前回の続きで、しらね艦長の角谷桜が所属の横須賀男子に晴風接触して行った聴取と伊201関係の事について報告した後の話です。
今回は、その報告内容についてオリジナルキャラの横須賀男子の東葉校長と、横須賀女子の宗谷校長と校長秘書の老松亮と教頭達と話をするという、学校側目線の話になります。
その為、はいふりの原作キャラ、角谷桜などはこの話では登場しません。
では、本編をどうぞ。
しらね艦長、角谷桜が東葉校長と指導教官へ報告をした後のこと。
~宗谷校長視点~
数分前、横須賀男子海洋学校の東葉校長から、晴風の調査をしていた横須賀男子海洋学校所属の教育艦・しらねから報告が来た為、私の所に来ると連絡があった。
晴風は横須賀女子海洋学校所属の教育艦であるけど、その晴風を男子校の教育艦が調査をしているのには理由があった。
まず、男子と女子の海洋学校は4校ずつある。
両学校の1校は毎年生徒を受け入れをしており、残り3校の両海洋学校は持ち回りで生徒を受け入れていた。
そして私が校長をしている横須賀女子海洋学校は今年生徒の受け入れの年だった為に、一年生が入学をした。
学年がバラバラなので学校ごとに違うが、新年度になれば海洋実習に出る事になっている。
その為、横女も指導教官が乗る教官艦と生徒達が乗る教育艦が通常通りに出航をした。
そこまでは通常通りだった。
出航した日の夕方に、横女所属の教育艦晴風が教官艦さるしまを攻撃し反乱を起こしたという内容が、さるしまから本校と上層部の安全整備局などに連絡がきた。
その連絡を聞いた私は、最初は理解が出来なかった。一年生がまず反乱を起こす理由が見当たらないからだ。
しかしその場で原因を考えるよりも、即座にこちらからも調査をしなければいけない為に、私はまず国交省統括官に連絡をした。
ただ、その後にも、晴風以外の教育艦が通信不能や消息不明になるという異常事態になっていた。
私の方や、真霜の方のブルーマーメイドでも調査をするには限界があった。
ブルーマーメイド艦隊を一斉に調査に出す事は難しいし、ホワイトドルフィンの方にも調査をお願いしても、海の安全の活動もある為に、艦隊を一斉には動かせられない。
そうなると、他の海洋学校の教員艦や教育艦に調査をお願いするしかないという結論に至った。
他校の生徒に負担は掛けたくはなかったが、そうも言ってられない状況だった。
消息不明になった教育艦を見つけるだけでも時間がかかる為、出来るだけ多くの艦が必要だった。
全男子海洋学校にも要請を出したが、生徒にまで要請をお願いしたのは、横須賀男子海洋学校だけだった。
同じ横須賀にある海洋学校の為、合同演習などを行っている。
その為、横須賀男子の生徒名簿を持っているが、逆もしかりで向こうもこちらの生徒名簿を持っている。
合同演習などをしていた為、横須賀男子の生徒達は三年生であり実戦形式の模擬戦を行っていること。
海洋実習で、ホワイトドルフィンの活動にも関わっている為、不測の事態になっても対応できる程の実戦経験豊富の生徒達であるという事を、私は把握していた。
その為、私は横須賀男子の東葉校長に、横女所属している艦艇達の調査の要請をした。
その上で、晴風の反乱については成績優秀者かつ個性的な生徒の集まりであるしらねクラスに調査をしてほしい事も伝えていた。
教頭「校長。横須賀男子海洋学校の東葉校長が来ました」
今回の騒動について、頭の中で整理をしていると、東葉校長が来たことを伝えられたので、部屋に通すように伝えた。
教頭「はい」
少し待ち、東葉校長が入って来てから、私から話を始めた。
宗谷校長「東葉校長、しらねから晴風等の事で連絡が来たと聞いたけれど……」
東葉校長「あぁ。晴風の調査をお願いしたうちの教育艦しらねからつい先ほど連絡が来た。至急伝えた方がいいと思ってな」
宗谷校長「内容は?」
急かすように内容を促すと、東葉校長が報告内容を聞いてまとめた簡単な報告書を手渡された。
それを広げながら報告に耳を傾けると、まず肝心の晴風反乱の有無について事を教えてくれた。
晴風乗員には反乱の意思は全くもって無い。そしてその晴風反乱情報はさるしまの偽情報だという事だった。
宗谷校長「反乱の意思がない事が分かって、安心したわね」
東葉校長「それと晴風がさるしまへ攻撃をしたという情報については、事実との事だ。ただし、攻撃をした理由には正当性があるとの報告だ」
宗谷校長「攻撃は事実……。その正当性のある理由というのは?」
続きを促して、理由を聞いた。
晴風が攻撃をした経緯ついては、まず晴風は実習の集合予定の目的地に、機関の不具合等で時間に遅れてしまったとのこと。
遅れながらも目的地にたどり着いた時に、さるしまから突然の砲撃……しかも実弾での砲撃を受けた。
その際、晴風艦長・岬明乃は乗員を守る為に、模擬弾の魚雷で反撃をしビーコンや通信などを切って海域から離脱をしたとの事だった。
東葉校長「晴風があの時に反撃をしなければ、怪我人・最悪死人が出るか沈没してもおかしくない状況だった。その為、晴風の行動は正当な反撃と言えると角谷艦長以下しらね乗員の報告だ」
宗谷校長「……そう。正当性があるなら良かったわ。ただそうなると、さるしまが何故いきなり実弾の砲撃をしたのかという疑問が出るわね」
東葉校長「その疑問に関する事も含まれている報告も、しらねから来ているぞ」
その言葉に、私は"どのような内容なの?"と問い掛けると、しらねからの報告内容を続けてくれた。
しらねが晴風を発見した際に、東舞校所属の伊201と晴風と戦闘中だった。
しらねは伊201に戦闘中止を呼び掛けたが、伊201から応答が無く、その事に疑問を抱いていると伊201がしらねに攻撃を開始。
その為、晴風と協力して伊201の無力化して、伊201の保護に来た東舞校教員艦に戦闘などの説明を行った上で、伊201の乗員の様子を確認。
すると、乗員は目が赤く攻撃的・好戦的になっており、教員に襲いにかかったらしく、教員には特に問題はないそうだ。
それに加え、晴風からさるしまとの戦闘時の映像を確認をした際に、古庄教官の目が光がない。いわば目が据わっている状態だった。
宗谷校長「その古庄教官の目の状態だと、催眠などに掛かってるような状況ね。けれど、伊201の方は目が赤くなっていた」
東葉校長「古庄さんの件だけなら催眠の可能性と思ったらしいが、今回は違うと本人達は考えてる」
宗谷校長「しらねクラスの生徒は、何が原因だと予想をしているの?」
東葉校長「一番高い可能性なのは、"ウィルス"だと予想していると、角谷が言っていた」
宗谷校長「……ウィルス」
私がそう呟くと、東葉校長がしらねがウィルスという考えに至った経緯を教えてくれた。
古庄教官と伊201乗員の目の違いがあれど、今回のさるしまと伊201の突然の攻撃と通信等の無視。
そして、横女所属の教育艦の殆どが消息不明と通信不能状態。
その様な出来事が同時に発生した。
横女と他校の教育艦、教官艦を同時に催眠や洗脳など掛けるのは無理に等しい。そうなるとウィルスという可能性が出てくる。
風邪やインフルエンザなどの病気のウィルスも他人を経由して移っていき国内外で流行する。
そういう風に考えれば、ウィルスが原因の可能性が高いという結論付けれる。
しかしそうなると、ウィルスの発生源などの大元となる原因の物的証拠や確実な情報がない。
その為、ウィルス説はあくまでも確実な事は言えない事が大前提という事での情報との事だった。
東葉校長「……そういった大前提があった上で、しらねクラスの見解はウィルスの可能性が高いという報告だ。彼らが言った通り、確実な事ではないも事実だが……」
宗谷校長「確かに確実な事ではないわね。しかし、現実に同時多発的に異常な行動などが起きている事を考えると、しらねクラスの子達の説が有力ね」
東葉校長「彼らも今後、確固たる情報や証拠などが集まった時に、報告書にまとめて報告するとの事だ」
宗谷校長「分かったわ」
と、しらねクラスの報告に対してそう伝えると、東葉校長が確認をするような形で、声をかけてきた。
東葉校長「海上安全委員会の通達にあった横女の艦の寄港禁止と晴風についての内容はどうする?その通りにさせる訳にはいかないだろ」
宗谷校長「えぇ、勿論よ」
教頭「……しかし解決されないか今後の上への報告次第では、ブルーマーメイドかホワイトドルフィンのどちらか、もしくはその両方の本隊による治安出動もありえます」
宗谷校長「……私は生徒を見捨てる気は全くないから、全教育艦に帰港するように知らせるわ。……引き続き真霜達、ブルーマーメイドにも今回の騒動の調査をさせて、治安出動させないようにするわ」
東葉校長「こっちも、陸に連絡してホワイトドルフィンにも調査をする事と、治安出動をさせないようにもお願いをしておく」
宗谷校長「お願いね。……それと、しらねは晴風の護衛もしてくれているのよね?」
東葉校長「横女の港まで護衛もするように伝えておいたから、今も一緒に行動中だそうだ」
宗谷校長「そう、分かったわ」
東葉校長「それと最後に確認したいんだが、今回の騒動の事は学園艦に伝えるか?」
老松「何故、学園艦の事が出てくるんですか?」
と、東葉校長の確認の言葉に老松さんがそう聞き返していた。
東葉校長「……今回、さるしまと伊201が晴風及びしらねを問答無用で攻撃をしていた。もし、他の教育艦が似た状況なら攻撃するかもしれない」
教頭「……その攻撃は他の船に当然危ない。……が、全長などの桁が違いすぎる学園艦は危険度が桁違い。……という事ですか?」
東葉校長「あぁ。他の船もそうだが、学園艦は教師や生徒、その家族やお店等の従業員などの何万以上の人が住んでいる。そんな場所が狙われるのは危険だ」
東葉校長の説明に、老松さんと教頭は静かになってしまった。
その二人を横目に東葉校長に伝えた。
宗谷校長「一応、その事を整備局や国交省の統括官に確認をしたけれど、"今回の騒動については伝えるな"という返事が返ってきたわ」
東葉校長「……パニックを起こさせたくないという事か?」
宗谷「そうみたいよ。……あと、文科省の方にあまり知られたくないみたいよ。海の安全を守る組織の学校の生徒が、逸脱行為を……安全を脅かしてる事をね」
東葉校長「大事になる前に内部で早々に解決させて、メンツを守ろうということか……」
宗谷「えぇ、そういう事よ。私としては伝えたいけれど、学園艦への連絡等は文科省を通さないといけない。つまりは、自然と知られるからメンツが潰れるという事になるわ」
東葉校長「そうなると、私達の立場が無くなる可能性がある。何より、問答無用でブルーマーメイドとホワイトドルフィンの本隊による治安出動される事が確実となってしまう」
宗谷校長「えぇ。……でも私は学園艦の生徒や住民に被害が出てほしくないわ。だから、真霜達に秘密裏に学園艦に接触して伝えてもらえるようにするわ」
東葉校長「確かにその通りだな。こっちも秘密裏に伝える様にしておく。……まぁ、伝わるのに時間がかかってしまうけどな」
宗谷校長「それでも、しないよりはましよ」
と、東葉校長に言葉にそう返すと、東葉校長は学校へと戻っていった。
私は、横女の教頭と一緒に東葉校長が校長室を出たのを確認してから、晴風を含む横女の全教育艦へ連絡を行い、真霜にも連絡を行った。
その連絡の後に、しらねクラスの見解が書かれている東葉校長作成の報告書をもう一度確認した。
宗谷校長「それにしてもしらねクラスの子達は、やはり優秀ね。晴風に接触してから数時間程度しか経っていないのに、これ程の見解を出すのは凄いわ」
老松「横須賀男子の中でも成績が最優秀で個性的な子達が集まったクラスとの事らしいですかね」
私の秘書兼参謀をしてくれている老松亮が言ってきたので、私は横須賀男子の生徒名簿に記載されているしらねクラスの生徒達の詳しい情報に目を通した。
老松「それにしても、艦長含めしらね乗員全員は完璧超人ではないですね」
同じく生徒名簿を見ていた老松さんが呟いていた。
宗谷校長「そうね。例えば、しらね艦長の角谷桜。この子は戦闘指揮能力が高く、どんな逆境や状況でも動じない胆力の持ち主で、艦橋から出て現場指揮も取る事もある」
老松「私生活では干しいもが好きである為に良く食べており、自分の身の回りの事はズボラという性格でもある。その性格上、自分の身の回りやしらね艦内の事は無頓着と書かれてますね」
宗谷校長「えぇ。でも、副長の島田夏が艦内のまとめ役と、艦長が現場に行った際に艦の戦闘指揮を取る行動しているわ」
老松「副長はあの戦車道二大流派の一つである島田流の長男である為、私生活は規則正しく口調も丁寧敬語などで話している。……が、極度のシスコンである為、妹の事になると口調が変わる」
宗谷校長「えぇ、個性的な生徒でしょ」
老松「確かに個性的……というより、個性が強い艦長と副長ですね。他の生徒達も似た形ですね」
宗谷校長「そういった個性が上手くハマってお互いをフォローをしている関係性だから、上手く機能しているクラスよ」
老松「その様ですね」
宗谷「そういった所がある生徒なら、晴風乗員はそこまで緊張はしないで接する事が出来ると思ったわ。それで、しらねクラスに反乱有無の調査をお願いしたという事なの」
老松「まぁ、確かに生徒名簿の情報なら、ツッコミを入れてしまいそうな感じですから、緊張感がすぐ無くなりそうですね」
宗谷校長「何より、しらねには晴風に乗員している鏑木美波の兄が衛生長として乗っているわ」
老松「あの海洋医大に飛び級をし、史上最年少で博士号を取った才女の兄がですか?」
宗谷校長「えぇ。……鏑木彼方。彼は飛び級はしていないけれど、妹に負けず劣らない頭脳の持ち主で博士号も持っているわ」
老松「それなら、多少なりとも安心感はありますね」
そう言った老松さんに、"でしょう"と答えた。
宗谷校長「身内の話になるけど、娘のましろの恋人である東葉海くんが乗っているから、ましろにとっても気持ちが楽になると思ったのもあるわね」
老松「なるほど。……でも、身内の事も関係あるにしても、このしらねのメンバーならば、他の海洋学校が横女と同じ立場になれば調査をお願いすると思いますよ」
宗谷校長「そうね。(……しらねに頼んで、間違いはなかったわね)」
私は窓から明るくなってきた空を眺めながら、そう思った。
次回は、シュペー副長のミーナとしらねと晴風乗員達視点で話を進めます。
ただ、投稿期間が開く場合などがあり、不定期投稿にもなると思いますが、その辺りは目をつぶっていただいたら嬉しいです。