六花Side
部室にてみんなが来るのを待っていた
「どの紅茶にしようかしら?最近はまだ寒いから、みんなのためにも、体が温まるものを用意しましょうか」
「手伝いますよ」
「ふふ、ありがとう。守谷くん」
「後で紅茶の入れ方教えてください。覚えておきたくって…」
「えぇ、分かったわ。それと…あなたに聞きたいことがあるのだけれど」
「聞きたいこと?」
「貴方は……」
乙宗先輩があることを問いかけようとしたその時、日野下さんが泣きながら部室に入ってきた
「梢センパぁぁぁぁイ~~……」
「きゃっ、ど、どうしたの!?日野下さん、泣いているの!?」
「あたし、あたし……」
「日野下さん?」
「あたし、ぜんぜんダメダメでした……………」
「え、ええと……」
「と、とりあえず日野下さん。何があったのか話して貰っても…」
「そ、そうね。お茶を入れてあげるから、座って待ってて」
先ずは日野下さんを落ち着かせてからだよな。
「守谷くん。悪いのだけれど、部室の扉の前に立ち入り禁止の看板を掛けて貰っていいかしら?」
「分かりました」
僕は乙宗先輩に渡された看板をかけ、日野下さんの話を聞くことに……
理桜Side
村野と一緒に部室に行くと扉の前に立ち入り禁止の看板が掛けられていた
「立ち入り禁止?」
「どうやらそのときが来たみたいだね」
遅れてやって来た夕霧さんがそんなことを言うが、何か知ってるのか?
「あ、夕霧先輩、中で何が?」
「ボクたちに手伝えることはないから。陰ながら応援していてあげようね」
「なにをですか?」
「しいていうなら…先輩活動かな?」
先輩活動……前に話していたことかな?うーん、後で事情とか聞けたら良いし、とりあえず……
「あの、相花さんは変な機械を取り出してなにを?」
「盗ちょ……小型スピーカーの電源を落としただけ。流石に録音したりは駄目かと思って」
「それ、一般的には盗聴器と言うのでは…そもそも何でそのようなものを?」
「従姉に貰った。余ったからあげるって送られてきてな」
「相花さんの血縁者が色々と気になりますよ……」
六花Side
お茶を飲んで落ち着きを取り戻した日野下さんは、何があったのか話してくれた。
「つまりこういう事かしら?村野さんの配信を見て、自分のライブが気になってしまった、と」
「はい…それなのにあたし、妹たちにもドヤ顔でライブ配信をおすすめしちゃったんですよ…」
慈の心配していたとおりだな……さてどうしたものか…乙宗先輩に任せるべきか…
「友達みんな、ほとんど毎日ライブに来てくれて、あたし、全校生徒の前で一週間ずっとライブしてたんですよ……こんなあたしが……ううう……」
「あなたのライブ、私には素敵に見えたわ。頻度には、その、少しだけびっくりもしたけれど……」
「でも、なんかこう…違うんです…センパイ方やさやかちゃんとは……」
「隣の家の芝は青い、と言うわ。それは誰でも同じ。私にもね、あなたのことを羨ましいと思う事はあるのよ。日野下さん、私や綴理、それにさやかさんがあなたのライブを魅力的と言った言葉にはお世辞や社交辞令なんてものはなかった。心からそう思ったのよ」
「僕や理桜もそうだよ」
魅力的に感じたことに関しては本当にそう思った。
「うっ…あたしたちのライブ……」
「もちろん、あなたの配信を見てくれた人たちもね」
「それは……どうして、なんでしょうか。だって、あたし、こんなに…」
「わからない?」
「………」
「それはね。あなたが本当に心からスクールアイドルを楽しんでいることが、伝わってくるからなの」
「楽しんでいることが…」
「ええ、その真っ直ぐな気持ちは、誰だって持っているものじゃないわ。あなたの笑顔が、弾む声が、内から湧き出てくる情熱が、見ている人の心を打つから。だから、みんなあなたに温かな声援をくれるの」
「それは、でも」
「だから、あなたにはあなたの魅力が……あるから気にすることないわって言いたいところだけれど、それじゃあ納得出来ないみたいね」
「言いましたよね、梢センパイは、大変なことも多いけど、でも楽しんでやっているって」
「ええ、でもそれは、私のやり方で」
「自分の上達を感じられるのが、嬉しいことだって」
「ええ、そう言ったわ。私は努力することが好きなの。いいえ、そうするべきだと思っているわ。私は日野下さんみたいな愛嬌があるわけじゃないから。スクールアイドルとして
見せられるのは、自分の歩んできた軌跡だけなの」
「軌跡……」
「私の軌跡はきっと誰かに伝わると信じているの。私が他の誰かに誇れるものがあるとしたら、それだけだから」
「頑張る姿ってことですか……」
「ええ、私はね。スクールアイドルコネクトって、半分はその為にあるんじゃないかって思うの。ライブやイベントでみんなを楽しませる以外に、毎日努力している姿を配信するのは、それを受け取った人の心にきっと、芽生えるものがあるからだわ」
「スクールアイドルの、頑張る姿を見て、自分も頑張りたいって……そっか、だから私、さやかちゃんの練習風景が…凄く綺麗だって思って……」
日野下さんは答えが分かったみたいだった。それだけでも…前に進めているみたいだな。
それから日野下さんは、今みたいな楽しいだけじゃなく、すっごくすっごく楽しいライブが出来るようになりたい。その為にもっと成長出来るようになりたいと……乙宗先輩に言い、乙宗先輩もそれに応えられるように自分のやり方で教える事になった。
そして今日は一週間ライブ最終日……
「きょうもみんな、来てくれてありがとうね!次はもっともっと上手になって、みんなをもっーーと楽しませるから!楽しみにしててね!あたし、誰よりもみんなを楽しませちゃうような世界でいちばんのスクールアイドルになるからねーー!見ててね!みんな!あたし、頑張るからね!」
日野下さんなら本当に出来そうだな……僕はステージの側でライブを見ながらそう思っていた。
「何とかなったみたいだな」
「理桜…あぁ」
「俺達は見ていることしかしてないけど…」
「それでも良いけど……僕らは支えられるようになりたいな」
「支えられるだけじゃなく、日野下やライブを見ている人たちの笑顔を守れるようになった方がいいかもな」
「そうだな…」
守れるように……か。今からでも出来るだろうか?慈の……
次回はオリスト
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