蓮ノ空の花と桜   作:水甲

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何だか久し振りになってしまった


第20話 憧れのスクールアイドル

六花Side

 

日野下さんの練習に付き合うことになった(半強制的)そんなある日の放課後……

 

「よっし、放課後だ!」

 

「花帆ちゃんはこれからスクールアイドルクラブ?」

 

「途中まで一緒に行こ」

 

クラスメイトのしいなさん、びわこさんの2人が日野下さんにそう声をかけていた。何だか学校の日常を感じるな~

 

「だけどその前に、購買部寄ってこ!」

 

「購買部?」

 

「注文していたマンガが届いたの!あたしずっと楽しみにしてて…」

 

楽しそうに話す日野下さんだけど……いつの間にか乙宗先輩が日野下さんの隣に立っていた。

 

「さ、日野下さん。練習に行きましょう」

 

「えええ!?梢センパイ!?でもあの、あたし、ちょっと購買に寄らなくちゃいけなくて!その生活必需品が!」

 

漫画が生活必需品なのか?いや、窮屈な寮生活を考えると生活必需品なのかもしれないのかな?

 

「漫画なら、購買部が取り置きして置いてくれるから、大丈夫よ。そうね、ならライブが終わった後のご褒美にするのどうかしら?ライブまで、更に頑張る理由ができたわねぇ」

 

漫画云々の話まで聞いてたのか…乙宗先輩……

 

「そ、そんな餌をぶら下げられなくても、頑張りますから!せ、せめて30分だけでも!いえ、10分、10分でいいですから先にー!うわーん!」

 

乙宗先輩に引きずられていく日野下さん……不憫だ……

 

「守谷くん、あなたも傍観してないで行くわよ」

 

「はい……」

 

流れで見逃されると思ったけど……ダメだった……

 

 

 

 

 

 

練習が始まり少し経った。

 

「ぜぇ…はぁ…ぜぇ、はぁ…」

 

「日野下さん、大丈夫?」

 

「あ、ありがとう…だ、大丈夫…」

 

前に聞いたけど、日野下さん、昔病弱で入院生活してたって……それなのに濃い練習に付いていこうとしてるのは凄いと思う……

 

「ふぅ、それじゃあ暫く休憩ね。日野下さん。守谷くん」

 

「梢″セン″パイ″…」

 

「滋養強壮のドリンクを作ってきたから、良かったらどうぞ」

 

「わぁ、ありがとうございます~」

 

「ありがとうございます」

 

僕と日野下さんは乙宗先輩からドリンクを受け取り、飲むと……この味……

 

「これ″苦いですぅ″~」

 

「えっと…変なのは…入ってないですよね?」

 

「ちゃんと調べて作ったわ」

 

そうだよな…乙宗先輩みたいな人が実は料理下手とかなさそうだし……

 

「苦いけど、とても身体にいいのよ。どうしても口に合わなかったら、残しても構わないけれど」

 

「うう″……これもライブのため、みんなのためぇ……ご馳″走″様″です……」

 

頑張って飲み干した日野下さん…凄いな……

 

「ごめんなさいね、日野下さん」

 

「ふぇ、何がですか?」

 

「やっぱりもう少し早くどうしたいのか聞くべきだったかしら?って、そうすればあなたももうちょっと余裕をもって練習できたと思うの。よかれと思って放任していたのだけれど、どうしても私は、もっといいやり方があったんじゃないかって、後から考えちゃうのよねぇ…」

 

「だ、ダメですよ!」

 

「えっ?」

 

「梢センパイがそんな風に優しくしてくれると、あたし、際限なく甘えたくなっちゃいますから……う、嬉しいですけど!でもダメです!ちゃんとライブが終わるまでは、あたしに対して、厳しくしてください!」

 

日野下さんがここまで頑張れるのは……日野下さんは本当に真っ直ぐだな~

 

「なぁにそれ。面白いこと言うのね」

 

「か、かといって今より厳しくされるとへこたれちゃうので、今ぐらいが丁度良く……い、いえ、もうちょっと厳しくされても、大丈夫だとは、思いますけど……」

 

「そう?じゃあ更に手厳しく……」

 

「えぇ!?」

 

「なんて、言わないわ。オーバーワークは怪我の元。今だってかなりギリギリなんだから。もう少し休憩していてね」

 

乙宗先輩も日野下さんの体力とかをしっかり考えてるんだな~確かにオーバーワークは……

 

「あ、そういえば、今回のイベント。蓮ノ空のスクールアイドルとして参加するのに、出るのはあたしと梢センパイだけなんですよね?」

 

「ええ、綴理たちは、まだ暫く練習期間を設けるみたい」

 

理桜もその手伝いをしてるんだっけ?何だか村野さんに理桜を任せっぱなしになってるのは申し訳ない

 

「さやかちゃんから聞いたんですけど、不思議ですよね、学校の中にユニットがいっぱいあるって」

 

「蓮ノ空には、もともと3組のユニットがあったの。だからそれに倣っているのよ」

 

「こないだ言っていた芸楽部の先輩方ですね!あれ?3組のユニットってことは、あたしたちと、綴理センパイたちの他にもう一組いるんですか?でも他に部員っていませんよね?」

 

「………」

 

「そうね…今は、いないかしらね」

 

乙宗先輩は僕の反応を見て、そう答える。何だか申し訳ないけど……

 

「でも今は…よ。あの子に関しては守谷くんに聞いた方がいいわ」

 

「乙宗先輩……」

 

「守谷くんに?守谷くん、何か知ってるの?」

 

普通なら乙宗先輩に怒るべきだけど…いつまでも黙っているのを考えると……

 

「幼馴染み…みたいなものなのかな?その子は昔子役をしていて、僕は親の仕事の付き合いでその子と関わることがあったんだ……」

 

「守谷くんは…その人がスクールアイドルクラブにいない理由は知ってるの?」

 

「知ってるけど、話せない。ここで日野下さんに話したら、あいつに悪いから…ただちゃんといつか話すよ……」

 

「そっか…」

 

「ごめんなさい。守谷くん…変に無理矢理話させようとして……」

 

「いえ…」

 

何だか変な空気になってしまった。乙宗先輩は空気を変えるため、話題を変えた。蓮ノ空のユニットには名前や曲、衣装など様々なものが伝統として受け継がれている。だから蓮ノ空だけで応援してくれる人が多いのはその為らしい

 

「実は私にも、蓮ノ空とは別の学校だけれど、憧れていたスクールアイドルがいるの。かつて、その活躍で廃校の危機を救った、私が初めて見たスクールアイドル。凄く輝いていて、私もあんな風になれたら、と夢見たの。蓮ノ空に来たのは、近隣の学校では一番スクールアイドル活動に力を入れていたから、だったのだけれど…いつしか、この学校の先人たちの想いに触れて、彼女たちが積み重ねてきたものを知って、蓮ノ空が大事になっていったわ。今では、この学校でスクールアイドルをしている事が嬉しくて、私の誇りなの」

 

「この学校でスクールアイドルすることが、誇り……だったらあたし、やっぱり、もっと練習しなきゃですよね!?だって、綴理センパイや梢センパイはもちろん、さやかちゃんだって上手なのに、あたしだけまだまだだったら……それって恥ずかしい事ですよね!」

 

「前にも言ったと思うけれど、あなたの魅力はちゃんと他にあって」

 

「でも…」

 

「ごめんなさい。余計なことを言ってしまったかしらね」

 

「そんなこと…ただみんなスクールアイドルを頑張る理由があるんだなって、改めて気付いただけっていうか……それなのにあたし…」

 

「もどかしいかもしれないけれど、今は、目の前のメニューを一歩一歩、着実にね。それがあなたにとっては、一番の近道なんだから」

 

「うううう、あたし、とにかく頑張ります」

 

こうして今日も練習が続いていくのであった。けど……

 

「そういえば…守谷くんの事、ずっと守谷くんって呼んでるけど…六花くんって呼んでもいい?」

 

「別にいいけど…わざわざ聞くことか?」

 

「んー、何となく…後で相花くんにも名前で呼んでいいか聞いてみよう!梢センパイは六花くんのことを名前で呼ばないんですか?」

 

「えっと…いいのかしら?」

 

「別に構いませんが…僕の方も名前呼びしていいなら…」

 

「じゃあ六花…さん」

 

「六花くん~」

 

「梢先輩、花帆さん」

 

こうして何故か名前呼びの話題になり、名前呼びをすることになったのだった。

 




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