色々変なところがあるかも
蓮ノ空学院。元々は女学院だったのが、3年前に共学となった。だがそこの学院は大人たちの派閥があり、男子を入学させる事を反対する規律派と生徒たちの自主性を重んじる容認派がある。その二つの派閥が揉めに揉めた結果、『男子生徒の入学試験は一般生徒と違う試験を受けてもらう』と言うものだった。
学術試験はかなり難しいもので、ここ何年間は男子が入学したことがなかったらしいが…………今年103期生として僕ともう一人の男子が入学することになった。なったのだが…………
「とりあえず自己紹介だよな。守谷六花だ」
「六花か……よろしく。俺は相花理桜。それでどうする?」
「そうだよな……どうしようか?」
僕らは目の前の建設途中らしきものを見つめた。その男子寮は一体どこにあるんだ?
「待たせたねぃ。君達が蓮ノ空初めての男子生徒だね。私は大賀美沙知。ここの生徒会長さ」
緑髪の小柄な少女。この人が生徒会長か……
「君達二人に来てもらった理由は分かってるね」
「はい、確か……共学になってから初めての男子生徒だから、なるべく早く他の寮生になれてもらうためにって……」
「理由は分かったけど……俺たちが住む寮が見当たらないんだけど?」
「あー……それは……間に合わなかったんだよ」
間に合わなかった?どう言うこと?共学化したんだから、男子寮くらいあるものかと……
「蓮ノ空の男子生徒の入学試験が難しいことは知っているね。共学になってから入学者が入らなかった。それで去年……」
生徒会長の話では、男子が入学するのが無理なのではと言う意見になり、誰もいない男子寮を維持するのは勿体無いと言うことで、取り壊したらしい
「取り壊した後、まさか男子生徒2名が入学するとは上は思ってなかったみたいなんだよね」
それで慌てて男子寮を建設しようとしたけど間に合わなかったと……
「だから出来るまでの間、君達には女子寮に……」
「因みに男子寮に関してはこちらの要望をある程度聞いてくれたりは?」
理桜が突然変なことを言い出してきた。いや、分かるよ。学校の不手際なんだからそれぐらいは……
「まぁ……聞いてくれるだろうね」
「それなら、男子寮に関しては俺たちが自由にしても?」
「そうだね。ちょっと待っててくれない?」
生徒会長が何処かに電話を掛け、少しした後……
「うん、自由にしていいらしい」
「分かった。とりあえずテントとかある?」
「あるけど……」
「俺はそっちにテントで寝るから……六花は女子寮に……」
「それは流石に申し訳ないから、僕もテントに泊まるよ」
と言うか絶対に一人だと目線が気になるし……正直耐えられる気がしない
「テント二つだね。分かった」
それから生徒会長がテントを二つ持ってきて、そのまま僕らは……あ、そうだ
「生徒会長……」
「守谷……堅苦しいね。生徒会長呼びはしなくていいよ」
「大賀美先輩、ちょっとお願いしたいことが」
「お願い?」
「藤島慈って生徒に伝言をお願いします。僕が来た。理由は分かるなと」
「了解したよ。それじゃ」
大賀美先輩を見送ると理桜が何処かに電話をしていた。
「それじゃ明日!」
「何処に電話したんだ?」
「親にね。とりあえず一週間分の食料とドラム缶が今日中に届くから……六花、一緒に木を拾いに行こう」
「……はい?」
「風呂に入れないだろ」
もしかしてドラム缶風呂でもやるつもりか?それに一週間分の食料って……何となく気がついていたけど……理桜って……
「滅茶苦茶な奴?」
「人をいきなりヤバイみたいに言うなよ。俺はやれるだけのことをやる人間なんだ。それと人の言ったことをしっかりと受け止めて行動する」
うん、本当にヤバイ感じが……いや、気のせいであってほしい
それから薪を拾い終えると、男子寮建設地に木の壁に囲まれたドラム缶が置かれていた。
「いつの間に?」
「薪拾いに行っている間だろ。少し待っててくれ。沸かすから」
本当にとんでもないことをしているのでは?
「貴方達が噂の男子生徒かしら?」
声を掛けられ、振り向くとそこにはクーラーボックスを持ったサイドテールの女の子がいた。リボン的に2年生かな?
「これ、女子寮の食堂に届いていたから……その……何をしてるのかしら?」
「えっと……風呂を沸かしてるみたいです」
「…………普通に女子寮のを借りれば?」
うん、ごもっともです。
「いや、流石にそれは申し訳ないから……」
「理桜……申し訳ないの意味が分からない……」
うん、本当に……とりあえずクーラーボックスを受け取り……
「男子生徒が入学する事は聞いたときは少し警戒はしていたけど……」
あー、それは当たり前だよな。共学とは言え今まで入学してきた男はおらず、僕らが初めてだし……警戒くらいはするよな
「まさか……テントを張り、ドラム缶のお風呂に入ろうとする男子生徒なんて……多分誰も予想してないわよ」
「僕もこうなるなんて思ってなかったです」
「まぁこういうのも悪くないだろ?食事も準備しておくから」
理桜は僕からクーラーボックスを受け取り、離れるのであった。
「沙知先輩から様子を見て欲しいと言われたけど……何だか様子を見ない方が良かったかしら?」
「あの、僕は理桜と同じ感じだと思ってません?まぁ様子を見に来てくれてありがとうございます。えっと……」
「私は乙宗梢よ」
「守谷六花です。あっちは相花理桜。よろしくお願いします。先輩」
「えぇ……」
乙宗先輩が寮に戻り、僕も理桜の所に向かった。そういえば風呂は沸いたのか?と思い、見に行くと何か変な機械がドラム缶風呂の側に置いてあったのは気にしない方がいいかな?
その日の夜、理桜が作ったキャンプ飯を食べ、ドラム缶風呂に入り、僕らはテントで眠るのであった。と言うか寝袋もいつの間にかあったけど……大賀美先輩から渡されてないから、これも理桜が?
朝になり、理桜と一緒に薪を拾いに行き、戻ってくると…………
「はぁ?」
建設地に人集りが出来ていた。その原因は直ぐに分かったが理解はできてなかった。
「あ、早かったな」
「なぁ……理桜。昨日まで更地だったよな?」
「あぁそうだよ」
「何で薪拾いに行っている間に……建物が出来ているんだ?」
いつの間にか立派な男子寮が出来ていた
守谷六花(もりやろっか)
蓮ノ空に入学した男子生徒の一人。同じように入学した理桜と直ぐに仲良くなるが、後々色々と巻き込まれることに……
藤島慈と知り合いであり、蓮ノ空に入学した理由も慈関係であるが……
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