「――聞いてるかぁ。
泣く子も黙る宇宙ギャングのアビゲイル・ローゼス団のスラッシュ様とは俺のことだ!
愛する弟のリリアムを殺したのは誰だ! 出てこい!!
殺してやる! 俺のこの星間爆撃機でなぁ!!!」
あのリリアムってゴブリンの下っ端だよな。
ギャングの親分の弟って、下っ端に見えて今後を期待させる人材だったのか。
「しかし、説明口調は素晴らしいニャ」
「バトゥ、ここはいいから先にエルフィンⅡでスタンバってくれ。俺達はムギホシを追うよ!」
「星の子案件だしニャ。行った方がいいニャ」
虎鉄の言う通りだ。何かが起こる気がする。もうすでに別の案件が起こってますが!
「わかりました。とりあえず無線映像は使えるので時間稼ぎをしておきます」
「助かるよ。しかしギャング相手に時間稼ぎって……」
「長い間働かせてくれたので、そのお礼がてら、ですよ」
バトゥに顔が「^_^」になってる。顔は笑っているけど、これは逆の感情だよな?
「なんと言ってやろうか楽しみです。さあ、お早く!」
なるほど、了解だ。
「達郎、早く早くニャ!」
駆け足状態の虎鉄も叫んでいる。
「走るぞー」と言うが早いか虎鉄の速さのついて行けない! 待ってくれー!
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「ムギホシはこっちニャ!」
そのあとナビを使ってムギホシの跡を追う。
神殿の地下深くに降りていく。
もう神殿ではなく鍾乳洞のダンジョンだ。
そして長い通路を越えた先にムギホシはいた。
「あ、ナビで追ってきたのね。忘れていたわ。ここは星神様の関係者だから入ってもいいけど本来はダメなのよ」
「今はそれどころじゃないニャ。で……ここが目的地ニャ?」
突っ込みを入れつつ虎鉄は彼女の目的地を聞いてみる。
「ここは聖地の聖域の中心地よ。そこにあるのが御神体よ」
そこは石が巨大なアーチ状に積まれた広いドームだった。
地面に模様が刻まれていて、その中心に3メートルの黒い像が立っている。
像は何で出来ているのだろうと思ったらムギホシが教えてくれた。
「エルフィン合金よ」
「「エルフィン合金~?」」
「私の装甲とかエルフィンⅡの外装にも塗料として使われているわ。
この星しか採掘できない超硬度・超軽量でこの宇宙で一番硬くて軽い超合金なの。
エルフィニアの発展はこれがあればこそのものだったの。
その原材料が枯渇してしまったのだけれど……」
「この人って星神様ミャ?」
長い髪でローブを着た中性的な人の像だ。表情は穏やかに微笑んでいる。
「こんなに大きな人がいるのニャ~。びっくりだニャ」
それは多分違うぞ。
「像と像の周りを調べているんだけど何も見つからないわ……」
それを聞いて俺と虎鉄が叫んだ。
「そんな時こそナビの出番だろう!?」
「そうニャ!」
視界には像全体を指すカーソルが出ていた。
『像に力を注いでください』
なんか出たぞ!
「ミサイルに力を充填したみたいかニャ?」
おそらく『力』というのは霊理力だろうな。
「まずはムギホシが一人でやってみてくれ」
「やってみるわ」
ムギホシ一人でやれれば問題ないはず……。
『像に力を注いでください 1%』
『像に力を注いでください 2%』
ここまで1分。遅いな! ゴブリンが責めて来ているのに!
たぶん俺達のSPでもやれるはずだと思う。やってみるか!
念のためムギホシを窺ってみる。無言で首を縦に振る。
「やるぞ。虎鉄!」
「OKニャ!」
三人が両手を前に出して像に力を注ぐ。
『像に力を注いでください 50%』
凄い速さだ! そして10秒ほど経って――
『像に力を注いでください 100%』
おお、やったぜ!! これからどうなる?
像の下に機構があるのだろう。像が下がっていく。
その時だ。
視界に大きなメッセージが現れた。
『この惑星はあと30分で次元の狭間に秘匿されます。早く脱出してください』
三人は数秒が黙ってしまった。
「とりあえずエルフィンⅡに行こう! バトゥの事も心配だし」
「ゴブリンもあれから何も言ってこないが怪しいニャ」
「わたしもこの星を出るって決めてたから荷物を運んでてよかった……」
俺と虎鉄とムギホシはエルフィンⅡに向けて全速力で走った。
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