桜の花は驚きながらも、3人との再会を喜んだ。
「え……?見た目変わってるはずなんだけど、何で3人ともわたしのことわかってるの……?」
ボンゴレの血により遺伝した超直感……なぜかそれが並盛町の特定の場所へと移動するように告げてきたため、足を運んだ奈月。
たどり着いた先に待っていたのは、懐かしい3人の男性達だった。
思わず反射的に3人の名を呼んでしまった彼女からは、沢田奈月としての仮面が外れ、本来の性格である
そんな中、竜雅と翠星の2人は、彼女が困惑している時に見せる一つの癖……髪の毛の先を指で捻る癖を視界に入れては、泣きそうな表情を浮かべた。
「「桜奈!!」」
「おわ!?」
同時に走り出した2人に、勢いよく抱きつかれてしまい、桜奈は驚きながらも、倒れ込むことなく受け止める。
「「………は?」」
まさか受け止められるとは思わず、竜雅と翠星は困惑の声を漏らした。
あれ?オレ達って合計140kgくらいあるはずなんだが?と戸惑いを見せる。
かつての桜奈であれば、合計体重約140kgなど受け止めることすらできず、そのまま尻餅をついていた。
そんな彼女がダメージを受けないようにするため、2人が彼女を抱き止めるのがいつもの流れだったはずだが、なぜか今、自分達は彼女にしっかりと受け止められている。
「……サク?」
「えーっと……オレ達の記憶違いじゃなければ、サクちゃんってこんなに体幹なかったよね……?」
「……こっちのわたしはマフィアのボスやってるから必然的に身体能力上がってるんだよ。」
「「マフィア─────!!?」」
告げられた衝撃の事実に驚く竜雅と翠星。しかし、翠星は彼女の容姿をマジマジと見つめる。
同時にその容姿の既視感に気づいては、あ……と小さく呟いた。
「……なんかめちゃくちゃ容姿に既視感あると思ったらあれだ。家庭教師ヒットマンREBORN!のキャラクター、初代ボンゴレことジョットの女体化だ。
んで、景色からして、明らかに現代って感じだから……サク……お前、家庭教師ヒットマンREBORN!の主人公、沢田綱吉に成り代わっちまったな?」
「………家庭教師ヒットマンREBORN…………?」
「リョウが学生の頃に学校に持ってきていたジャンプに掲載されていた漫画の一つだよ。
何をやってもダメダメで、周りからダメツナって呼ばれていた男の子、沢田綱吉が、凄腕のヒットマンであるリボーンと出会い、マフィアの世界に足を踏み入れていく物語。
サクちゃんは、その主人公である沢田綱吉のポジションに成り代わった状態で生まれちゃったってこと。」
「あ〜……なんか流れとしてはものすごく覚えがあるよ……。」
「まぁ、サクの場合はめちゃくちゃ天才で身体能力も高過ぎる主人公になっちまってるだろうけどな。」
「確かに……。サクちゃんの素の能力値って高いからね。」
「実際苦労はしてないよ。変な渾名はつけられたけど。」
「「変な渾名?」」
「……
「「Oh……。」」
スン……と真顔になりながら、周りから言われているらしい言葉を口にする桜奈に、竜雅と翠星は引き攣った笑みを浮かべる。
彼女の表情から把握できてしまい、彼女に同情の眼差しを向けた。
「な、なんにせよ、サクと再会できるとは思わなかったよ。」
「本当にね。サクちゃんがいなくなってから、オレ達、すごく寂しかったんだ。」
「ついでに言うと、かなり精神的に参った。なんで早めに相談してくれなかったんだよ……」
「そうだよ、サクちゃん。確かに、オレ達は警察官になったけど、サクちゃんが辛かったらすぐにでも助けに行くって言ったよね?
オレ達にとっては、サクちゃんよりも優先しないといけないことなんてないんだから、頼ってほしかったな……。」
「……ごめんなさい。」
2人の目から、後悔の光を汲み取った桜奈は、謝罪の言葉を口にする。
彼女の謝罪を聞いた2人は、小さく微笑んだあと、桜奈をぎゅっと抱きしめた。
「……大学の時からずっと思っていたけど、相変わらず3人は団子になってることが多いね。
しかも、桜奈がいなくなったことを知って、2人して自ら命を絶とうとするどころか、片方は完全に身投げしたあととか言う状態だし……。
なんで表現したらいいんだろう……。やっぱり依存し合ってるってところ?」
「へ?」
「「おい、バカ、それ言うな。」」
3人のやり取りを無言で見つめていた秋良が、不意に彼らが行った後追いの話を口にする。
容姿は変わっているが、歴とした幼馴染みの魂を宿している女性の前で、なんてことを言ってくれているんだと。
「……大学の時からって発言も気になるところだけど、リョウ。スイ。2人とも、わたしの後を追って自ら命を投げ出したわけ?」
「いや……その……オレは別に投げ出しちゃ……」
「嘘だよね?」
「………………はい。未遂を犯しました。」
「スイ?」
「………だってサクちゃんがいない世界とかどうでもいいし……。」
「「「…………………。」」」
しばらくの間、無言が3人の中に訪れる。
それを破ったのは、転生してボンゴレの女王となっていた桜奈のため息だった。
「……2人とも。ちょっと歯を食い縛ろっか?」
「「へ?ごふっ!!?」」
紡がれた言葉に疑問の声を上げた瞬間、竜雅と翠星は思い切り後方へと吹っ飛ばされる。
2人の鳩尾にはかなりの痛みが走っており、そのまま地面を数メートル程滑り走る。
「バカじゃないの!?確かにわたしも悪かったかもしれないけど!!わたしを追って自分の命まで投げ捨てないでよ!!
わたしは2人には死んでほしくなかったし、ちゃんと幸せなってほしかったんだよ!?
なのになんで後を追おうとしたわけ!?2人には私以外にも守る人がいたよね!?家族だっていたよね!?前のわたしにはなかったものがちゃんとあったよね!?
家族に置いてかれる気持ちってわかってんの!?わたしと同じような思いを!!自分の家族にまで与えるなよ!!!!」
そんな2人に、桜奈は涙を流しながら怒鳴り飛ばす。
家族に置いていかれると言うのがどれほど苦しくて辛いものであるのかを、彼女は痛い程に知っていた。
だからこそ、2人には家族にそんな思いをさせてほしくないと桜奈は思ったのだ。
自身が黙って命を落としたこと……確かにそれは、悪いことだった。しかし、それでも彼女は、自身がやられたように、肉親に置いていかれる辛さを、2人の家族にまで感じてほしくなかったのだ。
2人は彼女にとって、大切な友人であり幼馴染みだ。しかし、だからといって親族というわけではない。
だから彼女は、周りに温かいものがある2人なら、問題はないと思っていた。
彼らにとって彼女は、何よりも大切な身内であり、深く愛している対象であることを、知らなかった悲劇とも言えるだろう。
“それを言うなら、お前だってオレ達を置いて死んだだろう”……竜雅と翠星は、思わず出そうになった言葉を飲み込む。
彼女にとっての1番は家族……しかし、その家族はどちらも彼女を置いていなくなってしまった存在。
肉親に置いていかれ、孤独な子供となってしまった彼女にとって、家族を置いて遥か遠くへと行ってしまう肉親の命と言うものは、何よりも大きな地雷であることを、竜雅と翠星は知っていた。
「「…………ごめん……桜奈。」」
桜奈の訴えを聞き、竜雅と翠星は謝罪の言葉を口にする。
スンスンと鼻を鳴らし、涙を拭う彼女に近寄り、優しくその涙を指で拭いながら。
「……まぁ、話によると、逢坂は止まることができなかったみたいだけど、雪本はしっかりと歩もうとしていたみたいだし、あまり責めてあげないでよ。
それに、彼らにとっては、桜奈も大切な身内みたいだしね。君の言った通り、君も誰かに相談することなく命を絶ってしまったのも悪い。」
「秋良さん……。」
「オレにも君は相談しなかった。でも、それは仕方ないと思っていた。だけど、調査すればする程、君は抱え込んでいるものが多すぎて、早いところ明かしておけばよかったと後悔したよ。」
「明かしておけばよかった……?」
「うん。オレは、君の本来の性格である、寂しがり屋で甘えたがり屋な性格を知っていたんだ。
同じ大学の学部にいたからね。何度も君が、そこの幼馴染み達に甘えるようにくっついている姿を見ていたんだよ。
だから、決してオレは、仕事ができるから君に目をつけたわけじゃなかったんだ。
君の性格ごと愛してあげることができる……そんな自信があったからこそ、オレは君に想いを伝えたんだよ。」
秋良から言われた言葉に、桜奈は驚いたように目を向ける。
同時に彼女の脳内にら、ある1人の青年との記憶が過った。
…………………
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『ごめんなさい。隣座っても構わないかな?』
『え?』
『初めまして。わたしは小鳥遊桜奈。その、この選択授業、いつも一緒にいる幼馴染み達は選ばなかったみたいで……。
それでどこに座ろうかって迷っていたんだ。それでこの席を見つけて……座ってもいいかな?』
『そう……。いつも一緒にいる子達がいないから不思議だったけど、そう言う理由なら構わないよ。』
『よかった。ありがとう。』
『どういたしまして。オレはフェリクス・アキラ・レオンハート。よろしくね。』
『うん。よろしくね。』
…………………
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「もしかして………アキラ………?」
「そうだよ。やっと思い出してくれたんだ。」
「ええ!?あのメガネをかけてたアキラが秋良さんだったの!!?」
桜奈の驚き様を見て、秋良は何度か瞬きをする。
そして、少しだけ考え込む素振りを見せて無言になったあと、あ……と小さく声を漏らした。
「そう言えば、あの時のオレ、伊達メガネをかけて、前髪も伸ばしていたね。
雪本と逢坂はすぐに気づいていたから忘れていたよ。名前も本来の名前であるフェリクス・アキラ・レオンハートって伝えていたし、それならわからなくても仕方ないね。」
桜奈が自身を覚えていなかった理由に納得した秋良に、桜奈は頭を抱える。
メガネと長い前髪により容姿が違ったとは言え、知り合いだった人間を忘れるなんてと。
同時に彼女は彼に申し訳なさを抱く。完全に初対面として接していたと反省した。
「なんか……ごめん……。」
「気にしないで。オレも話してなかったんだから。まぁ、少なからずショックは受けたけど、今回のことで桜奈にもダメージが入ったならおあいこだよ。」
くつくつと喉を鳴らすように笑いながら、桜奈に対して言葉を返す秋良。
そのことに対して桜奈は苦笑いをこぼす。先程まで泣きじゃくっていた弱々しさが、嘘のようだった。
それに安心したのか、秋良は小さく笑ったのち、彼女にそっと近寄る。
そして、無防備になっている桜奈の手を優しく取り、手の甲へと優しく口付けを落とした。
「「あ──────────!!?」」
秋良の行動に、竜雅と翠星が大声を上げ、桜奈は何度か瞬きを繰り返す。
そんな中、秋良は小さく笑いながら、静かに顔をあげた。
「君に再会できてよかった。飛行機の墜落に巻き込まれたかもしれないと最悪な気分になっていたけど、最悪の出来事の後には、何かといいことが起こるものだね。」
「…………はい?」
秋良から告げられた言葉に、桜奈は混乱したように引き攣った笑みを浮かべる。
飛行機の墜落とはなんぞやと、あまりにも大き過ぎる衝撃的な事実に、何があったんだと思いながら。
ちなみに、この4人組は春夏秋冬に合わせて名前をつけてます。
小鳥遊 桜奈→桜→春
逢坂 翠星→星→天の川→夏
鷹坂 秋良→名前から→秋
雪本 竜雅→雪→冬
翠星は海斗、竜雅は冬馬と言うのも考えていましたが、二文字のあだ名をつけるとしたら、と考えた結果、竜雅と翠星になった裏話があります。