はいふり&ガルパン はいふり側(完結)   作:春はる

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完成しました。

では、本編をどうぞ。



第5話

 

 

~4月9日~

 

 

~桜視点~

 

 

午前5時40分。

 

 

伊201との戦闘海域から離れ、ある程度は落ち着いている海域へたどり着いた。

 

晴風へ無線でシュペーの副長に話に行く旨を伝えて、許可をもらったので、お互いの艦を止めてタラップをかけて薫と一緒に晴風へ移動した。

 

タラップの先には晴風艦長の岬ちゃんがいた。

 

岬ちゃんもミーナから話を聞きたいとの事だったから、ミーナがいるであろう場所へ案内してもらった。

 

そんな時に岬ちゃんから声が掛けられた。

 

明乃「あの、角谷艦長」

 

桜「ん、どしたの?岬ちゃん」

 

明乃「……岬ちゃん?」

 

桜「あ、ダメだった?」

 

明乃「いえ、駄目じゃないですけど、名字にちゃん付けは初めて呼ばれたので」

 

桜「そういうこと……。俺、しらねの皆は下の名前で呼んでるけど、知り合った女子全員……ではないけど、大体は名字にちゃん付けなんだよね」

 

薫「……桜は……ちゃん呼び、以外だと……名字にさん付けか下の名前……で、呼ぶ事……あるよ」

 

明乃「あ、そうなんですね。……ちゃん付けで呼ばれるのは、私は全然気にしてないんで、大丈夫です」

 

桜「そう?じゃあ、岬ちゃんで呼ぶね。あ、俺の事は下の名前で呼んでよ。あと、艦長呼びもなしね。俺、双子の姉がいるから名字呼びが慣れてなくてさ」

 

明乃「あ、分かりました。それにしても桜先輩、双子のお姉さんがいるんですね」

 

桜「そうなんだよ」

 

明乃「晴風にも、ほっちゃん、あっちゃんって呼んでる双子の給養員の二人がいるんです。やっぱり双子だから似てますけど、桜先輩もお姉さんと見た目が似てますか?」

 

桜「うん、似てるよ。声と髪型以外の身長やらの見た目は全く一緒だよ。……ほら、こんな感じ」

と言いながら、スマホで姉ちゃんと二人で撮っていた写真を見せてあげた。

 

明乃「本当だ!写真だと髪型以外全く一緒ですね!」

 

桜「でしょ?」

 

明乃「はい。……ん?この桜先輩の隣にいるのは薫先輩ですか?」

 

桜「そうそう。それで、薫は幼馴染みだよ」

 

明乃「小さい頃からの幼馴染みだったんですね。だから一緒にいるのが多いんですね」

 

桜「そうだね。艦長と書記ってのもあるけど小さい頃から一緒にいるのは自然だったよ」

 

そう説明した後に、岬ちゃんに質問をした。

 

桜「……それでなんか聞こうとしてたけど、何か質問?」

 

明乃「あ、えっとですね、私達の事を信じてくれた理由なんですけど……」

 

桜「……理由は、一年生がいきなり反乱扱いされるなんてあり得ないと思ったからだよ。だから、反乱は嘘だと思ってて皆を信じたってこと」

 

明乃「そうなんですね。……でも、信じてくれてありがとうございます」

 

桜「どういたしまして」

 

明乃「……あ、ここに多分ドイツ艦の子がいます」

 

そんな感じで話をしていると、晴風の医務室に着いた。

 

中に入ると、タブレットで生徒名簿で確認していた鏑木美波の一人しか居なかった。

 

明乃「美波さん、起きてる?」

 

美波「春眠暁を覚えず。夜来に砲火の音。一服の茶を喫する」

 

明乃「うわ~、しょっぱ~」

 

美波「青人魚名物、塩ココア」

 

明乃「美波さん、わざと……?」

 

岬ちゃんの言葉に鏑木美波は、どや顔みたいな感じの笑みを浮かべていた。

 

美波「それで、艦長。隣にいるのが……」

 

明乃「あ、そう。横須賀男子の教育艦しらねの艦長をしている角谷桜先輩と、書記の真中薫先輩です」

 

桜「よろしくね」

 

薫「……よろしく……」

 

美波「……よろしくお願いします。(しらねだったらお兄ちゃんが乗ってる艦だ)」

 

明乃「で、美波さん。ドイツ艦の子は?」

 

岬ちゃんがミーナの場所を聞くと、ちょうどミーナが医務室に入ってきた。

 

ミーナ「ワシなら、ここじゃが……と、しらね艦長と書記の二人もおったのか」

 

桜「久しぶりだね、ミーナ」

 

薫「……久し……ぶり」

 

ミーナ「あぁ。去年ぶりかの、桜先輩達と会うのは」

 

桜「そうだね。……それで、シュペーで何が起きたか説明してほしい」

 

明乃「あと、なんであなただけがシュペーから出てきたのかも教えくれる?」

 

俺と岬ちゃんの言葉にミーナは"二人にちゃんと話した方がいいな"と呟いてから、説明をしてくれた。

 

ミーナ「わが艦が、貴校……横須賀女子との合同演習に参加予定なのは知っておるな?」

 

明乃「ううん、知らない。今、初めて知ったよ。……横須賀男子との合同とかじゃないの?」

 

ミーナ「いや、横女との合同演習だ」

 

桜「今回の横須賀男子の演習は、他校との演習は含まれてないから横女との演習で合ってると思うよ」

 

薫「……ヴィルヘルムスハーフェン校……の、ロッテンベルク学長……なら……サプライズ感覚で、わざと隠してた……かも、しれない」

 

ミーナ「あり得ると思うぞ。あの学長は、ワシらが初航海して次の航海の時に、我が艦長を含めた他の艦の艦長達に思いもよらない事を言い出した時があったからの」

 

明乃「そうなの?」

 

ミーナ「あぁ。……まぁ、学長の事は置いといて、とにかくワシらは合流地点に向かっていたんだが、いきなり電子機器が動かなくなったんだ」

 

桜「電子機器が?」

 

ミーナ「あぁ。そしてその電子機器を調べようとしたら、誰も命令を聞かなくなった」

 

桜(命令を聞かなくなった?)

 

明乃「反乱?」

 

ミーナ「分からん。ワシは、艦長から他の艦に伝えるように命じられて脱出したんだ」

 

桜「……ミーナ。命令を聞かなくなった乗員達は、どんな様子だった?」

 

ミーナ「どんな様子……というと?」

 

桜「例えば、目の色だとか行動とかが変わってたとか?」

 

ミーナ「……目は赤かった気がする。行動とかは襲ってきたぞ」

 

桜(……伊201と同じ状態だけど、電子機器が動かなくなったというのが謎だ。いや、電子機器とかの情報を盗む為に使うウィルスとかもある)

 

薫「……人と、機械の両方に……作用するウィルス……の可能性、もある。……かもしれない……よ」

 

隣にいた薫が小さい声で俺に言ってきたから、俺も"そうかもね"と返した。

 

明乃「桜先輩、薫先輩。どうしたんですか?」

 

桜「……いや、なんでもない。(ミーナと晴風の皆に話すのは、彼方が調べてるネズミモドキについて、ある程度の結果が出てからの方がいい)」

 

そう思って後に、俺は岬ちゃんに声をかけた。

 

桜「じゃあ、シュペーの事を聞けたから、しらねに戻るよ」

 

明乃「はい、分かりました」

 

岬ちゃんの返事を聞いてたから、薫と一緒にしらねへ戻った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

しらねの艦橋へ戻ると、ちょうど副長の夏が無線で会話をしていた。

 

無線でのやり取りを終えた後、夏に無線の内容を聞いた。

 

東葉校長から、宗谷校長が晴風を含む横女所属の全教育艦の可及的速やかに帰港をする様にと命令を出したという事を教えてもらった。

 

夏「あと、しらね艦内の生活用品や砲弾などは、横須賀男子所属の補給教育艦で補給してもらうとの事です」

 

桜「日用品ぐらいは通販やコンビニ船とかで補給しても良かったんじゃないの?」

 

夏「私と祐太と純もそのつもりだったんですけど、整備局などの上が晴風には危険分子が乗っているなどを言って、疑ってるみたいで……」

 

桜「こっちの見解とかは伝えてくれたんだよね?校長は」

 

夏「伝えてはくれてるそうですが、反乱情報を流した古庄教官がまだ目覚めてないので聴取も出来てないらしく、当事者の報告が無いので信用は出来ないと言ってるそうです」

 

桜「……そのせいで、ハッキリと疑いが晴れていない晴風の為にも、通販など晴風の位置が分かるのは控える様にっていう話になった。……という事?」

 

夏「そうです」

 

桜「分かった。その辺りは夏に任せるよ」

 

夏「了解です」

 

話を終えた後は、晴風と共に艦を動かし横女まで航行を開始した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~晴風・医務室~

 

 

~明乃視点~

 

桜先輩と薫先輩がしらねへ戻る為に、医務室から出てから少しした時に、ドイツ艦の子に声をかけた。

 

明乃「そういえば、艦長じゃないんだね」

 

ミーナ「私は副長じゃ。……この帽子を拾ってくれたのは感謝してる。これは我が艦長から預かった大事な物。……シュペーに戻って艦長に返さねば。必ず……」

 

ドイツ艦の子の言葉に"そうだね!"と言った時に、ココちゃんの声で連絡管から"艦長!"と呼ばれた。

 

幸子「学校から全艦に帰港命令が出ました!」

 

明乃「本当!?」

 

幸子「はい。えっと、『私は全生徒を決して見捨てない。全員を守る為にも、全艦可及的速やかに学校に帰港せよ』との事です」

 

ココちゃんの言葉を聞いた私は、皆を教室に集めるようにお願いして、ドイツ艦の子と美波さんの二人と教室へ向かった。

 

向かってる最中にドイツ艦の子の名前を聞いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~晴風内の教室~

 

 

教室に着いた後に、学校からの通信で晴風の事も言っていたのかココちゃんに聞いた。

 

確認してから、教室に集まってくれた皆に伝えた。

 

明乃「学校から全艦帰還命令が出ました。晴風も学校が責任をもって保護をするので、戻ってくるようにって。帰還中は一切の戦闘は禁止だそうです」

 

ましろ「だが、晴風に対する警戒は続いている。どの港にも帰港出来ない。我々は密かに港に戻らねばならない」

 

シロちゃんの言葉の後に、ドイツ艦の子の紹介をする事にした。

 

明乃「それから、新しい友達を紹介します。ドイツの……ウィンナー……ミーナ……インゲンマメ……。なんだっけ?名前」

 

ミーナ「……ヴィルヘルムスハーフェン校から来たヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクだ」

 

明乃「……長いからミーちゃんでいい?」

 

ミーナ「誰がミーちゃんじゃい!」

 

明乃「で、ミーちゃんはドイツ艦のシュペーで副長をしているそうです。……それでココちゃん、ベッドが空いてる部屋ってある?」

 

ミーちゃんの紹介をした後に、ミーちゃんが過ごせる部屋をココちゃんに聞いてみた。

 

幸子「そうですね……ベッドが空きのある部屋は、副長の部屋ですね」

 

ベッドの空きがあるのは、シロちゃんの部屋と分かったけどその事を聞いたシロちゃんが、"げっ"といった顔になってた。

 

シロちゃんの部屋に案内しようと思ったけど、その前に皆に声をかけた。

 

明乃「皆、他には聞きたいことあるかな」

 

芽依「ねぇ。昨日、潜水艦と戦った時に来た横須賀男子の教育艦は?」

 

鈴「その時に追ってじゃないって分かったけど、あのしらねって一緒に行動するの?」

 

明乃「しらねについても学校からの連絡が来てて、晴風が学校に帰れるまで護衛をしてくれるそうです」

 

芽依「護衛って、その教育艦って強いの?」

 

明乃「どのぐらい強いのかは、私は詳しくないからハッキリとは言えないけど、横須賀男子は三年生で実戦経験豊富なので安心してほしいという事も、学校から連絡が来てたよ」

 

芽依「へぇ~。……ねぇ、あのしらねってどんな艦なの?」

 

私の言葉に聞いた後に、メイちゃんがココちゃんにそう質問して、質問されたココちゃんが基本排水量など艦自体の基本情報の後に、詳しい説明をしてくれた。

 

しらねは、試作の機器類が搭載されているみたいで、別名"教育試作艦"とも言われている教育艦であるらしい。

 

その試作の機器類は、まず無線との事だった。

 

しらねに搭載されてる無線は二種類あるみたいで、そのうち一つが試作の無線で、潜水艦用無線との事だった。

 

普通の無線なら連絡を取るのが無理な潜水艦と連絡が出来る様にと試作型として作られたらしい。

 

しらねの試作型は、今ではドンドン改良をされていってて、近々、ホワイトドルフィンの艦に付けられる予定らしい。

 

他にも、しらねの主砲も試作型のシステムとかが付いてると、ココちゃんが教えてくれた。

 

幸子「しらねの主砲は、試作型の戦艦などの砲弾を自動補足……いわばロックオンする機能があって、それで相手の砲弾を空中で撃ち落とすのが出来るらしいです」

 

明乃「それって凄いね」

と、ココちゃんの言葉にすぐにその言葉が出た。

 

幸子「しらねのレーダーで他の艦隊の主砲弾や副砲弾が表示してるらしくて、それでロックオンが出来るみたいです」

 

ココちゃんは、ここで言葉を切って"それと"と呟いてから説明を続けた。

 

幸子「主砲自体も貫通力と攻撃力を極限まで無理矢理上げた試作型で、ブルマーとかホワイトドルフィンの艦より強い威力ですね。ただ、発砲速度等は通常と同じですね」

 

志摩「主砲……負担が凄そう……」

 

光「確かに、一部分だけ強化してると他の機器とかに掛かるダメージが凄いから、主砲全体がダメになりそうな気がする」

 

ココちゃんの主砲の説明に、タマちゃんとヒカリちゃんが、そう言ってきた。

 

幸子「二人の言う通りで負担が大きいと思いますけど、詳しい事は分からないですよ。でも、そこは三年生艦なので大丈夫なんじゃないですかね」

 

タマちゃん達の会話を聞いてて一つ思い出して、シロちゃんに声をかけた。

 

明乃「しらね艦内の事は、シロちゃんが知ってるんじゃないの?しらねの砲術長と知り合いだったし……」

 

私がそう言うと、皆が"確かに"と声を出してきた。

 

ましろ「そう言われても、私はしらね自体の事は納沙さんが言ってた事しか知らない。海さんは教えてくれなかったから、詳しく知らないんだよ」

 

シロちゃんの言葉に"そうなの?"と聞くと、シロちゃんは頷いて説明をしてくれた。

 

ましろ「あとは、しらねって横須賀男子の中でも成績優秀者が乗る教育艦って事ぐらいかな。艦内の様子や乗員とかを聞いても、"しらね乗員の事を話しても信じないと思うから"と言われて教えてくれなかったんだ」

 

鈴「確かに、しらね艦長の桜先輩って話をしてた時に干しいも食べてたよね。その辺はイメージする艦長とは違う感じがあるかもね」

 

リンちゃんが言った事に、艦橋などに居なかったメンバーが驚いていた。

 

明乃「まぁ、その辺りは聞ける時に聞けばいいんじゃないかな。学校まで護衛してくれるから。……あとは、もう大丈夫?」

 

芽依「……あ、最後に聞きたいんだけど、しらねって水雷関係の装備って付いてるの?さっき、しらねの説明で触れてなかったけど」

 

幸子「水雷関係の装備は全く無いですね。主砲の方に力を入れすぎた結果、魚雷等の水雷装備は付けれなかったそうです」

 

芽依「そうなの!?」

 

理都子「じゃあ、昨日の潜水艦の時は、どうやって戦闘してたの~?」

 

果代子「もしかして主砲でしてたの?」

 

メイちゃんの質問にココちゃんが答えると、りっちゃんとかよちゃんも疑問に思った事を聞いてきた。

 

戦闘していた時の様子は、私と他の艦橋メンバーが見てたから、私が答えた。

 

明乃「あの時は、主砲を使ってたよ。けど、通常弾で戦ってたのかな……?」

 

幸子「しらねは通常弾と水中弾が積んであるそうなので、あの時は水中弾で戦ってたと思いますよ」

 

ココちゃんの説明を聞いて"そうなんだ"と思ってから、もう一回皆に声をかけた。

 

明乃「もう質問とかはないよね?」

と、私が聞くと皆は"無い"と言ってたから、ここで解散にして、私はミーちゃんに部屋の案内をする事にした。

 

すると、シロちゃんが"あっ"と声を出してきた。

 

明乃(そういえば、ベッドの空きがある話をした時も、"げっ"って言ってたけど、なんでだろう)

と、不思議に思いながらシロちゃんと一緒に部屋へ案内した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

シロちゃんが過ごしてる部屋に着いて、中を見るとぬいぐるみかたくさんあった。昨日のサメのぬいぐるみもあった。

 

メイちゃんやココちゃんとかも来てて、ココちゃんは写真まで撮ってた。

 

シロちゃんは、凄く恥ずかしそうにしてた。

 

明乃(だから、部屋の事になった時に、"げっ"みたいな反応になってたんだ……)

 

ミーナ「いい部屋だな。今日からよろしく頼むぞ」

 

ミーちゃんのその言葉に、シロちゃんは"あ、あぁ……"と返事をしていた。

 

部屋を案内した後は、しらねと一緒に横女まで航行を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~4月12日~

 

 

~しらね艦橋~

 

 

~桜視点~

 

 

晴風でミーナからシュペーの様子を聞いてから、3日が経ち12日になった。

 

その三日間で、たまにだが謎の電波を受信してるとか通信とかの電波が悪くなってるとかもあった。 

 

ミーナからシュペーの電子機器関連の事を聞いてた為に、もしかしたらネズミモドキの可能性がよぎったけど、その辺りは彼方の調査結果を待つことにしている。

 

そんなこんなで、今の所は問題なく晴風と共に航行している時だった。

 

彼方「艦長、医務室まで来てほしい。……あと薫も一緒に」

 

医務室にいる彼方から艦橋に連絡管からそう言ってきた。

 

桜「夏、艦橋をお願い」

 

夏「了解」

 

夏に艦橋をお願いしてから、医務室へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~医務室~

 

 

桜「何があった?」

 

医務室に入るなり、俺は彼方にすぐにそう聞いた。

 

彼方「このネズミモドキについて、分かった事があったよ」

 

薫「どんな……こと?」

 

彼方「このモドキの生物は、通常のネズミとハムスターとは違う遺伝子構造を持ってるのも分かった。あと、謎のウィルスを持ってる事もね」

 

桜「だとすると、やっぱり今回の騒動はこのモドキが原因?」

 

彼方「ネズミモドキ以外にも謎の生物が出てこない限りは、このモドキが原因の可能性が高い」

 

薫「その、ウィルス……は、どんな……もの?」

 

彼方「ここ三日間ぐらい、たまに謎の電波を受信したとかしてるとかを電信員が言ってたよね」

 

彼方の言葉に俺と薫は頷いた。

 

彼方「その電波の発信源はこのモドキだ。……今は大丈夫だけど、俺のデジタル表示の腕時計がおかしくなった時があったんだが、その同じタイミングでしらねの謎の電波受信が起こったんだ」

 

桜「という事は……」

 

彼方「ミーナの言っていたシュペーの電子機器が動かなくなったという原因に関しては、このモドキで間違いない」

 

薫「じゃあ……乗員の、好戦的……とかになる……のは?」

 

彼方「それもモドキが原因だと思うよ。電子機器に作用する以外のウィルスらしきのも発見したからね。でも、ハッキリと"絶体にそうだ"とは断言は出来ないね」

 

桜「……何故?」

 

彼方「実際に好戦的になったというシュペーや伊201の乗員達がウィルスが原因なら、そのウィルスがこのモドキのウィルスと同じなのかを調べないと分からないからね」

 

彼方の言葉に"そういう事ね……"と思った。

 

桜「乗員達の血液検査やらが出来てたら、ウィルスが検出されて、調べれたって事か……」

 

彼方「そう。……かと言って、晴風としらね乗員の誰かにわざと感染させるのは出来ない」

 

桜「と言うと?」

 

彼方「やりたくないってのもあるけど、ウィルスの感染方法や感染速度などが確実な事は分からない。それにウィルスに対抗する有効な対処法や抗体などが無いから、下手に実験は出来ない」

 

桜「なるほどね」

 

彼方「勿論、この一匹で有効な対処法を見つけたり、抗体のサンプルを作るのをやろうと思えば、普通に出来ると思うよ。けど……」

 

桜「けど?」

 

彼方「さっきも言った通り、伊201の乗員達がモドキと感染した人のウィルスが同じなのかを確認してからじゃないと、実際に抗体を作るのは辞めた方がいいな……」

 

桜「そうか。……分かった。彼方は、取り敢えず作るのはしなくていい。代わりに、すぐに作れる様にそのウィルスに対する抗体の理論とか作り方、抗体以外の対処法を調べて」

 

彼方「りょーかい!」

 

ウィルスに対する彼方の見解を聞いた後に、俺は指示を出して彼方から返事を聞いてから、薫と一緒に艦橋へ戻った。

 

艦橋へ戻った後に、艦橋メンバーと連絡管を通じて他の科に彼方から聞いたネズミモドキについての事やウィルスなどを詳しく伝えた。

 

晴風には、艦長の岬ちゃんに俺から連絡した。

 

その上で、薫にさっき彼方からの現段階で分かった調査結果を記録していたネズミモドキの情報を、晴風の書記の納沙ちゃんに送ってもらった。

 

そして、その情報を全乗員に共有するようにという事も伝えておいた。

 

 

その後は特に問題なく航行を続けた。

 

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