蓮ノ空の花と桜   作:水甲

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久し振りですみません


第37話 引退とライブ

理桜Side

 

さやかの待ち合わせ相手、まさか姉だったとは…

 

「さやかのお友達ね。この間はどうも。改めまして村野つかさって言います」

 

「いや、まさかとは思ってたけど…俺は相花理桜」

 

「会ったことあるんですか?」

 

「まぁ…ちょっと」

 

本当にあの時はそうかなと思っていたけど…

 

「それとさやか、優勝おめでとっ!やるじゃん」

 

「…うん、ありがとう。演技…見て、くれてた?」

 

「見た見たーほんと…綺麗になったねー、さやかー」

 

そう言ってさやかの頭を撫でるつかささん。さやかは嬉しそうにしながら…

 

「うん。……うん。わたし、頑張ったよ。約束した通り、頑張ったよ」

 

「そうだねー。……うん、そうだねぇ。さやか…ありがとね」

 

つかささんはさやかを抱き締めながら、話を続けていた。

 

「私が腐ってたせいで、色々嫌な思いさせてごめんねぇ。ほんと…お姉ちゃんの分も頑張るって言って……今、こんな風に凄い子になって…わたし、嬉しいよ」

 

「ぁ……うん。うん!」

 

「でも、色々あってわたし、元気になれたよ。それこそ…また、ここに来ようって思えるくらいに」

 

「まぁ、正直に言うと驚いたよ。お姉ちゃんが、ここに来たのは」

 

「でしょー。秘訣があったんですよ。秘訣がー。聞きたい?」

 

そろそろ作業に戻るか…それに姉妹水入らずをこれ以上邪魔するのもな

 

「俺は行くよ」

 

「理桜さん、はい、また」

 

「またねー」

 

俺は作業に戻り、寮に戻る途中、さやかから電話を受けた

 

「それじゃ引退するんだな。つかささん」

 

『はい、姉なりのけじめをつけるとのことです。とは言え姉が滑ると言うことではなく、お世話になった人達が……セレモニーですね』

 

「そっか…さやかも出るのか?」

 

『はい、ちゃんと送ってあげたいですから…』

 

「俺の方もできる限り協力する」

 

『ありがとうございます。あと…あ、いえ、何でもないです』

 

何だ?何か言い掛けたみたいだけど……気にしない方が良いか

 

 

 

 

 

数日後、俺は部室に入ると梢さんたちが何か話していた

 

「日程が重なってしまったというのは…本当なの?」

 

「ん」

 

「そう……このこと、村野さんにはもうお話ししたの?」

 

「ううん、話してない。話すつもりも……ないかな」

 

「何との日程が被ったんです?」

 

「理桜くん!?」

 

「りお、聞いてたの?」

 

「聞こえてたんで…変に黙ってるとそれが問題になって揉めますよ」

 

「それは…そうだけれど…」

 

「その日は…ライブと被ってるんだ…」

 

「綴理がずっと楽しみにしていたライブイベントよ」

 

「綴理さん的にはそれでも出なくても良いって思うんですか?」

 

「それは…でも…さやが知ったら、絶対に気にするはずだから……それにさやは…ただでさえ、両方頑張ろうとしてるんだ」

 

要するにさやかに嫌な思いをさせたくないって事か……何だかんだ綴理さんって良い先輩だよな…

そう思っていると突然部室のドアが開かれた

 

「今の……何の話ですか?」

 

そこにいたのはさやかだった。まさか聞かれていたとは……

 

「さや……」

 

「……」

 

「……聞いてた?」

 

「聞いてしまったことは…ごめんなさい。でも。でも、お姉ちゃんの引退の日……ライブがあるって…それも…夕霧先輩にとって、大事なライブだって……本当なんですか…!?」

 

「うそだよ」

 

何でこのタイミングでそんなこと言えるんだ…この先輩は…

 

「夕霧先輩!!」

 

「……ごめんね、聞かせちゃって」

 

「っ~~!謝って欲しくなんかありません!むしろ謝らなきゃいけないのはーー」

 

「さやは悪くないよ」

 

「でも!」

 

「ライブも、フィギュアも、日程を決めたのはさやじゃない。どうしようもないことはある。ボクはさやのお姉ちゃんの引退の日をさやから聞いてた。……それだけのこと」

 

「でも…夕霧先輩が次のライブを大事に思っている気持ちは、それとは関係ありませんよね…!?」

 

「……べつに、大したことじゃないよ。来年誰かと一緒にステージに立てたら……綴理もスクールアイドルだよ…って、先輩に言われただけ」

 

「っ……ご、ごめっ…」

 

「良いんだ。本当に大したことじゃない」

 

綴理さん本人が大したことじゃないって言うけど、聞かされた人からしたら大したことあるんだよな…

 

「確かにその約束はあったけど…でも、それが果たされるかどうかなんてもう関係ない。それよりずっと早く、こうしてさやとスクールアイドルになれたんだ」

 

「せんぱ……でもっ…!」

 

「だから、うん。やっぱり、はっきり言おうと思う」

 

「え?」

 

「市場に行ってから、さやは見違えたと思う。それはきっと、自分を見付けられたからだった。今のさやが魅力的で、みんなが凄いって言ってくれるのは…ボク自身も凄いなと思うのは…さやが、さやらしくあるからだ。さやがまた、何かを理由に押し込められるのは、なんていうか意味がないんだ」

 

「先輩…わたしは…!」

 

「むしろもっと、わがままになっていいんだ。ボクのこととから気にしないで。今回のことだって…こんなことでさやが凹む必要、ない」

 

「でもっ」

 

「さやは色んなことをしてくれたよ。ボクも、こずもかほも…りっかもりおも…ライブや、配信に駆けつけてくれたみんなも、さやが頑張り屋で素敵な子だってことはもう分かってる。本当に…ボクは、さやと一緒にスクールアイドルができて嬉しかった。でもそれは、ボクだけの気持ちだ」

 

「やめてください。それじゃあまるで…もう、終わりみたいな…」

 

「終わらせるか、終わらせないかは、キミ次第だ。でも。スクールアイドルは、誰かにやらされるものじゃない」

 

「っ……!」

 

「ボクは、キミが本当にやりたいものをやるべきだと…思う。そこに、ボクも、フィギュアの人たちも、関係ない。スクールアイドルを頑張らなきゃいけない理由は……どこにもない」

 

「そんな…そんなの……」

 

さやかはそのまま部室から走り去った。追いかけるべきだよな…

 

「それも、良い先輩…のつもり?」

 

「…ライブは、こずとかほに任せるよ」




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