共依存になった話を深堀り。
「アルル、こういうことはよくないぞ」
「知ってるよ。だけど、ぼくは先輩を必要としているんだよ」
後輩の女の子、アルルがオレのベッドでオレの腕を掴んで添い寝をしている。
交際して半年経過をするが、まさかこんなにベッタリされるとは思わなかった。昔から子供っぽいとは思っていたが、距離を縮めたら束縛をされている。そう実感をするようになった。
「ぼくのこと好き?」
「ああ、好きだから一緒にいる」
「えへへ」
アルルが密着をしてくる。まるで知り合った時のような純粋さを今でも感じる。
「キスして欲しいな、先輩」
「ん」
要望に答え、オレは目を閉じて、アルルに口づけをする。後輩である恋人のアルルとそんな休日を過ごしている。
年少の頃を振り返る。
オレは孤独だった。児童にしながら、大人が使う魔法を取得し、周囲からから一目置かれる存在だった。クラスメイトから「カミュくん、すごい!」と言われるようになったが、何度も何度も言われるとそれが当たり前と化をし、やがては「さすが!」としか言われなくなった。
孤高と言われればそれまでだが、まるで大人のように振る舞う姿をしていれば周囲から浮いた存在だと自覚があった。年少時からクラスメイトと話が合わなかった。周囲は電車の模型で遊ぶ、登場人物に自分を重ねて遊ぶ◯◯ごっこなどと言った遊びをしていたが、小学校に入学する前に興味を失っていた。クラスメイトから誘われれば、一緒に遊ぶことはあったが、面白いと思わなかった。
そんな中、成績優秀を見込んで祖母であるオババさまから魔導幼稚園の手伝いをするように言われたのだった。玄関の掃除や皿洗いなどと言った家事をするのと同じでオレの家は個人事業主で生計を立てている。だから、年少時から仕事の手伝いをしていた。それを優先するようになって、オレの友達付き合いはどんどん減って行った。
しかし、そんな生活をけっして苦痛とは思わなかった。後輩の園児たちの面倒を見ることで頼られているということが誇りに思えたからだ。
落ちこぼれの園児の面倒を見る「おしえて!カミュせんぱい」なる補習授業をやるようになり、オレは2個年下の後輩アルル・ナジャと出会った。
「はじめまして、アルル・ナジャです。よろしくね、カミュせんぱい」
「こちらこそ、よろしく」
それが彼女と初めてした会話だった。
アルルは筆記試験が大の苦手で毎回というほど赤点を取る落ちこぼれだった。ここまで成績が悪い生徒は初めてというほど。
補習授業の生徒は年少から年長まで様々だ。不特定多数。
しかし、何度も何度も補習授業に出ていると、顔と名前を覚えてくる。
「お前、またか!」
「せんぱい、今回も勉強をおしえて!」
手のかかる子ほど可愛いと言うが、筆記試験の成績が悪いの他に無邪気で放っておけないような後輩だ。
暫くをしたら、卒業試験の時期になり、オレは試験管を試験官をやるようにオババさまから説明を受けた。一部の試験問題はオレが考えたものが採用された。
毎回、卒業試験を受けることのできる生徒はとても少ないことを知っていたが、あのアルルが合格をしたと聞き、オレは驚愕をした。意外すぎるぞ。
当日、オレは塔の2階で杖に乗ってアルルがやってくるのを待機した。
「久しぶりだな」
「あれぇ、なんでカミュせんぱいがここにいるの?」
オババさまから説明を受けた通りに進める筈だったが、ラーラと名乗る後輩から家業の妨害をされて、集中できない。
その後、オレはラーラに振り回されて地下に閉じ込めることにした。
最上階では闇の貴公子なる者に妨害をされたが、オレは敗北。アルルが勝利をした。後輩に仮ができてしまった。
試験が再開したかと思うと、今度は警告音が響いて、爆発スイッチが押された。
本来ならば、脱出時に地面にクッションが置いてある仕様だったが、ない。オレは杖に乗って落下をするアルルの腕を掴んだ。爆発音が聞こえる。
「せんぱい、早く」
「わかっているが、2人は重すぎる!」
爆発音が止んで、アルルが卒業試験に合格をしたことを知った。
これでアルルとはたまにすれ違うくらいで終わるだろう。そう思っていたのだが。
もうすぐ、3年生になるという時だった
「カミュ、アルルが来てるわい」
「!?」
「せんぱい、久しぶり。あのね、ぼくね。同じ学校に通うことになったんだよ!1年生だよ!それでね、また、勉強を教えて欲しいんだけど」
おしえて!カミュせんぱいは幼稚園の園児に向けての補習授業だ!そうツッコミをしたかったが、アルルには仮ができていたからな。オレは家業以外で勉強を教えることになった。
何度も何度も勉強を教えるうちにやがて、アルルから、「家に来てよ!」誘われるようになって、アルルの家庭が母子家庭であることを知る。
いくら年下の女の子であっても、甘えすぎじゃないか?と思っていたが、男手がいないのか。納得だった。アルルの母が「男の子を連れてくるなんて!」という反応をされた。
同世代よりアルルと過ごすことが多くなっていた。放課後や休日は魔導幼稚園で家業が優先だからな。
10代に差し掛かると人間関係が損得で付き合うような人間が出てきて、オレを利用をしているのが何人も出てきた。
「カミュ、お前、後輩の女の子とばかり遊んでいるんだって?さすがませているだけあるな!」
「興味のあるのは勉強だけじゃなかったんか!ひゅーひゅー」
「それがなんだ?」
クラスの男から誂われるようになったが、気にしない。男というのは悲しいものだな。こういう点は女の方が成熟するのが早いらしいが、オレは違っていてたようだ。
魔導中学に入学をしても、アルルとは相変わらず、交流が続いていた。バレンタインデー、クリスマスなどと行った行事には必ず声をかけていた。
中学になると損得で付き合うようなのが更に増え、思春期ならではのピリピリした空気が漂う。アルルは相変わらず損得なしで接してくる。そんなアルルがいつの間にか好きになっていた。
アルルの卒園試験の時に知り合ったラーラは有名人がいると、他にも追っかけをしていたことを知り、こんなものだろう。冷めた気持ちでいた。
アルルと知り合って5年経ったが、この時からアルルへ執着ができていると感じるようになっていた。
人生の半分ほどの年齢をアルルと共に過ごしていたのだから。同世代でも、クラスが変わると関わりがなくなるのよくあるのだが、学年が異なるのにも関わらず、長い間に居心地よく過ごしていたのだから。
オレとアルルは対等の付き合いじゃない。それは知り合っていた時からわかっていたが、頼られるのが好きなオレは
「一緒にいてくれてありがとう。ほんとーに頼りにしてるよ、カミュ先輩!」
一言が嬉しく思えたのだ。一度だけではなく、何度も言われると。男だから余計なのかもしれないが。もっとも、アルルにとってオレは異性ではなく兄のように思われている可能性が高いがな。外出した時に兄妹だと思われることもあった。
中ニになると、オレは声変わりで魔法が使えなくなった。ショックだった。魔導でコミュニケーションが取れるが、魔導師にとって致命的だ。アルルと休日に会っていると、オレは不覚にも背後を魔物に取られた。
「先輩!ダイヤキュート!ファ・ファイヤー!」
「(アルル!ありがとうな)」
ああ、また仮ができてしまったな。
魔導学校に入学をしてからは中学と同じように過ごしていたが、クラスメイトからの一部からは完全に交際相手と思われていた。一般の学校。高校生だったら、当然か。アルルは小中時代と同じでオレの教室を訪れてくる。相変わらず、知り合った時と同じように純粋だ。危なっかしくて、放っておくことができない。
オレとの年の差は2年だから、同じ学校にいる分だけ連絡をしやすいんだろう。
あと、数ヵ月で魔導学校を卒業だ。アルルに想いを告げることにした。
「そんなんだから、いつまで経っても自立できないんだぞ!…それとも、ずっとオレと過ごすか?」
「え?」
「オレと結婚を前提に付き合えということだ」
「ち、違うよ…嬉しくて」
「そう言ってくれることを信じていたよ。これからも一緒だな。恋人として」
「うん、よろしくね、先輩」
10年以上一緒に過ごして、もう家族も同然のような関係でいた。交際をしても、大して変わらないだろう。そう思っていたのだが。恋人になった途端にアルルが以前より甘えるようになってきて、
「えへへ、カミュ先輩と一緒」
「先輩、先輩!ずっと、側にいてね!」
「どこにも行かないでね!」
それまではよかったんだが、以前よりか「ねぇねぇ、先輩、これってどう思う?」など相談されることが多くなってきて、恋人じゃなくてまるで父親になった気分になっていた。まるで家業である魔導幼稚園の園児たちと接するのとあまり変わらない。
あれでも行動を抑えていたらしい。アルルはオレ以上にオレに依存をしている。アルルはオレを束縛をしているようだった。仕事中にも連絡をしてくる。オレはアルルに返答をする。それも毎日だ。学生の時に告白しなくて正解だった。
それに、会う頻度も増えた。オレの一人の時間はなくなっていく。それが大人になることだろうと受け入れることにした。
アルルに時に優しく。そして、厳しく相談に答えていたつもりだったが、何分に一緒にいる時間が長すぎた。今更ながら、アルルはオレ以外に相談できる存在。先生でもいなかったのではないか?
フッ、まあ、いいだろう。アルルが自立できなくても問題はない。オレがなんとかすればいい話だ。
多少形が異なるが、アルルはオレの大切な人には変わらないんだからな。
ハーメルンの皆様、御機嫌よう。
精神的に余裕のあるキャラクターなので、アルルよりか依存をしないだろうと思ったので、控えめな感じになりました。普通の男ならウザイ!と言いそうなこともスルーしていそう。執着の描写をもうちょっと深堀りをさせようかと思ったキャラ崩壊になるのでやめました。書いてみたら、あまり面白みがない。
依存なんて自立できないような人がやるようなことだと思いますしね。