ヒカルの碁に爸爸が居た場合   作:こしあんあんこ

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塔矢アキラと変人との邂逅である。

最近2000文字くらいで留めてるような気がする。読み応えあるっていえばせめて3000文字くらいは欲しいんですよね。コンスタントで出せるのは2000文字ですが、悩ましい所です。もうちょっと文字数増やしたいところですがワンクッションなので短めにします。

日刊で13位……!?ひ、え…!思いのほかとんでもないことになっていて戸惑っております。正直今作はリハビリがてら書いているので、本当に身に余るほどで…!皆様のおかげです、本当にありがとうございます!





変人が役割を振っていた

 

 

 

 塔矢アキラはある囲碁大会での運営の手伝いをすることになった。当然プロ棋士になればそういうこともある。大会の運営も仕事の一環として存在し、今回はその仕事だった。実は本来居た人間が体調不良となり今回はその補完としてアキラも駆り出されることとなった。そういう事情で中学校での授業は潰れることとなった。授業はプロ棋士であるため免除になったが、いかんせん中学生のアキラには移動手段がなかった。母の送迎の車に乗せられながらやってきた会場では既に準備が始まっていた。

 

「来た」「あいつが塔矢アキラ?」「あれが塔矢名人の……」「重役出勤かよ」

 

 視線はアキラに全て注がれる。好奇や興味、憧憬、妬みといった声が何処かで囁かれていた。一部で好意的とは思えぬ視線を受けても、尚アキラは前を見る。塔矢行洋の息子であり門下生。更に麒麟児と持て囃される中、そうした視線は多く受けていた。決して傷つかなかったことなどなかったが、それでもアキラには長年囲碁に向けてきた自負がある。決して顔を崩すことはないまま、凛とした彼は囲碁棋士たる風格を持っていた。

 

 アキラは立ち止まることもなく、大会の準備に参加した。準備といっても大半は終わっている、その後は対局椅子の配置など手伝い作業は終わった。少しばかり余裕がある、残り時間を過ごしていると不意に男の声が響いた。

 

「君はそっちに行って」

 

 君はあっち。指を指してあれこれ言う男はアキラがよく知る男だった。無精ひげを携えたモノクル、囲碁界においての変人である。君はこっち行っちゃ駄目、あれこれと指図して役割を振っていた。思わずアキラは羅漢に駆け寄る。アキラがよく見た姿はそれほど多くはない。番組で見たのは父と対局する姿だったし、実際に会ったことはなかった。それでもあの打ち回しは誰にも出来ないと思っていたし、どの棋譜も素晴らしい打ち手には違いなかった。

 

「初めまして、羅漢九段」

 

「おや、君は……?」

 

 モノクルのレンズの向こうで狐目の訝しげに見ている。アキラは自分のことはある程度知られていると思っていたが、自惚れのようだった。

 

「初めまして、塔矢アキラです」

 

 その名と共に合点がいったように羅漢が僅かに目を見開く。

 

「ああ、塔矢名人の」

 

 これはこれは……、品定めするように見る羅漢の視線にアキラは僅かにたじろいだ。今まで晒された視線とはまるで違う意図を感じて戸惑ったのだ。こんな視線は初めてだった。

 

「じゃあ、君には此処をやってもらおうか」

 

 金駒なら出来るだろう、指さした書面には進行の補助と書かれていた。それを見るなり、アキラはやんわりと拒否する。

 

「僕には、まだ早いと思いますが」

 

 金駒の意味は分からないが、どう見ても若輩者には荷が勝ちすぎている。まして、あの周囲の反応であるならば余計に目立ってしまう。何とか断ろうとするが羅漢は頑なだ。

 

「此処は君なら出来るよ」

 

 それじゃお願い。結局断れないまま、その役割をアキラは担うこととなった。実際言われた通りにすれば作業はすんなりと進む。滞りなく進み、問題も起きなかった。その間、羅漢はといえば寝てばかりでその姿に面食らった。何せ何をしようとする気配がなかった。実際、羅漢の仕事は終わっていてやりようがない。……厄介なことだが全て終わらせた上でこうして眠っているのだ。

 

――それでも、他にも手伝うことは出来るだろうに

 

 出かかった不満を必死に堪えて、アキラは唇を噛み締める。アキラは羅漢に抱く印象が一変した瞬間だった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 大会は終わった。羅漢の割り当ては差別なく振り分けられると聞いたが、アキラもそれにすっかりと巻き込まれてしまった。大団円ともいえる幕引きで、トラブルで揉めることもなく順調な当たりたちが悪い。とはいえ噂通りアキラの危惧したとおり、案の定やっかみは受けたがそれだけである。片付けも終われば、羅漢が声を掛けてきた。

 

「悪いね、君って応援だったんだ」

 

 だったら急に割り振ってしまった訳だ。随分とあっさりとした謝罪だが一応は謝っているようだ。

 

「……いえ、勉強になりました」

 

 実際迷惑は被ったが勉強になったのだ。大人に混じって行動することには慣れているが、会場の運営の一部として働けたことは初めてだった。アキラには貴重な体験である。そうかい、それなら良いんだ。そう言って飄々とする男にも釈然としないのも事実だが。その言葉は呑み込んでアキラは意を決した。

 

「羅漢九段、この後予定はありますか?」

 

「ないよ?それがどうしたの?」

 

 あっさりと答える羅漢にチャンスだと思った。しめた、アキラの目は僅かに見張り更に言葉を畳みかけた。

 

「この後、一局如何ですか?学びたいこともあるので……」

 

 羅漢程の棋士と対局出来るのは滅多なことではない、ならばこの機に一局打って貰おうと考えた。アキラの言葉にうーんと羅漢が喉を鳴らす。

 

「妻もこれから対局と聞くし……構わないよ」

 

 碁会所に向かおうか、モノクル越しに細い狐目には理知と共に狂気が孕んでいた。

 




娘に誘われたら飛び跳ねて喜びます。アニメの声は必見です。
次回は対局になると思いますがもう少し碁の勉強しときます。意外と難しい。

塔矢アキラは金将と考えています。ト金となるであろう進藤ヒカルと同等の棋力でありならば現状はそのくらいと認識しました。


評価と感想があればやる気出ますので何卒…!!


評価ありがとうございました!
マラカスシャンシャカさん、白罌粟さん、ねむすけさん、菩薩燈華さん、たけぽけたさん、バルク品さん、Youdaiさん、ぱのらまさん、ちるださん、赤い羊さん。本当にありがとうございました!
応援してますともコメント頂けて本当に平伏する気持ちでございます。
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