01 宇宙レベルの連れ去りか?
俺は田中達郎、会社員の32歳独り身だ。
めでたく昨日付けでリストラになしました!
ありがてえ話だ。畜生め!
リストラの理由は俺の所属する支社が潰れたのだ。
それなりに役職もあったので潰れる支社の面倒を見ようと思ったわけだ。
本社に行くとか他の支社に行くのかとかあったけどやめたんだよね。疲れたんだよ。
しばらく休もうかなっと思っている。
家族は俺と猫が一匹。
愛猫の名前は虎鉄。オスで5歳の雑種のサバ白だ。
飼い始めた当時を思い出すと、なぜかいつの間にかウチに子猫がいたのだ。
5年前、ちょうど両親が死んでしまったので寂しかったのだ。それから一人と一匹で暮らしている。
突然、虎鉄が窓の方向を向いて「ミュウミュウ」と鳴き出した。
東の夜空に向かって何か訴えているようだ。
なぜか胸騒ぎを覚えて、俺も東の夜空を見たのだが――
遠くからこちらに向けて光の玉がやってきた!
その瞬間、光の奔流に流されて……
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心の中で誰かが何か叫んでいる。
日本語じゃないみたいだ。
でも、その人はひどく悲痛な感じで叫んでいるように聞こえる。
そんな声を感じながら意識を取り戻す――
目を開けると、そこは虹色の光で満たされていた
「なんだ夢の中かな……」
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まだ叫んでる。何を叫んでいるのだろう。そろそろ煩くなってきたな。
「ニャウ」
下を向くとそこには虎鉄がいた
「ニャニャウ。ナウン」
今度は虎鉄が何か訴えている。
「ニャニャウ」
そう言って虎鉄がちょっと向こうを振り向いた。
ちなみに心の中では誰かがずっと叫び続けている。
なんだろう? 距離感はいまいちわからないが自分から1メートルくらいのところに何かがあった。
なんだ?
カサカサカサ……
「ニャウー」
虎鉄も反応している。
これはゴキブリだ!
。。:p0khtrdァスァ
あれ、心の中の声の調子が変わった気がする。
なんだかわからないが……。あ、虎鉄が捕捉したので狩るつもりかな。
「うにゃ!」
虎鉄はジャンプして手でバシッとゴキブリを叩いた。
あ、狩った。さすが虎鉄。えらいえらい。え、こちらに持ってくるの? 困ったな。とりあえず向こうに捨てるか。
ゴキブリの触覚をつまんでできるだけ遠くに放った。
七色の光の壁に当たったんだろうかジュワッと音がしてゴキブリの屍は消えた。不思議だなー。まあ夢だしいいか。
と、そんなことを考えていると突然俺の声とは違うソプラノの声が響いた。
『あ~邪悪な存在を消してくれてたすかったよ。どうなるかと思ったよ。言葉は大丈夫かな。音声を出して意思疎通するのは久しぶりでね』
あ、普通の声が聞こえた。不思議な夢だな。ねえ、虎鉄もそう思うだろう?
「ニャウン」
これは肯定の意味だな。
「さすが虎鉄はかわいいな~」
虎鉄の頭と身体を撫ぜる俺。その間、3分。
『悪いけど夢じゃないよ。現実さ』
また声がした!
「え? 夢じゃないって。まさか~なぁ虎鉄?」
『そう言ってまたその子の身体を撫ぜる気かな。ちょっとやめて話を聞いてほしいな。そちらの彼はわかっているみたいだけど』
「ニャニャウ」
虎鉄が自信をもって鳴く。胸を張ってるみたいだ。
『ほらね』
「ミュウ」
……まさか。
改めて自分の置かれている状況を見てみる。
まわりは七色の光に満ちていが、後方のみ七色の光はなくて、流れる夜空が見えていた。
「なんだこれ? これは何なのでございますしょうか?」
なぜか変な敬語になってしまう。
『有り体に君たちの言葉で言うと宇宙にいるのさ』
「ええ……宇宙? スペースの宇宙ですか」
『スペースよりもユニバースだね。ところでアレはなんだい? 初めて見たけどあれほど禍々しい生き物がいたとは思いもよらなかったよ』
スペースではなくユニバース? 禍々しい生き物って?
「ああ、ゴキブリですか? まあ、たしかに禍々しいけど。あの大きさなら触覚を摘まんで捨てれますけど。もっと大きかったらと思うと俺も震えますね……」
『ゴキブリ! そうか、あれが古に伝え聞くゴキブリか……。絶滅させたと聞いたけど、この辺境ならまだ生き残っていたんだね』
絶滅……。ゴキブリは絶滅させられるのだろうか。それはいいとして、会話を宇宙にもどそう。
「それで今いるのは宇宙のどこですか? 地球は見えないようですが……」
『いいところに気づいたね。そうなんだよ。君たちの星はすでに遥か彼方なんだよ……しかも、もう僕も新たな旅に出なければならないから地球に戻る時間がないんだ……』
「ええ、そんな殺生な! じゃあ、俺達もその旅とやらに付き合うしかないということですか?」
「ミャミャミュウ!」
虎鉄も俺の残念な声に反応する。
『僕は忙しくてさ……もうそろそろ別の次元に行かなけいけないし……』
声の主はちょっと食い気味に言ってきた。
『まあ。もうすぐ昔の眷属の惑星を通るから、詳しい話はそこで聞いて欲しいんだ』
「惑星!? 眷属!?」
『とりあえず君たちに力を与えようと思う。
君たちの家に帰れるように。ゴキブリから助けてもらったお礼だよ。
うーん、どうしようかな。
ちょっと君の中を覗かしてもらってもいいかな。
あ、これは良いアイデアだなあ。うん、これにしよう。
あと、君達用にナビゲーションシステムも付けるよ。寝てる間にチュートリアルも付けておくからね』
「さっぱりわからないですが……」
「ニャウニャウ」
『あ! もうすぐ眷属のところを通るよ。ちなみに僕は止まれないんだ。じゃあ、がんばって! 君たちの幸運を祈るよ』
七色の光が俺達から離れていく。
夜空の中にいるみたいだ。というかこれがひょっとして宇宙か!
そして宇宙空間で星が近づいてくる。
そうか、星が近づくのではなく、俺たちがその星に近づいているのか。
その内、俺達の周りを赤い光が包んできた。
俺は虎鉄を抱えて震えることしかできなかない。
『惑星に降りたら『ルーンの民』を探してね。あと最後に、力の源はイメージだから!』
遠くでソプラノの声が聞こえた。
そういえば彼の名前を聞くのを忘れていたなぁと消えつつある意識の中でそう思った。
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