続きです。
では、本編をどうぞ。
~栞視点~
生徒会室でのやり取りがあった日から少し経ち、戦車道の授業の初日になった。
学校の校庭近くにある倉庫に私は呼ばれた。
自動車部の中で誰か一人が代表で行くって話になって、会長と仲がいい私が戦車道の活動に参加する事になった。
他の皆は戦車を整備する準備をしておくとの事だった。
そんな感じで私一人で倉庫前に来たんだ。
倉庫前には、私と生徒会三人以外に戦車道を履修した生徒、みほと沙織と華を入れた18人が集められた。
桃「そこまで集まりませんでしたね」
柚子「栞ちゃん含めた自動車部を抜きにした人数は18人。私達、生徒会三人を入れて21人ですね」
杏「まぁ、しかたないね」
会長達の会話に耳を傾けつつ、私はみほ達と生徒会以外の戦車道履修者の人達を見てみた。
聞こえてくる会話とか見た目だけで判断すると、6人まとまってるメンバーが一年生。
廃部にされたらしいバレーボール部の4人、歴史好きの4人。
それとみほの後ろの方に一人いる。
そのメンバーで15人で、みほ達と生徒会達が6人だから、確かに21人だった。
優花里「あの肝心の戦車はどこにあるんですか?……ティーガーですか?」
参加メンバーを見ていたら、みほ達の後ろの方にいた一人が、会長に質問した。
会長「えっと、なんだっけ?まぁ、この倉庫にあるから。……河嶋ー、倉庫の扉を開けて」
桃「はい」
河島先輩が倉庫の扉を開けると、1両のボロボロの戦車があった。
そんな戦車を見た履修者の皆は"うわー"みたいな感じになっていたけど、みほが近づいて手を戦車に置いてから、呟いた。
みほ「装甲も転輪も大丈夫そう。……これならいけるかも」
みほの言葉に"おー"と皆がなってる中、私はみほに質問した。
栞「ねぇねぇ、いけるの?」
みほ「うん。まぁ、栞さん達、自動車部の人達にちゃんと整備して貰う必要はあるけどね」
そう言われた私はやる気が出た。
栞「じゃあ私の腕の見せ所だね!」
みほ「え、栞さん?」
杏「栞、機械弄りとか車とかを整備するのが好きなんだけど、特に戦車を弄ったりする方が好きなんだよ。だから、気合いが入ったんだと思うんだ」
栞「ツチヤやホシノ先輩達も戦車を整備するの楽しみにしてるけど、私の方が楽しみなんだ!」
私のテンションを見たのと会長の説明を聞いたみほは、苦笑いしてた。
みほ「そ、そうなんだ。……あ、あの、当然な事を聞きますけど、この1両以外の戦車はどこにあるんですか?1両だけじゃ皆が乗れないですよね?」
栞「確かに、どうするの?会長」
みほの問いかけに、会長は"えっとー"と言ってから口を開いた。
杏「河嶋ー、この人数で必要な戦車の数は?」
桃「えっと、この人数なら……全部で5両は必要です」
杏「んじゃ、探そっか、残りの4両」
栞「……それってこの1両以外の戦車は、今ここに無いの?」
杏「ない!だから、探してきて!今日の戦車道の活動内容は残り4両の戦車を探してくることだね!」
桃「あと、明後日には戦車道の教官がお見えになる事になっている。その為、明日は戦車の状態を完璧にする必要がある。だから、今日中に4両探してくるように!」
会長と河嶋先輩の言葉に皆は言葉が出てこない状態になってから、"えぇーー!!!"と大声を出していた。
沙織「こんなの聞いてないよー」
杏「かっこいい教官が来るからさ」
沙織「本当ですか!?」
杏「ほんとほんと。紹介するから」
沙織「……分かりました、探してきます!ほら、皆行くよ!」
会長の言葉に乗せられた沙織が私と華の手を引っ張ってきた。沙織の勢いが凄くて私はついていくのに必死になった。
杏「よろしく~」
後ろから会長の呑気な言葉が聞こえたから、私はため息しか出なかったが、沙織に手を離してもらって、戦車を探すことにした。
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沙織を先頭に、まずやってきたのは駐車場だった。
沙織「戦車、ないじゃーん!」
栞「流石に駐車場には無いんじゃないかな……」
華「私もそう思いますけど……」
沙織「だって、戦車って漢字に車って字があるじゃん」
栞「まぁ、確かにそうだけど」
華「駐車場にあったら、誰かしらが見つけてるでしょうしね」
沙織「じゃあ今度はあっちに行こう!」
と、沙織が森になってる方へと何かを言って華にツッコミを入れられながら向かっていった。
私はみほと顔を見合わせて苦笑いしてから、沙織と華のあとを付いていこうとした。するとみほが歩くのをやめたから、みほに声をかけた。
栞「みほ、どうしたの?」
みほ「あ、うん。……あの一緒に探しませんか!」
と、みほは木の陰に隠れていた女子生徒に声をかけた。
優花里「良いんですか!?……あ、私2年C組の秋山優花里です」
みほ「私は……「西住みほ殿ですよね!」……う、うん。そうだけど……」
栞「え、別クラスなのに知ってるの?なんか怖い。ストーカー?」
優花里「人聞きの悪い事を言わないでくださいよ!西住殿の事は、戦車道に詳しい人なら知ってるんです!」
栞「へぇ~……。まぁ、いいや。私は村山栞だから、よろしく!」
優花里「よろしくお願いします、村山殿」
栞「あ、私の事は栞って呼んでよ。私、お兄ちゃんがいて、友達とかからいつも下の名前で呼ばれてたんだ。だから名字で呼ばれ慣れてないから」
優花里「分かりました、栞殿」
栞「じゃあ、気を取り直して戦車を探そう!」
と、声をかけてから沙織達と戦車を探し始めた。
探している間に、優花里は沙織と華の二人とも自己紹介を済ませているのを横目に見つつ、私は森の中を見回していた。
そんなある時、華が立ち止まった。
栞「華、何か見つけた?」
華「いえ、あちらから油と鉄の匂いがしたので……」
優花里「匂いで分かるんですか!?」
栞「華道やってると匂いに敏感になるの?」
華「私だけかも知れませんけど」
と言いながら、匂いがしたという方へと歩いていった。
栞「とりあえず華に付いていこう」
みほ「そうだね」
優花里「それでは、パンツァー・フォー!」
沙織「パンツのアホ!?」
みほ「あはは……、戦車前進って意味だよ」
栞「へぇ~、そう意味なんだ。……みほ、さっきの何語なの?」
みほ「ドイツ語だよ」
栞「そうなんだ」
と、みほに質問しつつ歩いてると、放置されて戦車にたどり着いた。
栞「この戦車ってどんな名前なの?」
みほ「38(t)って呼ばれてる戦車だね」
優花里「そうなんですよ!この戦車は……」
と、優花里が放置されてた戦車に頬ずりしながら、詳しい38(t)の性能を説明をしていた。
優花里「はっ!?……す、すみません」
沙織「凄くイキイキしてたよ」
そのやり取りに苦笑いしつつ、会長達に見つけたって事を連絡して伝えた。
すると、倉庫前に戻ってきてと言われたから、倉庫まで戻った。
倉庫前には、皆が戻っており、どうやら戦車を見つけたみたいだった。
それぞれが見つけた戦車は私以外の自動車部にお願いして倉庫前に移動してもらってるみたいで、しばらく待つことになった。
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しばらく待って皆が見つけた戦車4両が来た。
38(t)、八九式中戦車、III号突撃砲、M3中戦車という戦車だった。
そして私を除いた状態で、どの戦車に誰が乗るかという話になったが、会長の一声ですぐに決まった。
みほ達が、倉庫に置いてあったⅣ号戦車。
生徒会が、38(t)。
バレー部が、八九式中戦車。
歴女チームが、III号突撃砲。
一年生チームが、M3中戦車。
そんな風に決まったのを見てから、私は他の自動車部の皆に声をかけた。
栞「皆、ごめんね。運ぶの手伝わなくて……」
スズキ「気にしなくていいよ。整備は一緒にするんでしょ?」
栞「はい!」
スズキ「なら、気にしないよ」
栞「ありがとう、スズキ先輩!」
と、少し会話をしてると、河島先輩が今日は解散と言ったので、それぞれ解散した。
私は、自動車部の活動をするからみほ達と別れて、とりあえず自動車部の部室へ、ホシノ先輩達と向かった。
ナカジマ「今日は運ぶだけだったんだね~。整備も出来ると思ったけど……」
栞「でも皆が洗車したら5両を整備を一気に出来るから、楽しみにしとこうよ。ナカジマ先輩」
ナカジマ「そうだね~」
自動車部の部室に行くまでの間に、明日戦車を洗車した後に整備をするという事で、ナカジマ先輩が言った言葉に私が答えた。
その後も話をしながら、部室へ着いて自動車部の活動で必要な物を持ってから、活動を始めた。
今日はそれで一日が終わった。
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翌日になり、皆が戦車を洗車した。
その後、今晩中に私達自動車部は戦車を完璧な状態へに整備する事になった。
それで徹夜で5両の戦車を完璧に整備をしといた。
そして教官が来る日と、戦車道活動の時間になった。
みほ「栞さん、大丈夫?自動車部、昨日の内に戦車を整備してくれたんだよね?」
戦車道の教官が来るのを待ってる間に、沙織と話してたみほが私に声をかけてきた。
栞「うん、大丈夫だよ。ちょっと眠いだけだから。徹夜で作業するのは日常茶飯事だから、これくらいの眠気は問題ないよ」
みほ「それならいいけど……」
沙織「それより、教官はまだ来ないの」
栞「もうすぐ来るんじゃないの?」
沙織の言葉にそう返すと、飛行船が飛ぶ音というか動くためのプロペラの音が聞こえてきた。
飛行船が見えてきて、飛行船は駐車場に降りてこられるようにスペースが空いていた部分に降りてきた。
少しして、荷物を出し入れする部分から、戦車が出てきた。
どうやら、前もってあの戦車に操縦士が乗ってるみたいだった。
優花里「あれは、10式戦車です!」
私の隣で優花里が興奮していた時に、飛行船から出てきた戦車は、いきなり勢いよく動き出して駐車場一台の車にぶつかって、しかも踏み潰していた。
柚子「あ、学園長の車が!?」
杏「やっちまったね~」
栞(あの車、学園長の車だったんだ)
と、思った後に、私は小声で優花里に声をかけた。
栞「ねぇ、優花里。飛行船にも詳しい?」
優花里「多少は知ってますけど……」
栞「飛行船って、人を乗せて運ぶ事ってあるの?」
優花里「いや、ないと思いますよ。生活の移動手段は船と車と電車の移動が当たり前ですから、わざわざ飛行船で移動しようという考えにはならないんじゃないですかね」
栞「ふーん……。じゃあ、あの教官は戦車を輸送飛行船で持ってきたから、一緒に乗っちゃえみたいな感じで乗ったのかな?」
優花里「……実際に乗ってますから、そうかもしれませんね」
私の言葉に優花里はそう粒いていたが、続けて飛行船の説明をしてくれた。
優花里「それに飛行船はブルマーやホワイトドルフィンで使われる戦術用と、船で積載しきれない時などに使われる輸送用の二種類だけですね。その二種類は無人機ですよ」
栞「有人は無い感じなんだね」
優花里「一応、輸送の飛行船だと有人で操舵するのもあるみたいですけど、それだとその操舵の部分を確保する為に、水素やヘリウムを減らすか輸送貨物スペースを狭くするする必要があります」
栞「水素やヘリウムを減らしたら、さっきのが飛べなくなるから貨物スペースを狭くするみたいになってるって事ね」
優花里「そうです。なので、無人機が主流って事です」
それを聞いた私は、"ふーん"となったが、一つ思ってた事を優花里に言ってみた。
栞「私さ、前から水素やヘリウムを使わない空飛ぶ機械があったらな~……って思ってたんだけど、そういうのだったら、違ってたのかな?」
優花里「どうでしょうね。……それは空想の産物なので、想像はしにくいですね」
栞「それはそうだけどね~」
優花里「それに色々と問題や壁があって、さっきの水素やヘリウム以外の飛行技術は不可能と結論が出てますし、何より誰も関心も抱いてない分野ですしね」
栞「そっか。……まぁ、空飛ぶ機械を作らなくても船があれば充分だもね」
優花里「そうですね」
そう話してると、学園長の車を潰した10式戦車が、目の前にやってきて、中から女性が出てきた。
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今回、戦車道の教官で来てくれたのは、蝶野亜美さんという女性だった。
蝶野さんは、日本国陸軍の戦車教導隊に所属している大尉であり、日本戦車道連盟の強化委員であると紹介された。
沙織「……騙された」
華「でも、かっこいい人ですよね」
栞「別に会長は男性とは言ってなかったしね」
沙織の一言に、ツッコミをいれていると、蝶野さんがみほの顔を見た瞬間に、多分だけど母親の事に触れて家の話を始めた。
みほが俯いてしまったが、沙織が機転を利かせて、モテるかどうかを聞いていた。
沙織の質問に答えた後に、私も質問した。
栞「はい!教官が乗ってきた戦車は使うんですか?」
蝶野「使わないわ!……最初は持ってくる予定じゃなかったけど、戦車道の教官で呼ばれたから持ってきたわ!それでついでに私も輸送無人機に勢いで乗ったわ」
栞「……あ、はい、そうですか……。(思った通りだった)」
優花里と話した通りの答えが返ってきたから、変な返事になってしまったけど、私の返事に蝶野さんは気にしてなかった。
すると、優花里が今日する訓練は何をするのかを質問した。
蝶野「本日は、本格戦闘の練習試合をさっそくやってみましょう」
栞「……ん?」
柚子「い、いきなり実戦ですか?」
蝶野「何事も実戦あるのみよ。……大丈夫!戦車なんてバーッと動かしてダーッと操作してダンッと撃てばいいんだから」
蝶野さんが言った言葉に、私も含めて皆はポカーンとなったり驚いたりしてしまっていた。
毎週で投稿してましたけど、次から遅くなるかもしれません。