コーディネーターを騙る一般転生娘は生き残りたい   作:ガンオンの亡霊

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自己弁解は、敗北の前兆である。いや、すでに敗北の姿である。

太宰治 - 『かすかな声』


PHASE-00 生まれた先は修羅の世界でした

C.E.15年、“ファーストコーディネーター”ジョージ・グレンが明かした自身の出生の秘密とコーディネーターの製造方法は、世界に混乱をもたらした。

遺伝子調整により強靭な肉体と優秀な頭脳を併せ持ち産まれてくる彼らは、素直に旧人類(ナチュラル)との差を示しすぎた。たしかに、ヒトが持つ潜在能力を引き出し、生まれながらに才能を与えられるそれは夢のような技術だろう。

しかし、それは持つものと持たざる者の溝を新たに作ることになり、後天的にはどうしようも無い先天的な格差をもたらす遺伝子調整技術というのは、ある意味ではNT(ニュータイプ)革新者(イノベイター)よりもどうしようもない隔たりなのかもしれない。

皮肉にも、人類の未来や、いずれ出会う未知の存在(地球外知的生命)との調整役となるよう祈りを込められて生み出された彼ら(コーディネーター)は、旧人類(ナチュラル)との軋轢すら乗り越えることが出来ないでいた。

 

そして来たるC.E.70年2月11日、幾度もの武力衝突やテロを経て、地球連合・プラント間で大戦が勃発する。やがてナチュラルとコーディネーターの種族間闘争の様相を呈するこの大戦は、核兵器をはじめとした大量破壊兵器(ジェネシスやらサイクロプス)をも平然と使用して民族浄化を企図するようなものとなり、ともすれば人類の絶滅戦争足り得る最悪の戦争である。

そんな紛争がこの先何度も起こるのだ。何度も、何度も。

 

 

 

 

 

 

そんな世界だから。2度目の生を受けた世界がC.E(コズミック・イラ)だと気が付いた時は動揺のあまり泣いちゃった。赤ちゃんだもん。

 

C.E.54年、オーブ連合首長国オノゴロ島。

 

ラバッツ家の長女として生まれた私はまずC.E.への転生に嘆いた。次に大戦を迎える時代に産まれたことを嘆いた。そして焼き払われる運命のオノゴロ島に産まれたことを嘆いて、両親に名を呼ばれてまた嘆いた。何故か?

 

「マユラはよく泣く子ねぇ」

 

マユラ。そう、マユラ・ラバッツ。

アストレイ三人娘の巨乳枠。赤毛ショートカットのボーイッシュ娘。そして49話のワンカットで呆気なくゲイツと相打ちになり台詞もなく退場していく不遇娘。

私は泣いた。リーダー枠の金髪(アサギ・コードウェル)には小説版での出番が、ピンクフレームの眼鏡娘(ジュリ・ウー・ニェン)には外伝(ASTRAY)での出番があるが、マユラにはない。いや出番が欲しいわけじゃないけども。

 

問題は生まれ故郷が逃れられない戦火に見舞われること。それも少なくとも2回は確実に。

そしてモビルスーツ(M1アストレイ)に乗れば呆気ない最期(本編の末路)が待っており、モビルスーツに乗らなければシン・アスカと同じような目に合う可能性が決して低くないということ。ちなみに運良く生き残っても難民になる。

あらかじめ移住しようにも、史実通りに進めばオーブ戦時点では17歳の子供。両親は愛に溢れた素敵な人達だけれど、戦時下での移住なんて大事なことを子供の意見だけでやってくれる望みは薄いと思う。それ以前にナチュラルが移り住める範囲で安全な場所って何処よ?

ここが宇宙世紀なら月都市で悪くない暮らしが出来そうなのになぁ……それこそフォン・ブラウンとかで。

 

 

一般転生ガノタとしてはモビルスーツに乗りたい欲はもちろんあるけれど、何よりもまず死にたくない。そして原作の邪魔もしたくない。

フレイやステラには生き残って欲しいけど、キラの嫁はラクスでありシンの嫁がルナマリアなのは宇宙開闢以来定められた運命(Destiny)であり変えることは許されないものである。キラ×アスランだとか夢主カプとかもあるけれど言語道断である。私は夢小説と正史を混同しない綺麗なガノタであるからして。

 

閑話休題(それはさておき)

 

原作ファンとして、そして絶滅戦争を迎えたくない一般転生者としては原作通りの歴史になることを切に願うものであり、何が起こるかわからない原作改変ルートなんてまっぴら御免被りたい。こちとら少し原作知識があるだけの一般通過転生者なのである。

 

でも原作通りM1乗ったら死ぬよなぁそれやだなぁ……などと思考の迷路に陥っては泣きたくなってまた泣いちゃった。

前世の記憶みたいなのが薄らある分、不気味なくらい頭の良い赤ん坊なんだけど……どうやら精神面はかなり肉体に引っ張られているらしい。だって泣きたい時はすぐ泣いちゃうしママに抱っこされたらすぐ幸せいっぱい笑顔いっぱいになっちゃうからね。

 

今日も正史を考えてえんえんしてるところをママに抱っこされてえへえへしていると、ニュース番組から聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

 

「“ファーストコーディネーター”ジョージ・グレン氏の暗殺()()から1年が経ちますがーーー」

「は?」

 

マユラ・ラバッツ。0歳児。

それが初めての、意味を持った発話であった。

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