六花Side
ある日の部室。乙宗先輩と日野下さんはこれからの練習方針について話していた
「というわけで、当面の目標を定めたいと思うの」
「目標ですか?」
確かに目標があれば、練習にもより身が入るよな……
「ええ、せっかく練習をするのなら、その成果をたくさんの人に見て貰いたいでしょう。モチベーションを保つためにもね」
「なるほど、確かにそうですね!では、あたしが卒業する直前の、再来年の十二月ぐらいにライブする、と言うことで…」
「お待ちなさい」
「うん、あの一週間ライブをやったやる気満々な日野下さんは何処に行った?」
僕や理桜はあまりこういう事に口を挟まないようにしてるけど、流石に口を挟んだ。
「だってあたし、まだまだですから!それぐらいいっぱい練習しなくっちゃ!」
「これは中々重症ね…」
乙宗先輩も頭を抱えるほどだった…
「いい、日野下さん。最初から完成度の高いパフォーマンスを見せられたら、それは確かに理想的だわ。だけど、その為に貴方自身楽しさを我慢する必要はないの」
「あたしの、楽しさ」
「そもそも楽しくなければ、それはただの作業になるし…日野下さんはそうじゃないだろ?」
「そうね。一週間も連続でライブするくらい好きなんだから、ライブを2年も我慢するなんて、本当は嫌でしょう?」
「ううう、はい、ライブしたいです」
「だったら、目標定めて、それまでにみっちり練習をしましょう。まだスクールアイドルになったばかりなんだもの。今の時期は、やればやるほど得るものがあるわ。ほんの数日でも、見違えるほどにね」
そう言って乙宗先輩は日野下さんにある用紙を見せた。これって…
「たった数日…えっ、ライブの予定日ですか?早すぎませんか?しかもこれ、市の開いているライブイベントって、規模大きくないですか!?」
「市内から大勢のスクールアイドルが参加する催しよ。たくさんの人に成果を見て貰う、良い機会ね」
「それは楽しそうですけど……」
「この大会では、見る人の投票で順位もつくから、出るからには、上位入賞…いえ、一位を目指して頑張りましょう!」
「うううう……わ、分かりました!頑張りますってば!楽しいライブのために!おー!」
「その調子、その調子!では、こちらが私が組んだ練習メニューよ。今日からしばらく、猛特訓ですからね」
そう言って乙宗先輩は日野下さんと僕に練習メニューを見せた。これは……
「えっ!?あ、あのセンパイ……これ一週間分のメニューですか!?」
「勿論!一日の内容よ。私が中学生のときにこなしていたメニューをまとめてみたの。まずはこれぐらいから始めてみましょうね」
何だろう?あの優しそう乙宗先輩の笑顔が怖い…
「…あたし、やっぱり今のままでも……」
「なにか?」
「いえ!頑張ります!」
「日野下さん、サポート頑張るから…」
「あら、守谷くんも参加するのよ」
「はい?」
「マネージャーとして、ただ練習を見てるだけでは退屈でしょ?それならね」
「こ、このメニューを僕も……そうだ!理桜も」
犠牲者を増やさないと……
「彼は綴理の所に行かせたわ。分担作業よ」
「………拒否権は?」
「ないわ」
こうして僕も乙宗先輩考案のメニューに参加することに………
「お疲れみたいね」
その日の夜、いつもみたいに定期報告しに、女子寮の前で慈と会っていた。
「まさか練習メニューに参加するなんて…」
「まぁ梢も多少は加減してるんじゃないの?」
「そうだと良いけど……」
「所でさ、梢からは何か言われたりはしてない?」
「何かって?」
「私との関係がどうとか…」
「一応梢先輩は知ってるけど…詳しく聞こうとはしてこないかな?」
「聞かれたら?」
「…ちゃんと答えるよ」
「そう……」
まぁ聞かれるとしたら、僕と話している慈の様子はどんな感じなのかとかだろうけど……
次の日、朝練を終えてから乙宗先輩に呼ばれた
「悪いわね。練習に付き合わせて」
「いえ、練習メニューこなしてて、割と体力ある方かなと思ってたんですが、全然でした」
「そう、鍛え直すには丁度良いってことね」
「まぁ、そうなりますね」
「……守谷くん。貴方に聞きたいことがあるの」
昨日の今日で聞かれるとは……
「何ですか?」
「貴方と慈の………」
乙宗先輩が言いかけた瞬間、チャイムがなった
「遅れてしまうわね。また次の機会に聞くわ」
「分かりました」
何を聞こうとしていたのだろうか?
感想待ってます