猫と俺の オブ ユニバース   作:滝ノ水ネロ

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21 ゴブリンの星間爆撃機

エルフィンⅡのコックピットに着いたのは残り28分47秒を越えたところだった。

 

入り口はコックピットの後方から入る。

 

前方には大きなスクリーンモニターがあって正面でバトゥが座っていた。

 

モニターに映っているのがおそらくスラッシュ様だろう。その横にあるサブモニターに映っているのが星間爆撃機ってことだな。

 

『そいつらがリリアムの仇か! よくやったぞ!!』

 

なにか言ってるみたいだが、それを無視してバトゥに挨拶だ。

 

「バトゥ、おまたせ!」

 

「お三方待っていましたよ」

 

バトゥはモニターを見ながら背中越しに言った。

 

「ようやく到着ですか。でも思ったより早かったですね。ゴブリンとの会話はそろそろ辛くなってきたところです」

 

『なにを言ってる!?』

 

「10分くらいでもそうなるのかニャ?」

 

「冗談や戯言がまるで通じないのでこっちの方が疲れましたよ」

 

そういう事か。あえての褒め殺しか。バトゥの言い方からすると9割以上バカにしていたのだろう。

 

「ゴブリンはそういうとこあるからいやね」

 

相変わらずスラッシュ様を無視してみんなで話す。

 

『俺様を無視するな! 俺を誰だと思ってやがる!』

 

ついに彼が怒った。沸点が低いなー。あ、そもそも怒ってこの星に来たんだっけ。

 

「スラッシュ様でよろしいでしょうか?」

 

「犬より器の小さなスラッシュ様だニャ」

 

俺と虎鉄はモニターを眺めて知ってる。脅威度は清々しいほどの青色だ。好感度はもちろん赤。

 

もう一つのモニターに映った星間爆撃機、全長400メートルの方も全体を映しているが脅威度は当然真っ赤っ赤だ。

 

しかし、この星にミサイルを落としたのだ。このルーンの民の聖地に。許せなかった。

 

『なんだとぅ!!!!』

 

その時、ムギホシがバトゥに向けて聞いた。

 

「それでバトゥはこのゴブリンは知ってるの?」

 

バトゥが「実は」とつけて吐き捨てる。

 

「このゴブリンが一番私を虐げていたのです。まさにハラスメントの権化です」

 

それを聞いたムギホシは「それがわかればいいわ」と言って、メインモニターの正面に来た。

 

「アホ・ルーサー団のバカッシュだっけ。わたしはあなたをこの星で負かして出て行くわ。剣こそエルフの道、星神様と共にあれ……覚悟しなさい!」

 

彼女は啖呵を切って無線を切った!

 

おお、素晴らしい。では、いっちょうやるか。

 

「よしバトゥ、離陸の準備はいいな」

 

「待ちくたびれましたよ。皆さんが座ってくれれば出せます」

 

そう聞いた俺達は席につく。席順は向かって右からムギホシ、バトゥ、俺、虎鉄だ。

 

「OK、離陸だ!」

 

『お前ら、ぶち殺してやる!! その星は俺のものだ!!!』

 

*********************************

 

「なんと、この星が次元の狭間に隠されるとは!」

 

バトゥは操縦しながら驚きの声を上げる。

 

「30分はあと残り2分くらいだ」

 

「あいつら倒すのはそのあとね。この星で葬ることはできないから丁度良いわ」

 

「次元の狭間ってどうなるミャ?」

 

「……とりあえず成層圏まで行けば俺達は大丈夫だってナビが言ってるぞ」

 

バトゥは操縦レバーを力一杯引く。

 

「2分あったら成層圏なんて余裕です。30秒もかかりませんよ!」

 

ここまで離陸してから1分も経ってない。ゴブリンの星間爆撃機は大騒ぎだろう。なんせ突然宇宙艇が現れたんだから。それも白銀に輝く美しい宇宙艇だ。

 

成層圏には星間爆撃機とその周りに50機の戦闘機が俺達を待っていた。

 

「そろそろだな。無線を繋いでもらえるかな?」

 

俺はバトゥに頼んで無線を繋いだ。

 

『なんだ!?』

 

スラッシュが律儀に無線に出てくれた。

 

「あーごめん、さっき言い忘れたけどこの星――エルフィニアはなくなっちゃうんだ」

 

「だから、おまえにはあげないニャ!」

 

『おまえら、なにを――』

 

その後、スラッシュの言葉なんて耳に届かなかった。

 

スラッシュを見ると口をあんぐりと開いて唖然としている。

 

 

世紀の天体ショーの始まりだ。

 

 

惑星エルフィニアの全体が輝いてゆく。

 

その光が眩しくて目を開けてられない。

 

その輝きが頂点に達したとき――

 

エルフィニアは無数の輝きとなって消えた――。

 

 

『なななな、なんだ――! なにが起こったのだ!!』

 

「さっきも言った通り、消えたんだよ」

 

『……ふざけやがってぇ。仇を討ったあとのお楽しみだったのよぅ』

 

「仇はまだいるニャ」

 

「仇っていうと、わたしのことね」

 

『お前ら、宇宙の藻屑にしてやる!!』

 

ブチッと無線は切れた。お互いに言うべきことは言ったと思うな。

 

「そういえば、向こうにはバトゥ以外で味方はいないよね?」

 

「心配ご無用です。反吐が出るゴブリンしかいないです」

 

ならばOK! でもバトゥは平然としてるね。

 

「この宇宙艇の武装なら負けることはありません。あなた達が作った武装ですから。それに操縦は私ですから!」

 

エルフィンⅡは急加速! すげえGが掛かる。それでも平気なのは体調管理機能が働いているおかげかな。

 

敵まで距離1000km。まずは星間爆撃機の攻撃だ。

 

主砲、副砲諸々合わせて重レーザー砲とか重イオン・キャノンとかを撃ってきた。

 

当たれば痛いけど当たらなかったら余裕だね。それも宇宙艇は小さいし。

 

エルフィンⅡは華麗に躱しながら星間爆撃機に肉薄する。

 

今度は戦闘機がバラバラに展開しながら襲ってきた。

 

宇宙戦闘機と宇宙艇では宇宙艇の方が大きい。でも速さと小回りが利くのはエルフィンⅡだ。

 

俺達もGには全然堪えなかった。ムギホシも平然としている。

 

「エルフの限界を超えているのにさすがですね」

 

「剣こそエルフの道よ。宇宙船は初めて乗ったけど平気ね」

 

俺達には構わないのか? それよりも攻撃がちょっと激しくなってきたぞ。

 

「ムギホシ様はバルカン砲を、タツロー様が右翼、コテツ様は左翼の攻撃を担当してください」

 

ミサイル砲か。昨日教えてもらってよかった!

 

「やるニャ! 当たると痛いニャ!!」

 

虎鉄の放ったミサイルが1機の戦闘機に命中した。そしてその近くにいた戦闘機を2機も巻き込んで爆散する。

 

「凄い威力だミャ……。これがSP弾ニャ!」

 

今度は、戦闘機の後ろにつけてバルカン砲をダダダッと撃つと、敵は弾に当たって木端微塵になった。

 

「この戦闘は楽だわ」

 

次は俺の番だな。試す時が来た!

 

俺は右辺にいた敵に秘密のミサイルをお見舞いした!……のだが、

 

敵の戦闘機は避けて、ミサイルはその横を通過していく――。

 

ミサイルから雷が落ちたのは、その時だった。

 

ピカッ!

 

ミサイルを中心として大きな雷撃が四方八方に炸裂した。

 

避けた戦闘機はもちろんのこと周辺の敵も10機はやられたみたいだ……。

 

「なにをやったの?」

 

「あれは魔法かニャ?」

 

「虎鉄が正解だ。SPを充填するっていうから魔法も充填できるかなぁと思って……」

 

「凄いですが、ミサイル砲が故障しなくてよかった。いや暴発したらと思ったら震えますね……」

 

 

……実はもう一つあるんだな、これが。




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