IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき 作:薄影 (黒ウサギ党)
第1話 プロローグ ドイツの黒い炎
インフィニット・ストラトス(通称IS)それは宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツ。
しかし『制作者』の意図とは別に宇宙進出は進まず、結果このスペックを持てあました機械は『兵器』へと変わり、しかし各国の思惑から『スポーツ』に落ち着いたーー所謂、飛行パワードスーツだ。
だがこの『IS』には致命的な欠陥があった、それは『女性にしか扱えない』という欠陥だ。
IS発表されて既に十年経つが、世界は激変した、現行の陸海空戦闘兵器は鉄クズに等しく、それ故に世界の軍事バランスが崩壊する事になった。
開発したのが日本人だったということで、日本はIS技術を独占的に保有していた。危機感を持った各国はIS運用協定ーー『アラスカ条約』が制定されISの情報開示と共有、研究のための超国家機関設立、軍事利用の禁止などが決められた。
そうなると、今度はIS操縦者をどれだけ揃えられるかという点で国の軍事力(有事の際の防衛力)に繋がる。
これによって『女=偉い』という構図が浸透し、女尊男卑社会の完成というわけだ。
そんな世界に衝撃が走る事になる。
ISを動かした男が現れたのだ、その名は『織斑一夏』第一回モンドグロッソ優勝者にして初代ブリュンヒルデになった『織斑千冬』を姉に持つ。
ISを動かした男が現れ世界は騒然した、世界各国の研究者や技術者は即座に男性のIS適正検査が行われたが、どの国からを男性がISを動かせたという報告はなく、唯一の男性IS操縦者として織斑一夏の名は世界中に広められた。
そんな衝撃的な出来事から数ヶ月、日夜あれだけ騒がれた織斑一夏の話題は少なくなり、世界中の人々はいつもの生活に戻り始めていた。
だが、そんな世界にまた、衝撃が訪れることになる。
それは神のイタズラか、それとも誰かの思惑なのか。
今は誰も知らない。
これは、一人の若き軍人の奇妙な物語。
まだ肌寒い春の中、俺はとある場所にいた。
「少尉、なぜ呼ばれたか分からないといったところかな」
「はっ! シュバルツ中将!」
今、俺がいる場所は我がドイツ空軍のホルシュタイン航空基地のボルフ・シュバルツ空軍中将の執務室。
「ふむ、まぁ良い。少尉、君には新しい配属先に移動してもらう、受け取りたまえ」
「はっ! 拝見します」
俺は中将からの異動の内示が書かれた書類を受け取った。
(なになに、レオン・ブリューゲル少尉、貴官は本日付けで第328航空大隊からIS配備特殊部隊『
「早急に荷物をまとめて移動するように、以上だ下がりたまえ」
「はっ! 失礼します!」
俺は部屋を後にして自分の部屋に戻りながら受け取った書類にもう一度目を通した。
ど、どうしてこうなった〜!
時を遡ること三日前
その日、俺は戦闘機の整備をしていた。
「メーター良し、レバー良し、右翼左翼尾翼良し、各部電気系統チェック完了っと」
ISが発展した今でも空は戦闘機が陸は戦車が海は艦艇が主な世界バランスを保っていた、そのために各国の軍は入隊最低年齢を大幅に見直し満16歳からに引き下げ、中学士官学校を設立する国をでてきた、ドイツもその一つである。
俺も中学士官学校を卒業して、そのまま空軍に入隊した。
紹介が遅れた。
俺の名はレオン・ブリューゲル、祖父の代から空を飛んでいる、空軍一家である。昔はそれなりに名のある家柄だったと祖父から聞いた事があったが、今は平凡で普通な家庭だ。
士官学校での成績は上位であったため、入隊後は、その成績を認められて階級は少尉を貰った。
「少尉! ブリューゲル少尉!」
「ん? はい! ここにいます!」
俺を呼ぶ声に反応して、乗っていた戦闘機のコックピットから顔を覗かせると、そこには俺が所属している328大隊の隊長を務めている、アラン・ロンメル大尉がいた。
ちなみにロンメル大尉の祖父は、あの『砂漠の狐』で有名なエルヴィン・ロンメル将軍なのだから驚きである。
「あぁそこにいたか少尉、君に頼みたいことがあってな」
「頼みたいことでありますか?」
俺は、コックピットから降りて、大尉の元へ駆け寄った。
。
「そうだ、この書類を大至急、
「構いませんが、なぜ自分なのでしょうか?」
328大隊の所属人数は36名いるのに、なぜ俺なのだろうか?
そう疑問に思っていると。
「少尉はこの基地に来て日も浅いし、まだ知らない場所が多いだろうからな。書類を持っていきながら基地を散策してくると良い」
そう言いながら大尉は俺に書類を渡してきた。
「了解しました、では行ってまいります」
俺は大尉に向かって敬礼して格納庫を後にした。
ホルシュタイン航空基地 IS操縦者育成エリア
おぉここが基地でも限られた人間しか入れないIS特殊部隊『
ここホルシュタイン航空基地には主に二つの組織がある、一つは航空戦力を持ったドイツ空軍、もう一つは今俺が居るIS戦力を有している特殊部隊の二つである。
首都であるベルリン防衛隊、そしてレフィルト航空基地の二つの場所にもISの部隊が存在する。
ベルリンのIS部隊にはドイツ国家代表である、『アンネリーエ・ブリューゲル』がいる。そう俺の姉であり、ブリューゲル家の現当主なのである。
アンネリーエの付けられた二つ名は『
さて、話が脱線したな。
俺はIS整備場の入口に到着した。
「失礼します! 第328航空大隊から来ました、レオン・ブリューゲルであります! クラリッサ・ハルフォーフ大尉はおられますでしょうか!」
俺は敬礼しながら整備している隊員に聞こえるように声を出した。
「大尉はおりますが、何用でしょうか?」
出てきた隊員は驚きながら俺の元に歩み寄ってきた、それもそうだ本来いるはずのない男性隊員が目の前にいて、
「えぇ、ロンメル大尉からハルフォーフ大尉に書類を渡すように指示を受けてやってまいりました」
「わかりました、ハルフォーフ大尉を呼んできますので少々お待ちください」
整備隊員はそう言うと奥に走っていった。
俺は待っている間に整備されているIS二機を見つめていた。
確か、ツヴァイクとフラムドライって名前だったっけ?
鎮座している二つの黒いIS、『
そうこうしている間に、先程の隊員がハルフォーフ大尉を連れてきた。
「待たせてすまない少尉」
「いえ、大丈夫ですハルフォーフ大尉殿」
俺は大尉に敬礼をし、書類を渡そうとしたがハルフォーフ大尉はそれを制止してきた。
「ここではあれだ、私の部屋に行こう」
「は、はぁ了解です」
そうして、俺はハルフォーフ大尉の後ろをついて行った。
クラリッサ・ハルフォーフの自室
「すまなかったな、わざわざ部屋まで来てもらってしまって」
ハルフォーフ大尉はコーヒーの入ったマグカップを二つ持ち、一つを俺の前に置いた。
「いえ、自分は構いません、いただきます」
俺は置かれたカップを持ちコーヒーを飲んだ。
「ハルフォーフ大尉、こちらがロンメル大尉から渡すように仰せつかった書類です」
「うむ、ご苦労、そ、それで例の物は……」
ハルフォーフ大尉は書類を受け取ると、少しもどかしい様子で聞いてきた。
「あぁ! それでしたらこちらの方に」
俺は、預かった書類とは別に紙袋を机の上に置いた。
「おぉ! いつもすまないな!」
クラリッサは紙袋を受け取ると、まるで子供がおもちゃを貰って喜ぶように中身を確認している。中身は漫画である。
クラリッサ・ハルフォーフは通の日本作品好きなのだ、特にアニメ、漫画、ゲームといったサブカルチャーが大好きだ。たまに間違った知識が出てしまうのがたまの傷なのはここだけの話。
なぜ、俺がハルフォーフ大尉に日本の漫画を渡したのかと言うと、何を隠そう俺も大の日本好きなのだ、よく夏休みなどを利用して日本に行き漫画などを買ったりしていたからだ、士官学校時代の時、ハルフォーフ大尉が教官として来ていた時にお互いの趣味が合い、日本に旅行する際はハルフォーフ大尉のお使いも一緒にしている。
そして俺はコーヒーを飲み干し、自分の隊に戻る準備を始めた。
「では、大尉。自分はこれで失礼します」
俺は椅子から立ち上がり、大尉に軽く敬礼をした。
「うへへ、ん? はっ!? あぁご苦労だった少尉」
クラリッサは緩んだ顔を戻したが、またすぐににやけ顔に戻った。
うんうん、喜んでもらえてなによりだ
そして俺は大尉の自室から出るとそのまま整備室を抜けようとしたら先程までいた整備士達の姿が見えないことに気がついた。
おや? みんなどこへ行ったんだ?
そう思い腕時計を見ると、もうお昼の時間だった。
「もうそんな時間だったか、俺も戻って食堂で飯にするかぁ」
そう呟きながら歩みを進めていると、あるISが目に止まった、そう、ここに来た時に見た二機の内の一機。シュヴァルツェア・フラムドライだった。
「そういえば、こいつはまだ起動すらしてないんだったか」
フラムはレーゲンとツヴァイクと同時期に作られた機体であり、黒ウサギ隊のメンバーが起動実験をしたが全く反応しなかったと子耳に挟んでいた。
「なにが気に入らんのかねぇお前は、誰も居ないよな」
俺は周りを見回して、誰もいないことを確認した。
ちょっとだけ触るくらいなら大丈夫だよな、何も起こらないと思うけど
俺は機体横の梯子を使いフラムのコックピットに乗り込んだ。
「ほー意外と男でも入れるもんだな」
そんな率直な感想言っていると、不思議なことがおっこた。
「ん? なんだこれ?」
起動しないと聞いていたフラムにディスプレイ画面が映し出されていた。
「なんだ、動くじゃないかコイツ、押したら起動したりして」
興味本位でディスプレイ画面をタッチしてみた。すると
『
その文字が投影された。
「はぁ!? な、何で動いてんの!? お、俺が起動したのかコイツを!?」
意味がわからない、俺は男だぞ!! まずISすら起動させることが出来ないはずだろ?
さっきから頭の中を何故という言葉が駆け回っている、驚きと焦りの中、俺の耳に声が聞こえてきた。
「!?」
そう昼食を終えて整備士達が帰ってきたのだ。
「や、やべぇ、こんな所を見られたら…」
俺は慌ててフラムから飛び降り、走ってその場を去った。
その後昼食も取らずロンメル大尉に気分が優れないと嘘をつき、自分の部屋に戻り、そのまま深い眠りについた。
次に日、ホルシュタイン航空基地は慌ただしかった。
「うーん、なんだぁ? 朝っぱらから」
眠い目を擦りながら、窓のカーテンを開け外を眺めてみた。
「なんだ? 憲兵が一段と騒がしな」
基地の憲兵達が基地内をあちらこちらと駆け回っていた。
なにかあったのか?
俺は、そう疑問に思いながら自分の制服に着替え、328大隊の部署に向かった。
部署に着き、ドアを開け部屋に入った。
「おはようございます」
俺は、大隊メンバーに挨拶をし、自分の机に向かって歩き出した。
「少尉、おはよう!」
「おはよう、少尉」
机に向かう道中に隊のメンバー達が俺に挨拶を返してくれる。
そして、自分の机に到着し座ろうとした時に俺を呼ぶ声が聞こえた。
「おぉブリューゲル少尉! もう体調の方はもう大丈夫なのか?」
その声の主は328大隊長である、ロンメル大尉だった。
「はい! お陰様でこの通りですよ!」
俺は腕でガッツポーズをしてみせて元気である証拠を見せた。
「そうか、それは良かった!」
「えぇ、ご心配をおかけしました。それにしても今日はなんだか基地内が騒がしですね」
「あぁ、その事なんだか他言無用で頼む」
「は!」
嫌な予感が俺の脳内を駆け巡った。
「実はな。昨日、黒ウサギ隊のIS整備場で実験機の一つが起動していたらしくてな。現在、守備隊と憲兵隊で誰が起動させたのかを調べているところなんだ」
「へ、へ〜そうだったんでありますか」
俺は冷や汗が止まらなかった。なにせ今期に入隊して間もない人間が本来女性にしか扱えないISを起動させたなんて知られたら、何されるか想像もしたくない。
「そういえば少尉、昨日黒ウサギ隊に行っていたよな、何か見たりしてないか?」
うわぁーそこでその質問が来るかぁー
「いえ、その、大尉、ここではアレなので奥で話せませんか?」
「ん? 別に構わないが」
そして俺と大尉は奥の大隊長室に向かった。
「それで? なにがあったんだ少尉?」
大尉は自分の椅子に座ると机の引き出しからタバコの箱を取り出し一本を口に咥え、火を付けた。
「はっ、実は昨日。大尉に頼まれ事をした帰りに…」
俺は、昨日 自分に起きた一件の出来事を大尉に順を追って説明し、それを大尉は中断せずに聞いてくれていた。
「ふぅー、つまり貴官がなんとなく乗り込んだらディスプレイが写り、それを触ったら起動したとそういう訳だな」
「は、はい。その通りであります」
大尉はため息をつきながらタバコの煙を吐いた。
「もしそれが本当なら、我がドイツだけではなく世界を騒然とさせることになるな、さてどうしたものかぁ」
大尉はもう一度ため息をつき、椅子の背もたれに腰を深くもたれた。
「少尉、君は日本の織斑一夏の一件を覚えているか」
「はい、男性初のIS操縦者でありますね」
「そうだ、そしてあの『
「確かこの基地で一時的ではありますがIS部隊の教官をなさっていたとか」
「そうだ、ある事件の情報提供への恩返しという形で教官を引き受けてくれた」
その事件というのは、第二回モンドグロッソの決勝戦で起きた。この年も織斑千冬は二連覇がかかった一戦になる筈だったが、織斑千冬は決勝戦に現れず、不戦勝でイタリア代表のアリーシャ・ジョセフターフが優勝した。その裏では織斑一夏の誘拐事件が起こっていた。
そして、ドイツは織斑一夏捜索の協力を申し出た。その見返りとしてドイツのIS部隊育成の協力を条件にした。そうしてドイツIS部隊はたった数ヶ月で欧州にその名を轟かせた。
その立役者に俺の姉が関わっていたのは、またいずれ。
「それで、大尉。自分の処遇はどうなるのでしょうか?」
「んー、この一件は俺の手に余るからな。なにせこの事が事実なら世界で二人目のIS男性操縦者になる、基地司令に相談してみよう。少尉、今日は部屋にて一時的な謹慎とする」
「はっ! 了解しました」
俺と大尉は部屋を出ようとした時、ドアの外から。
「ちょっと押すなって!」
「やめろって!」
「「「「う、うわぁー!!!」」」」
隊員達が雪崩の如く部屋になだれ込んできた。
「お前らなぁ・・・・全員基地外周三十周走ってこい!」
「「「「りょ、了解でーす!!!」」」」
大尉に怒鳴られながら隊員達は走って行ってしまった。
「はぁ、全くアイツらは。少尉、君も部屋に戻りたまえ。食事は部屋に運ばさせる。後のことは追って伝える」
大尉は俺に敬礼し、それに対して俺も敬礼を返し、自分の部屋に戻った。
そしてその夜、誰かが俺の部屋のドアを叩く音で目が覚めた。
「はい、どちら様でしょう」
「夜分に失礼します、ブリューゲル少尉。手紙を預かってまいりました」
俺はその言葉を聞き、ドアを開けた。
「ご苦労様です」
ドアを開けるとそこには伝令部の人間がそこにいた。その手には一通の手紙が握られていた。
「どうぞ、少尉!」
俺は、彼から手紙を受け取り敬礼をして彼を見送り、ドアを閉めて手紙の内容を読んだ。
『明日、10:30に基地司令室に出頭せよ。基地司令ボルフ・シュバルツ中将』
そして、時は戻り現在
俺は、三日前と同じくハルフォーフ大尉の自室に来ていた。
「まさか、フラム起動の犯人がお前だったとはな」
「ほんとに申し訳ない……」
クラリッサは、ため息つきながら眉間に人差し指を当てて困惑の表情を浮かべていた。
「それで、自分の処遇はどうなるのでしょう?」
基地司令に、ここへ配属されて俺が一番懸念しているのは
解剖とか、されないよな
男性操縦者は世界を探しても現在一名しかいない、しかし彼は現在IS学園に居る為に各国は手出出来ない状態にある。そこに二人目が現れたなんて日には、どうやって動かしてるのかとかの研究や実験のモルモットにされかねない。
「そうだな、まず解剖とかしないからそこは安心していい。しかし今は基地司令が基地外に漏れないようにしてくれているが、それも時間の問題だろうな」
ぬわ! 心を読まれた! ニュー〇イプかこの人!
まぁ解剖されないと聞けて少しホッとしていた。
「では、自分はどうなるんですか?」
「あぁ、昨日隊長に連絡したのだが、とりあえず貴官は基地司令の命令道りにこのまま黒ウサギ隊に所属してもらう」
「あっ、了解です!」
先程、ハルフォーフ大尉が口にした隊長というのは、この黒ウサギ隊の隊長である『ラウラ・ボーデヴィッヒ』少佐のことで、現在は織斑一夏と同じ日本のIS学園にその身を置いている。
「つまり、フラムの操縦は自分が担当することになるんですか?」
「そうだな、現在フラムを動かせる可能性があるのはお前だけだからな」
それもそうか、現状フラムを動かせるのは俺だけだし、貴重な人材を失うことは国としても軍としても、さすがに許容できないんだろうな。
「そういう訳で、これから私たちの司令部に行くとするか。隊員達も紹介したいしな」
「はい!」
そういえば、他の隊員には会ったこと無かったな
そして、俺とハルフォーフ大尉は、黒ウサギ隊の司令部のある場所に向かって歩き出した。
黒ウサギ隊司令部
「着いたぞ、ここが黒ウサギ隊の司令部だ。一応言っておくが、ここに入ったら中の情報は一切他言無用だからな! もし、情報が漏れるような事があったら容赦せんぞ!」
「り、了解しました」
今までに見たことの無い顔つきで睨まれて少しビビってしまったが、俺たちは司令部に入った。
「全員、整列!」
「「「「はい!」」」」
ハルフォーフ大尉が室内にいる、隊員達に呼びかけると各所から四人の眼帯をつけた少女達が現れた。
「紹介しよう少尉、この連中が我が隊のメンバーだ。一人ずつ紹介していこう。マチルダ、イオ、ネーナ、ファルケ、この四人と隊長と私と新たに少尉を加えた七人になる」
ではここで、四人娘の紹介を簡単にしていこう
ネーナ・ベットナー、えんじ色のうなじまでの短髪で活発で元気な女の子。
「アイツがフラムを動かした張本人、男のくせにぃ」
マチルダ・エーゲル、クリーム色のカールがかったセミロングヘアでお淑やかな女の子。
「へ~意外とかっこいいですね〜」
ファルケ・アインハルト、ムーンレスナイト色のロングヘアでおとなしめの性格の女の子。
「で、でもちょっと怖いです」
イオ・ベルマー、バイオレット色の縦ロールで少し口数の少ない女の子。
「よろしく……です」
以上四名の紹介でした!
「お前たち、今日から我が黒ウサギ隊に配属になった、ブリューゲル少尉だ。少尉、貴官からも挨拶をしろ」
「はい! 先程ご紹介にあずかりました。この度、黒ウサギ隊に配属となりました、レオン・ブリューゲルです! 新参者ではありますが、どうぞよろしくお願いします!」
俺はハルフォーフ大尉に促され隊員達に挨拶と自己紹介をした。しかし隊員達の目線に怒りを帯びているように思えるのは気のせいだろうか? うん気のせいということにしておこう。
「そうだファルケ、レオンにうちの制服を渡してやれ」
「はい!」
ファルケはハルフォーフ大尉に言われ、部屋の奥から、まだ袋に入った新品の制服を持ってきた。
「ど、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
俺はアインハルト少尉から制服を受け取った。
黒ウサギ隊の制服は黒色がメインであり、左腕には眼帯を付けた黒ウサギの腕章がつけられており、よく見ると所々に赤色のラインが施されている。
「とりあえず、レオンその制服に着替えてくれ。サイズのほうはたぶん大丈夫なはずだが、念のためにな。奥に倉庫がある、そこで着替えるといい」
「わかりました、それと大尉?」
「ん? なんだ?」
「何故、自分のことを名前で呼ぶのでしょうか?」
「あぁ、この部隊では下の者に階級で呼ぶようなことはしない。最初は形式上 少尉と呼んでただけだ。ただし私のことは階級で隊長のことは階級か隊長と呼ぶように」
「りょ、了解しました」
俺は大尉に敬礼し奥の倉庫に向かって歩き出した。
数十分後
「大尉、着替えてきました」
「ほほう、中々似合っているじゃないいか」
俺は隊の制服に着替え、隊員達の前に姿を出した。
「しかし、よくズボンタイプがありましたね。まさかオーダーメイドじゃないですよね?」
「それは隊長もズボンだからだよ、あとはサイズを変えればいいだけだからな」
なるほど、俺はてっきりボーデヴィッヒ隊長もスカートタイプだと思っていたんだが、確かにもう原型があるのならこっちを作るのは造作もないか。
「では早速だが訓練場にてISの基本訓練を行う、四人は先に行き準備をしておけ、レオンは私と一緒に第二訓練場に向かおう」
「「「「了解!」」」」
そして、四人娘はバタバタと走り出して行ってしまった。
ん? 待てよ、ISに乗るときって確か専用のスーツがいるんだよな?
「大尉、自分はまだISスーツは貰ってないのですが?」
「ん? あぁ、貴官のスーツは現在開発部が製作中でな完成まで、まだ時間がかかりそうなんだ、まぁ完成したら開発部が連絡してくれるそうだ」
そして俺と大尉はIS訓練場の一つである、第二訓練場へと歩みだした。
第二訓練場
第二訓練場に着くとそこには、四人娘と整備隊員達に加えて一機のISが鎮座していた。
「フラムドライ……」
そこにあったのは三日前に俺が起動させたIS、シュヴァルツェア・フラムドライがそこにあったのだ。
「そうだ、今日はフラムの起動と実戦テストに待機状態への実行テストの二つをやってもらおうと思ってな」
「えっ!? いきなり実戦ですか!?」
テストとはいえ、いきなりの実戦に度肝抜かれたが、それ以上に俺の心はワクワクでいっぱいだった。なにせあのISを動かすことができるんだからな。
今の俺の気持ちは初めて戦闘機に乗り大空を飛んだあの時と同じになっていた。
「しかし相手は誰がするのでしょうか? まさか大尉自らですか?」
「いや、私のISであるシュヴァルツェア・ツヴァイクはまだ各調整が済んでないのでな。代わりにあそこに居る四人が相手をしてくれる」
そういえば四人娘をよく見ると、皆IS用スーツに着替えているな。しかしこの基地に配備されてるISは三機で、その内の一機であるシュヴァルツェア・レーゲンは今は日本にある。
そして今さっき大尉からツヴァイクは調整中で動かせないと言っていた、ならあとここに残っているのはフラムだけという事になるが? 他の部隊が貸してくれたのだろうか?
「フッフッフ、わからないって顔してるようね!」
「私たちがなんと呼ばれているか〜」
「お、教えてあげます」
「…………私たちこそ」
「「「「黒ウサギ隊EOS四天王!」」」」
これが特撮ならあの4人の後ろで大爆発が起きてカッコよく決まるとこなんだろうが、今この場に流れてる空気は沈黙そのものである。
俺は大尉の方を向くと、大尉は顔を手で覆っていた。
「大尉、あれはいったい」
「知らん……悪いがこっちを見ないでくれ」
あ〜大尉もこの一件は知らないんだな。
うん! この事は心の内に閉まっておこう! 大尉の名誉の為にも!
「そういえば大尉、EOSとはなんですか?」
とりあえずこの茶番は置いといて俺は、先程出た単語について質問してみた。
「あぁ、EOSは現在国連が開発中の外骨格攻性機動装甲で我が隊以外にはIS学園にしか配備されていない代物だ、主な活動は災害の救助活動や平和維持活動やら色々と仮定しているそうだ』
「まぁ問題点だらけで全くの使い物にならないんだがな、まぁ今回からやるフラムの試験運用の相手には充分だろ」
「ま、今日初乗りの俺に負けるなんてことないよな流石に」
向こうの四人娘を見ると皆 目に闘志を燃やしているように見えた、あらまぁシャドーボクシングまで始めちゃってるよ。
こうして滑って登場したなんちゃって四天王とのISによる初戦闘訓練が幕を開けた。
どうも薄影です、お久しぶりです。
今回は初めての1万越えしたので、上手く書けているか不安です