エンシャント・グレーター・アラクネ【♀】を斃した俺達。
格納庫の壁にできたクレーターの中央に極大の蜘蛛の死骸があった。
とりあえず疲れたな! 虎鉄とムギホシの方が疲労困憊だろうけど……。
「ちょっと疲れたから休ませてニャ」
「わたしも座るわ」
ムギホシは医療器具をどこから取り出して身体のあちこちに医療用のシートを貼っている。
俺も休むか。周囲を見てみる。
クレーターからは所々水が落ちている。そういえば湖があったな。
ふと半分ガラス化したエンシャント・グレーター・アラクネ【♀】の屍を見ると近くに不思議なものを発見した。
「これ、なんだろう? 石板?」
触る前にナビで見た方がいいな。
虎鉄のムギホシも近寄ってきて、同じようにナビを見た。
『名称:暗殺教団の教え
【虎鉄専用】職能『アサシン』変更可能アイテム』
「オイラ専用ニャ!」
「アサシンってなにのこと?」
ムギホシはアサシンは初めて聞いたみたいだ。
「暗殺を生業にする人だよ」
「アサシンになれるのニャ! でも、なぜ蜘蛛が持ってるのミャ?」
これはタイミングとして星の子の虎鉄用の救済措置の気がする。俺は必殺技をもらったし。
「とりあえず、もらっておいたらいいんじゃないかな」
「そうするニャ! それよりも今は宇宙艇のことニャ!」
俺とムギホシも頷いた。自分のことよりみんなのことって虎鉄は偉いなー。
「あの宇宙艇は機能は全部生きてるっていってたわね」
「戻ってコックピットを見てみようか」
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「埃とか砂でいっぱいニャ」
「しかし、計器類は生きてるわね。エネルギーは……こっちもOK!」
「ということは?」
俺と虎鉄はムギホシを期待を込めて見つめる。
「……飛ばせるわ」
「「イヤッホゥ(ニャ)!」」
「ひとつ問題が……」
ムギホシが初めて見る、苦虫を嚙み潰した表情をする。
「宇宙船について言い忘れたというか言ってないというか……」
「そういえばエンシャント・グレーター・アラクネと戦う前にちょっと様子がおかしかったニャ」
「なんか乾いた笑いをしていたな……」
俺達はジト目になって彼女を眺めてみる。
「……」
「……」
「……」
もうそろそろいいんじゃないか、と思ったところに――
「すまん! 操縦は出来ないんだ‼」
ムギホシは拳を握って謝った。
「そんニャことかニャ」
「俺も虎鉄も操縦とかやったことないしね。そんなこと責めないよ」
うんうんと俺を虎鉄は頷いた。
「ちなみにホバーバイク乗れたって言ってなかったっけ?」
「初めて乗ったときに修理不可能な状態に……」
乗った初日で全損ってことか!
「ということは、もしかして会った時に走っていたのも?」
「聖地に置いてあったホバーバイクとか諸々は全て修理不能で……」
虎鉄は力なく笑って言った。
「ミャァ、しょうがニャいニャ。動かす前に言ってくれて良かっただニャ」
「虎鉄の言う通りだよ。動かしていたらと考えると最悪死んでたかもしれない。だから、謝る必要はないよ」
「ありがとう。そう言ってもらえて助かるわ」
しかし、そうなったら宇宙艇はどうする? ていうか、まずどうやって地下から地上まで持っていくのか。あれ? 取りに行く前にどうして言わなかったんだ?
「行ってみたらなんとかなると思ったのかもミャ」
同じこと考えていたらしく虎鉄がそう言って「スルーすればいいニャ」で締めた。
そんな時、こんなことを思われていたなんて知らないムギホシから提案があった。
「ここって湖の近くだよね」
「地図を見たら湖の横方向に100メートルだね」
「たぶん宇宙艇も前に進ませるくらいならできるわ」
「どういうことミャ??」
「……あ、ここと湖を繋ぐってこと!?」
「さっきのタツローの必殺技を使って地盤に穴をあければ……。わたしのミサイル砲もあと2発は残っているから手伝えるわ」
なるほど! なんとかいけそうだ。
「じゃあ、とりあえず宇宙艇をクレーターの前まで持っていこう」
「それで練習ニャ」
「「がんばってね(ニャ)」」
ムギホシの今日一番の出番がここかもしれないな……。
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その後、2時間掛けて宇宙艇を地上まで上げて、それから5時間掛けて聖地までなんとか運ぶことに成功した。
俺達は燃え尽きたムギホシを見てと笑顔で言った――「ありがとう。おつかれさま」と。
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