ヒカルの碁に爸爸が居た場合   作:こしあんあんこ

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日本棋院には誇れる棋士が多いらしい。今回は短めです。

※前話で猫猫を薬剤師にしてましたが少し変更しました。猫猫の年齢を考えるに薬剤師には無理があったと察してドラッグストアのアルバイトで落ち着かせることにしました。彼女は絶賛勉強中です。




変人は頑張った

 

 

 

 日本棋院には誇れる棋士は多い。まず筆頭で挙げられる人物で言えば塔矢行洋が最初にイメージとして浮かぶだろう。テレビでの露出も多く、見たことがあるといえば塔矢名人が最たる例に当たる。性格も厳格で冷静沈着、囲碁そのものをイメージさせるような男だった。彼の門下である緒方精次は若手ナンバーワンと目され、塔矢名人の息子はプロ顔負けと聞く。麒麟児たる少年も既にプロになったらしく話題が尽きない。

 

 本因坊の連続防衛記録を保持し続ける桑原仁、緒方に並ぶ次期タイトルホルダー筆頭候補、倉田敦。日本の囲碁界もこれから更なる発展を見込まれるかと思われるが、この日本棋院にも一人問題児が存在した。言わずと知れた、モノクルを掛けたあの変人プロのことである。名前は漢羅漢、名前はどう見ても中国とも思えるが立派な日本人だった。塔矢名人と同等と思われる棋力、対局するのなら軍配は六対四となり塔矢名人の方が優勢だとも言われている。聞いているだけなら猛者ともいえる男だが、行動は奇想天外で何をしでかすか分からないことで有名だった。

 

 逸話は多く、娘をよく付け回しているとか人を将棋の駒呼ばわりするようなことばかり聞く。前者はその娘の勤めているらしい職場から苦情が来るからやめて欲しいのだが、後者の将棋として判定される理由もあまりよく分かってはいない。大会運営ではしょっちゅう眠っていることがあるが何故か問題が起きることはなく、スムーズに時間通りに終わる。仕事の割り振りが上手いことは明らかであるが、そうした態度が著しく評価を下げていた。

 

 検討をしないことでも有名で、ある対局においては将棋を始める始末だ。それだけならば当人が怒られるだけで済んだのだが、その将棋の対局がどうやら名局だったらしい。何故マグネット盤なのかと惜しまれるほどだった。その映像を見て棋譜が欲しいとアマからプロまで棋院に連絡が来たのは苦い思い出として残る。処理できない程鳴り響き一時期は運営すら危ぶまれた程だ。当人に事情を話せばあっさりと棋譜を書いてそんな事態も解決した。その後その将棋を指した相手と結婚したという報告をしてくる始末。この時点で破天荒である。更に子供も出来れば周囲は騒然としたものだった。

 

 これをきっかけに将棋での番組に出るオファーも貰っている。囲碁のプロが将棋のプロとやったらどうなるのか、趣旨としては面白そうであるが羅漢は全て断った。

 

「碁石まみれで疲れる」

 

 更にカメラまで回るなら尚更やりたくない、羅漢の言はそうであるがやるのは将棋である。碁石には触れないのに何故だろうか。流石は変人と称される人物だと納得出来る話ばかりだ。

 

――そんな言葉を覆したのは娘が生まれてからだった

 

 羅漢は少しだけ仕事を率先してやるようになったのだ。とはいえ面倒くさがってやるといっても微々たる作業だが。以前断っていた将棋企画の番組に出ると言い出したのもその頃からだった。これからは金が掛かるから、そう言って羅漢は笑みを深める。

 

爸爸(パパ)頑張っちゃうぞ」

 

 溺愛とはこのことか。やる気があるのであればそれで十分ではあるが、まさかそんな性格になるとも思わなかった。早速始まったその番組でもその子煩悩ぶりは発揮され、妻子の話ばかりするのだからこのモノクルは趣旨が分かっていない。そしていざ対局となればその知略は存分に発揮された。

 

 番組で用意されたプロを容易く伸して、更に一段と積み上げてもそれすら倒す。次第に達人、名人と位を上げても羅漢は事もなげに勝つので、棋力は推し量れぬ程だった。むしろ囲碁よりもずっと調子が良いように見える。

 

「そりゃ得意なことならね」

 

 聞けばそんな返答が返ってくる。つまり、囲碁は得意ではないのだろうか。そんな疑問すら浮かぶ中羅漢は相変わらず将棋は負けなしだった。いよいよ竜王まで出ざるを得ない現状で八百長とも疑われたが、それだけは対局したプロが否定した。それは棋士としての矜持からくるもので、対局自体否定されることを嫌った末の発言である。そうなってくると羅漢自体がプロ以上に匹敵する男であることが発覚した瞬間だった。

 

「何故囲碁なのか」「何故将棋を選ばなかった」「将棋界の損失だ」

 

 日本棋院に寄せられた電話はそればかり鳴り響き、中には苦情めいた電話も来る始末だ。囲碁を馬鹿にするな、とも言われてしまえばもうどうしたらいいのか分からなくなった。またもや電話受付の運営が立ち行かなくなってしまい、この時点で番組は打ち切りになってしまった。感想戦もない番組で何の参考にもならなかったのも打ち切り理由の一つだが、羅漢はさして気にする様子もない。また別の資金繰りをと考え始める男に振り回されるばかりである。もう、頑張らなくていい。日本棋院はほとほと困り果てたように羅漢を見るばかりだった。

 




誇れる棋士の中である意味有名なのもいるとかなんとか。
ヒカルの碁忘れているところが多いので原作読み直します。

評価と感想があればやる気出ますので何卒…!!
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