理桜Side
スリーズブーケのライブを俺はさやかと綴理さんと一緒に見ていた。
「花帆さーん!乙宗せんぱーい!わー!ふふっ、つい声が出ちゃいますね。胸がいっぱいで、吐き出さずにはいられないというか…花帆さーん!乙宗せんぱーい!とっても綺麗ですよー!」
何か普段と違う感じがするんだが……まぁそれだけ楽しめてるんだろうな……
「ほんとにライブってすごい。わたしも、もっともっと頑張らないと」
さやかが改めてライブに向けて気合いを入れる中、観客の歓声にかき消される中……
「こず……きみは、なれたんだね。スクールアイドルに」
綴理さんのそんな声が聞こえた。一体どういう意味なんだ?
「何か言いましたか、夕霧先輩?」
「なんでもないよ。ほら、最後のパフォーマンスだ」
ライブが盛り上がる中、俺は綴理さんの言葉がどうにも気になっていたのだった。
ライブが終わり、さやかたちと一緒に帰る中……
「はー……!楽しかったー……!ライブって、本当に良いものですよね。花帆さんの気持ち、今ならよく分かる気がします」
「そうだね。本当に楽しかった。とても……良いライブだった」
「はい!」
ライブの余韻に浸る中、綴理さんの反応は…何かあるのか?それとも素直な感想なのか?
「先輩のおかげで、スクールアイドルっていう素敵なものを知る事が出来て……本当に感謝してるんです」
「そっか、それなら、良かった」
「はい!私も早く……もっと上手くなりたい。頑張らないと……」
「……さやは、自信ななくした?」
「それは……そうかもしれません。蓮ノ空に入学するまで、ほとんど人前でパフォーマンスをすることも無かった花帆さんが、あれだけ素敵なライブをした……凄いと思いますし、羨ましいとも思います。とは言え元々自信なんて有ってないようなものでしたけど。あの、夕霧先輩、私頑張りますから」
「うん?うん、さやは頑張ってる」
「は、はい。頑張ります。ってなんですかねこのやり取り。あはは」
それから話が変わってお弁当の話になった。そういえば綴理さんのお弁当を作ってるんだっけな…さやかは……
「大変だな。さやかも」
「あの…理桜さんも苦労している感じの言い方ですが……理桜さんは苦労をかけている側では?」
「最近はそんなに……たぶん」
「多分って……」
それから綴理さんがさやかの世話にならないように明日から1人で起きると宣言するけど……うん、どんだけさやかに世話になってるんだよ……
そんな次の日、2年生の教室をさやかと歩いていると……梢さんと出会した。
「あら?村野さん、相花くん、おはよう。村野さん、何だかお疲れね……」
「あ、乙宗先輩。おはようございます。大丈夫ですよ。起きない人を起こしただけなので……」
「……あの子、昨日の夜はすごく気合い入れてたはずなのだけれど、明日は頑張って起きるんだーって…」
「気持ちだけは、嬉しく思ってます。はい」
「かわいそうに」
「かわいそうに!?」
梢さんにそこまで言われる綴理さんって……
「綴理がごめんなさいね。あの子、たち悪いでしょう」
「た、たちが悪いだなんて、乙宗先輩も言うんですね……」
「ふふっ、綴理とはもう丸一年の付き合いだから。……それで、やっぱりあの子の相手は大変じゃない?」
「いえ、そんな…私はただ、夕霧先輩の演技をもっと見ていたくて、もっと勉強させてもらいたくて、そのためならやれることは何でもやろうって、そう思っているだけで。……学ばせてもらっている立場ですから」
さやかって本当に真面目だな……
「そうねぇ。綴理の演技は、魔性だわ……努力だけでは到達出来ないと思わせる、見る者全て魅了するような……」
「乙宗先輩?」
「ああ、ごめんなさい。村野さん、頑張ってね。綴理が同じ舞台に招待したあなたの事を、私も心から応援しているから。もちろん、困ったことがあったらいつでも聞いて?」
「は、はい……ありがとう、ございます」
「これからも大変でしょうけど、私はあなたの苦労が分かると思うから」
「あ、はは。大丈夫ですよ!好きでやってることですから」
「くじけないでね。村野さん。所で相花くんと一緒にいるのは?」
「あぁ、それは……」
「さやかにジビエ肉あげようと思って、その話をしていたところで」
「お願いですから変わったものはやめてください…」
「……相花くんの分で更に大変になってないかしら?」
放課後、さやかに付き添いながら、2年生の廊下を歩いていたのだが……さやかはというと……
「全くもう。今度は教室でずっと寝ているんですか。補習で先生に捕まってるんですか。お弁当渡したのに食べるの忘れて倒れてるんですか。カワウソがお腹に乗っちゃって動けないんですか。2年生の廊下も慣れちゃいました。もう珍しいとも思われません。逆に恥ずかしい……」
「苦労してるんだな…」
「理桜さんにも苦労をかけられてますが?」
「俺はそこまで苦労はかけてない…はず」
「多少は思い当たることがあるのは良いことだと思います。ん?なんでしょう。あ……」
そんな話をしていると何処からか歌声が聞こえてきた。歌声の先には人集りが出来ており、その中心には綴理さんがいた。
「ふう……ありがとう。あ、ぼく、そろそろいかないと……じゃあもう一回だけだよ。時間が……」
綴理さん、ゲリラライブしてたのか?すると大賀美さんがやって来て
「はいはい、通行の邪魔になってるよー。ゲリラライブは終わり終わり」
「あ…」
「ほら、行くとこあるんでしょー?行った行った」
「あ、うん。ありがと」
「良いってことよ。そらお前ら、悪者はあたし1人だ、かかってこーい!」
大賀美さんが集まった生徒達の対応をし、綴理さんは俺達に気が付いた
「……あ、さや、りお」
「あ……夕霧先輩。えっと
、素敵なライブ?でした」
「ありがとう。嬉しい。……ん?あれ?さや怒ってないな……?」
さっき僕らに気が付いたときに一瞬綴理さんに緊張が走ったのは怒られるかと思ったからか……
「先輩のダンスは、本当に凄いですね。すっかり私も見入ってしまいました。あれ、花帆さんたちの曲ですよね。夕霧先輩が踊るとこうなるんだなぁ、ってところも含めて感動しました」
「……そっか。そういえば、あの曲だったね」
「そういえばって何ですか、全くもう。でもお陰でやる気出てきました!……あれ?そういえば私、なんでここに?」
「ぎくっ!?」
綴理さんのパフォーマンスに魅了されて忘れてたな
「あー!もう!何時だと思ってるんですか、先輩!練習時間が短くなった分、しっかり見てくださいね!!」
「やっぱり怒られた!」
感想待ってます!