■南場
【南一局】 親 京太郎 ドラ{⑦}
東:京太郎「26900」
南:界 「58200」
西:咲 「19900」
京太郎 手牌
{一九①③③④⑤⑥⑧58北中} {①}
界 手牌
{西④南一南⑦一3⑦17[⑤]③}
咲 手牌
{一②④⑥⑨23689東南発}
(はぁ……お父さんに役満振り込んじゃったせいか、五向聴だよ……)
1巡目
咲の運はとことん悪くなっているのか、震える手で引いてきたのは有効牌ではない白だった。
咲 ツモ{白}
(こんなに酷くなるなんて……対子もないし、カンまでが遠いよ)
打{一}
3巡目
咲 ツモ{初} 打{南}
「ポン」
界は咲から南をポンする。{南南横南}
8巡目 界は有効牌をツモり、テンパイする。
界 ツモ{⑦} 打{1}
界 手牌
{④一⑦一⑦[⑤]③⑥②⑦} {南南横南}
12巡目
咲 ツモ{①} 打{①}
「ロン」
「うっ……」
咲が捨てた牌で界がロンと言い、理牌をして牌を倒した。
ドラ{⑦}
{一一②③④[⑤]⑥⑦⑦⑦} {南南横南} ロン{①}
「ダブ南・ドラ4、12000」
「あ……ああ……」
「咲が差し込みしないでこんなに失点するの珍しいな」
京太郎はデジタルで表示されている点数を見ながらそう言い、お菓子を一口で食べてジュースを飲む。
「お父さんは昔から理牌しないからテンパイ気配が分からないよ……」
「界さんは何で理牌しないんですか?」
「それはね、なんかカッコいいからだよ」
「ええっ、何それ! もっとちゃんとした理由があると思ってたのに!」
咲は前のめりになりながら、界の言ったことに不満を言う。そんな咲を見て、界は楽しそうに笑っていた。
「ごめん咲、さっきのは冗談。本当はテンパイ気配を隠したいだけ。咲も言っているように、理牌しないだけでもテンパイが分かりにくいだろ? これは、リアルの情報に頼っている雀士に有効なんだ」
界はジュースを一気に飲み干すと、空になったコップに氷を追加してジュースを注ぎながら言葉を続ける。
「僕は普通で、照や咲のようなオカルトは持っていない。こういう小細工を使ってギリギリ勝負になるんだ。さあ、続きをやろう。今のやり取りで咲は元気になって、いつもの調子を取り戻しているみたいだからね」
「あっ、本当だ。苦しかったのに、今は全然平気」
さっきまで震えていた咲の手は止まっている。そして、体の内側から力が湧いてくる感じがしていた。
「おっ! 咲がこのまま界さんから逆転するのか?」
「咲にここまで点差を付けたのに逆転されたらたまったもんじゃないぞ」
「私……なんだか逆転できそうな気がする!」
咲は闘志を燃やして次の局に進んだ。
【南二局】 親 界 ドラ{東}
西:京太郎「26900」
東:界 「70200」+12000
南:咲 「 7900」-12000
京太郎 手牌
{九①②⑤⑤⑤⑧1247北白}
界 手牌
{北6④⑥1⑦[⑤]2西発⑦④6} {西}
咲 手牌
{①③④⑥⑦2579北西中中}
(四向聴、気持ちを切り替えても運は落ちたまま)
1巡目
界 打{北}
咲 ツモ{一} 打{一}
京太郎 ツモ{⑨} 打{北}
2巡目
界 ツモ{9} 打{9}
咲 ツモ{⑨} 打{西}
京太郎 ツモ{南} 打{南}
3巡目
界 ツモ{発} 打{1}
咲 ツモ{中} 打{2}
京太郎 ツモ{8} 打{白}
4巡目
界 ツモ{2}
(ここはあえて理牌するか)
界が理牌をすると、咲の表情が一瞬険しくなる。
界 手牌 打{⑥}
{④④[⑤]⑦⑦2266西西発発}
咲 ツモ{中}
咲 手牌
{①③④⑥⑦⑨579北中中中} {中}
(中をカンできるけど、カンしても二向聴。今の私じゃお父さんの速度に追いつけない)
咲はオリることを決め中を掴むが、その時急に中を掴む手が止まった。界の国士無双を警戒したのだ。
こんな巡目から国士無双を張っている可能性は限りなく低いと分かってはいるが、東三局での国士無双槍槓が頭を過る。
咲は深呼吸をして落ち着き、場に見えている情報から、中を捨てても良いのかを判断する。
ドラ{東}
界 捨て牌
{北91⑥}
京太郎 捨て牌
{北南白}
(ドラが東で北が使われてる。私の手牌にも北があって、お父さんと京ちゃんが1枚ずつ河に捨ててる。4枚北が見えてるから、中で国士無双に振ることはない!)
咲 打{中}
咲は迷いを断ち切り、中を河に捨てる。
9巡目
界 ツモ{九} 打{[⑤]}
咲 ツモ{一} 打{9}
(お父さんが待ちを変えた、しかも赤五筒を捨てて。テンパイ気配は変わらないけど、さっきよりも怖くなくなった)
京太郎 ツモ{九}
京太郎 手牌
{九①②⑤⑤⑤1234578} {九}
(界さんが赤五筒を捨てたら、俺の五筒たちから危険な気配が消えた。そして今ツモった九萬から危険な気配がする)
京太郎 打{1}
10巡目
界 ツモ{②}
「リーチ」
界 手牌 打{横九}
{②④④⑦⑦2266西西発発}
(いくら京太郎君でもここまで待ちを変えられたら厳しいだろ)
咲 ツモ{一} 打{一}
京太郎 ツモ{②} 打{①}
(今度は九萬から二筒が危険な気配になった!)
11巡目
界 ツモ{南} 打{南}
咲 ツモ{③} 打{南}
京太郎 ツモ{7} 打{8}
12巡目 界は指の腹で盲牌するとツモを宣言。
「ツモ」
ドラ{東}
{②④④⑦⑦2266西西発発} ツモ{②}
「リーチ・ツモ・七対子、3200オール」
そして界は100点棒を卓の端に置いた。
「一本場、行くよ」
【南二局】 一本場 親 界 ドラ{一}
西:京太郎「23700」-3200
東:界 「76600」+6400
南:咲 「 4700」-3200
京太郎 手牌
{一④⑥⑦24477東南西白}
界 手牌
{⑧2白4九6⑦③南西5②2} {2}
咲 手牌
{一九①②③⑧⑨⑨⑨478発}
1巡目
界 打{九}
咲 ツモ{⑨} 打{九}
京太郎 ツモ{①} 打{東}
4巡目
界 ツモ{7} 打{南}
咲 ツモ{1} 打{1}
京太郎 ツモ{西} 打{①}
7巡目
界 ツモ{⑥} 打{白}
咲 ツモ{9} 打{4}
京太郎 ツモ{8} 打{④}
8巡目
界 ツモ{④}
「リーチ」
界 手牌 打{横1}
{⑧246⑦③5②227⑥④}
捨て牌
{九北西南9九}
{白横1}
咲 ツモ{東} 打{9}
(何が当たり牌か分からない。安牌捨てなきゃ)
京太郎 ツモ{一} 打{⑥}
16巡目 京太郎や咲はオリていたが、界が引いてしまったようだ。
「ツモ」
界は理牌してから牌を倒す。
ドラ{一} 裏ドラ{北}
{②③④⑥⑦⑧2224567} ツモ{3}
「リーチ・ツモ・タンヤオ、
2000の一本場は2100オール」
【南二局】 二本場 親 界 ドラ{⑥}
西:京太郎「21600」-2100
東:界 「80800」+4200
南:咲 「 2600」-2100
京太郎 手牌
{[⑤]⑨16東南西西白白発発発}
界 手牌
{②5①九⑦白6西白西361} {7}
咲 手牌
{一一一①③④⑦4789北北}
(二向聴、でもここはあえて我慢する)
1巡目
界 打{九}
咲 ツモ{一} 打{9}
京太郎 ツモ{4} 打{1}
京太郎はこの後、3巡目、7巡目、12巡目に有効牌を引いてテンパイした。
そして危険な気配を感じないので、高らかにリーチを宣言する。
「リーチ!」
京太郎 手牌 打{横⑨}
{⑥⑦⑧456西西白白発発発}
京太郎がリーチをした時には、まだ界と咲はテンパイをしていなかった。
界 ツモ{九}
界 手牌
{5白6西白西3617223} {九}
(京太郎君の方が早かったか)
界 打{1}
咲 ツモ{中}
咲 手牌
{一一一一③144[5]78北北} {中}
咲 打{1}
その後、京太郎はいくら牌を引いても当たり牌を掴むことはなく流局。
「テンパイ」
「ノーテン」
「ノーテン」
京太郎のみテンパイで、界と咲はノーテンだった。
「今度こそ和了れると思ったんだけどなぁ」
京太郎はそう言いつつも、卓に置かれた2000点を取り、点棒入れに嬉しそうに入れた。まだ和了れていないので焼き鳥なのは変わらないが、京太郎の点数が増えるだけでも珍しいのだ。
【南三局】 流れ三本場 親 咲 ドラ{④}
リーチ棒一本
南:京太郎「22600」+2000-1000
西:界 「79800」-1000
東:咲 「 1600」-1000
京太郎 手牌
{一九②④④⑥1378北発中}
界 手牌
{9白⑤東1一⑧一99⑦3西}
咲 手牌
{①④⑨34444[5]679西} {1}
オーラスの第1打は咲が{西}を河に捨てて始まる。
4巡目
咲 ツモ{8} 打{⑨}
京太郎 ツモ{九} 打{中}
界 ツモ{⑨}
「リーチ」
界 手牌 打{横西}
{9⑤1一⑧一99⑦32一③⑨}
5巡目
咲 手牌
{④1234444[5]6789} ツモ{7}
(お父さんがリーチしてるけど、私だって4筒を捨てれば、17索待ちのテンパイに……)
咲が4筒を掴むと寒気を感じ指を離した。これを捨てたら負けると直感したのだ。
咲 打{7}
咲はツモってきた7索をツモ切り、テンパイにしなかった。
(咲は直前に思いとどまったか、これはもう僕の和了はなくなったかな)
界は和了を諦めると、京太郎が界の待ち牌を引く。
京太郎 ツモ{④} 打{発}
界 ツモ{①} 打{①}
12巡目
ここまで咲は、京太郎や界が新たに捨てて安牌になった牌を引いていたので、ツモ切りで凌いでいた。そして、咲に動きが出始める。
咲 ツモ{⑦} 打{4}
13巡目
咲 ツモ{[⑤]} 打{4}
14巡目
咲 ツモ{⑥} 打{4}
咲が暗刻を落としてオリているように見えていたが、咲の表情は何かを目指しているかのように、山を見ていた。界はまだ咲が和了を諦めていないと気が付く。
15巡目
咲が手牌を倒した。
「ツモ!」
ドラ{④}
{④[⑤]⑥⑦1234[5]6789} ツモ{⑦}
「ツモ・一通・ドラ3、
6000の三本場は6300オール!」
咲は前の局で京太郎が置いたリーチ棒と、この局で界が置いたリーチ棒を回収した。
【南三局】 四本場 親 咲 ドラ{一}
南:京太郎「16300」-6300
西:界 「72500」-6300-1000
東:咲 「16200」+12600+2000
京太郎 手牌
{一一②⑦⑧124556東西}
界 手牌
{24九中南南9④⑦75⑧①}
咲 手牌
{④[⑤]⑥⑦23東白白発発中中} {西}
(大三元の対子が3つ、大三元を作ってお父さんから直撃すれば逆転だけど、お父さんが振り込むとは思えない。ここはツモるしか……あっ!)
もしこのまま役満をツモると、四本場で16400オールとなる。そうなれば点数状況はこのように変わる。
京太郎「 -100」-16400
界 「56100」-16400
咲 「49000」+32800
咲が役満をツモると京太郎が飛び対局が終了して、咲は2位という結果になるのだった。
(ツモ損が無ければ私が勝てるのに……翻数を下げて次の局で逆転を狙う? いや、次の局になったらこんな良い手が来ないかもしれないし、お父さんが和了しちゃうかも……だったら狙うのは!)
咲は方針を決めて捨てる牌を掴むのだった。
1巡目
咲 打{④}
京太郎 ツモ{九} 打{九}
界 ツモ{8}
(咲はこの局、手牌を捨てるのに少々時間をかけていた、そして打四筒。親だから連荘して逆転を狙おうとするならば1巡目からそんな打牌は考えにくい。何より端に牌が寄っているなら四筒でもすぐに捨てられるはずだ。何かあるな)
打{中}
界は中を捨て、咲の動向を窺う。三元牌が対子であるなら鳴いてくるはず。大三元を狙うにしても、連荘するにしても、役牌には手が出ると読んでいた。
しかし、咲はこの中を鳴かずに見送った。
(咲は大三元を狙っていない、もしくはまだ中は手牌に揃っていないのか? それとも……)
2巡目
(中をポンすれば大三元に近づくけど、そしたら発も白も来てくれない気がする)
咲 ツモ{白} 打{⑦}
(白が暗刻になってくれた。やっぱり中を鳴かなくて正解だったよ)
京太郎 ツモ{9} 打{②}
界 ツモ{発}
(発か、中は通ったけど、こいつはどうかな)
界 打{発}
「ポン」
咲は発をポンする。 {横発発発}
(咲は発を鳴いたか、ということは大三元の目はまだ残ってるな。索子も切られていないし、緑一色の可能性もあるか)
界は咲の役を推測していく。
3巡目
咲 打{[⑤]}
京太郎 ツモ{⑤} 打{9}
界 ツモ{③} 打{九}
4巡目
咲 ツモ{西} 打{⑥}
京太郎 ツモ{東} 打{5}
界 ツモ{一} 打{一}
5巡目
咲 ツモ{⑨} 打{⑨}
京太郎 ツモ{1} 打{1}
界 ツモ{④} 打{①}
6巡目
咲 ツモ{発}
「カン」
咲は発を加カンする。 {
咲がカンしたことでドラ表示牌が増えた。
ドラ{一4}
ツモ{東} 打{3}
京太郎 ツモ{西} 打{⑤}
界 ツモ{④} 打{③}
(嶺上開花じゃないのか、ということは手を進めるためのカン。だが、索子が溢れて来たか。緑一色を警戒で索子は残しておこう)
7巡目
咲 ツモ{4} 打{4}
京太郎 ツモ{[5]} 打{5}
界 ツモ{南}
(緑一色の可能性があるから2索は切れない)
打{5}
8巡目 咲に超大物手が入る。
咲 ツモ{中}
(できた! 2索を捨てれば、東西待ちの大三元字一色のダブル役満。これならツモでも勝てる!)
咲 手牌 打{2}
{東東西西白白白中中中} {
京太郎 ツモ{③} 打{③}
界 ツモ{3}
(咲は凄い手をテンパイしているみたいだな、牌からもの凄い圧力を感じるよ。でも、和了できなきゃ意味がない)
界 手牌 打{④}
{24南南9④⑦7⑧8④南3}
(69筒待ちだ、咲と僕のどっちが先に和了るかな)
9巡目
咲 ツモ{8} 打{8}
京太郎 ツモ{⑥} 打{2}
界 ツモ{9} 打{9}
10巡目
咲 ツモ{九} 打{九}
京太郎 ツモ{⑨} 打{1}
界 ツモ{7} 打{7}
11巡目
咲 ツモ{一} 打{一}
京太郎 ツモ{⑥} 打{一}
界 ツモ{南}
(4枚目の南か、本来は安牌として使う方が良いけど、咲が相手なら新たにカンされて有効牌を持ってこられても困るな)
「カン」
「えっ」
界は南を暗槓する。 {裏南南裏}
ドラ{一48}
界 ツモ{北}
(北が嶺上牌か。咲ならこの牌で和了りの可能性が高いだろうけど)
界は咲の表情を見るが、カンをしたことに驚いてはいるものの、和了牌を取られたとは思っていないような感じがした。
なので界はこの牌ではロンされないと判断して、嶺上牌の北をツモ切った。
打{北}
界の予想通り、咲はロンをしてこなかった。
12巡目
咲 ツモ{③}
(お父さんにカンされて驚いた。でも北はこの手牌に入らな……待って、この卓には京ちゃんがいるんだよ。なんでこの手で和了れると思ってたんだろう!)
咲は自分の手牌の東と西を見て、やっと自分に見落としがあったことに気が付く。京太郎がいる卓でこんな大物手を作ったら、京太郎に和了牌を抱え込まれているに決まっている。
咲は東を捨てて、ダブル役満テンパイを崩すのだった。
打{東}
京太郎 ツモ{⑨} 打{一}
界 ツモ{①} 打{①}
(咲がテンパイを崩した?)
13巡目
咲 ツモ{北} 打{東}
京太郎 ツモ{⑥} 打{⑧}
界 ツモ{⑦} 打{⑦}
14巡目
咲 ツモ{白} 打{③}
京太郎 ツモ{⑨} 打{⑦}
界 ツモ{6} 打{9}
咲 手牌
{西西北白白白白中中中} {
捨て牌
{④⑦[⑤]⑥⑨3}
{428九一東}
{東③}
京太郎 手牌
{⑥⑥⑥⑨⑨⑨4[5]6東東西西}
捨て牌
{九②951⑤}
{5③21一一}
{⑧⑦}
界 手牌
{24④⑦7⑧8④36} {裏南南裏}
捨て牌
{中九一①③5}
{④97北①⑦}
{9}
15巡目
咲が山から牌を掴むと、咲の体が光り始めたように京太郎と界には見えていた。
咲 ツモ{北}
「カン」
咲が白を暗槓する。 {裏白白裏}
カンされた牌が卓の右端に送られ卓の縁に当たると、咲の背後から花吹雪が舞う。それはとても心地良く、京太郎と界は、咲の一挙手一投足に見惚れていた。
嶺上牌を掴む咲は、牌を手牌の横に表向きに優しく置いた。
「ツモ」
{西西北北中中中} {裏白白裏} {
ツモ{北}
「大三元・字一色、32000の四本場は、
32400オール」
【終局】
京太郎「-16100」-32400
界 「40100」-32400
咲 「81000」+64800
1位:咲 +56
2位:界 +-0
3位:京太郎-56
「逆転されちゃったな」
界がそう言ってジュースを飲み干すと、咲は逆転できたことに喜び、京太郎はダブル役満を見られて興奮していた。
「ダブル役満を和了なんて凄いぞ咲! 照さんの純正九蓮宝燈を見た時と同じくらいの衝撃だった」
「お姉ちゃんと同じくらいか……嬉しいな。ねえ京ちゃん、私はお姉ちゃんに勝てると思う?」
「ああ、今の咲なら照さんにも勝てると思うぞ!」
「ありがとう、京ちゃん」
京太郎にそう言われて咲は照れていた。
界は2人のやり取りをもっと眺めていたいと思ったが、逆転負けをされて悔しいのと、もっと麻雀をしたいと思い対局を急かした。
「咲、京太郎君、そろそろ次の半荘に行こう。リベンジだ」
「うん!」
「おっしゃー! 次こそ和了るぞ!」
咲たちは点棒を整え、お菓子や飲み物の補充をすると、次の半荘を始めるのだった。
そして、半荘を合計4回ほど対局して、最終成績は咲が1位を4回、界が2位を3回3位を1回、京太郎は2位を1回3位を3回という結果に終わった。
■
京太郎は界と一緒に麻雀卓を物置に片づけていると、京太郎の腹が鳴った。
「京太郎君はお腹が空いたみたいだね、出前でも頼もうか」
「い、いえ! そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ! 台所を貸してもらえれば俺が作ります」
「そうかい、じゃあお言葉に甘えて、京太郎君に夕食を作ってもらおうかな」
「はい、任せてください!」
京太郎は界に向かって敬礼のポーズをとった後に台所に向かって行った。
そこへ、リビングでテーブルを拭いていた咲も京太郎に加わって、一緒に料理を作り始めるのだった。
界は2人の後ろ姿をイスに座って微笑ましく眺めた後、自分のスマホを操作して文字を打ち込んでいく。長野から離れて東京に住んでいる妻の宮永愛と、娘の宮永照の2人宛てにメールの内容を考えていた。
送るメールの内容が決まり送信すると、美味しそうな匂いがしてくる。
「お父さんできたよ~」
丁度料理ができたようで、咲と京太郎は料理を運んでくる。3人とも楽しく食事をして、1日を終えるのだった。
次回は照ちゃん視点で白糸台高校麻雀部の様子をやります。