六花side
「村野さん……何とか猪肉処理できたらしい……」
「そっか、お裾分けして良かった」
「いや、良くないだろ……」
何とか猪肉の調理法を調べて教えてあげたけど、頼むからまともな食材を分けてあげるかしてほしいと言いかけたけど……理桜の場合はマジで斜め上の方向にやりそうだよ……牛とか豚を解体したものをとか……
「何か失礼な事を考えてないか?」
「気のせいだよ……はぁ……」
ため息をつきつつ、部室に入ると乙宗先輩と日野下さんがいたけど、日野下さん……元気ない……昨日の夜のことを考えるとまだ……
「なにか心配事?もうライブは明日よ」
「そーですね。でも私が出る訳じゃありませんし……」
「だったら出てみる?」
「えっ?」
これ、口を挟まない方が言いと思い、僕と理桜は静かに椅子に座った
「じょ…冗談ですよね?」
「そうね。でも冗談かどうかは貴方次第」
「それは……」
「これまで沢山手伝ってもらったわね。でもそうしてくれたのは今までずっと…ただの親切だけ?」
「そ、そうですよ。梢先輩が困ってるみたいだったから、だからあたしは……少しでも役に立てたらって……」
「本当に?本当にそれだけだった?」
「…………」
「私はね。あなたの胸の内に強い気持ちが眠っているように見えたわ。今にも飛び出したくてうずうずしている……そんな気持ちが……新しい世界を見せてあげる。あなたにそう言ったことは間違いじゃなかった。だけど私にできるのは……ここまで。ここから先はあなた自身が踏み出さなければ、始まらない物語なの」
「あたしは……あたしは……」
日野下さんは自分の気持ちと向き合っている。答えが出るのはあと少しみたいだった。
「…あの梢先輩。あたしの……友達の話なんですけど……」
「えぇ」
「実は……まだ学校を辞めたいって思ってて、あたしはそれを止めたいのか止めたくないのか、よくわからないんです。その子は新しい世界に飛び出したくて……それは梢先輩に言ってもらったのとはちょっと違っているんですけど……だけど…もしかしたらその子は……ただ逃げてるだけなんじゃないかって思ったりもするんです。楽しいことがしたかっただけなのに……梢先輩の見せてくれた景色も本当に眩しくて……その先があるなら、あたしは……あたしは……あたしはどうしたら良いですか?梢先輩……」
「前にも言ったわよね。私の家系はみんな音楽をしているって。父も母も、祖父も祖母も……」
「はい」
「……だからね。最初スクールアイドルをやりたいって言ったときには、ずいぶんと反対されちゃったの」
「えっ、そうなんですか?あんなにすごいのに!?」
「ありがとう。でも今までたくさん習い事に通わせてもらったのに、私はその中からではなく、スクールアイドルを選んでしまった。あまつさえ衣装作りのために指に傷を作って針仕事をしているなんて知られたら、もしかしたら卒倒しちゃうかも」
「それじゃあ、どうしたんですか。やっぱり先輩も、親の反対を押し切って!?」
「いいえ。ちゃんと親と話し合ってね。自分のやりたいことを正直に伝えたの。全部を理解してもらえたとは思わないけれど……でも好きな気持ちはきっと伝わったはずだから」
「自分のやりたいことを、正直に……」
「…………自分の気持ちに正直になることは大切だぞ。日野下」
「相花くん……」
「俺の従妹も色々とあって、凄く落ち込んでいたことがあったんだ」
理桜は二人の話を聞いていて、思うことがあったみたいだった。
「そんなときにあるスクールアイドルと出会って、夢を貰った。それから自分に出来ることを増やそうと思って、興味があるものを全部学ぼうとしていた。単純だけど自分の気持ちに正直になってからは従妹は凄く明るくなった……それだけ気持ちに正直になることは大切なんだ」
「自分の気持ち……」
「もし親の反対を押し切ってスクールアイドルを続けたら、それはきっと何処かで、親に反発するための活動になっていたから……それが本当に私のやりたかったことだとは思えないの。だからね、スクールアイドル活動だって、立派な芸術、音楽なんだって……そう分かってもらえれば、いつかはきっと私を認めてくれるはずだから……それなら私は好きなことをただひたむきに続けていけばいい」
「先輩は……先輩はスクールアイドル、楽しいですか?」
「えぇ、とっても……ねぇ、日野下さん。あなたのお友達が花咲くために必要なことってら本当はどんなことなのかしら?他の学校に移ること?それとも……」
「それは……あの!お話聞いてもらってらありがとうございます!二人もありがとう!」
「僕らは別に……」
「それで日野下、どうするんだ?」
「もうちょっとだけ、もうちょっとだけ……」
日野下さんはあと少しだけ待ってほしいと伝えると部室を後にした。多分だけど……答えは……
「それにしても……相花くんの従妹の話は初めて聞いたわ。どんな子なのかしら?」
「そうですね……さっきも言ったように興味あることがあったら全部学ぼうとしているから……色々な事が出来るし……多分だけど俺より凄いかもしれない……」
理桜より凄いか……何か想像できないというか……
「その子が入った学校は……私たちより振り回されてそうね……」
僕と乙宗先輩はため息をついていると、村野さんが部室に入ってきた
「あの、乙宗先輩、守谷くん、相花くん、今凄い勢いで花帆さんが出ていったんですけど、何かあったんです?」
「何かが起こるのはこれから、かしらねえ」
「?」
「でもよかったわ」
乙宗先輩は近くにあったロッカーを開くとそこには……
「もしかしたら無駄にならず済むかもしれないから」
乙宗先輩はずっと望んでいたのかもしれない……
だからこれがあるのか……
そして次の日、新入生歓迎会……もうすぐライブが始まろうとする中……日野下さんがやって来た
「日野下さん!」
「あたし、いっぱい考えて、それで!本当はどうしたかったのか、分かったんです!この学校を笑顔でいっぱいにしたい。あたしが楽しいだけじゃなくて……この学校で同じように退屈を感じてる子達をら楽しませたい。あたしが梢先輩にそうしてもらったみたいに!」
「えぇ」
「だから決めたんです!あたし、スクールアイドルやります!みんなを花咲かせるスクールアイドルになります!」
「何だか不思議ね」
「何がですか?」
「不思議とこうなる気がしていたの。貴方が私と一緒にスクールアイドルをやってくれるような気が……ステージの上に立って、あなたを見たときから……いいえ、もしかしたらあなたと初めて会ったときから……だったのかもしれないわ。花帆さん、あなたを歓迎するわ。ようこそ、スクールアイドルクラブへ」
「梢先輩、ありがとうございます」
「そしてこれは私からあなたへ、最初の贈り物」
乙宗先輩は日野下さんに贈ったもの……それは乙宗先輩と同じライブ衣装だった。日野下さんは早速着替え、
「それじゃあらいきましょう。あなたと私で、新しい世界へ」
「はい!みんなの笑顔を咲かせに!」
それから始まった二人のライブ。日野下さんは初めてだというのに乙宗先輩と息のあったパフォーマンスを見せた。そしてライブが終わり、二人が舞台袖に戻ってきた。するとクラスメイトのえなさん、びわこさん、しいなさんが駆け寄ってきた。
「ライブすごかった!花帆ちゃん!」
「わ、わわわ、そ、そうかな?」
「うん、すっごくかっこ良かったよ。ドキドキしちゃった」
「えへへ、嬉しい」
「ね、ね、サインちょうだい。サイン」
「え、えぇ!?サイン?」
「早速応援してくれる人が出来たみたいね。日野下さん」
「あはは、そうみたいです。でもこれからもっともっと頑張りますから!退屈なんて感じる暇がないくらい夢中にさせてみせるから!あたしは願えばどこだって花咲ける!今はまだひょっこり芽が出たばかりの、ちっちゃなお花でも……まずはこれが第一歩!みんなも一緒にここで花咲かそうね」
日野下さんの夢が始まった。僕らも頑張ってサポートしないと
「本当に夢が始まる瞬間って言うのは良いものだな」
「理桜……そうだね」
「六花」
「ん?」
「お前も自分の気持ちに正直になった方がいいぞ」
「…………」
「何処か遠慮してるところあるからな……まぁ何となくそう思っただけだから……違ったら悪い」
「いや……僕も考えてみるよ……そういえば従妹の話だけど……頑張ってるの?」
「ん?少し前に連絡したけど、スクールアイドル始めたらしいけど……」
「けど?」
「何か突っ掛かってきた人がいたらしく……何か最終的に負かしたとか……」
負かすって……本当に理桜の従姉が気になるよ……
キャラ紹介?
理桜の従妹
昔事故にあった際に落ち込んでいた時に、とあるスクールアイドルと出会ったことで、夢を貰い、興味あることがあったらしっかり学ぶようにしている。現在はある新設校に入学し、規律に厳しい生徒に対して正論?をかまし、理事長の前で規律に厳しい生徒の発言をたまたま録音しておいたボイスレコーダーをたまたま落とし、たまたま再生させたとか……
来週くらいに外伝というかちょっとした日常回を書きます(ちょっと未来の話として104期生の話も……)
感想待ってます