魔導学校〜アルルとその先輩の物語〜   作:由兎

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IF編。アルルが主人公。
もし、アルルが自立ができないまま。恋人になるルートが存在をしていたら?
今まで投稿をしていた話とはまた別の世界線です。



<IF>頼りになるお兄ちゃんみたいな存在と共依存の関係になりました

噴水の前で見慣れた黒髪の青少年が立っている。

 

「カミュ先輩!ごめん、待った?」

「いや、今来たばかりだ」

ぼくは走り出して、お互いに恋人が言うベタなことを話す。

「ならば、行こうか」

先輩がぼくの手を掴む。言わば、恋人繋ぎだ。ぼくたちはこれからデートだ。

ぼくたちは世間から見れば、10代のカップルにしか見えないだろう。だけど、ぼくとカミュ先輩は不適切だと思われる関係を送っている。

 

半年前のこと。カミュ先輩から衝撃的なことを言われた。

 

「アルル。長い間、世話になったな。あと数ヵ月でオレは魔導学校を卒業。これから就職をして、会えなくなるよ。今までありがとうな」

「ううん、ぼくも先輩に随分、お世話になったよ、ありがとう!」

「これからはオレに頼ることなく、一人で生きていくんだぞ!」

この一言で心が折れそうだった。気がつけば、涙目になっていた。幼稚園の頃から16歳になるまでの付き合いの友達がなくなってしまうなんて。いずれは別れがくるとは薄々わかっていたものの、未成年のぼくには辛すぎる。

「そんなんだから、いつまで経っても自立できないんだぞ!…それとも、ずっとオレと過ごすか?」

「え?」

てっきり、厳しく言われるものとばかり思っていたけど、今なんと。

「オレと結婚を前提に付き合えということだ」

「け、結婚!?」

「ダメか?」

「ち、違うよ…嬉しくて」

「そう言ってくれることを信じていたよ。これからも一緒だな。恋人として」

「うん、よろしくね、先輩」

 

ぼくは思わず、先輩の胸の中に飛び込んでいた。

ぼくにとってカミュ先輩と過ごす日々は日常生活の一環になっていた。ぼくは16歳。人生1/2以上をカミュ先輩と過ごしてきたのだから。手放したくないという気持ちを込めての返事だった。ぼくはカミュ先輩のことは好きなことは好きだけど、男性としてじゃなくて。まるで家族としての好きだった。だから、恋愛感情とは違う。

だけど、ぼくのことを理解をしてくれる人からの告白だったから、迷うことはなかった。

ぼく自体が恋愛に疎い。正直、よくわからない段階のことだった。

クラスメイトの女の子が恋愛の話をしているけど、ぼくは入ろうと思わなかった。そんな時期に告白だった。

 

付き合って、半年後ぐらいに気づいた。ぼくは魔導学校2年生。カミュ先輩は社会人になった。

今まで日常で過ごした行動がおかしいということをぼくは知りもしなかった。例えば、彼氏でもない一人暮らしの異性の家のベッドで寝てしまったこと。あとから知ったけど、これをするとぼくは襲われていても、不思議じゃなかったってことに。

相手がカミュ先輩でよかったよ。先輩はそんなことをする人じゃない。

付き合う前から、カミュ先輩から「他の男の家で絶対にするなよ!まずは行くな」なんて言われていた。付き合ってからというものの、たまにベッドで添い寝をするようになった。頭を撫でてくれるのが気持ちがよかった。

 

クラスメイトにカミュ先輩と付き合っていることを話したら、やっぱり、付き合っていたんだ!なんて返ってきたっけ。1年の時にぼくが昼休みや放課後にカミュ先輩と過ごしているのを何度も目撃されていたみたいで恋人だと思われていたみたい。

16歳という思春期の年齢でクラスメイトの女の子からは「ねぇねぇ、カミュ先輩とどこまでしたの?」なんて言われた。

二次性徴を迎えて、異性に関心がある年頃になって中には体の関係を持ったと言い出すコがいて、ぼくにも聞いてくるようになった。ぼくと先輩はそんなことをしていないよ!

けど、結婚を前提にしている付き合いだから、不思議じゃないのかな。ぼくにはよくわからない。まず、10代でそんな話をしている子なんていないし。

年上の彼氏がいるコもいたけど、10個やそこら年が離れていても、結婚の話は出ていないみたいだった。エッチな話ばかりで参考にならない。

 

知り合った時からお兄ちゃんみたいな存在となっていて、知り合って10年以上困ったことがあるとカミュ先輩に頼る生活を続けていた。いつも先輩がやさしく、時には厳しく接してくれてその関係がとても居心地がよかった。嫌な顔をせずに先輩は引き受けてくれる。そんな先輩が好きだ。

けど、恋人になってからというもののその気持ちがますます強くなってしまった。一緒にいる時間が長くなったのが原因かな?デートの段取りもカミュ先輩に任せっぱなし。

相手が年上な分、ぼくは知らないことが多い。それに、先輩は働き出すようになったから、余計に。尊敬できる気持ちがあるから、一緒にいたいと思う。

 

クラスメイトの女の子に

「ぼくね、カミュ先輩のことばかり考えているんだ。これって変?」

「アルルちゃんたら、それは恋だよ!アルルちゃんから惚気話を聞かされるとは思っていなかったよ!」

なんて返ってきたけど、何かがおかしい。

何分、初めての彼氏が一番近くにいた頼れる存在。他に相談できる友達がいない。

ラーラに至っては「あんた、やはりカミュ先輩のことが好きだったのね!」なんて冷たい態度を取られるようになってしまった。辛い。ラーラの気持ちを知ってはいたものの、幼稚園の頃の話だからとっくに冷めていると思っていたのに。

 

お母さんに相談をしてみたら、

「カミュくんとそんな関係になったのね!憧れの先輩が恋人だなんてまるで漫画の世界みたいじゃない!お母さんもお父さんとは幼馴染だったのよ。さすが我が子!」

なんて言っていて、「幼馴染だから一緒にいて当たり前の存在だから、そうなっているだけよ」としか返ってこない。お父さんのことはぼくが幼稚園の頃に行方不明になったからよく知らない。だからからこそ、身近にいる異性として余計に頼ってしまったんじゃないかと思う。

先輩は勉強を教えに数えきれないくらいに家にやってきて、お母さんとおばあちゃんに顔馴染だ。お母さんやおばあちゃんからすると、小さい頃からよく知っている男の子だったんじゃないかな?

幼馴染と結婚をした場合、殆ど変わらないという話もあるみたいだけど、変わりすぎじゃないかなと感じる。カミュ先輩は変わっていないように思えるけど、ぼく自身が。

 

カミュ先輩なしだとぼくは生きられそうにない。こうして一人で過ごしている間にも、カミュ先輩が何をやっているのかが凄く気になる。なにせ働いているのが魔導幼稚園。保護者として女の人が迎えに来ることが多い。女の人と接点があるのがヤだな。

付き合うようになってからというものの、ぼくは恋愛・結婚の雑誌を読むようになったんだけど、本来はカミュ先輩とぼくにとっては釣り合いが取れない人だったみたい。記事を読んでも、共感ができない。

けど、10年以上その付き合いをやっていて、今更、その関係を見直すのなんて無理だ。自覚はなかったもののぼくが迷惑をかけているということを知ったし、なによりカミュ先輩がぼくのことを迷惑だと思っていなかったことが大きい。けど、この関係でいいと思う。安心感がある。

カミュ先輩もそれを理解していると思っている。告白をされたときに自立できないとわかっていても、ぼくを選んでくれたのだから。何より長い付き合いだから、きっとぼくのことを理解をしてくれる。付き合ってからも、相変わらず、先輩はぼくに優しい。

結婚を前提にしているなら、同棲をしたい気持ちも強くなってきた。

手放したくないというのは変わらないし、ぼくにとって、最初で最後の恋人。そして未来の夫なんだから。

 




ハーメルンに投稿をしはじめて、恋愛ものだと思って閲覧をした方がいるようでこんな話を書いてみました。
アルルが幼馴染で頼りになる存在。カミュの消失を防ぐ為に起こした結果。
なんだ、この解釈は!などと思われそうですが、この2人は重みがあるからこそ、いいのです。
おそらく、元ネタを知っている殆どの方は幼馴染がハイスペ男。格差婚を想像するかと思うんですが、どう見ても対等の付き合いではない。それも年少の頃から。結果、書いたらこうなりました。
幼馴染と結婚した母親。それも年少時に父親が行方不明だという公式設定がえげつない。公式設定からして依存感が漂う2人です。
もっとも、アルルの両親が幼馴染という設定ははなまる幼稚園児の開発途中段階のプロローグという今となっては懐かしいものですが!

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