魔法少女の『代役』を頼まれまして 作:魔法少女好き
あれから数日。早速俺はこの身体に慣れるため、頭の中にある魔法の使い方を何度も復習し、肉体を循環する魔力をどのように運用するか等を身体を通して『思い出して』いた。
「やっぱり怖えな……流石に」
目の前には2m程度の怪魔。俺の精神が宿るこの身体は噴き出すマグマにも、凍てつく氷河も平気ヘッチャラのとんでもない耐性を備えたスペックを持つが、それでも中身は元凡人ゆえ、少し竦み上がる。
「ガアアアッ!」
獅子のような姿の怪魔が真っ直ぐ突進してくると同時に、俺は川井さんが──つまりこの身体が──習得していた、実践的護身格闘術として名高い流派、『
そのまま
火属性の魔力を持つ川井さんの肉体から放つ魔力弾。それは魔法の形を成さなくともその属性によってもたらされる恩恵として着弾地点に爆発を起こす。
目の前の怪魔が3、4体ほどギリギリ収まるぐらい狭い小規模の爆発ではあるが、その衝撃と熱は現代兵器、それも最新の水爆で言うとその30発分にも匹敵する。
「うおおっ! ……っべぇな、これ」
「グオ……ガア……」
「範囲上手く絞らないと俺まで巻き込まれそ……って、おいおいおいおい……っ!」
最後のあがきなのか、大ダメージを負ったであろう怪魔はよろよろと立ち上がり、俺に向かって力を振り絞ったであろう突進を敢行する。
当然、常人なら耐えきれないほどの尋常じゃない衝撃が身体にのしかかるが、
続けて鋭い爪を備えた腕が力任せに振り下ろされるがこれをなんとか上方に打ち上げるように星命流の基本型『流影の構え』により受け流す。
「っ……見えた」
その隙を突き、今度こそと、小規模爆砕魔法『冥暴』を放つ。
───そして。
「グルオオオ……オオオ……」
わずかに喉を残して消し飛んだ怪魔は、その残った喉も断末魔を上げると粒子となって消滅した。
「ふう……」
肉体そのものは体力も魔力も限りなく有り余っているが、やはり中身……精神が疲れたがゆえ、その疲労感が肉体にも影響したのだろうか。
まるで20kmのランニングをノンストップで終えたかのごとくに疲れきっていた俺は、その場にへたりこんでだいたい5分程度はずっと座り込んで休んだ。
魂と肉体は密接に結び付くとは言うが、これでは魂の疲労が肉体の疲労に結び付くため、ろくに活動もできやしない。
川井さんの身体を貰った意味がない。
最強の魔法少女の肉体を使いこなすには、どうやら中身の鍛練も必要なようだ。
趣味で始めた小説ですが別作「無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話」と合わせてUA4000を突破しました。本当にありがとうございます。
今回登場した魔法「冥暴」は「無気力ギャル神様」と仕様や威力が異なっておりますが、根幹の部分で繋がりのあるパラレルワールドとして考えて頂ければ。
これからも面白いと思ったら「無気力ギャル神様」と共々、本作をよろしくお願いします。
「無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話」
https://syosetu.org/novel/338548