よう実短編   作:徹底的ライチ

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占領戦

まもなく2月が終わる、全学年の合同合宿が終わってすぐの休日でのこと

俺は自室で来月に行われる学年末試験の後の準備について考えていた

 

俺は堀北クラスを裏切り、別クラスに移動することになる

どこのクラスにするかはまだ未定だ

もともとは一ノ瀬クラスに移籍する計画だったが、龍園と坂柳の対決で負けたクラスも選択肢に入る

 

だがどのクラスに移動するにせよ、確実に準備しなければならないことがある

それは俺の部屋に置いてある恵の私物の整理だ

 

当然だが裏切ることは事前に一切伝えない

裏切ると同時に恵との交際関係も終わる

さすがに裏切った後で、恵に部屋の私物を回収させるのは気まずすぎる

今のうちに理由を付けて整理しなければ

 

俺は隣に座る勉強中の恵に話しかける

「恵。いつも教科書を俺の部屋に置きっぱなしにしているが、自分の部屋に持って帰ったらどうだ?」

「・・・えー、なんで?いつもここで勉強してるんだからいいじゃん」

「そろそろ学年が変わって教科書も一新される。使わなくなるから、今のうちに少しずつ持って帰っておけ」

 

教科書は15冊以上あり、すべてを1度に持ち帰るのは骨が折れる

恵は理由に納得したのか、面倒くさそうにしながらも毎日少しずつ持ち帰ることを約束してくれた

 

「恵。恵の枕をそろそろ買い替えようと思う。新しいものが届いたら、今あるものは捨ててしまっても構わないか?」

「んー、いいけど、今のってそんなに古かったっけ?」

「ああ、穴が開いていたからな。穴が広がる前に買い替えないといけない」

 

恵は枕に穴を見て驚き、買い替えることを了承した

もちろん穴は俺が意図的に開けたものだ

俺は学年末試験の後で恵の部屋に届くように枕を注文した

 

「恵。悪いんだが、服も一度全部持って帰ってくれないか?大掃除をするときに邪魔になる」

「大掃除?なんでこんな時期に?年越し前にしてたよね?」

「新年度になる前に模様替えをしたくてな。その前についでで大掃除をしたいんだ」

 

恵は俺の部屋に寝泊まりすることが多く、服は下着も含めてクローゼットにしまわれている

服を持ち帰らせるということは、恵は俺の部屋に泊まりにくくなる

抵抗してくるであろうと予想して別の理由も考えていたが、恵は案外すんなり納得した

 

これで恵の荷物は一通り持ち帰らせる目処が付いた

俺は肩の荷も下りたように力を抜いた

 

「それにしても模様替えするんだね。ちょうどよかったかも」

「・・・なんの話だ?」

 

ーーーーピンポーン

 

俺と恵との会話に割って入るようにチャイムが鳴る

 

今日誰かが来る予定はなかったんだがな

堀北が学年末試験について相談にでもしに訪ねてきたのだろうか

それにしても先にメールの1つでも送ってきそうなものだが

 

そんな思考を巡らせながら玄関に向かおうと立ち上がるが、恵の方が素早く移動し扉を開ける

外には見たことの無い男が二人。段ボールに入った大きな荷物を台車に乗せて運んできていた

 

「注文されていた冷蔵庫のお届けです」

「はーい。このまま中に入って、回収と設置お願いしますね」

 

・・・冷蔵庫?

俺が全くの想定外の状況に固まってしまっている間にも、男達はもともと部屋にあった冷蔵庫を外に運んでいく

そして段ボールから高さ2m近くある巨大な冷蔵庫を取り出し、危なげもなく部屋に設置する

男達はテキパキとものの数分で作業を終え、部屋を後にした

 

「じゃじゃーん、サプライズでーす。新しい冷蔵庫買っちゃいましたー」

「・・・サプライズ?」

「そ。これ、20万ポイントもしたんだよ?清隆って結構料理するし、うれしいよね?」

 

恵は固まる俺のことなど意に介さず、いかにこの冷蔵庫が高性能かを説明する

容量が500L以上ある、扉がタッチオープン式、手入れがしやすい、などなど

だが俺は全く別のことを考えていた

この巨大な冷蔵庫を一体どうやって恵の部屋に送り返せばいいんだ?

 

「・・・俺の部屋に置くんだから、俺がポイントを出すよ」

「いいよいいよ。この部屋はもう私たち二人の部屋みたいなものでしょ?」

 

恵の光が無い目を見て確信する。恵に俺の目論見が全てバレてしまっている

俺は口を引きつらせながらただ頷くしかなかった

 

「これから"一緒に"使っていこうね?清隆」

 

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