「――といった形で、まずは日本国内の武力を掌握します」
んんん? 幼稚園バスジャックは? 貯水池に媚薬は?
「米軍基地すべてを掌握成功すると同時に、カベジリ長官の手で北米各地に設置してもらったナノマシン爆弾を起動。ドクターの手による病原菌強化ナノマシンを散布。北米全体で複数種の病原菌によるパンデミックを――」
あれ? これってガチな世界規模のアレでは……。
「この対北米戦略により、少なからぬ国から経済援助を得ておりますわ」
あ、そう。
長官、どや顔かわいいですね。
「日本なら武力を掌握すれば、容易に支配可能。同時に国際社会が介入できない状態を作った上で、ハメゴイ将軍とドクターによる洗脳強化兵士を量産。私がリストアップした世界各地の核施設へ、長官のテレポートで――」
そっか本気かー。
「こうして世界を手にした時、我々は一介の秘密結社を脱却し――」
はぁ。
「デスアクメ帝国と名乗るのです!」
あ゛?
「いだだだだ! デスアクメ様、能力! 能力!」
なんでそこまで真面目に世界征服するクセに、こんな名前なんだよ!
誰がつけたんだ!
せめて幹部に転生だったら、仕方ないって思えたのに!
名づけ主に転生とか! しかも、ろくにコミュしてないから気分で改名みたいな真似するのこわいし!
「ちょ、本気で止めてください! せめて手ほどいて! 私消滅しちゃう!」
「これほど昂るとは、デスアクメ総帥の本気がうかがえますわ……」
「世界を手に! 実に、やりがいがあるではないか!」
「手下はクローン! 実質5人で世界征服はギネス級まちがいナーシ!」
「いや、世界征服したらギネスとかもう関係ないだろ」
ドクターのズレた発言に思わずツッコミ。
はぁ、少し落ち着いた。
「ハァハァ、500年ぶりに死ぬかと思いましたっ」
「すまん。入浴時なら肌を舐めてかまわんから許せ」
「ぴゃあああああ許しますううううううう!! いっしょにおふろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
元から盗撮とかしてそうだし。こっちから押しかけた方が安全そうなんだよな。気持ち悪いけどコイツ勝手に壊れるし。
それに俺自身、元男として女体に下心がないわけでもない。
「体が半分以上消滅してましたのに、顔中からいろんな汁が出るなんて。吸血鬼ってタフですのね……」
「言葉は正しく使うべきだな! 下半身からも――」
「下品なこと、おっしゃらないでくださいまし!」
うーん、この二人はキャラこそ固まってるけど、エロ寄りでもないな。
長官はなんか外国とやりとりもしてるみたいだし、頭もよさそう。
将軍も歯に衣着せず空気読まないけど、単純バカってわけではなさげ。
「アー、二人とも解剖してみターイ!」
別の意味でアレな目を向けてきてる、こっちのマッドサインティストの方が裏切る可能性は高いか?
と、裏切る心配も必要だけど。
それより……
「昂るだけでこの通りだからな……制御せねばならん。ところで、自衛隊と米軍基地の掌握についてはそれでかまわんが――」
まさか主人公が自衛官や米軍兵士ってわきゃないだろ。
この手の話の常として、警察や軍はかませのはずだ。
もっと問題な連中が別にいるはず。
いなかったら、活動開始に合わせて魔法少女が現れる流れだろ。あとは改造人間作って裏切られるやつ。
「他に、我々の障害となりそうな組織はないか? どうだ、長官」
「さすがですわ、総帥。実は我々の計画と同時期に、国連主導で実験的な特殊能力部隊がわが国で編成されつつありますの」
「あぁ、例の……けれど、限られた予算の実験部隊でしょう? 我々の資金力からすれば」
えっ、この組織そんな資金力すごいの?
いや確かにこのアジトすごいけどさ。
「しかし、伝説の傭兵
待てや、名前。
「ハハハハ! やはりいたか! ハハハハハハハ!」
こらえるとまたオーラ出ちゃうからね。
もう我慢せず笑うわ!
なるべくそれっぽくな!
「しかし、種柘植肝夫といえば、前線を退いてから激太りしたと言うぞ! それに民間人への暴行で複数の国際人権団体から訴訟を受けたと聞く!」
「原間瀬クンかー。素行に問題あッテ海外に行ッタって聞いたけどナー」
しかも、そのまんまの人間かい!
そんな奴らを国連で使うなよ!
「ええ、彼らはあくまで裏方。実際には警察と自衛隊から規格外の特殊能力を持つ人物を集め、超国家的対テロ部隊を編成しているのだとか」
この世界の特殊能力の位置づけってわかんねー。
個性因子とかレネゲイドウイルスとかミュータント差別問題とかあるわけでもないんだよなー。そのへんもやっぱ、ふわっとしたエロゲ味を感じる……。
「テロ? 私たちが行うのはクーデターですが」
「失敗したクーデターはただのテロだからな。かまわん。それで部隊とやらの戦力はどうなっている」
民間人を攻撃しないけど、暴力的手段に違いはないからな……。
事実上のB兵器使ってるし。
「3人ですわ。未だ3人。ですから、私としても危険視はしておりませんでしたの」
「ハハハハ! なるほど! 3人か!」
3人ね。
5人より手軽で、それなりに前例もある戦隊モノの人数だな。
しかし、司令と博士ポジがその名前だと、3人はもっとえげつない名前なのか? もう何が来ても驚かんぞ。
「さすがに彼ら個人については未だ調査しておりませんわ。たった3人で、クローン兵士を含む我々と勝負になるとは思えませんでしたし……ただ、部隊名は判明しております」
「ほう。なんだ?」
どうせレイパーズとか、ハラマセ隊とか、そんなんだろ。
「新たな人類の精鋭部隊、すなわち New Type Rangers。略してNTRと呼ばれておりますわ」
「そっちかーい!!」
思わずキャラ崩して叫んじまったよ……。
NTRゲーかよ!
これ絶対、そいつらの嫁や恋人が司令と博士に寝取られるやつじゃん!
うちら関係ねーじゃん!
そっちが主人公だとしたら、俺らはただのネタでこの名前が付けられてるだけか?
いやまて、
同人ゲーでよくある設定と立ち絵だけ用意されて個別シーンとか用意されなかった立場だとありがたいが。
その場合も、俺はシナリオに殺されそうなんだよなぁ。
シーンCGなしで雑に一行で『アへ顔で死んでいた』とか書かれてそう。
とにかく、その古いガンダムファンに助走つけて殴られそうな部隊の3人について調べさせんとな……特に名前と性別。
あとウチのメンバーとの関係性。
特に恋愛関係なくても、親子とか兄弟とか幼馴染はジャンルNTRになるからな。
こんな話ですが一応明記。
今回冒頭のアレコレに政治思想的なものは一切ありません。
なんかマジでやるつもりらしい、程度の描写です。