それから1時間、俺達と敵との鬼ごっこが終わりに近づいた。
「これでおしまいニャ!」
最後の敵の戦闘機を落としたのは虎鉄である。
「戦闘機50機 vs エルフィンⅡ」は余裕でエルフィンⅡの勝ちだった。
あとは星間爆撃機のみ。
丁度良く星間爆撃機が前方に映る。距離は50kmだ。
俺と虎鉄は狙いをつけてミサイルを放った!
ビ―――――――――ン…………
ドン! ドン!
2つのミサイルは星間爆撃機の前方で不可思議な壁の阻まれて爆発する。
「……これはなんだ? バリアか?」
「バリアは反則ニャ!」
星間爆撃機から距離をとる。
エルフィンⅡのコックピットに無線の応答のアラームが鳴った。
みんなが俺を見る。出ろという意味か?
「こちらエルフィンⅡだ。ガードが堅えじゃねえか。なんの用だ?」
『こっちの防御は新型の偏向シールドでなぁ。これなら戦艦の主砲だって跳ね返すぞ。……今回は痛み分けでどうだ?』
「その偏向シールドとやらはこっちの攻撃を全て跳ね返すのか? 馬鹿を言うんじゃねえ」
ちょっと気になったので横目でバトゥを見る。
「五分五分でしょうね」
五分五分だったら勝ちに乗るぜ。虎鉄もそうだろう?
虎鉄も頷いている。
反対方向を見る。ムギホシとバトゥも頷いた。
「これからは一対一だ。最後までやろうじゃないか」
『それが答えか。まったく阿保はしょうがねえなぁ。
「また説明口調ありがとニャ」
『殺してやるよ。帝国から借りたこの星間爆撃機でなあ!』
「ターゲットがロックされました」
淡々とバトゥのアナウンスが流れる。
「船の操縦はまかせたぞ」
レバーは倒して全速前進あるのみだ!
レーザーとミサイルとよくわからないビーム兵器がこちらを襲う。
こっちは敵が照準に入ったら撃つのみだ。
しかし、偏向シールドに阻まれてしまう。
「もうバルカン砲は弾切れよ」
「こっちもだニャ!」
ということは、この一発だけか。
さっき聞いた暴発の恐れがあるので使いたくなかったのが……。
「最後の一発のこのミサイルは魔法SP弾とは威力がケタ違いに大きいと思う」
一応、みんなにも聞こう。
「使ってもいいかな?」
「ちょっと待って。普通の魔法ではないってひょっとして黒炎龍の魔法!?」
「タツロウ様のその魔法は魔法SP弾の威力の何倍あるのでしょう?」
「ちょっと待ってくれ。順番に答えるよ。 黒炎龍の魔法? そうです。何倍に威力があるかだって? 正直わかりません! やるか、やらないかしかないよ!」
この答えにムギホシとバトゥは沈黙した。
そして最後に虎鉄の答えに託された。
虎鉄は一言だ。
「……使ってみてもいいニャ!」
そうだよな! やるしかナッシングだよな!
「ま、そうなるわね。負けたら殺されるし」
「この際、賛成するのが良いでしょう」
「ありがとう」
俺はみんなに頭を下げた。
「一撃必殺。当たる前から全速力で離れるんだ」
黙って頷くみんな。
レバーを前に倒すバトゥ。
ゴブリンの星間爆撃機は最後に猛攻撃に出る。
避けながら前へ前へと進んでよく俺達。
「今ニャ!!」
「撃って!」
「まかせろ! 俺の秘策、黒炎龍弾だ!」
星間爆撃機の吸い込まれていく……そして――
前に使った黒炎龍とは違う巨大さだった。全長400メートルの星間爆撃機を包む程だ。
その黒炎龍がひと際輝く。
星間爆撃機を飲み込んだのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォゥゥゥゥゥ――
宇宙には静寂が下りたようだ。それが怖くて俺は声を出してみる。
「やったかな?」
と思ったら視界に超大きな文字で『
こんな機能ってあったの?
「オイラの方も『
「実はわたしも表示が出たの」
「実は私も……」
え、虎鉄はわかるけどムギホシとバトゥも表示されたって……?
その時世界が変わった。
エルフィンⅡのコックピットに座っていたはずが立っているのだ。
他の3人も俺と同じように立っている。
周りは虹色に輝いていた――
『おめでとう! だよ』
ソプラノの声が響いていた。
「やっぱり星の子か。これはこの前と同じ残像思念だっけ。あれなのか?」
『今回は正真正銘の僕だよ。まあ『正真正銘』はどうかはわからないけどね。あ、止まれるようになったんだよ。そこは安心してほしいな』
「止まれるようになった」とか俺と虎鉄しかわからないことも言うなって。困ったもんだ。
「帰ってこないと思ってたミャ」
『時空とか次元を超えて旅をして、新たな存在になって戻ってきたんだよ。我ながら早いなーと思うよ。でも、がんばったからね』
ムギホシが一歩前に進み出た。
「ルーンの民、巫女のムギホシと申します。この度は星神様の御光臨感謝いたします」
聞いたことあるなあ。虎鉄も笑っている。
『ルーンの民だね。会いたかったよ』
星神の姿は相変わらず見えないけどルーンの民との5万年ぶりの邂逅だ。
「なんという幸せ……」
『実は君にも伝えたいことがあってここに来たんだよ』
ムギホシは一言も漏らさず聞いている。
『惑星エルフィニアの生きとし生けるものは生きているよ。動物や植物、モンスターもろもろも全部さ。だから君は出て行ってもいいのさ。君が帰ってくるまで星は隠しておくからね』
「……はい」
見るとムギホシが泣いていた。泣き笑いだ。
『それで君たちさ。君たちは真のチュートリアルが終わったということで』
「チュートリアルだったのか!」
『これでどこにでも行けるでしょ?』
「もちろんニャ!」
『いい返事だよ』
星の子はいい返事が聞けて嬉しいようだ。
「コホン」と咳をする振りをして続ける。
『じゃあ、そろそろ行くよ』
俺はまた会えるのかと聞いてみようかなと思ったがやめておいた。
「わからない」と言うか「会えるよ」と言うかどっちでもいいかなと思ったから。
『最後にムギホシに向けてだよ。戻ってくる時にはエルフを集めてね。がんばって』
虹色の時間は終わりを迎えた。
宇宙は静寂を取り戻している。
俺はさっきから気になっていることを口に出した。
「バトゥはさっきから黙っているけど、どうしたの?」
彼はやっと口を開いた。
「怖いんですよ。なんですか? あの存在は。知覚できたことが何故なのかもわからず理解不能です。今まで550年で初めてです」
そう早口で言って、また押し黙ってしまった。
「だってさ。ムギホシはどうだった」
ムギホシは泣いてはいなかった。彼女はこの言葉を紡ぐ。
「剣こそエルフの道、星神様と共にあれ」
胸を張ってそう言う彼女は晴れやかに微笑んだ。
「虎鉄は――」と言いかけた俺に、虎鉄が聞く。
「オイラ達はどうしよかミャ?」
俺、いや俺達はこう言った。
「「「「バルボア星に向けて発進(ニャ)!」」」」
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