猫と俺の オブ ユニバース   作:滝ノ水ネロ

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43 格納庫の夜

俺達はハンター・ユニオンの109階の会議室にいる。

 

そこにラシャヴァティ支部長とキーソン保安官、そしてロブロイもいて厳しい表情をしていた。

 

こちらは俺と虎鉄、ムギホシの3人が席に座っている。

 

全員に向けてロブロイが事件の概要を説明していった。

 

ナイセンを追って鉱山に忍び入ったロブロイが、反対に見付かって捕えられたということ。そして、俺達に助けられたというかとを順に追って説明する。

 

特に俺達に助けられた後は、話をしているロブロイも未だ半信半疑だがラシャヴァティ支部長とキーソン保安官も俄かに信じられないといった状態で聞き入っていた。

 

まあ魔法と言われちゃうとそうなるよね。だか俺と虎鉄は霊理力の亜流を使っていると言っている。ムギホシの()()()()が俺達の師匠ってことで……。それ以外は流派の「しきたり」で言えないの一点張りだ。

 

ラシャヴァティ支部長が口を開いた。

 

「よくやってくれた。礼を言うよ」

 

「俺もだ。本当にありがとう。」

 

キーソン保安官も深々と頭を下げた。

 

「しかし、友人のロブロイを助けてくれれば御の字だったが、あの鉱山の施設を本当に潰すとはなあ」

 

「それを言うなら私達ハンター・ユニオンも『潰してくれ』と言ったのは薬の工場か何かだと思ってただけで、モンスターの調教施設とは思ってなかったよ」

 

「それは捕まった本人も知らなかったからな……。助けてくれてありがとう。命の恩人だ……」

 

ロブロイも今日何回目だっていう感謝を述べて続ける。

 

「――で、最後に逃げたナイセンというジーン族だが……」

 

 

********************************

 

 

その日の夜――。

 

「それでココをあてがわれたというわけですね」

 

「そうなんだよ」

 

俺とバトゥが話しているのは宇宙ターミナル空港の端にある格納庫だ。

 

「古いけどエルフィンⅡにはデカいから結構いいところだな」

 

ここは、ランク14の報酬のオマケとして貰えたエルフィンⅡ用の格納庫だ。エルフィンⅡは船舶許可証も1週間後に貰えるということで、やっと俺のアイテムボックスから出せることとなった。

 

「そのジーン族はどうしたのですか?」

 

「ロブロイの追ってる奴はまだ謎。裏の仕事を色々やってるらしい。ジーン族でナイセンという名前だけしかわからないんだ。そのジーン族ってのも俺達が会ってわかったんだけど」

 

「ムギホシ様ですね」

 

「うん、そう。俺と虎鉄のナビも見えたけど、実は俺達のナビでも見れないことがあったんだよ。あいつの正体がわからなかったんだ」

 

「ジーン族の魔理力(まりりょく)ってやつですね」

 

「バトゥも魔理力は知ってるのか。ムギホシは聞いたことはあるけど見たのは初めてだって」

 

「私もそうです。そうですか、魔理力とは霊理力と違って攻撃が主だと言います。とりあえず怪我がなくて良かったですよ」

 

「そうらしいな。奴の逃げる時の消え方とか魔理力と聞いたからか虎鉄が気になってねぇ。早くも忍者にクラスチェンジしたよ」

 

「『忍者』とはなんですか?」

 

あ、このことから言わないといけなかったっけ。翻訳機能があるから忘れていたよ。

 

俺とバトゥはしばらく忍者とは何かについて語り合った。

 

「……だからコテツ様はムギホシ様と一緒にハンター・ユニオンに居残りなのですね?」

 

「虎鉄の忍者の能力を確かめるため、っていうけどムギホシと試合したかっただけだよ」

 

俺とバトゥの二人は笑いあった。

 

そういえば俺とバトゥも何故ここに残ってるのかと言うと――

 

「……新しい兵装はこれでいけますね。これならエルフィンⅡはもっと強くできますよ」

 

そうなのだ、バトゥに兵装を見てもらって新しい武器と追加で色々付けてもらおうと思ったわけだ。もちろんムギホシの了解済みで。

 

「ミサイルはこれで2.5倍の積載量になります。荷電粒子砲2門、ガトリング砲4門と諸々を付けました。エネルギー・フィールドも付けたので防御面も3倍です」

 

すばらしい! これでエルフィンⅡのエルフィンⅡ改と呼べるな!

 

「しかし、そのナイセンが逃げたということはまだ解決してないことがあるのですね」

 

さすがバトゥだ。俺が心配していたこともそこにある。

 

「ナイセンはエルフィンⅡを探していたらしいんだよ。それにアビゲイル・ローゼス団の名前を出して、だ」

 

「それはアビゲイル・ローゼス団の壊滅を知った者がいるということですね」

 

「これはラシャヴァティ支部長に聞いたんだけど、あの鉱山の海賊の大本がアビゲイル・ローゼス団と関係があるということで……」

 

「そんなことが! 知りませんでした。はぐれ海賊に売られたとばかり考えていました……」

 

「実は、その大本の海賊――黒薔薇団の首領、アクセルがアビゲイル・ローゼス団のスラッシュの義兄で且つリリアムの父だって教えてくれたんだ」

 

「なんと……」

 

「しかも、これはキーソン保安官から聞いた話だが、調整済みのモンスターの出荷もデカい稼ぎで、このバルボアの稼ぎだけで黒薔薇団の利益の1/3は賄えるほどだったそうだ」

 

「これは来ますね……」

 

「来るだろうなぁ……」

 

「「報復に」」

 

俺とバトゥは二人とも言ったのちに後悔してしまった。

 

「でも来るとしたらラシャヴァティ支部長もキーソン保安官も1ヵ月はかかるって言ってた。遠い星系の海賊だし、それだけかかる編成だって。おそらくスラッシュが見てたシノギを引き継いだんじゃないかな」

 

「なるほど。しかし、それほどの大部隊ですか。アビゲイル・ローゼス団の星間爆撃機でも一地方の海賊にはもったいないですよ」

 

「いや、黒薔薇団はアビゲイル・ローゼス団に比べると大海賊それも海賊王に入るほどだって言うぞ」

 

バトゥの顔が「=_=」となっている。それは初めて見たぞ。

 

「聞いたところによると、戦艦1隻、巡洋艦3隻、星間爆撃機10機あと戦闘機2000機だって。全部古くてボロボロだけど幽霊船として恐れられてるみたいだ」

 

「で、自由連盟の軍が出てくるのですか?」

 

「ハンター・ユニオンの宇宙船を持っているハンターも出張るようだ。ランク14以上だから強いと思うよ」

 

「だから自分達もエルフィンⅡの改装を急いでるというわけですね」

 

俺は力一杯頷いた。

 

「そういうこと。なんか胸騒ぎがするから、急いだ方がいい気がするんだよなぁ。まあ、今のレベルの最大級のSP弾を急いで作っておくよ」

 

 

と、言っていたのが正しかったのか、その二日後にバルボア・シティは宇宙海賊の黒薔薇団に襲撃されたのだ。




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