次の日。俺達は宇宙艇を手に入れて清々しい昼を迎えた。
なぜ昼かと言えば、みんな寝ていたからだ!
昼から各自起きてきて食事をとりつつ今日の予定を相談する。
「とりあえず宇宙艇は俺が操縦しようか?」
「オイラも動かしたいと思うニャ」
「ナビで教えてもらいながら練習したらいいと思うわ」
ムギホシはそっけなく答えて、
「まあ、わたしは行かないからどちらでもいいけど」
と興味がなそうであるよな不思議な言い回しをした。
俺と虎鉄は苦笑いして誤魔化しながら――
「地球人の男なら一度は操縦したいって考えるものさ」
「人間じゃないけど猫もいっしょニャ!」
「だから操縦は俺達に任せて――」
「「一緒に行かないか(ニャ)!?」」
ズバリと聞いてみた!
ムギホシは少し黙って、
「バカね。そんなことより宇宙艇でちょっとやっておいた方がいいことがあるの」
――だって。
やった方がいいことって? 俺達は続きを促した。
「宇宙艇は無事だけど昔の船だから、あるていど新しい地図にバージョンアップしておくべきだと思ったの」
その後、すぐに付け足した。
「500年経った船だし……」
「ハードは大丈夫だけどソフトに欠陥が……というか不具合が発生するということか」
「で、その回路を今のものに交換すれば、ということよ」
「その回路はココにあるかニャ?」
「あったらこの話はしないわ」
俺と虎鉄の頭に「?」が浮かぶ。
「この間、丁度良くゴブリンの宇宙船を堕としたからうまくいけば……」
ムギホシがイイ顔の笑顔で言った。
「拾えるかもって」
俺も破顔しながら頷いた。
しかし、虎鉄は違う心配をしていたようだ。
「500年前の回路って繋ぐことができるのかニャ?」
その心配か! それは確かに心配だ。どうなの、ムギホシ先生?
「数百年ならとりあえず大丈夫。繋げれるわ。」
「そうなのニャ?」
「その昔ドワーフに一人科学の天才がいたから。その人は300年前に行方不明になったの。
その時科学の進歩は一旦止まったのよ。
ようやくその人のレベルに追いついてきたって感じ。
この辺りに来るゴブリンを見てたらわかるのよ」
「へ~そんなことがあったのか」
「ゴブリンの使ってるマシンは中古でボロボロだけど」
「ところでドワーフって種族名だよね。その頃は交流があったとか?」
「生まれて100歳は他の星とたまに通信でやりとりはあったのよ」
なんかムギホシの話が聞けそうかも。たぶん虎鉄も同じことを考えたはずだ。
「この聖地にも来たのかニャ?」
「聖地は一族以外は秘密だから、通信だけ」
「100歳のときって、そのとき何が起こったの?」
「通信機が壊れたのかしら通信できなくなったの。詳しいことはわからないわ」
「じゃあ、通信が壊れてそのあとは一人だったってこと?」
「その時はもう一人いたわ。わたしの祖父が」
彼女はちょっと寂し気な表情を浮かべた。
「もう亡くなって200年が経つわ」
「すまない。ご冥福をお祈りします」
「寂しいよニャ。哀悼の意を捧げるニャ」
「わたしの祖父であり師だったわ」
師ということはルーンの民の宗教のことかな。聞かないでおこう。
「師ってなんの師かニャ?」
虎鉄くん、普通の顔してそんなことを聞いて。よしなさいって。
しかし、彼女も普通に答えた。
「テンシン――教義よ。テンキョクホクシン。剣と武器を使う流派とも言う」
天極北辰と言うのか? 視界に字が出てきた。
ムギホシが厳かに口にする。
「剣こそエルフの道、星神様と共にあれ」
変わった教義と流派だ。でもムギホシでは似合っていると思った。
そしてムギホシは空気を換えるように言った。
「回路がそろったら、この星を出て行けるわね」
「一緒に行ってほしいニャー」
「俺達は真面目に言ってるんだけど……」
「聖地を守らないといけないから。他の星で通信装置が手に入ったら持ってきてね」
ムギホシは笑って言う。
いやいや、ちょっと待てってと思いながら、とりあえず俺達も頷く。
「わかったよ。でもすぐには出ていかないから追い出したりしないでね」
俺は軽い冗談を投げつつ、虎鉄に「あとで相談しよう」とアイコンタクトを送った。
「じゃあ今は回路だけでもあればだニャ!」
アイコンタクトが受領された。
「じゃあ食事が済んだら行ってみるか」
『10秒後に元に戻るよ。がんばってね。あ、最後にルーンの民に伝えて、それは――
――もう外に行きなよ。心配無用だよ、君が知ってるあそこを調べてねってね』
星の子というか星神のメッセージはこのことか、と俺は思った。
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