猫と俺の オブ ユニバース   作:滝ノ水ネロ

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33 再びハンター・ユニオンへ

ハンター・ユニオンに出入り禁止になって7日目のことだった。

 

これまでの俺達はというと主に水の販売をして生計を立てている。

 

生計を立てていると言うと貧しい暮らしだと思うが、初日の儲けを見てもらえればわかるようにボロ儲けだ。

 

現時点で460万クレジットの儲けだ! ヤッフー。

 

で、そんな俺達に朗報が入ったのだ。

 

「え! ハンター・ユニオンの修理が終わるんですか!?」

 

「そうなんです。思ったより修理が早く終わりそうで明後日には終わるって」

 

俺達にこの話をしてくれているのはハンター・ユニオンの受付にいたマルルさんでドッグマン族のシーズーのような姿をした優しい女性だ。

 

先日の最初に水を買ってくれたオジサンの知り合いだった。

 

水を販売する謎の集団で俄かに噂になっていた俺達のところにオジサンと水を買いに来てくれたのが彼女だったというわけだ。

 

あれが販売を始めて3日目で、それから毎日買いに来てくれる。

 

「じゃあ、オイラたちもあと明日で水の販売はやめるかニャ?」

 

虎鉄のその言葉にマルルさんはおろか並んでいる人達も驚いた。

 

「それは困ります! もうこの水がないと1日は始まりません! あと休憩や仕事終わりの一杯とか……とにかく困ります!!」

 

そんなにこの水って美味しいのか……? 自分ではわからないなぁ。でも、コーヒーみたいなものだろうか。

 

「それなら私が店のお留守を見ますから、お三方はハンター・ユニオンに行っていただければ」

 

そうか! そもそもバトゥはお留守番だし、この水を売ってる屋台もバトゥの身分証明書を使って場所を取ってるし、それなら言うことないな! 金も入るし!

 

「この星でできるだけお金を貯めておきたいわね」

 

ムギホシの言う通りだ。マネー・イズ・パワーだし、この宇宙でもそうだろう。

 

マルルさんにお礼をして「明後日はよろしくー」と挨拶をする。

 

俺達もクエストの準備をしたいとね、と虎鉄とムギホシと相談した。

 

明日一日は準備に費やすためにバトゥには早速だが留守番を頼もう。

 

あ、そういえば服は俺と虎鉄の分は買った。ハンター用の下から3番目の価格の装備で、下から3番目といってもナノマシン使って着替えるのも自由な装備だ。

 

霊理力を阻害する機能とかあったけど、それは役に立たないのでいらないとムギホシが言ったので付けないで、光学迷彩化(虎鉄の隠密スキルの方が上だ)、防御力アップなどその他の機能はつける。

 

フェイスガードは普段は見なくなっているタイプを選んだ。戦う時には危ない時はフルフェイスのヘルメットが守ってくれる。

 

結構お金が掛かって二人分で100万クレジットだった。でも上を見るとキリがないからこれくらいでいいと思う。また金が貯まったら買おう。

 

ちなみにムギホシは変えないそうだ。代々あの甲冑を着ているらしい。あの甲冑はカッコいいからなぁ。

 

あとは、情報収集もそれなりにやっていけそうな感じだ。

 

街の人達は良い感じだし、食堂もなじみの店になりそうな店をみつけた。

 

モーテルは1か月の中期滞在で前払いで借りた。4人で100万クレジットは安いと思う。

 

とりあえず身分証明書を取ったら、目標は本格的な情報収集だな。ゆくゆくはこのバルボア・シティの監督官(責任者のことらしい)とハンター・ユニオンのバルボア・シティの支部長に会いたいな。

 

まずは明後日のクエスト次第だな。

 

 

********************************

 

その二日後の朝ーー

 

あらためてハンター・ユニオンに行く俺達三人は準備万端に見えるだろうか。

 

緊張して眼が冴えて眠らなかった……俺だけか?

 

 

9日前と同じビルの同じ101階の受付にやってきた俺達。受付係はもちろん受付はマルルさんだ。

 

「ようやく始めれますね。がんばってくださいね」

 

そう言ってクエストの内容を教えてくれた。クエストの内容は簡単なものからランダムに出されるということで、俺達もマルルさんもこの場所まで来ないとわからなかったのだ。

 

どきどきするな!

 

「オイラは強いモンスターと戦いたいニャ」

 

「わたしもどちらかというとそっちね」

 

どうして武闘派ばかりになるかねぇ。俺は弱いモンスター相手がいいな。

 

 

「では、記念すべき最初のクエストは――ココティンゴの卵運び! です」

 

 

「「「え! 卵運び(ミャ)?」」」」

 

 

その後、クエストの詳細を聞いたが「卵運び」のまんまのクエストだった……。

 

それじゃぁわからんと怒る諸兄もいるだろうからよく聞いて欲しい。

 

まず「ココティンゴ」は街で売っているあの「ココティの卵」の「ココティ」よりデカくてモンスター化させた陸棲の蜥蜴のことを言う。

 

そして、ココティンゴの巣に忍び込んで1人1個の卵を盗って来たらクリアだ。

 

ちなみにココティンゴの大きさなんだが大体1.5メートルだって。めちゃくちゃ気性が荒くて、このクエストは新人ハンターには外れと言われているそうな。コモドドラゴンというか、それにカバを足したような見た目だ。

 

ね。ただの卵運びでしょう?

 

で、時間制限は3日間ということだ。これはココティンゴの巣を見つけるのにも時間が掛かるからだ。

 

「まあ、とにかく行ってみよう」

 

「そうだニャ」

 

「ココティンゴはここから近くには滅多にいないみたいよ」

 

「これはエルフィンⅡの出番かな」

 

俺達はとりあえず屋台で水を売っていたバトゥをピックアップして街の外に出ることにした。

 

「なるほど。ココティンゴですか。それなら良いところがありますよ。エルフィンⅡなら早く行けます」

 

さすがバトゥだ。早速、エルフィンⅡでレッツゴーだ。

 

 

********************************

 

 

そこはバルボア・シティから離れること20,000kmの大渓谷地帯だった。グランドキャニオンのイメージだな。

 

エルフィンⅡが着陸困難なので、大渓谷地帯の近くの着陸して残りはホバーバイクと徒歩でやって来た。

 

エルフィンⅡはアイテムボックスに戻したからバトゥは俺の背中に乗っている。

 

俺と虎鉄は初めての光景に感動していたが、それは最初だけで早速ココティンゴの群れを見つけて興味はそっちに行ってしまった。

 

ココティンゴは、バルボア・シティの近郊でも見かけられるが非常に珍しくて、だから初めてのクエストに選ばれるとマルルさんは言っていた。それに、ここまで来るまで新人のハンターの足がないし……って感じだ。

 

200メートル下の渓谷の陰で10体のココティンゴが体を休めている。ここが巣で卵を温めてるココティンゴもいた。ちなみに卵を温める係はオスの役目らしい。

 

『名称;ココティンゴ(10)

 種族:モンスター

 脅威度:白 好感度:赤』

 

お、脅威度は初めて見る白色だ。恐慌の魔法なら逃げてしまうだろう。

 

「どうするミャ。戦うのは簡単だけど弱いからできれば倒したくはニャいミャ」

 

「そうね。少し間だけ追い払ってもいいけど……」

 

二人はモンスターとは倒したくはないようだ。俺もそう思う。

 

「そんな時こそ魔法を頼ってほしいな。弱体化の魔法も効果範囲は増えたし、ターゲットのグループにできるしな」

 

「おーそれがあったニャ」

 

「それじゃあお手並み拝見ね」

 

3人はその場所で待機して、俺だけちょっと前に進みでた。範囲は500メートルだから前に出なくてもいいけど。

 

「まかせて頂戴……ね!」

 

俺は杖の振って睡眠の魔法をイメージした。

 

 

********************************

 

 

結果は、魔法で眠らせたら楽勝だった。

 

でも、なんと卵がアイテムボックスに入れられないのは驚いた。

 

有精卵だからそうなるみたいだ。そういえばエルフィニア星の旅をした時、卵は採取しなかったな。

 

そのあとはホバーバイクまで手で運びましたとさ。

 

 

エルフィンⅡに運び入れて、少し休憩しているところで虎鉄がまた何かを見つけた。

 

虎鉄が指差した先を見ると、800メートル先の渓谷の上を1人の人間が走っていく。凄い速さだ。

 

こちらに気づいたぞ。走りながら手を振っているぞ。どうした?

 

「なにか叫んでいるようですね」

 

「助けてくれーって言ってるみたいニャ」

 

「応援を頼むって言ってるみたいよ」

 

虎鉄とムギホシの耳はよく聞こえるなぁ。俺はバトゥと同じくらいだ。もうそろそろ距も100メートルを切るぞ。

 

エルフィンⅡを降りてみよう。

 

「あ、あれはいつぞやのジャガーマン族じゃないか?」

 

「ジャガーマン族Bだニャ」

 

「なぜジャガーマン族の顔を見分けられるの?」

 

それはナビのおかげです! いつも忘れそうになるけど……。

 

ジャガーマン族Bは息を切らせながら、こちらに来て俺達と知らずに叫ぶ。

 

「助けてくれ! 4人の仲間がやられてしまう。……俺は一人救援を呼びに来たんだ」

 

そう言って、こちらの顔を見てようやく俺達だと気づいたようだ。

 

「……なぜアンタたちがランク13以上の狩場にいるんだ?」

 

なぜって強いから? しいていえばムギホシが超強いからだけど。

 

「ここってランク13以上の狩場なの? なら余裕ね」

 

「ここらは黄色と緑色ばっかりだったニャ。だからオイラも余裕ニャ」

 

ムギホシは虎鉄は自信満々で返答する。

 

「……そうか。……でも、アンタだったら勝てるかもしれねえ。助っ人に入ってくれ」

 

ジャガーマン族Bはムギホシを見て真摯に言った。

 

「『勝てるかも』じゃない。『勝てる』わ」

 

ムギホシは短く答え、虎鉄は不満を訴えた。

 

「オイラも勝てるミュ!」

 

まあまあ、虎鉄は落ち着けって。

 

「まあ、水でも飲んで落ち着け。それで戦っている相手はどんなモンスターなんだ?」

 

「……すまねえ。……この水は激ウマだな! そうじゃなくて獲物は――

 

 巨大な蛇のモンスター『グローツラング』、ランク13の相手だ。そいつが3体いる』




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