IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき 作:薄影 (黒ウサギ党)
議事堂を出て車を走らせること30分。目的地であるショッピングモール『レゾナンス』ドイツ・ベルリン店である。日本にある大型ショッピングモールのレゾナンスは世界進出しておりベルリンにも店を構えていた。
「まさか、またレゾナンスに来るとは思わなかった」
「そういえば日本が本店なんだっけ?」
「あぁ、色々あったよ(主に一夏が)」
そして中に入りレディース服売り場に入る。
「さてと、ラウラちゃんはどんな服装が良いかな?」
「あっいや、私は動きやすければなんでも……」
「ダメよ! ファッションは女の子を魅力的にかつ美しく見せる装備なのよ! あなたは! 防弾チョッキや装備無しで大群を相手にするの?!」
「うっ……い、いや……」
「装備するでしょ!」
グイグイ来るガブリエラに怖気付くラウラ。なんか見た事あるな、こんな感じの騙し絵。
「さぁ! いざ行かん! めいっぱい可愛いの選ぶわよ!」
「れ、レオン……」
「諦めてください。あの状態になった母さんは誰も止められないので」
その言葉を聞いてラウラはガクッと肩を落とした。
そして店に着くなりガブリエラは並べられている服を片っ端からカゴに入れ始める。
「これとこれと、後これも良いわね。あっ! 店員さん、そこの靴もお願いね!」
テキパキと作業を進めていくガブリエラはカゴに大量に入れた衣類を持って戻ってきた。
「さぁ沢山選んできたわ!」
「多すぎじゃない?」
「いやいや、これでも少なつ見繕ったのよ?」
「マジか」
これで少ない? 嘘だろ。
「さぁ! ラウラちゃん、更衣室に行くわよ!」
「えっ!? 元帥も行くんですか?」
「当たり前じゃない! 着慣れない服着るんだから手伝いは必要でしょ?」
「いや、まぁ、そうなんですが……」
「もう! ウジウジしない! ほら!」
「えっ! ちょっ! まっ!」
ガブリエラはラウラの手を引っ張って更衣室の中に入っていった。
「覗いちゃダメよ♪」
「覗かないよ」
更衣室のカーテンから顔を出した母さんは俺に向けてウインクをしてくる。俺は呆れた声で母さんに返事をする。
「さてと母さんの着せ替えは時間がかかるからなぁ。どうしたもんか…………ん?」
店の外を何気なく見たら、外にこちらを見ている年配の男性が頭に被っていた中折ハットを少し持ち上げ、こちらに礼をしてきた。
うわぁ……あの人は確か……
「はぁ〜」
大きなため息を吐き店の外に出て、外のベンチに先程の年配男性の後ろに背中合わせで座った。
「いやはや、ご無沙汰しております」
「誰かと思えば、特務機関『S』の更識課長ではないですか」
「ハハハ、そんな他人行儀みたいに離さないでくださいよ私と貴方の仲ではありませんか?」
「その節では大変お世話になりました。それで日本の特務機関所属の貴方がなぜこんな所に? まさか休暇で観光に来ているなんて言わないでしょうね?」
「いやはや、休みで来れたら良かったんですけどねぇ。実は、ここドイツで何か大きな事件が起きるかもしれないと
日本のSとは『更識機関』の頭文字を取って略称している組織であり、その歴史は古く戦国時代から日本を陰から守り続けた一族で第二次世界大戦時には日独の同盟関係から元SS(
「で? なんです? その大きな事件ってのは?」
「軍でも話題になっているのでは? 近頃大規模な市街地での作戦が行われると」
さすがは日本を陰から守ってきた組織だ、うちの軍事機密まで把握しているとは恐れ入った。
「まぁ、俺もまだ詳しくは聞いていないんですがね。国に巣食うテロリスト共や凶悪犯罪者を一掃しようって魂胆らいしです。しかしそんな情報はうちの母にメリットもないと思うのですが?」
「いえいえ、ここからが本当の情報です」
「ん?」
「まだ未確定の情報が2つあることを先に言わせてもらいます。どうやら敵さんの中にISを使っている者がいるそうです」
「テロリストがISを……嫌なもんですね」
「全くです」
「それで、もう1つの未確定情報とは?」
「こればっかりは本当に情報が少なく確約できませんが……」
更識課長はそう言うと口を閉じる。
「なんです?」
「いや……この事を言ってもいいのかと思っていたのですが……」
「その、もう1つの情報って俺に関係する事ですか?」
そう言うと更識課長は驚いた顔をしたがすぐに表情を戻した。
「お気づきになっていたのですか?」
「いや、俺にではなく最初は母に言おうとしていたのと先程の言葉で大体の察しはつきました」
「いやはやおみそれしました。えぇ不確定要素ですが、おそらく例の施設と関係がある物がこの国に持ち運ばれたとの情報が入っています」
「なるほど、はぁ〜全く……」
ため息がこぼれる。
「それでは私はこれで、お母様にはよろしくとお伝えください」
「えぇ」
そして更識課長は人混みの中へと消えて行った。
俺は店の中を見ると買い物を終えた母さんが買い物袋を持って、こちらに手を振っていた。ベンチから立ち上がり母さん達の方へと歩いていった。
どことなくラウラの顔がやつれている様に見える。相当、母さんに弄られたんだな。
「買ったの?」
「もうモデルが良いから悩んじゃったから全部買っちゃった♪」
「やれやれ」
母さんから服の入った袋を受け取り駐車場に向かう。
「母さん、やりすぎたんじゃないの?」
「そう?」
「だって見てよ、ラウラが放心状態だよ」
2人でラウラの方を見ると、ラウラは口開け目線は上を向いており今にもラウラの形をデフォルトにしたような魂が口から出て来そうだ。
「ほら、見てよあの顔。とても部隊長の顔じゃないよ」
「あらま」
「何したんの?」
「うーん、ちょっとお触り?」
「あの顔を見るに、ちょっとじゃないでしょ」
「てへぺろ」
はぁ〜この人は全く。
荷物を車に入れて席に座ろうとしたら。
「あっ! そうだ!」
「何? 買い忘れ?」
「いや違くて、今夜パーティがあるのよ!」
「はぁ!? 聞いてないんだけど!?」
「うん。だって今言ったから」
「母さん……」
「ごめんごめん」
母さんの悪い癖、大事な事は遅めに報告してくる。本当にこの人が軍のトップっていうのが嘘なんじゃないかと思うがスイッチが入るとこんな準ポンコツな人がキリッとするんだから驚きだよ。
「で? 何が必要なの?」
「ラウラちゃんのド・レ・ス♪」
「ッ!?」
ラウラが母さんのドレスの言葉に反応して体をビクッと震わせる。トラウマにならなければいいが。
「それで?」
「そうね……あの店に行きましょう」
あの店とはウチが良くご贔屓にしているドレス店『ルミネ』市販で売買してもいるが、1からのオーダーメイドも引き受けている長い歴史を持つ老舗だ。
「了解。姉さんは?」
「先に店に行ってるって」
「ふーん、俺のスーツは?」
「クリーニングに出してあるから後で受け取っておいてね。あぁそれと行きは迎えを頼むからレオンはそのまま会場に行っていいわよ」
「あ、あのぉ」
俺達が話を進める中、ラウラが恐る恐る言葉を遮ってきた。
「どうしたの?」
「い、いや私は自分のスーツがありますので……ドレスは……」
「ダメよ」
「えっ……」
「今回、女性参加者はみんなドレスなの。だからラウラちゃんにぴったりなドレスを選ぶわよ!」
「…………」
あっ。またラウラの顔から生気が抜けていってる。
そんなこんなで車はルミネの前に到着し、店の前で待機してたアンネリーエが助手席の扉を開ける。
「お待たせ」
「遅いよ。何してたの?」
「いや〜ラウラちゃんの私服選びしてたら時間かかっちゃった」
「へぇ〜。ねぇねぇ母さん」
「ん〜?」
アンネリーエの呼びかけにガブリエラは耳を傾ける。
「それでね……で……だと思う……」
「へー、うんうん、良いわね」
小声で話をするアンネリーエ、それに相槌をするガブリエラ。
そして話終えると2人してラウラの方を見てからお互いの顔を見合わせて、もう一度ラウラの方を見るや否や満面の笑みを向けた。
「……?」
ラウラは何が起こるのか分からないといった顔をしている。
「という訳でレオン。あんたはスーツを受け取ったらそのまま会場に行きなさい。ラウラは私たちが責任をもって仕上げとくから」
「あっそう。あんまりやり過ぎないようにね」
「まっ、待てレオン! 私を置いていく気か!?」
「ご武運を!」
俺は敬礼をし、そそくさと車に乗って現場を離れた。バックミラーから見たラウラは母さんと姉さんに両腕を掴まれて店のドアに連行されて行った。
車を走らせること1時間、店に到着し車を駐車場に止め店の入口まで歩いっていった。
店の名前は『コンチネンタル』男性用スーツのオーダーメイドを請け負う歴史のある店だ。
「ようこそコンチネンタルへ」
「アンジェロさんはいます?」
「彼がいない日はございません」
店員は指を鳴らすと奥の扉が開き、そちらに行くよう誘導された。
扉を抜けて部屋に入る。
「ミスターブリューゲルようこそおいでくださいました」
「アンジェロさん、お久しぶりです」
お互いに握手を交わす。
「スーツの受け取りですね?」
「えぇ」
「あなたがこのスーツをオーダーメイドしたのがつい最近のようです」
「そうですね、中学の時にこのスーツに袖を通してからですからね」
俺はクリーニングが終わり袋に入れられていた軍学校の時に入学してから大事な時に着ていたスーツを取り出した。
「この場で着ていかれますか?」
「えぇ奥を借ります」
俺は奥にある試着室にて私服からスーツに着替え始めた。
着替え終えて試着室を出る。
「サイズは大丈夫のようですね」
「えぇ、ちょうど身長に合うようにしていたのが正解だった」
「お似合いですよ」
「ありがとうございます」
「そちらのお洋服はご自宅に運んでおけば良いですか?」
「助かります」
持っていた折りたたんだ私服をアンジェロさんに渡してから財布からチップを胸ポケットに入れて店を出た。
「またのご利用お待ちしております」
店の入口にて深々とお辞儀をするアンジェロを後目にレオンは駐車場に止めていた車に乗りパーティ会場へと向かった。
車を走らせること2時間、時刻は夕方17時を回っており会場に着いた頃には太陽が空を赤く染めていた。
会場に着き入口で車を降りるとスタッフが駆け寄ってきたので車の鍵を預けるとスタッフは鍵を受け取り駐車場へと運んで行った。
「うーん、早く着きすぎたか。まだ母さん達は着いていないか」
俺は腕時計を見てから周りを確認するが母さん達はまだ会場に到着していないようだった。
仕方ないので近くの壁にもたれかかって待つことにした。
「おうおう誰かと思ったら今や時の人のレオン・ブリューゲル君じゃないですか?」
「ん?」
妙に突っかかるような言い方で名前を呼ばれ、その方を向くとスーツを着た男性が2人いた。
「おぉ! デイブ! マッツェル! 久しぶりだな!」
「ハッハ! 元気してたかコノヤロー!」
「それはこっちのセリフだ!」
この2人は同じ中学軍学校の同期だ。
デイブ・バッツ、ドイツ陸軍所属で階級は少尉。
マッツェル・クーパー、ドイツ海軍所属で階級は准尉。
3人で良く教官達や先輩連中を困らせたのは懐かしい思い出だ。
「いや〜しかしいつぶりだ3人が揃うのは?」
「軍学校で学科が別れて以来だから2、3年くらいか?」
「もうそんなに経つんだな……で? どうなのよ陸軍と海軍は?」
「大変だよ」
「右に同じく」
「だろうね」
「それよりもお前の方が大変だっだろ?」
「そうそう、新聞で読んだよ。ISを動かしたんだって?」
「あぁ色々あって疲れたよ……」
それぞれの近況を話し合いながら時間が過ぎるのを待っていた。
「そういえば、どうなんだ?」
「何が?」
「IS学園だよ。やっぱり可愛い女の子ばっかりなのか、ハーレムか!」
「んなわけないだろ。疲れるだけだよ」
「またまた〜。そんなこと言ってモテて辛いんだろ? お前見た目は合格点じゃん」
「はぁ〜お前な、女子高に男性がいてみろ珍獣扱いだよ珍獣。物見遊山な奴多いぞ? それに性格ドブスな奴が大半占めてるぞ」
「oh.マジか」
「こういうのめんどくさいから軍にそのまま入隊したってのに……」
「なんかごめんな」
気持ちが落ち込んでいるこの場は漫画の表現で言えば薄暗い背景になっているだろう。
「なんだなんだ、そんなに落ち込んでたらパーティが楽しめないぞ?」
そんな俺たちに声をかけてくる人物がいた。
「おっ! カスペン上院議員殿ではないですか!」
「やめてくれよ!」
キッチリしたスーツに胸元の議員バッジを付けているこの男の名は『ダリル・カスペン』ブルーノ・カスペン最高議長の一人息子で若くしてドイツ議会の上院議員を勤めている。
「久しぶり! 親父さんから聞いたよ。議員当選おめでとう」
「ありがとう。これも全部レオンお前のおかげだよ」
「あ?」
「お前が俺の事を正してくれたおかげで俺は父の跡を継ぐ決意ができたよ。だから2度目だがありがとう」
「ほーう、なら殴ったかいがあったな」
中学時代、ダリルは荒れに荒れまくっていた。いわゆる不良道まっしぐらだったが、俺がボコボコにした挙句説教までしたら次の日から全くの別人といっても良いくらいに丸くなっていた。
卒業後の行方は知らなかったが議員しかも上院議員になっていたとは驚きだった。
「で? みんなはここで何してるの?」
「おぉそうだった。レオンお前なんで中に入らないんだ?」
「あぁ母さんと姉さん待ち。今おめかしの真っ最中」
俺の返答に3人共『あぁなるほど〜』と声をハモらせる。
そして4人で話していると周りがざわつき始めた。
「おっ! あれお前の所のじゃね?」
デイブがざわつく先を指差すとそこには黒のリムジンが到着していた。
「あれはウチだ」
「リムジンでご到着とは……」
「すげぇな」
「じゃあ、また中でな」
「おう!」
「またな」
3人に1度別れを告げて俺はリムジンの方へ向かった。
リムジンの後方の扉を開けると中からドレスを着飾った母さんが最初に降りてきた。
「随分と遅かったじゃん」
「いや〜意外と時間かかっちゃったけど、もうバッチリよ! 腰抜かすわよ〜」
そういう母さんのドレスは赤色のマーメイドドレスで肩から胸元が大胆に開けているデザインになっており、身体の細さを強調している。
「張り切りすぎちゃった。パーフェクトよ、文句言った奴はシメる!」
次に降りてきたのは姉さん。姉さんのドレスはミモレ丈と言われるふくらはぎの中間までが隠されたスカートが特徴のドレス。色は青色を基調としている。
「おい、あれブリューゲル一家じゃないか?」
「本当だ! 家族3人揃ってるなんて滅多にないぞ!」
「ブリューゲル元帥! 1つ質問させてください!」
俺たちの存在に気づいた今回のパーティーに参加する人達に取材しようと集まっていた記者団がこちらに集まってきた。
「ごめんね、今日は取材はお断りさせてね?」
「そんなこと言わずに!」
「ブリューゲル中尉! IS学園での生活の方はどうなんでしょうか?」
「ほかの学生の迷惑になりますのでノーコメントで」
ワーワー騒ぐ記者団の質問をかわしていると。
「あ、あの!」
車に残っていたラウラが恥ずかしそうな声でこちらに呼びかけてきた。
そして意を決して車から降りてくるラウラ。
「…………」
周りの記者団と俺はその姿を見て呆然とした。
ラウラのドレスは黒に紫のラインをあしらったスレンダータイプのドレスで身体のラインをハッキリと見せてくれるデザインになっている。
更に髪型は長い髪を左肩に纏めているワンサイドヘアになっており、いつもとは違う髪型に俺はドキっとしてしまった。
「うぅ……に、似合っていない……だろ……」
頬を赤らめて上目遣いでこちらを見てくるラウラに俺の心はまたドキっとしてしまった。
「いや! 似合いすぎて言葉を失ってしまいました!」
「そ、そうか……こういう服装は着たことがないのだが……そうか……似合っているか……」
俯きながら嬉しそうに笑みを浮かべるラウラは歩こうと1歩踏み出そうとした時
「うわっ……」
「おっと!」
俺は躓いたラウラを咄嗟に受け止めて姿勢を支えながら立たせる。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、すまない。こういう靴は履き慣れなくてな」
「いつもブーツでもんね。なら」
俺は立たせたラウラの横に周り左腕を差し出した。
「れ、レオン?」
「俺で良ければ支えになりますよ」
そしてラウラはタジタジになりながら俺の左腕に右腕を組んで一緒に会場へと向かった。
周りの記者達は一斉にカメラを構え写真を撮り始める。それはもうレッドカーペットを歩いている有名人のように周りからフラッシュが光りだす。
あぁ明日の新聞のトップになんか書かれそう……
そして会場の入口に入り近くの椅子にラウラを座らせる。
「何か飲み物持ってきますね」
「すまない」
「いえいえ」
俺は飲み物を取りに料理等が並ぶテーブルへ行き、適当に料理を皿に盛り付けてからオレンジジュースの入ったコップを持って戻ろうとした時、後ろから声をかけられた。
「おっひさ〜レオン!」
「ん? おぉジェシカ! 元気だったか!」
「当たり前でしょ!」
声をかけてきたのはデイブ、マッツェルと同じ同期の『ジェシカ・ハープトン』卒業後は警察官に就職している。
しかし今回は警備という訳では無いようで彼女もドレスを着ていた。
「なんだお前もパーティに参加していたのか?」
「そうなのよ! 私こう見えて現在の逮捕者数が署で1番なのよ。それで署長が参加してこーいってな感じ」
「なるほどね」
「それよりもアンタと一緒に入ってきた子って誰? 彼女?」
「違ぇよ。俺の上司」
「うぇっ!? 見た目はともかく年齢あたしたちと同じでしょ? それが上司なの?」
「お前新聞読まねぇのかの……ドイツ代表候補生だぞ?」
「えぇ!? あの子がラウラ・ボーデヴィッヒ!?」
驚きのあまりジェシカは持っていたグラスを落としそうになるのを咄嗟に掴む。
「もう行っていいか?」
「あぁごめんごめん、んじゃまたね」
俺はジェシカと別れてラウラの元へ向かった。
「お待ちどうさま」
「ありがとう」
ラウラはオレンジジュースの入ったコップを受け取り、口につけて飲み始めた。
俺は持ってきた料理を口に運んで辺りを見回した。この場に集まっているメンバーは相当な人物達だった。
議会の議員、軍のトップや関係者、警察のトップや表彰に値する者、代表候補生、こう集まっていると壮観だな。
「ふぅ……」
「おかわり持ってきましょうか?」
「あぁ頼む」
俺は空のコップを貰い近くのウェイターに渡してから新しい飲み物を取りに行くと会場の中央でダンスが始まっていた。
「へぇ〜ダンスもやるんだな」
周りを見ると母さんは議会にいた陸軍と空軍のトップと何か話している様子、姉さんは周りに男性達からダンスの誘いを受けているが全部断っているようだ。
「相変わらずだな。自分より強い人間以外は眼中にないのは……」
飲み物を取ってラウラの元へ戻ろうと振り向くとラウラの元に1人の男がダンスに誘っているのが見えた。
ラウラは戸惑いながら断っているようだが男はしつこく誘っていた。
「たく、断ってるんだから諦めろよなぁ」
俺はコップをテーブルに戻してラウラの元へと向かった。
「いいじゃないですか、私と一緒に踊りましょう!」
「い、いや私はそういうのは……」
「減るものでは無いのですから、さぁ!」
「だ、だから……」
明らかに困っているラウラそっちのけで誘い続ける男はどことなくギザっぽい成金みたいな感じだ。簡単に言えばス〇夫と花〇君を足して割ったような奴。
「おい、いい加減にしろ!」
「ん? なんだね君は、私は彼女をダンスに誘っているんだ邪魔をしないでもらおうか」
「断ってるのにしつこく誘うな。惨めに見えるぞ」
「な!? 貴様! 私が誰か知らないのか!」
「あっ? 知らねぇよ誰だお前?」
明らかに額の血管が浮かび上がってキレかけているのがわかる。
「そうか、この私を知らないと……良いだろう貴様みたいな庶民がどうやってこの場に入ったかは知らないが教えてやろう! 私の名前はミッチェル・バーク! この名でわかるだろ?」
「あぁバーク下院議員の息子か」
「フフ流石に庶民でも知っていたか。つまり私に逆らうということは自分の人生を閉ざす事になるんだぞ? 分かったら邪魔をするな」
そう言うと、またラウラの方へと向き直り口説き始めた。
「貴方のような麗しい女性は見たことがありません。是非私と1曲」
「い、いや……ですから……」
困っているラウラはどうも断るのを躊躇っているようで、この男はそれを押せばイけると思い込んでいるようだった。
「いい加減にしろ! 隊長をこれ以上困らせるな!」
「ぬおっ!?」
首根っこを掴み思いっきり投げ飛ばす。ミッチェルはそのまま後ろに一回転して、見るからにみっともない姿になった。
そして起き上がると怒りをあらわにした顔をしていた。
「き、貴様! 私にこんなことしてタダで済むと思っているのか!」
「知らねぇよ。てかお前が偉いんじゃなくてテメェの母親が偉いんだろうがよ? これだからボンボンは嫌いなんだよ少しはカスペン議長の息子を見習えバカが」
「な、な、なんという口の利き方だ!」
ミッチェルは右手にはめていた手袋をこちらに向けて投げてきた。
「あ゙? なんの真似だ?」
「見てわかるだろ決闘だ!」
「いつの時代だよ……」
古代での決闘のやり方で紳士が決闘を申し込む際に手袋を投げたと聞くが、まさか今目の前でそれが行われるとはな……
「さぁ手袋を取れ!」
「はぁ〜めんどくせぇ」
俺は地面に落ちた手袋を取った。決闘を承諾したという合図だ。
先程までダンスを踊っていた場所を取り囲むように人が輪になっている。その中心に俺とミッチェルがいる。
「で? 何で闘りあうだ? 殴り合いか?」
「そんな野蛮なものでやるか馬鹿者!」
ミッチェルが指を鳴らすと執事の格好をした男が縦長のスーツケースを持って現れた。
「坊っちゃま、お持ちしました」
「ありがとう」
執事がケースを開けるとそこには2振りの剣が入っていた。
1本をミッチェルが取ると執事はケースの蓋が開いたままこちらに来た。
「どうぞ」
「どうも」
俺も残ってる剣を取ると執事は蓋を閉じて群衆の中に戻って行った。
「おい大丈夫なのか?」
「どうってことないさ、あんなボンボン敵じゃないさ。ちょっとこれ持ってて」
群衆の中にいたデイブに持ってた剣を渡して俺はジャケットを脱いでマッツェルに手渡し袖を巻くってレイピアを持ち直した。
「レオン……」
「ラウラ?」
「私のせいで……こんなことになって……すまない」
「謝らないでくださいよ」
「しかし!」
「それ以上は野暮ですよボーデヴイッヒさん」
「そうそう」
「こいつは売られた喧嘩は必ず買う主義だから」
「お前らなぁ」
まっ、実際そうだから良いけど。
「さてと。待たせたな!」
「ふん。良いさ庶民を待ってやるのも貴族としての礼儀だ」
うーん殴りたい程のドヤ顔。
「勝ち負けはどう決定する?」
「そうだな。どちらか片方の剣が地に落ちたら負けという事でどうかな?」
「良いだろう」
ミッチェルは準備万端とばかりに戦闘の構えをとる。それに応じて俺も構えをとる。
ミッチェルの構えはフェンシングスタイル、剣を腰より少し上に構えて腰を落とす競技用の構え。
俺は剣を顔の横に持っていき左手を剣の先に構えをとる牙突の構えをする。
お互い構えを取り終えると執事が片手を挙げて合図を出す。
「始め!」
その言葉を合図に俺はミッチェルの方へ飛ぶ。
「ッ!」
「ぬおっ!?」
ガキンッ! と剣と剣かぶつかる音がホールに響く。
そのまま俺は連続でミッチェルに斬りかかる。その度に剣と剣がぶつかる音だけが響いていく。
「ぬぅ、やるではないか」
「そっちもな。あんなバカ議員の息子とは思えないぜ」
「なんだと! 貴様! 父を侮辱するのか!」
「は? いや父親の方は尊敬してるよ普通に」
「嘘を言うな!」
両者1度離れて体勢を立て直す。
中々強いな。今まで戦ってきたやつらに比べたらできる方だな。
しかし誤解されてしまったな。俺は別にコイツの親父さんは尊敬してるしな。母親はクソだが父親であるアレクセイ・バーグ上院議員は好きな方だ。
アレクセイ・バーク上院議員。
元ドイツ空軍出身で30代に入った頃に足に大怪我をおい退役その後は上司の勧めもあって議員選に立候補し上院議員の椅子を獲得、国民からの人気も絶頂なのだとか。
まぁ実際俺も軍学校にいた時に講演会に参加してサインを貰ったこともあるからな。
「ちょっと待った!」
「なんだ。降参か? 軍人なら最後まで……」
「誰が降参なんてするかバーカ。さっきの事で訂正がある」
「なっ!? 誰がバカだ!」
いやそこかよ……
「俺は何もお前の親父さんの事を言ったわけじゃない」
「なに?」
「家に親父さんのサインを飾ってあるくらいに尊敬している」
「では先程の発言は?」
「お前のお袋さんの方だ」
「あ〜なるほど……そうだったか……それは早とちりをした。申し訳ない」
ミッチェルは深々と頭を下げた。
あれ? 意外と素直だぞコイツ。もしかしてあの母親、息子に嫌われているのか? ぷぷざまぁw
「母はあんな性格だから周りに色々と迷惑をかけているんだ」
「お前も大変だな。だけどなお前も性格悪い方だと思うぞ?」
「ぐっ……否定できないのがなんとも言えん。しかし! 私も男だ自ら投げた勝負は引かん!」
「いいねぇ。そういうのは好きだぜ俺は」
再び構え直す。お互い心の中では次で勝負が決まることを感じていた。
「いくぞ!」
「いざ!」
こいつは強い、さっきのでわかった鍛錬を怠らず訓練してきた人間だ。以前の俺なら下手をすれば負けていただろうが福音に比べれたらこんなものどうとでもない!
何よりこんな男にラウラの相手を任せるのはなんかわからんが嫌だ!
お互いが互いの懐に飛ぶ。
ガキンッと再びぶつかる音が響く、そして……
カラン……っと剣が地面に落ちる音が聞こえた。
「くっ……」
「ふぅ…」
見るとミッチェルの持っていた剣が真ん中から折れて剣先が地面に落ちていた。
「……レオンの勝ちだ!」
「おぉ!」
一瞬静かになった群衆がデイブの声に一斉に歓喜の声が響く。
俺は持っていた剣を執事に返してデイブたちの元へ歩いて行った。
「レオン……」
「勝ってきました」
「イエーイ! さすがはレオン!」
「よっ! 我らが母校の暴力装置!」
「武器を持たせたら世界最強!」
「お前らなぁ…」
なんというかお祭り騒ぎのバカ連中。そんな事は置いておいて俺はラウラに手を差し伸べる。
「俺と踊っていただけませんか?」
「えっ……?」
「もちろんラウラが嫌じゃなければですが」
俺の言葉にラウラは驚きを隠せない顔をしていた。そして俺の顔を差し出された手を交互に見比べる。
「私は………踊ろれないぞ?」
「大丈夫です、俺がリードしますから」
「うん……で、では……頼む」
そう言うとラウラは俺の手に自分の手を乗せた。
俺はその手を優しく引き先程まで死闘をしていたホール中央へと向かった。
先程まで集まっていた群衆は散り散りになってそれぞれがペアになってダンスの準備に入っていた。
「まずは左手を俺の背中に手を回して」
「こ、こうか?」
ぎこちない手つきでラウラは俺の背中に手を回した。そして俺はラウラの肩に手を置いた。
「もしついていけなかったら俺の足にラウラの足を乗せてください」
「りょ、了解した」
そして指揮者が指揮棒を振り始めると音楽隊がそれぞれの楽器で音色を奏始めた。
ペアになった男女がその音楽に乗り踊り始めた。
「動きに合わせて」
「うむ」
俺は慣れていないラウラに合わせて踊り始めた。
ぎこちない動きだが一生懸命踊るラウラを見て踊らない周りの人達は心を奪われていた。
「か、可愛い……」
「可憐だ」
「正しく銀の妖精の名にふさわしい!」
「うわ! あんたいたの!?」
参加していなかったデイブ、マッチェル、ジェシカそして何故か3人の隣にいるミッチェルが言葉を漏らした。
「良いわねぇ若いって」
「何言ってるんですかガブリエラさんもまだお若いですよ」
「あらお上手ねシュバルツ中将」
「いえいえ本当のことを申しているだけですから。それより例の作戦彼らも加えるのですか?」
「えぇ.戦力は多い方がいいですから。それに警官隊の人員増強としての戦力も必要ですから」
VIP席に座ってワイン片手に息子の踊りを見ているガブリエラとシュバルツ中将。
それを写真に撮る記者団。さらに俺たちの踊りを撮る記者団に別れていた。
「レオン」
「ん? なんです?」
「そろそろその敬語をやめてくれないか?」
「えっ?」
「もう敬語で話すのはやめないか? 私たちは同い歳で学友なのだから」
「い、いや〜」
「も、もちろん公私は別けて貰うぞ!」
「わかりま……わかったラウラ」
その言葉を聞いてラウラの口は口角を上げて笑った。
そしてダンスを終えると、VIP席に座っていたグエルが壇上に上がってきた。
「皆さん良いダンスでした。今回この場に集まっている皆さんは口の硬い人達であることは各自が知っていることでしょう。記者団の皆様もこれから言うことは記事にしないよう配慮していただけると幸いです。もし漏洩した場合は私の名にかけて新聞社を潰しますのでご注意を」
周りがくすくすと笑う。記者団も顔は笑っているが内心は怯えいる。
「そして今日行われたパーティーは我が友レオン・ブリューゲルと黒ウサギ隊隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒさんの戦勝記念パーテになります!」
グエルが俺たちを指さすと周りの人達が一斉にこちらを顔を向けてきた。
「2人とも壇上に」
そう言われ俺たちは壇上に上がる。周りからは握手が送られた。
「2人にはこの突撃勲章を授与したいと思います」
「「「おぉー!!」」」
後ろにいたスタッフから小さな長方形の箱をグエルは受け取ると蓋を開いて周りに見せた。周りからは驚きの歓声が上がり、また拍手が鳴り響いた。
箱を開けた状態で俺たちに手渡しその後写真撮影をしてから俺たちは壇上から降りた。
「では皆さんもう一度我らがドイツの誇りある2人に盛大な拍手を!」
3度目の拍手が鳴り響いた。
「では皆さん今日はもうお開きです、帰りはお気をつけてお帰りください」
そう言うとグエルは壇上から降りた。
そして会場にいた人達がそれぞれ出口に向かって歩き出した。
「んじゃなレオン!」
「また会おう」
「おう。まぁ直ぐに会うと思うけどな」
「「?」」
俺の言葉に頭にはてなを浮かべながらデイブとマッチェルは出口を出て行った。
「じゃーねレオン」
「じゃあなジェシカ」
そのあとを追うようにジェシカも出口に歩いて行った。
「レディ、また会おう! 今度こそ僕と踊ってもらうからね!」
「あっ……はは……」
「いい加減にしろ!」
「あう!」
ミッチェルがまたラウラに近寄ってきたので蹴りを一発食らわして出口へ追い出した。
「私達も帰りましょうか」
「母さん」
「で、では私もクラリッサと帰ります」
ラウラは敬礼し回れ右をした時
「あっ! ラウラちゃん」
「は、は……ぐぅ!」
呼びかけられて急ブレーキをかけたラウラはなれないヒールで足を捻って倒れてしまった。
「大丈夫!?」
「イタタ……あっはい大丈夫です……ッ!!」
「あらあら、足が腫れてるわね、慣れないヒールだったもんねレオン担いてあげて」
「はいはい」
「えっ!? ちょっ!」
俺はラウラをお姫様抱っこして出口に向かって歩き出した。
ラウラの顔は赤面しており手で顔を覆って恥ずかしがっている。
「で? 母さん今度は何を言い忘れてたの?」
「実はホルシュタイン航空基地の寮あるじゃない」
「あぁ、あの基地に近いところにあるやつ?」
「そうそれ。今改装中なのよねあそこ」
「「えっ!?」」
俺はそこまでだったがラウラはさっきまで顔を覆っていた手を外して母さんの方へと顔を向けていた。
「そ、それは本当なのですか?!」
「確かラウラちゃんは寮住みだったわね」
「はい……部屋に荷物はあまりないので……そこは問題ないのですが……」
「しばらくの泊まる部屋がないと」
「はい……」
「うーん……そうだわ!」
嫌な予感がする。
「レオンしばらく貴方の家でラウラちゃんを住まわせてあげなさい!」
「はぁ?!」
「うぇっ!?」
えっなに? 何言ってんのこの人? 俺の家にラウラが泊まる……?
「母さん何言ってんの!?」
「そ、そ、そうです! わ、私はどこかホテルに泊まりますので」
俺の腕の中であたふたしているラウラ。それを落とさないように支える俺も流石に母さんの発言には度肝を抜れた。
「そうは言うけれど基地近くの街にホテルや宿なんて無いわよね? 観光地じゃないし」
「うっ……いや、それは……」
「ということで、レオンの家にお泊まり決定!」
「おい待て母よ。俺の決定権は?」
「無いわ」
無いのか〜こりゃ無理だわ。
そんなこんなで母さんと姉さんは2人してここに来た時のリムジンに乗り込み颯爽と走って行った。
「……………」
「……………」
その場に残された銀髪の男女。お互いの顔を1度見てから前を向く。
「とりあえず……行きますか?」
「そ、そうだな。ここにいては他の人達に迷惑がかかるしな」
そうして俺たちはスタッフが持ってきた車に乗り込み俺の住んでる家へと向かった。
車を走らせること数時間ホルシュタイン航空基地がある地域のレンズブルクに到着した。
ラウラは1日の疲れで助手席で眠っていた。その姿は会場から出た時、ドレスのままで眠る姿はおとぎ話に登場するお姫様そのものだった。
「3ヶ月なのになんか懐かしく感じるなこの街に帰ってくると」
そして目的地の俺の家に着いた。この家は3階建てのアパートで俺が学生時代に宿探ししていた時に大家の老夫婦が気前よく貸し出してくれて卒業と同時に永久契約を結んで基地に行く時はここから出勤していた。
「着いたぞラウラ」
「う……ん〜?」
「やれやれ」
肩を揺すって起こそうとしたがなかなか起きないので仕方なくもう一度お姫様抱っこをしてアパートに入っていった。
ドアを開けて自分のベットにラウラを寝かして俺は寝室を出た。
ドレスシワにならないと良いが。
スーツを脱ぎながらそう考え明日からどうするかを思案する。
「あっ。そういえば」
俺はあることを思い出し玄関を出た。
玄関前には2つのダンボール箱が置いてあり、それを持って部屋に戻った。
中を開けると自分の私服と昼間に買ったラウラの私服が入っていた。
母さんめぇ、最初っから俺の家に泊めさす気だったな。
俺は部屋着に着替えてソファに寝そべり就寝した。
某国某所のとある秘密収容所
そこには思想犯、テロリスト、極悪人など各国から厄介者として集められたゴロツキが収容所されている。
この場所を知る者は各国のお偉方でも数人しかいない。
中は円柱状になっており、各階によって犯罪者のレベルが変わっていく、その最下層『レベル0』と呼ばれている場所にはたった1人だけが収容されていた。
その1人のために用意された階層には無数の監視カメラと朝昼晩の3回交代で見張りがつけられている。彼らの任務は運ばれてくる食事の検査と毎日くる新聞の検査だ。
ここに選ばれるのは警察官だけではなく軍人からも選ばれる。みんな厳しい検査と訓練を受けて職務を任されている。
「ふ〜ん〜♪ ふふ〜ふ〜ん〜♪」
硬い鉄扉の中から鼻歌が聞こえてくる。
そんな鼻歌を聞こえていても監視をしている警護官達は表情を変えることなくその場に立っている。
この場所を繋ぐ唯一の方法はエレベーターのみで食事と新聞はそこから運ばれてくる。
そしてエレベーターが降りてきて中から台車に乗せられた新聞の束が運び込まれた。
警護官の1人が時間をかけて新聞の束を1つ1つ確認していく。確認が終わり台車を運び扉を開けて中に入る。
「おい! 『
鉄扉を思いっきり叩いてから警護官は部屋に入った。
中に居たのは銀色の長髪の女性が備え付けのベットに腰掛けていた。
「あら? 今日は貴方が当番なのね。どう? 私と良い事しない?」
ローレライと呼ばれた女性は胸元のボタンを少し開けて豊満なバストを警護官に見せてきた。
「黙ってろ。読み終えたら新聞は台車に戻せ。変なことを考えるなよ我々にはお前の射殺許可が降りていることを忘れるな」
「いやん、怖〜い」
バンっ! と思いっきり扉を閉めのを確認した彼女は積まれた新聞の中から1つを選んで読み始める。
「さぁ〜て世界のニュースはな〜にかっな〜?」
最初に取ったのはドイツ語で書かれた新聞『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』
その紙面のトップ記事を見た時彼女の顔つきが変わった。
「あら? へぇ〜……ぷっ、フフフ、アハハ、アッハッハッハッハッ!」
甲高い笑い声が独房の中に響き渡る。
「おい! うるさいぞ!」
それを静止するよう警護官がドアをバンバンッ! と思いっきり叩く。
「フフフ、まさか……これもまた運命ね。あぁ楽しみだわ貴方達に会えるのが……待っててね私の可愛い子供達♪」
ベットに腰掛けて唯一ある窓から外を眺める。そこには綺麗な満月が見えていた。
不敵笑みを浮かべる彼女の名は『ライラ・ボーデヴィッヒ』ドイツが生み出してしまった
どうも薄影です
忙しすぎて投稿が遅くなっちゃった。
オリジナルのストーリーは考えるのが大変だ。