六花Side
花帆さんの特訓が続く中、ある日の部室に行くと梢先輩に急に座らされ、花帆さんが来ると早速話が始まった。
「ここ最近、練習頑張ってるわね」
「ええ、まぁ……」
「しっかりと練習風景も配信しているみたいだけれど。ところであなたは、配信する以外にも自分のチャンネルを確認しているのかしら?反応だとか、コメントだとか」
「えっ、ごめんなさい。最近はぜんぜん見ていないです。応援してくれる人は、優しい事を言ってくれるって分かっているんですけど……」
まぁ確かに応援してくれる人はいるけど、中には厳しいことを言う人もいる。まぁ厳しいことを言う人にはちゃんとスクールアイドルが好きだからこそだけど……花帆さんはそこら辺はしっかりと分かってる感じだけど……
「で、でも、再生すると自分のダメダメなところばっかり、目に入っちゃって……!」
「そう、やっぱり」
「も、もしかして、炎上とかしてました!?蓮ノ空に相応しくないスクールアイドルがいる、って!?」
「えっ?」
「してたんですね!?やっぱり!あたしいったいどうすれば!?やっぱり学校をやめるしか!?」
「お、落ち着いて、日野下さん!違う、違うの!見て、これ!」
梢先輩はそう言ってスマホであるページを見せた。これって……
「日野下さんが、今週の『注目スクールアイドル』として、名前が上がってるいるの!」
「本当だ…花帆さん凄いな……」
自分のスマホでも確かめると確かに注目のスクールアイドルに花帆さんの名前が上がってる……それにしてもこの『クーカー』って名前が目に入ったけど……変わった名前だな~
「ほ、ほんとだ…な、なんで…?これって悪い意味じゃ、ないんですよね?」
花帆さんは信じられないでいる。まぁ確かに自分がってなるよね……
「毎日ひたむきに頑張ってる貴方の姿を見て、沢山の人が『次のライブ楽しみ』ってコメントしてくれているわ。誰かに評価して貰うために、貴方が努力しているわけじゃないことは知っている。だけれど、貴方の努力はどこかの誰かにしっかり届いているのよ。私も先輩として誇らしいわ」
「あたしの…努力が……」
「そこで、もう一つ貴方に言うことがあって、今度のライブの衣装のことなのだけれど、蓮ノ空の伝統の衣装を着てステージに立ちましょう!」
「えっ!?へっ!?」
「実は陰ながら準備はしていたの。だけど、貴方がどれぐらい真剣に練習に取り組むか分からなくて、それもこれも全て杞憂だったわね」
「伝統の衣装って、その、代々受け継がれてきたっていう……」
「ええ、私も、初めて袖を通すわ。ずっと、夢だったの。2人でステージに上がるのが、今から楽しみね」
「む、むりですよセンパイ!そんな、あたしなんかじゃ、まだ!そ、それとこれとは!」
「どう違うの?」
「うっ…それは~……」
「心配しないで、大丈夫よ!貴方も立派な蓮ノ空のスクールアイドルなんだから、ね」
「ううう~!わ、分かりました!あたし、頑張りますからぁ!」
花帆さんも覚悟が決まった感じだった。それにしても僕も座らされたのは何でだろう?そう思っていると……
「そこで六花くんにも話に参加させたのは……衣装の手直しをお願いしたいのだけれど?」
「はい?」
「えっ!?六花くん、衣装の手直しとか出来るの!?」
一応出来るけど……その事はスクールアイドルクラブの面々や理桜にも話してないのに何で梢先輩が知ってるんだ?
「めぐ……貴方の幼なじみに聞いたわ」
「あーなるほど……そう言うことでしたか……」
いつの間に話してたんだよ…言ってくれれば良いのに……
「でも何で秘密にしてたの?」
「その…色々と恥ずかしいと言うか……マネージャー業は衣装関係も知らないとダメなのかと思ってたんですが……その作ったりとかもするかと勘違いを……」
「なるほどね…」
「六花くんってそんな勘違いをしたりするんだ……」
「一応それだけじゃなく……その…女性の…その///」
「「あ////」」
あんまり言いたくなかったんだよ…そういうのは……
「でも六花くんになら任せられるわ」
「そうですね!後でさやかちゃん達にも伝えておくね」
こうして僕は練習の合間に衣装の手直しをすることになった。
それから少し経ったある日、手直しした衣装の確認の為に梢先輩を探していると、丁度花帆さんと一緒に休憩中だった。声をかけようとすると……
「ちょーーと、あたしのこと話しても良いですか?」
これ…隠れて聞いてて良いものなのか?ダメだろうな…
「あの、梢先輩…衣装の事ですけど……後にした方が良いですか?」
「六花くん…花帆さん、いいかしら?」
「はい…六花くんも聞いて…」
「うん……」
花帆さんは話し出した。幼い頃自分が病弱だったこと。そのせいか両親から過保護に扱われていた事を…
「あたしはあれもやりたい、これもやりたいって思ってても、結局出来なくって、無茶してまた熱出したりしたら、両親が心配しちゃうからって」
「そうだったの」
「うち、お花を作ってるんです。ラナンキュラスって言うんですけど、すっごくきれいなんですよ。春になると、パステルカラーみたいな淡い色合いが、ぱっーと咲き誇って!あたしの花帆って名前も、そのお花からイメージしてつけてくれたんです。窓から眺めるお花が、とってもきれいで…だけど、昔のあたしは、その景色があんまり好きじゃなくって」
「それはどうして?」
「育てられたお花って規則正しく咲いてるじゃないですか。でも、あたしって病気がちだったから、学校でも遊びに入れてもらえないことがあって……自分はあんな風にキレイには咲けないような気がしていたんです。自分の名前も……なんか、ちゃんと正しく育つようにって期待されているみたいで、ちょっと苦手でした」
「そんな貴方が、変わったきっかけがあったのね」
「はい…」
花帆さんは話を続けた。中学に上がったある日のこと、花帆さんの双子の妹に連れられて、森の奥深くに連れてこられた。そしてたどり着いた場所は一面花畑。双子の妹たちはその花畑に一輪だけ咲いたラナンキュラスを見せた。
「ラナンキュラスって普通は温室で育てるから、自生していることなんて滅多にないんですよ。なのに咲き誇っていたんです。まるで『あたしはここだよ』って言うみたいに、ただ自分のために、あんなにきれいに……それを見てあたし、思ったんです。大事なのはちゃんと『花咲くこと』なんだって…右に習って咲くことでもなく、みんなと同じように咲くことでもなく、ちゃんと花咲くことが、いちばんすごかったんだ。だから山で育ったあの一輪の花だって、温室で育てられた花だって、みんなみんな、凄いんです。あたしも、花咲きたい。トクベツじゃなくたって、あたしだけの色で、あたしだけのお花を……あ、す、すみません!なんか、たっぷり喋っちゃって」
「ううん、良かったわ。貴方の思いを知れて、嬉しかった。ありがとうね。日野下さん」
「僕も聞けてよかったよ…」
「えへへ、あたしも2人に聞いてもらえて、嬉しかったです。楽しいライブにしましょうね。あたしたちと見てくれる皆さん全員の笑顔で、お花畑を作るような、そんな素敵なライブを……その為に、朝練もいっぱいいっぱい頑張ったんですから!」
花帆さんの思いも聞けて、良かった……それから梢先輩は花帆さんに休憩を進めるが、花帆さんはもう少し頑張ると練習を続けることに……
その日の夜、慈と話をしていた。
「あれ?衣装関係出来るって話しちゃダメだった?」
「いや、別に良いけど…個人的には一言欲しかったな」
「まぁまぁいいじゃん。それで大丈夫そうなの?」
「まぁ…明日次第だけど……」
「ふーん…」
そんな話をして、今日は解散となった。
僕は寮に戻ろうとしていると、花帆さんが走っているのを見掛けた。明日ライブなのに……休まなくて良いのかなと思っていたが……下手に注意して明日に響いたらいけないと思い、そのまま寮に戻ったが……後々後悔することになった
六花の新しい特技が明かされました!
感想待ってます!