斜め下に抜きゲー悪役TS転生   作:神谷涼

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8:これがエロゲ補正……

 

「――というわけで、NTR構成員は我々にとってさしたる障害となりえません」

 

 会議はまたも、膝上のサイコレズによる進行。

 さんざん密着してたから、体が火照ってるのわかるなー。吸血鬼って体温どうなってんのよ。相変わらず尻こすりつけてくるしよー。

 もうペット感覚になってきたから、さほど気にはならん。

 内容も事前に読んでたからリアクションも起きんしな。

 サイコレズの頭撫でてやる余裕もあるわ。

 

「まさか、あの軟弱だったメスイキが敵対組織にいるとはな!」

 

「敵扱いする価値もありませんわ。かつての学友たちも、経歴は平凡なエリート。私一人で容易に処分できましてよ」

 

「捕獲できたらー、特殊能力再現クローン作製の役に立つカナー」

 

 すげーフラグくせー。

 慢心とかこだわりとかで、絶対失敗するやつじゃん。

 こいつら一人ずつ送り出すのは、ありえんなぁ。

 実際、原作()だと一人ずつやられてんだろし。

 

「この三人は特に問題視しておらん。むしろ私は種柘植(たねつけ)司令と原間瀬(はらませ)博士を警戒しているのだ」

 

「この二人も能力者なのか!?」

 

「公的情報ではそのような事例はありませんでしたわ。ただ……」

 

「ハイ。経歴と周辺情報を洗いなおしたところ、不自然な点がありました」

 

「やはりか。あの3人は見せ札。この司令と博士が切り札だろう。ここまで能力を隠してきたのだ。生半可な能力ではないぞ」

 

「私も詳細調査しなければ気づけませんでしたのに……」

 

「さすがの慧眼です♡ デスアクメ様ぁ♡ ぐぇへへへ♡」

 

 名前で気づけよ、お前ら……。

 あとサイコレズ参謀はもうちょっと媚びた笑い方を身に着けろよ。欲望に正直すぎるのは美点でもなんでもないぞ。

 

「いったいどんな能力だ?」

 

「それが、現状では不明な点が多く……ただ“不自然な現象が起きている”としか言えません」

 

「映像記録まではさすがに得られませんでしたわ」

 

 まあ、この面々にハッキングとかできるやついないもんな。

 

「ただ種柘植肝夫(たねつけきもお)は“一瞬で行動し、どれだけ映像をスロー再生しても行動が見えない”ことがたびたびあるそうで、傭兵時代から話題になっていました」

 

 ん?

 

「そういえば原間瀬(はらませ)クンも、なぜか外出すると初対面の女の子がホテルに誘っテきてたッけー。私もなんでか原間瀬クンとホテルでしたことあったナー」

 

 んん?

 

「うーむ、それだけではどんな能力か皆目わからんな!」

 

「不自然ですが能力がさっぱりわかりませんわ」

 

「もう少し時間をかけて資料を集め、分析する必要があるかと」

 

「遺伝子から能力分析できレバー、あの時に採取した原間瀬クンの遺伝子あるノになー」

 

 えっ、まじか?

 こいつら頭はいいって設定じゃないのか?

 今のでわからんのか?

 バカエロゲのキャラは、俺よりバカなのか?

 

「時間停止と催淫だろう」

 

「「えっ」」

 

 なんだその反応は。

 

「じ、時間停止!? そんな規格外な……いえ、しかしデスアクメ様の能力を考えれば、存在しうる……?」

 

「私の無差別洗脳と違い、特定個人を自覚させずに操るだと! そんなことが可能なのか!」

 

 無差別洗脳の方がヤベーよ。

 

「今のわずかな情報から、世界級の機密情報を読み取るなんて……さすが我らが総帥ですわ!」

 

「その発想はなかッた!!」 

 

 ぜんぜん褒められてる気しねー。

 お前ら全員で俺をバカにしてるんじゃないだろな。

 この世界にはジョジョないの?

 漫画もラノベもエロゲもない、娯楽薄いディストピアなのか? なんかテキトーな前世記憶の創作物をうろ覚え劣化コピーで売り出せば、ベストセラー作家になれたりするのか?

 あるいは本来の原作では、悪の秘密結社サイドはこの真実に気づけない?

 原作補正で、原作キャラは“原作で知りえない情報”に気づかないフィルターがかかってる?

 これはありそうな気がするな。

 仮に俺が幹部に転生してたら、総帥が「そんな能力はありえん」とか自分を棚に上げて言って終わったりするんじゃないか? 俺が総帥だから、こいつら誉めてるけど……。

 

 そうだ、ドクターが言ったじゃねーか。

 “その発想はなかった”だ。

 こいつら、これが真実とは本音じゃぜんぜん認めてないんじゃないか?

 

「信じられん、という顔だな」

 

「「そ、そんなことは!」」

 

「疑問だな! そんな能力があれば国連の枷に囚われる理由もない!」 

 

「総帥の能力はスゴイけどー。そーんな都合いい能力が複数なンて、ありえるかナー?」

 

 よし、読み通り。

 

 参謀と長官も内心は似たようなもんだろ。

 上に忖度せず意見を言ってくれる幹部がいるのは、けっこうなことだ。

 確かに、現実的に考えればNTR(部隊名)の3人以外にも能力者がいる……という前提自体、俺の妄想でしかない。そもそもNTR自体、誰も気にもかけてなかったんだよな。

 

 メタ的に考えると、こんなネーミングのゲームで、そこまで独自性の強い能力はないはず。

 奴らが竿役だって知ってれば、時間停止と催淫でほぼ間違いない。

 俺の能力はそこそこ特殊だけど……他は幹部らもNTRメンバーもテキトーだ。

 カベジリ長官なんか明らかに、壁尻ありきのテレポート能力だもんな。

 

 原作()ではたぶん、俺らが国内武力を掌握するギリギリでNTRが登場する。

 こんなガチな世界征服計画が成功したら、ヒーロー側はレジスタンスになるしかない。

 そこまで凝ったゲームなわけない。

 俺らの計画は阻止され、NTRが世間に認知され、俺らの対処が任され……で、その裏で捕まってく俺らとチョロインが竿役二人に攻略される、予想外も期待外もない展開のはずだ。

 

 そんなお約束展開を破らないと、俺の破滅も避けられない。

 

「確かに私の取り越し苦労かもしれん。だが、私は懸念事項を抱えたまま計画を実行する気はない」

 

「え、では計画凍結なさるのですか?」

 

「それは受け入れられんぞ! 私がここにいる意味がない!」

 

「私としても、ここまでの下準備を考えると……」

 

「凍結して研究予算だいじょーぶ?」

 

 なるほど。私個人へのどうこうではなく、今の社会についてのアレコレがこいつらのモチベなわけか。

 

「いや、凍結はせん。変更だ」

 

「変更と申しますと……」

 

 真面目な顔で、サイコレズ参謀が上目遣いしてくる。

 お前、普段からそゆ表情だけ見せてくれればなぁ。

 

「日本国内武力掌握にあたり、ハメゴイ将軍。貴様のみが現場に出る手はずだろう」

 

「その通りだ! リアルタイム動画でも有効な、私の無差別洗脳を自衛隊総合火力演習の場で発動させる!」

 

「将軍の能力は、己に視線を誘導すれば発動します。周辺一帯を無差別攻撃でもしなければ、たとえ狙撃銃で狙われていても無駄かと」

 

 改めて聞いてもヤバい能力と計画だよな。

 国内外に生中継が決まってるイベント。そこへ高身長イケメン女子かつ耽美派衣装の将軍がサプライズゲスト歌手として登場。ステージで歌って踊るらしい。普通はあっさり潜り込めるはずないんだけど、テレポートと洗脳がありゃ簡単だよなぁ。

 将軍の洗脳は、判断力も記憶も失わせるタイプ。

 将軍による命令しか聞かなくなる。

 一度洗脳したら、命令がなくても24時間は戻らず涎たらして棒立ちになるらしい。リアルタイムなら中継動画もOKなんで、念入りに計画すれば地球規模の人類24時間停止状態を作れる。正直、俺よりヤバいと思う。

 カベジリ長官の、他者や無機物でも自在テレポートさせる能力だって強すぎるしな。

 

 で、中継動画は各駐屯地や米軍基地でも流されるから、無差別洗脳に合わせて長官がクローン戦闘員をテレポートで送り込み制圧。散発的に起きる武力衝突には、サイコレズ参謀が投入される。

 同一人物クローンと吸血鬼に、将軍の洗脳は効かないらしい。

 深刻な事態になった場合のみ、俺の出番。

 

 メタ読みすればコレ、NTR(部隊の名前)が“偶然にも演習場にいた”って形で、洗脳発動と同時に咄嗟の連携で対応するやつだろ。

 テレパシー持ちのチョロインが、他の二人に目を閉じたままで連携戦闘させる。戦隊モノとかの最初にはよくある展開だわ。

 そう、それだけで将軍は敗れる。

 こんな危険な能力持ちが後半まで生き残ってたら面倒この上ないから、シナリオ上からさっさと退場させるんだろ。

 

 だから。

 

「将軍、貴様に護衛をつける」

 

「クローン戦闘員は邪魔だ! 私自身、総帥や参謀には劣るがこれでも身体能力に自信はあるぞ!」

 

「そうですわ。戦闘員はむしろ足りないくらい――」

 

 制圧に割く戦闘員はいくらいても足りないんだろ。

 

 だから。

 

「私が、貴様の護衛となろう」

 

「「な!?」」

 

「ま、待ってください、危険です!」

 

 いや、危険はないだろ。

 核ミサイルが落ちてきても平気なんだから。

 

「私個人の懸念で貴様らを振り回している状態だからな。私自ら動こう」

 

 それに、こいつらが一人ずつ倒されてアへ顔ビデオレターになるのヤなんだよ。

 俺、元々NTRアンチだし。

 

「よし、総帥の気持ちはわかった!」

 

「おお、貴様が受け入れてくれると嬉しいぞ将軍」

 

「ええぇ……本気で行くんですか?」

 

「総帥の身長と美貌ならば、私と並ぶにもふさわしい!」

 

 ん? なんで身長と顔?

 

「共にステージに立つべく、急ぎレッスンするぞ!」

 

「え?」

 

 いや、護衛って観客とかにまぎれて見守ってるつもりで……。

 

「はっ……デスアクメ様のオンステージ……そう考えれば」

 

「確かに広報的に総帥の顔が、世に知られておく意味はありますけれど」

 

「ドチラが洗脳能力持ちか~、ダミーとしての意義!」

 

 え? なんで俺がいっしょにステージに立つのが当然みたいになってんの?

 

「では、不肖サイコレズ参謀、デスアクメ様のステージ衣装を全力で用意させていただきます!」

 

「私は王子様タイプだからな! お姫様風がいいだろう!」

 

「過激すぎては不審ですし、露出度はいつもより抑えた方がよろしいですわよ」

 

 なんでそういう発想になる?

 あのガチな世界征服計画を立てた頭脳はどこいったんだよ。

 いきなり、ゆるい学生サークルみたいになりやがって。

 俺なりに考えた対処のはずが、CG回収イベントに変えられていく……。

 これがエロゲ補正なのか?

 原作()はエロシーン以外のイベントCGなんか絶対ないクセに……

 





ハメゴイ将軍は、能力範囲では登場キャラ中最大。
準備さえしっかりすれば、地球規模テロ起こせます。

カベジリ長官は、将軍が計画性ないタイプなの気に入らない。
というか、危なっかしい。
あれこれ注意や指図してしまうので二人は不仲。
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