになってわかったけど。
サイコレズ参謀の血って、えらく……濃いのな……。
将軍があっさりフルーティー、長官が甘味強めだとしたら……参謀はかなりのこってり系なんだよ。
豚骨スープとかコーンポタージュみたいな。
さんざん飲んでるけど、ちょっと前世的にはカロリーが気になる味。
吸血鬼として最初に呑んだせいで落ち着く味でもあるけどな。
おふくろの味的な位置づけだろうか。
俺の血がどういう風に思われてるのかも、ちょっと気になるところだ。
そして吸ったことないけどクローンの血……。
Dr.ヤクギメックス“本人”は本当にアジトにいるんだろうか。
最悪、あのリセット能力使いのメカヤクギメックスが本体だった可能性もある……。
そして本人か、あるいはクローン代表またはクローン総意はどうなってるのか。
長官にはああ言ったが、内々にデータを調べさせるべきだろか。
「ひぁっ♡」
こっ、コイツ……俺がほぼ一方的に吸いながら落ち着いて考えてる最中に!
「はぁ、はぁ……すみません、デスアクメ様……血がなくなりすぎて体が暴走を……!」
「ちょ、おま、ウソだろ!」
目笑ってるし、なんで血が足りないからってそういう行動になる!
お前、血じゃなくて別の汁でもOKで、指からでも吸えるとか言うのか!
「大丈夫です、私は高位吸血鬼のたしなみとして、血じゃなくて別の液体を吸っても回復しますし、下の口や皮膚からでも――」
「いつの時代のエロ漫画テンプレだ貴様ー!!」
「そんなこと言って抵抗しないじゃないですかぁ、デスアクメ様♡」
「こ、この――ぉふっ♡」
一週間だぞ! 一週間してたのにまだする気か!
ていうか俺の体どんだけ快楽耐性ないんだよ!
「く、ちょ、長官! ドクターの、ちょう、さぁあああああああああああああああ」
「おっと、たくさん出たので普通に口でいただきますねっ♡」
うわああああ、牙が離れた!
吸血も止まって全力でやられてしまう!
「「…………ごゆるりと」」
しょ、将軍は助けろよお!
二人して出ていくなぁ!!
そうして俺が、参謀から解放されたのはほぼ3日後のことだった……。
真面目にやって、ドクターと対峙するトコまで書こうとしてましたが。
将軍によしよししたトコから、サイコレズが勝手に動き出して……。
おかげで、転移してからNTR基地襲撃するより、その後に参謀にベッドに連れ込まれてからの方が作中時間が長くなってしまった……!