理桜Side
さやかの待ち合わせ相手、まさか姉だったとは…
「さやかのお友達ね。この間はどうも。改めまして村野つかさって言います」
「いや、まさかとは思ってたけど…俺は相花理桜」
「会ったことあるんですか?」
「まぁ…ちょっと」
本当にあの時はそうかなと思っていたけど…
「それとさやか、優勝おめでとっ!やるじゃん」
「…うん、ありがとう。演技…見て、くれてた?」
「見た見たーほんと…綺麗になったねー、さやかー」
そう言ってさやかの頭を撫でるつかささん。さやかは嬉しそうにしながら…
「うん。……うん。わたし、頑張ったよ。約束した通り、頑張ったよ」
「そうだねー。……うん、そうだねぇ。さやか…ありがとね」
つかささんはさやかを抱き締めながら、話を続けていた。
「私が腐ってたせいで、色々嫌な思いさせてごめんねぇ。ほんと…お姉ちゃんの分も頑張るって言って……今、こんな風に凄い子になって…わたし、嬉しいよ」
「ぁ……うん。うん!」
「でも、色々あってわたし、元気になれたよ。それこそ…また、ここに来ようって思えるくらいに」
「まぁ、正直に言うと驚いたよ。お姉ちゃんが、ここに来たのは」
「でしょー。秘訣があったんですよ。秘訣がー。聞きたい?」
そろそろ作業に戻るか…それに姉妹水入らずをこれ以上邪魔するのもな
「俺は行くよ」
「理桜さん、はい、また」
「またねー」
俺は作業に戻り、寮に戻る途中、さやかから電話を受けた
「それじゃ引退するんだな。つかささん」
『はい、姉なりのけじめをつけるとのことです。とは言え姉が滑ると言うことではなく、お世話になった人達が……セレモニーですね』
「そっか…さやかも出るのか?」
『はい、ちゃんと送ってあげたいですから…』
「俺の方もできる限り協力する」
『ありがとうございます。あと…あ、いえ、何でもないです』
何だ?何か言い掛けたみたいだけど……気にしない方が良いか
数日後、俺は部室に入ると梢さんたちが何か話していた
「日程が重なってしまったというのは…本当なの?」
「ん」
「そう……このこと、村野さんにはもうお話ししたの?」
「ううん、話してない。話すつもりも……ないかな」
「何との日程が被ったんです?」
「理桜くん!?」
「りお、聞いてたの?」
「聞こえてたんで…変に黙ってるとそれが問題になって揉めますよ」
「それは…そうだけれど…」
「その日は…ライブと被ってるんだ…」
「綴理がずっと楽しみにしていたライブイベントよ」
「綴理さん的にはそれでも出なくても良いって思うんですか?」
「それは…でも…さやが知ったら、絶対に気にするはずだから……それにさやは…ただでさえ、両方頑張ろうとしてるんだ」
要するにさやかに嫌な思いをさせたくないって事か……何だかんだ綴理さんって良い先輩だよな…
そう思っていると突然部室のドアが開かれた
「今の……何の話ですか?」
そこにいたのはさやかだった。まさか聞かれていたとは……
「さや……」
「……」
「……聞いてた?」
「聞いてしまったことは…ごめんなさい。でも。でも、お姉ちゃんの引退の日……ライブがあるって…それも…夕霧先輩にとって、大事なライブだって……本当なんですか…!?」
「うそだよ」
何でこのタイミングでそんなこと言えるんだ…この先輩は…
「夕霧先輩!!」
「……ごめんね、聞かせちゃって」
「っ~~!謝って欲しくなんかありません!むしろ謝らなきゃいけないのはーー」
「さやは悪くないよ」
「でも!」
「ライブも、フィギュアも、日程を決めたのはさやじゃない。どうしようもないことはある。ボクはさやのお姉ちゃんの引退の日をさやから聞いてた。……それだけのこと」
「でも…夕霧先輩が次のライブを大事に思っている気持ちは、それとは関係ありませんよね…!?」
「……べつに、大したことじゃないよ。来年誰かと一緒にステージに立てたら……綴理もスクールアイドルだよ…って、先輩に言われただけ」
「っ……ご、ごめっ…」
「良いんだ。本当に大したことじゃない」
綴理さん本人が大したことじゃないって言うけど、聞かされた人からしたら大したことあるんだよな…
「確かにその約束はあったけど…でも、それが果たされるかどうかなんてもう関係ない。それよりずっと早く、こうしてさやとスクールアイドルになれたんだ」
「せんぱ……でもっ…!」
「だから、うん。やっぱり、はっきり言おうと思う」
「え?」
「市場に行ってから、さやは見違えたと思う。それはきっと、自分を見付けられたからだった。今のさやが魅力的で、みんなが凄いって言ってくれるのは…ボク自身も凄いなと思うのは…さやが、さやらしくあるからだ。さやがまた、何かを理由に押し込められるのは、なんていうか意味がないんだ」
「先輩…わたしは…!」
「むしろもっと、わがままになっていいんだ。ボクのこととから気にしないで。今回のことだって…こんなことでさやが凹む必要、ない」
「でもっ」
「さやは色んなことをしてくれたよ。ボクも、こずもかほも…りっかもりおも…ライブや、配信に駆けつけてくれたみんなも、さやが頑張り屋で素敵な子だってことはもう分かってる。本当に…ボクは、さやと一緒にスクールアイドルができて嬉しかった。でもそれは、ボクだけの気持ちだ」
「やめてください。それじゃあまるで…もう、終わりみたいな…」
「終わらせるか、終わらせないかは、キミ次第だ。でも。スクールアイドルは、誰かにやらされるものじゃない」
「っ……!」
「ボクは、キミが本当にやりたいものをやるべきだと…思う。そこに、ボクも、フィギュアの人たちも、関係ない。スクールアイドルを頑張らなきゃいけない理由は……どこにもない」
「そんな…そんなの……」
さやかはそのまま部室から走り去った。追いかけるべきだよな…
「それも、良い先輩…のつもり?」
「…ライブは、こずとかほに任せるよ」
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