空桜の花弁は七色に輝く   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 これは、嵐の少年の忘れられない特別な記憶。
 生涯仕えようと決めていた、大空の少女と刻んだ、特別な放課後。

 獄寺×主人公♀
【時間軸】
 10年前。秋始めの夕暮れ。

 ちょっと遅くなったけど、なんとか今日中にできた!
 ハッピーバースデー、獄寺君!


大空と嵐は茜を歩む 【獄→主♀】

 夏から秋へと気候が変わり始める9月9日。

 学習の時間を終えた学生達が各々で自由に過ごし始める放課後に、ボンゴレファミリーの10代目嵐の守護者、獄寺隼人は、さっさと帰宅するために荷物をまとめていた。

 

「あ、隼人!ちょっといい?」

 

「はい!どうしました、奈月さん?」

 

 今日も授業がだるかった……そんな感想を抱きながら、荷物を手に取り席を立った時、彼は1人の少女に話しかけられる。

 彼に話しかけたのは、彼が生涯仕えると心に決めているボンゴレファミリーの10代目のボスである沢田奈月だった。

 奈月な声を聞いた獄寺は、先程までのさっさと帰りたいと言う思考を即行でどこかへと捨て去り、すぐにその声に返事をする。

 もはや当たり前のように繰り広げられる2人の男女のやり取りに、まだ教室に残っていた生徒達は苦笑いをこぼしながら、2人の邪魔をしないようにとそそくさ帰宅の準備を進める。

 

「最近、恭弥さんから今日は帰ってもいいよって言われることがそれなりにあってね。今日はその日だったから、委員会がなくなったんだ。

 普段は委員会の仕事で遅くなるし、そのまま帰宅が多かったんだけど、今回みたいに仕事がない時とか、ちょっと暇になっちゃって、繁華街の方でも彷徨こうかなって思ってたんだよ。

 でも、1人で繁華街を回るのはなんか微妙な気分だから、誰か道連れにしてやろうって思ったんだけど、武は部活だし、京ちゃん達は用事があるみたいだから誘えなくってね。

 そこで、隼人と一緒に行こうかな〜って思って。時間があるなら一緒に……」

 

「行きます!!ぜひ行かせてください!!」

 

「お、おう……食いつきがいいね……」

 

 最後まで言葉を口にする前に、食いつくように行くと言って来た獄寺に、一瞬奈月は引いてしまう。

 しかし、獄寺は彼女が引いていることに気がついていないのか、目をキラキラさせて彼女を見ていた。

 それもそのはず、なんせ獄寺は、彼女を自身が敬愛するボスとして見ると同時に、1人の異性としても想いを抱いていた。

 最初は仕えるべきボスか否かを確かめるために勝負を挑み、華麗なまでの技術で負かされて、失礼な態度を取っていたにも関わらず自身のようなはぐれ者をファミリーとして迎え入れてくれた彼女の役に立ちたい……そんな気持ちだけだったのだが、長く共に過ごして行くうちに、彼女の魅力を次々と知っていき、いつのまにか惹かれていたのだ。

 敬愛する10代目であり、自身の初恋相手でもある彼女からの誘いを、獄寺が断るはずがなかった。

 

「繁華街の方に行くって言ってましたけど、なんか買うんスか?」

 

「ん〜?いや、ただちょっと暇つぶしがしたかっただけだよ。だから適当にぶらぶらするつもり。」

 

「そうだったんスね。お供するっス!」

 

「ありがとう。」

 

 穏やかな笑みを浮かべて言葉を紡ぐ奈月に、獄寺は胸を高ならせながらも笑顔を見せる。

 ここから、夢のような時間が自身の身に訪れるとは思わずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「適当にぶらぶらするつもりだし、こっちも行きたいと思ったところを伝えるから、隼人もそんな場所あったら言ってね。」

 

「了解っス!」

 

 奈月と2人で繰り出した繁華街。

 放課後とは言え、まだ明るさがある時間でもあるため、多くの人で賑わってるそこは、いつも通りの穏やかな光景だった。

 だが、今の獄寺の目には、その景色が特別な景色となっていた。

 

 彼の隣を歩くのは、彼が大切にしている少女のみ。普段は出かけるとなると、基本的に彼女だけでなく多くの人間が一緒にいる状態だった。

 彼にとってライバルでもある山本武。いつのまにか大切な少女とどこか特別な関係を持ち合わせている六道骸や、クローム。

 当たり前のように彼女の側にいる笹川京子や三浦ハル。気が向いたからなどと口にしては、ふらっと奈月の側を陣取り、身を寄せ合って歩くことがある雲雀恭弥に、奈月と一緒に過ごす時間を増やすためか、日本に来日している時はいつも行動を取ってるディーノ……。

 他にも沢山の人間が、彼女と過ごそうと集まることがほとんどだった。

 

「隼人。ちょっとだけブティックに寄ってもいいかな?」

 

「いいっスよ!」

 

「よかった。前に着ていた秋物がだいぶくたびれちゃったから、新しい服を買いたかったんだ。」

 

「そうだったんスね。ブティックとなると奈月さんがよく行ってる男ものも女物も両方とも売ってるあのブティックですよね?」

 

「うん。おしゃれで機能性がある服が多くて気に入ってる場所だよ。そうだ。隼人さえよかったら、互いに互いの服を選んでみない?」

 

「え!?いいんですか!?」

 

「もちろんだよ。たまにはいいでしょ?」

 

「はいっス!奈月さんに似合いそうなヤツを見繕いますね!」

 

 だが、今は彼女の視界には自分だけが映っている。話しかけてもらえるのも自分だけで、受けごたえをしてもらえるのも自分だけ。

 多くの人に囲まれてることが多い彼女のことを、自分だけが独占できている……それは、獄寺にとって何よりも嬉しい状況だった。

 その上、彼女からの提案で、互いに互いの服を選ぶと言うイベントまでついてきた。

 これを特別な時間と言わずして、何を特別と称せばいいのか、獄寺には思い浮かばなかった。

 

「始まりはビアンキ姉さんからの情報だったけど、ここまで重宝することになるとは思わなかったよ。

 何かと動き回ることが多いからね、私達。だから余計に機能性とかに着目してしまう。」

 

「それは仕方ないかもしれないっスね。オレ達の立場が立場ですし……あ、奈月さんって服のサイズどれでしたっけ?」

 

「上はレディースだとLサイズ。メンズだとMサイズだね。下はレディースのMサイズから、メンズのSサイズってところかな。隼人は?」

 

「オレは上下ともにメンズLっスね。」

 

「了解。じゃあ、ちょっとしたファッションショーでもしようか。隼人はカッコいいから、しっかりサイズが合ったものでも、若干のオーバーサイズでも似合う服が多いから悩みそうだし。」

 

「か……!?」

 

「うん?どうしたの?」

 

「い、いや、その、な、奈月さんからカッコいいって言われるとは思わなくて……」

 

「ああ、なるほど。まぁ、確かに、普段は手のかかる友人って感じだから、感想より先にストップが多いからね。あまりこんなことは言ってなかったかな。

 正直言って、隼人のことはカッコいいって思ってるんだよ。見た目もそうだけど、私を守ろうとしてくれる時の姿とか特にね。」

 

「そ、そうっスか……!!」

 

 突然の褒め言葉に、獄寺は思わず顔を赤くしてしまう。絶賛片想い中の相手からのカッコいいと言う言葉は、彼の鼓動を早くするには十分過ぎる程の威力だった。

 それを知ってか知らずか、彼が想う10代目のドンナはあれもいいな、これもいいなと考えながら、いろんな種類の服を物色していた。

 彼女が似合うと言った服は絶対買おう……そう思いながら獄寺も、彼女に似合いそうな服を探し始める。

 どの服も似合いそうなのはあなたも同じです!!心の中でそう叫びながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「互いに結構多く服買っちゃったね。」

 

「確かにかなり買っちまいましたね……。奈月さんに似合う服が多過ぎて、まさかこんなことになるとは……」

 

「私もちょっと予想外。隼人に似合う服があまりにも多過ぎた。君が私が選んだ服を全部買おうとした時はどうなるかと思ったよ。」

 

「奈月さんに服を選んでもらったのが嬉しくて……ついはしゃぎ過ぎちまいました……」

 

 最終的に、互いに楽しみながら行った服の選び合いは、どちらも4セット分のトップス、ボトムス、アクセサリー、靴を購入することで幕を下ろした。

 2人の手には先程のブティックでもらった紙袋が握られており、顔を見合わせて苦笑いをこぼす。

 しかし、苦笑いはすれど、後悔は両者共にしておらず、2人だけのファッションショーをしっかり楽しんだのだ。

 

「次はどこに行きますか?」

 

「じゃあ、ゲームセンターはどう?」

 

「いいっスね!じゃあ行きましょう、奈月さん!あ、荷物持ちますよ。」

 

「ありがとう。じゃあ、お願いしようかな。」

 

 次の行き先を決めたあと、獄寺から差し出された手に奈月はそっとブティックの袋を手渡す。

 手渡された袋をしっかりと握った獄寺は、ゆっくりと繁華街を歩きながら、ゲームセンターへと向かう奈月のあとをついて行く。

 

「まずはクレーンゲーム漁ろっと。」

 

「奈月さんってクレーンゲーム好きっスね。」

 

「と言うよりはぬいぐるみが好きなんだよ。ふわふわのもふもふで抱き心地が良いぬいぐるみが特に好きでね。

 持ってるとなんだか癒やされて、凄く落ち着くんだよ。」

 

「あ、だから奈月さん、匣アニマル達を度々もふもふしてるんスね。」

 

「うん!可愛いもの大好き!」

 

 たどり着いたゲームセンターにて、早速クレーンゲームを見て回り始める奈月の姿に、獄寺は愛しさを覚えながら、口元に穏やかな笑みを浮かべる。

 子供っぽいかな?なんて聞いてくる奈月に、そんなことはないと返しながら、賑やかなゲームセンター内を歩き、あれはどうか、これはどうかと話しながら、ゆっくりとゲームセンター内を歩き回る。

 

「あ、武。」

 

「は?ぶほっ!?」

 

 そんな中、不意に奈月が呟いた天敵の名前に、一瞬だけ獄寺は不機嫌になりそうになる。

 しかし、彼女の視線を辿ってみると、そこにはクレーンゲームの景品棚の中に入っているふにゃっとした間抜けな笑顔を晒してる黒い柴犬のぬいぐるみが入っており、思わずその場で吹き出してしまった。

 

「あっははははははは!!確かに山本みたいな間抜けな笑顔してるっスねこいつ!!」

 

「間抜け〜?私は武の笑顔、可愛いと思ってるんだけどな。」

 

 アイツのどこが可愛いんスか……なんて言葉が一瞬脳裏を過ぎる獄寺。

 しかし、それよりも間抜けな笑顔を晒している黒柴のぬいぐるみを山本に重ねてしまった奈月の言葉が反芻してしまい、それに対するツッコミは出なかった。

 未だに笑いそうになる中、獄寺の前にいる奈月はそのぬいぐるみが入ってるクレーンゲームにお金を入れて、慣れた様子で操作し始める。

 程なくして位置が定まったらしい彼女がアームを下ろすボタンを押せば、アームはしっかりと黒柴を掴み、なんと一発でそれを取ってしまった。

 

「……やっぱり武?」

 

「んぐっ!!」

 

 武も呼んだらすぐに来るし……なんて首を傾げながら口にする奈月に、獄寺は再び笑いそうになる。

 山本っぽいと言って取ってしまった間抜けな笑顔の黒柴を、もふもふと抱きしめている彼女の姿にモヤモヤしないわけではないが、それよりもぬいぐるみを自分のファミリーのようだと思って取りに行った少女の愛らしさに癒される。

 

「!ねぇ、隼人!クレーンゲーム見て回ってみんなっぽいぬいぐるみ探し回っていい!?」

 

 そんな中、奈月がキラキラと目を輝かせながら、やりたいことを口にした。

 まさか、そんなことを言い出すとは思わず、思わず面食らってしまった獄寺だが、奈月の期待に満ちた瞳があまりにも眩しく、同時に可愛らしく思ってしまい、獄寺は直ぐに頷いた。

 承諾してもらったことが嬉しかったのか、奈月は幼子のように喜びながら、数多くあるクレーンゲームを回り始める。

 いつもは大人びており、幼さとはどこか無縁な印象を抱いてしまう自分のボスが、このようにはしゃぐ姿をあまり見たことがない獄寺は、何度か瞬きを繰り返したが、新たな一面を見ることに対する嬉しさが勝り、自然とその表情に笑顔を浮かべ、彼女のあとを追いかける。

 

 あ、骸がいた、などと口にして、パイナップルの帽子を被った藍色の猫のぬいぐるみに視線を向ける彼女を見て、再び吹き出すことになるとは思わずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ぬいぐるみもっふもふ〜♪」

 

「すごいっスね、奈月さん。クレーンゲームってかなり難しいはずなのに、ほとんど一発取りって……」

 

「リアルラックがよかっただけだよ。まぁ、最後の最後に見つけた恭弥さんっぽい猫のぬいぐるみが5回くらい取るまでかかるとは思わなかったけど。」

 

「マジでヒバリみたいっだったスね、あの仏頂面な黒猫。」

 

「確かに。あ、家に帰ったらぬいぐるみに服作ろっと。みんなが着てるものと同じヤツ着せるんだ。」

 

 間抜けな笑顔をした黒柴を取ったあと、追加でパイナップルの帽子を被ってる藍色の猫や、リボンを耳につけていた藍、黒、茶色の3つのうさぎ、キリッとした銀色のオオカミに、今にも叫びそうな白いくま、小さめの黒いハムスターや、仏頂面の黒猫、目つきが鋭い大きめな黒のオオカミなどを取り、奈月はご機嫌な笑顔を見せていた。

 本当にぬいぐるみが好きなんだな……と改めて彼女のぬいぐるみ好きを目の当たりにした獄寺は、ぬいぐるみを贈り物にしたら喜んでくれるだろうかなどと考えながら、ぬいぐるみをもふもふして歩く奈月を見つめる。

 現在の彼女が抱きしめているのは、君みたいだねと口にした、銀色のオオカミのぬいぐるみ。

 

「ねぇ、隼人。」

 

 羨ましい……とぬいぐるみに少しだけ嫉妬しながら、奈月を自宅まで送るためにゆっくりと道を歩いていた獄寺に、不意に奈月が声をかける。

 直ぐにどうかしたのかと首を傾げれば、穏やかに笑う奈月と目が合い、獄寺は少しだけ胸を高鳴らせた。

 

「……少しは、楽しい放課後だったかな?」

 

「え?」

 

 そんな彼女の口元から紡がれたのは、少しは放課後を楽しめたかと言う問いかけだった。

 そのような質問が飛んでくるとは思わず、獄寺は数回瞬きをするが、直ぐに今日の放課後を振り返る。

 帰宅しようとしたところ、一緒に街に行こうと誘われ、2人だけで繁華街へ。

 そこから最初はブティックへ向かい、互いに互いの服を選び、購入後ゲームセンターへ。

 無邪気にはしゃぐ奈月を見ながら、自身も様々なゲームに手を出し、最後は2人でプリクラを。

 ゲーセンでの時間を終えたあとは、2人きりのカフェでのティータイム。

 空が茜色に染まるまで、2人きりで歩き回った時間は、楽しい以外のなにものでもなかった。

 

「はい。すごく充実した放課後でした!こんな風に奈月さんと2人で街を歩くなんて思いもよらなかったス!」

 

 出て来た答えを口にすれば、奈月は口元に穏やかな笑みを浮かべる。

 そして、手にしていたスクールバッグの中から、彼女はラッピングが施されている赤色の紙袋を取り出して、隣を歩く獄寺に差し出した。

 

「楽しんでもらえたならよかったよ。はい。これ、隼人にあげる。」

 

「へ?」

 

 唐突に差し出された紙袋に、獄寺は一瞬思考を止める。しかし、直ぐに差し出された紙袋を受け取り、開けていいかと問うように、視線を奈月へと向ければ、彼女は小さく頷いた。

 奈月が頷いたことを確認し、獄寺は静かに紙袋を開ける。そこには、ダイナマイトとねこのチャームがポイントになっているブレスレットが入っていた。

 

「これって……!」

 

「うん。わたしが作ったブレスレット。伸縮性があって、尚且つ切れにくい丈夫な糸を使ってあるから、日常使いは悪くないと思うよ。」

 

 そこまで彼女は口にして、獄寺にふわりと笑顔を向ける。

 彼女の笑顔に思わず見惚れ、頬を少しだけ染める獄寺を見ながら、奈月は再び口を開く。

 

「今日は9月9日で、隼人が生まれた特別な日でしょ?実を言うと今日のこれ、1ヶ月くらい前からわたしが準備していたサプライズなんだ。」

 

 奈月は語る。1ヶ月前、ビアンキからこの日が獄寺の誕生日であることを聞き、1ヶ月間準備をしていたのだと。

 放課後の時間が空いたのは、実を言うと偶然ではなく、事前に雲雀から休みを取らせてもらっていたのだと。

 今の自分にできること……その精一杯の贈り物として、今回の計画を実行したのだと。

 

「隼人が喜びそうなこととかもビアンキ姉さんから聞いてね。それなら、2人きりで放課後に出かけてあげたらどうかしらって言われたんだ。

 行き先とかは特に決めず、いつも通りに街を歩くだけでもいい。それだけで隼人が喜ぶの?ってビアンキ姉さんに聞いてみたら、大丈夫だからって言われたんだ。

 その……隼人は間違いなくナツが好きだから、放課後デートも十分嬉しいし楽しんでくれるわって……。

 ちょっと不安だったから、贈り物のブレスレットでも作ろうかなって思ってこうなったんだけど、楽しんでもらえたならよかったよ。」

 

 少しだけ照れくさそうにしながら、放課後デートと言う言葉を紡いだ奈月に、獄寺も釣られて顔を赤くする。

 しかし、恥ずかしさや照れ臭さを上回る勢いで、彼は歓喜に見舞われた。

 

「ありがとうございます!!奈月さん!!めちゃくちゃ今日は楽しめました!!その、まさかこんな風に祝ってもらえるとは思わず、言葉が見つからないんですけど、本当に嬉しいです!!」

 

 感激しながら言葉を紡ぎ、早速ブレスレットを手首につける獄寺。

 自身の腕にピッタリのそれに、獄寺はますます目を輝かせ、そのブレスレットにそっと手を置く。

 

「このブレスレット、家宝にします!!」

 

「いや、そこまで大層なものじゃないんだけど……?」

 

「奈月さんはそう思っていても、オレにとってはそれくらい嬉しい贈り物っスよ!!

 だって、奈月さんが初めてくれた奈月さんの手作りのブレスレットなんスから!!一生大事にします!!」

 

 キラキラと輝く翡翠の瞳に、奈月は少しだけ苦笑いをこぼす。

 しかし、すぐに小さく笑いながら、彼女は彼の腕に嵌められたブレスレットにそっと触れ、

 

「お誕生日おめでとう、隼人。これからも、わたしのことを守ってね。わたしの頼もしい右腕さん。」

 

 穏やかな声音で、生誕を祝う言葉を紡ぐのだった。

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 いつも頑張ってる右腕のために、誕生日の放課後デートを企てたボンゴレ10代目。
 後日、自身の誕生日にあったことを獄寺がファミリーに自慢してしまったことにより、これから先、一年に一回、誕生日という特別な日はボスを独占することができ、特別なお祝いをしてもらえると言う新たな習慣が追加されることになった。

 獄寺 隼人
 奈月に祝われたドンナの右腕。わたしの頼もしい右腕と言う言葉に昇天しかけたが、同時に忠誠心もぐぐーんっと上がった。
 奈月からもらったブレスレットは本当に一生大切にしたし、壊れないように丁寧に扱い、手入れの仕方も教えてもらった。
 後日、誕生日にあったことを、あまりの嬉しさからファミリーに自慢してしまい、これから先、誕生日はボスを独占することができる特別な日と言う認識を確立させてしまった。

 もらったブレスレットに使われていた天然石はサファイアとドラゴンアゲートの2つで、魔除けや成功への祈り、仕事運の上昇など、これからの彼にピッタリなものであり、尚且つ自身の誕生石と星座に合わせたものであることを知り、歓喜で気絶した。


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