魔法少女の『代役』を頼まれまして   作:魔法少女好き

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魔法少女の『代役』を始めまして

 

 あれからだいたい2分くらい、立ったまま気を失っていたらしい。ともあれ俺は川井さんの魔法により、その身体と魔法の全てを預かったのだった。

 魔法の使い方とかは川井さん曰く身体の記憶を読めば分かるとのことで、念じればじんわりと胸の奥から湧き上がるように理解出来た。

 

「そういうわけで、貴方と私の身体(じんせい)は交換されたわ。これからは好きにその身体を使って頂戴」

 

「えと、それじゃあこれからは俺は魔法少女として働けば良いんですよね?」

 

「そうね、でも最近は『組織』の魔法使いのみんながよく頑張ってくれているのもあって、私が動くレベルの依頼はそうそう来ないかもしれないから、これからしばらくは暇になるかもね」

 

 川井さんの身体はとても居心地が良かった。というより、身体から湧き上がる魔力が心臓を通る血液のようにとくとく、と音を立てて胸に蓄えられていくのがなんだか暖かくて気持ち良かった。

 

「…………」

 

 ……この魔力に触れたい。そう思った俺は、思わず胸に触れ、ぷにゅ、もにゅ、とじっくりしっかり揉んだ。

 胸の柔らかさもさることながら、何よりもこの身体の持つ魔力───属性としては『火』に該当するらしい───が、とても暖かくて、ずっと触っていたくなるものだった。

 

「……はっ!」

 

「随分心地良さそうね」

 

 気付けば俺の身体に入った川井さんがジトーッとした目つきで見つめていた。

 ヤバい……流石に女性の身体に断りなく触れたのは不味かったか……。

 

「……ま、いいわ。減るもんじゃないし……それより、これからの生活について改めて確認しましょう」

 

 それから川井さんと俺とでこれからどう過ごすべきかについて話し合いをした。話し合いは川井さんの頭脳が優秀であったことから滞りなく進み、川井さんの身体になった俺と俺の身体になった川井さんがそれぞれの身体の住処で暮らすということで話し合いは終わった。

 

 そして電話番号、メルアドを交換していざという時の連絡が取れるようにした後、川井さんが不意にこんなことを言い出した。

 

「私の身体に関してのことだけど……基本的に、私の身体はどのように扱ってくれても構わないわ。裸を見るのも禁止しないし、その……性欲の発散……とかも好きにすればいい。

 ただ、『傷を負う』ことには、細心の注意を払って欲しい」

 

「……それは、つまり?」

 

「あまりに酷くて、欠損部位が生じて治せない程の負傷(ダメージ)……がもしあったら、元に戻せないかもしれなくなるの」

 

「えーと、それは……あ、記憶にもありました、交換の魔法は、魂と肉体は可能な限り入れ替えた時点の状態に近いように保つべし……と」

 

「そう。魂と肉体の情報が歪むと、この手の魔法は暴発する危険性があるの。案外魔法って繊細なのよ」

 

 元に戻れないかもしれない。もとより一生入れ替わったままでも覚悟してはいるが、改めて言われると少し震える。

 いかに入れ替わりに乗り気ではあろうが、それでも元に戻る方法は確保しておく───選択肢を減らさないでおく───のも俺の本音だ。

 

「……分かりました、肝に命じておきます」

 

「ん、それじゃ……また『今度』、ね」

 

「はい」

 

 そうして、俺達は人生を入れ替えたのだった。

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