IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき 作:薄影 (黒ウサギ党)
8月某日ドイツのとある倉庫街上空にて3機のISが空中戦を行っていた。
1機はドイツの専用機であるシュヴァルツェア・フラムドライ、そして相手している2機はフランスの量産ISラファール・リヴァイブ。
ラファールはフランスにある企業の1つ『デュノア社』が制作に携わっているISである。
全くテロリストごときにISを使わせているとはデュノア社のセキリュティはどうなってんだか。
「おっと!」
「戦闘中に考え事とか」
「随分余裕じゃん!」
いかんいかん、今は戦闘中だった。量産機とはいえ相手は場数を踏んでいる油断大敵だ。
「さっさとあんた倒して下の連中助けなきゃいけなのよ」
「ついでにあんたのISも貰ってあげるから……死ね!」
瞬時加速によって一気に距離を詰めてくるテロリスト②。手にはIS用のククリナイフが握られている。
その攻撃を出現しておいたプラズマ手刀で受け止める。
「チィ!」
「へぇーやるじゃん」
鍔迫り合いする2機のISを後方から狙うもう1機のラファールの手には狙撃用ライフルが握られており、その引き金には指がかかっている。
『避けなさい!』
「了解!」
「ッ!?」
鍔迫り合いをしている手を押し込もうとした時テロリストAは後方にスラスターを吹かし後ろに下がった瞬間テロリストBのラファールから放たれた弾丸が目の前に迫る。
「クソッ!」
時を遡ること数時間前
昨日のパーティが終わり自分の住んでいるアパートに戻ってから就寝し朝にいつものアラームで起きる。
「ん〜〜はぁ〜」
大きな伸びをしながら寝ぼけた顔を手で拭く。
しかしソファで寝るのは久しぶりだな。
ベットはあるのだが……今家にいるのは俺だけじゃない。隣の部屋の扉を静かに開けるとベットの上で寝ているのは移動で疲れてそのまま寝ているラウラ。
さすがに一緒に寝る訳にはいかないしな。日本のことわざにこんな言葉がある『男女7歳にして同衾せず』って、だからラウラをベッドで寝かせて俺はソファで寝てたという訳。
「さてと朝市にでも行くか」
扉をゆっくり閉じて外出用の私服に着替えて外へ出かけた。
「日本の空気も良いがやっぱり地元の空気が1番だな」
ドイツ気温は夏と言っても暑い訳では無い。基本的に25℃と住みやすい気温になっているが朝晩は寒暖差があるため1枚上着を羽織らないと流石に冷える。
「さてと朝飯の食材何かいいのあるかなぁ」
レンズブルクはアイーダ河とキール運河沿いにある都市あるため貨物船が停泊する港を完備している。そのおかげで物流がちゃんと整備されている。
この地域に住む人や料理関係の人達は朝から市場に出て食材なんかを買いに来る。ある意味この場所の名所の1つにもなっているため海外から来る旅行客も多い。
「あら、レオンちゃん!」
「やぁ、おばちゃん久しぶり」
「もう最近ここに来ないから心配してたんだよ!」
「いや〜色々あって」
「もう、ほらこれ持ってて今日取れたばかりのお魚」
「えっ! いいの!?」
「良いよ良いよ持っていきな」
「ありがとう! 今日の朝飯に捌くわ」
俺は魚屋のおばちゃんに別れを告げて店を後にする。
「おっ! レオ坊! これ持っていきな」
「あらレオンちゃん。これ家で食べてって」
「ほら若いんだからこれ食べてけ」
行く店先でどんどん色んなものを貰ったせいで手荷物がいっぱいになってしまう。
「こりゃ食べ切れるかわからんねぇな」
近くのベンチに座って一息入れる。
さてと帰って朝飯何作るか。
貰った食材が入った紙袋の中を見ながら俺は考え込む。
「新聞! 新聞だよ!」
「ん?」
人混みの中から今日の朝刊であろう新聞の束を斜めがけバックに入れて声を張り上げながら歩く少年がいた。
「おーい! 新聞くれ〜」
「はーい! って! レオン兄ちゃん?!」
「よっ! カイル元気してたか?」
カイルと呼ばれた少年は満面の笑みでこちらに走ってきた。
「兄ちゃんどこいってたんだよ!」
「わりぃわりぃ、ちょっと日本に行ってたんだよ」
「ニホン?」
「お前、新聞売ってる割に情報量乏しいのな」
「うっせー! はい1部1ユーロ」
「あいよ」
俺は財布から20ユーロ紙幣を出して手渡した。
「ちょっ! お釣り無くなっちゃうよ……」
「やるよ。俺からの小遣い」
「マジで!?」
「無駄遣いすんなよ。それよか母さん元気にしてるか?」
「ありがとう! おう母ちゃんなら元気になって仕事してるよ。俺にはいい会社に入って欲しいっていつも言ってるよ」
「そりゃ良かった」
「んじゃ俺まだ新聞売らないと」
手を振りながら人混みの中へと消えていくカイルを見送ってから俺は買った新聞を読むために目線を向けた。
「さてと最近のニュースは何か……ブー!?」
見出しにはこう書いてある。
『舞踏会にて踊る白銀、代表候補生同士の熱愛か?』
記事には昨日のダンスの時の写真が一面に載っていた。
「な、な、なんちゅうこと書いてんだ……」
あまりの事に新聞を握る手に力が入り持ち手の部分はしわくちゃになっていた。
「はぁ〜こりゃラウラに見せられんぞ」
一先ず荷物を持ってアパートに帰ることにした。
その頃、アパートにて寝ているラウラはというと。
「う、うーん……」
ちょっとうなされていた。
「い、一夏……さすがに、そ、それは……」
どうやら一夏とのラ〜ブな夢を見ているようだ。
そんなラウラのお楽しみな夢を邪魔するように黒い影がラウラのお腹にのしかかる。
「うっ……お、重い……」
せっかくの夢を台無しにされた怒りからかラウラは自分の上に乗っている奴の正体を確かめようと目をうっすら開いた。
「ツ!?」
そこにはフサフサの毛をした生き物がいた。
「ね、猫?」
そう猫である。3色の毛をした三毛猫がそこに……ラウラの上でじっと顔を見つめていた。
その目はこの家の主ではない人間を監視するかのようにずっとみ続けている。
ラウラはその目を見返した時、頭でこう思った。
(い、今……体を動かしたら……やられる!)
お互いじーっと見つめる攻防戦が始まるかに見えた矢先、玄関の開く音が聞こえ猫はラウラの上からぴょんっと飛び跳ねてスタスタと音の方向へと歩いって行った。
「ふぅ……レオンか? 外に行っていたのだろうか?」
ベットから起き上がり顔を手で拭ってからふと部屋に置いてある鏡を見て驚いた。
なにせ今のラウラの格好は昨日のままのドレスであったからだ。
「なっ!? わ、私はこのままの格好で寝ていたのか?」
それに気がつくと急に恥ずかしくなり顔を赤らめていた。
そしてラウラ少しドアを開けて顔を覗かせてレオンに声をかけた。
「れ、レオン……」
レオンは朝市から帰宅しドアの前で荷物をおろして鍵をポケットから出して鍵を開けていた。
「ふぅ……疲れた」
「にゃーん」
「おっ! ゲッペルン? どこから入ったんだ?」
この猫の名前はゲッペルン。野良猫だった時に俺が餌やりをしていて、たまに家にやってくる猫だ。
「よーしよしよし、久しぶりだな。お前俺がいない間もここに来てたのか?」
「うみゃーん! ゴロゴロ」
喉を鳴らして撫でられるゲッペルン。
そしてゲッペルンが出てきた部屋からラウラが顔だけ覗かせてこちらを見ていた。
その顔は少し頬を赤らめさせていた。
「れ、レオン……」
「ん? おぉラウラ起きたのか」
「う、うむ……その……」
「あぁ着替えか、ちょっと待っててくれ」
俺はリビングに向かいテーブルに置いてた紙袋をラウラの元に持っていくとラウラに手渡した。
「んじゃ飯の支度でもするか」
俺はリビングに戻りキッチンで先程貰った食材達を並べて朝食の準備を始めた。
「みゃーん」
「ん? おぉ先にお前のを出さないとな」
棚から猫用の缶詰を出して封を開ける。それを皿に移してゲッペルンの前に置く。ゲッペルンはそれに顔を近づけて食べ始めた。
「さてと」
エプロンを着けてコンロに火を付ける。
「うーん朝からガッツリいくのはさすがにあれだな……せっかく魚を貰ったんだムニエルでも作るか」
フライパンに油をひいて充分に火を通してから魚を焼き始めた。
ふと下を見るとゲッペルンが物欲しそうにこちらを見ていた。
「これはお前のじゃないから。それにさっき食っただろ」
ゲッペルンはガッカリと言わんばかりに顔を下げた。
「ほら、暫く会えなかった詫びに今日は缶詰をもう1個やるから。これで我慢しろ」
俺は棚からもう1個缶詰を出して先程の皿に乗せた。
「レオン……」
「ラウラおはよう」
着替え終わり部屋から出てきたラウラの格好は上はタンクトップ下はジーパンというすごくラフな格好だ。
「似合っているだろうか?」
「えぇ似合ってますとも」
「そ、そうか」
「もうすぐ朝飯できるから座っててくれ」
「わかった」
ラウラ促されるように椅子に座った。
そして数分後さらに盛られた魚のムニエルが運び込まれテーブルに並べられた。
「おぉ美味そうだな」
「どうぞ召し上がれ」
「うむ。いただこう」
お互い手を合わせてから食事に移る。
「ッ! 美味いな! レオンは料理もできたのか!」
「まぁそれなりですがね。一夏に比べたら全然」
その後何気ない会話をしながら食事を続けていると
ピーンポーン
と家のインターホンが鳴った。
「ん? こんな朝っぱらから誰だ?」
玄関まで行きドアスコープを覗くとそこに立っていたのは軍服を着た男性だった。
あれ? この人は確か母さんの所の人だったよな?
俺は訪問者に会うために扉を開けた。
「朝早くから失礼します! 自分はブリューゲル元帥閣下の元で働かせていただいているマルコ・ブッチャー大尉であります!」
「失礼しました! 自分は
お互い敬礼をしてから手を下ろす。
「ここで立ち話もなんですのでどうぞ中へ」
「いえ! 要件をお伝えしたらすぐに本部まで戻らなくてならないので、お構いなく」
「わかりました。して要件とは?」
「はっ! ブリューゲル中尉及びボーデヴィッヒ少佐は
「わかりました。ありがとうございます!」
「それでは失礼します!」
そして要件を伝え終えたブッチャー大尉はそのまま車に乗りこみベルリンの方へと走っていった。
扉を閉めてリビングに戻る。
「誰だったのだ?」
「いや、母さんの部下の人。なんか俺たちに10:30までにベルリン本部に来いって」
「む、私もか?」
「あぁ」
時計を確認すると現在は8:30、移動のことを考えたら1時間後には出た方が良いか。
「それじゃあ着替えて向かいますか。ラウラの制服も紙袋の中に入ってるはずだから俺の部屋で着替えて来るといい」
「そうか、ならそうさせてもらう」
俺はテーブルの上の皿を流しに置き洗い始めた。
一通り洗い終えてから俺は昨日壁に掛けておいた自分の制服に着替え始めた。
「さてと、じゃあなゲッペルン。また来いよ」
窓を開けてゲッペルンを外に出す。またねと言わんばかりに『にゃー』と鳴き元気よく向かいの屋根に飛び移って行った。
「ラウラ準備OKか?」
「あぁ直ぐに行く」
自分の制服に着替えたラウラと一緒に車に乗り込んだ。
そしてドイツ軍統合参謀本部に到着し駐車場に車を停めてから受付に向かう。
「ようこそ統合参謀本部へ。ご予約はありますか?」
受付係に問われてラウラが前に出て話し始める。
「ホルシュタイン航空基地所属の黒ウサギ隊隊長ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。本日10:30にここに出頭せよとのことで来た」
「少々お待ちください」
そう言うと受付係はパソコンで検索をかける。
「お待たせしました。第三会議室に行ってください」
「わかった感謝する」
そして俺たちは第三会議室に向かうためにエレベーターに乗っていった。
第三会議室
この場所は会議室とは名ばかりで結構室内がデカイため軍の作戦会議に使われる場所になっている。
ドアをノックしてから中に入る。
「失礼します! 黒ウサギ隊隊長ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐であります!」
「同じく黒ウサギ隊所属レオン・ブリューゲル中尉であります!」
「以下2名召集命令に伴い参上いたしました!」
ラウラ、俺の順番で中に入り先に来ていた上層部連中に対して敬礼をした。
「よく来ました少佐、中尉。あなた達の隊のメンバーはもう来ています、その列に並んでください」
「「はっ!」」
そう促され俺たちは歩く。
よく見るとドイツ陸海空軍の精鋭が勢揃いしている。更にはベルリン警察の対テロ特殊部隊G-S-G-9までいる。これは相当大事になる予感がする。
オマケにドイツIS部隊が全部隊揃ってるときた。
おっ! 誰かと思えば陸軍の列にデイブ、海軍の列にマッチェルがいるし、よく見たら警察の列にはジェシカがいた。警察のエースとは昨日聞いてたがまさかG-S-G-9だったとはな。
それにホルシュタイン航空基地の328大隊のメンバーまでいるよ。
「隊長こっちです」
IS部隊の列の1つには見慣れた眼帯女子群がいた。その列の1番手前と1番奥だけが空席になっていた。どうやら俺とラウラの席のようだ。
「それでは隊長」
「うむ」
列の並びはこうだ。
1番前ラウラ、2番目クラリッサ、3番目ネーナ、4番目マチルダ、5番目イオ、6番目ファルケ、そして俺という順番になっている。
右横に並んでいる列には南方のレヒフェルト航空基地に所属している『
そして左横に並んでいるのはベルリンに駐屯している『ドイツ中央IS部隊』のメンバーだ。
「さてと、時間にはまだ早いけど優秀な人員のおかげで全員揃ったようだし集まってもらった理由を話すわね」
中央に座っていた母基ガブリエラ元帥は壇上に上がると言葉を並べ始めた。
「今回ここに集まってもらったメンバーは我々陸海空及び警察庁の上層部が吟味に吟味を重ねて選んだメンバーになるわ」
集められた面々はさすがに動揺を隠せないのかざわざわとし始めていた。
「はいはい静粛に」
その言葉にみな黙る。
「今回の作戦は機密を重んじるものになるわ。ここで喋った事は作戦終了後もこちらが良いと言うまで他言無用でお願いする」
全員が頷き、それを確認したガブリエラは話を続けた。
「今回の作戦は我が国に居座っているテロリストどもを排除することにある! 攻める箇所は3箇所!」
ガブリエラの後ろのボードにドイツの地図が映し出される。
そこに3箇所の赤い点が示されていた。
ベルリン郊外、倉庫街、北海、これら3箇所が俺たちが向かう場所になるようだ。
「ではこれより配置分けを行う。まずベルリン郊外にある人身売買組織撲滅を担当するのはドイツ陸軍と白ウサギ隊! 次に北海に浮かんでいるタンカーにいる臓器売買組織を担当するのは空軍と海軍そして黒ウサギ隊! 最後に倉庫街を担当するのはベルリン警察に担当してもらう!」
配置が決まり各々どう動くか確認する中、1人だけ手を挙げていた。
「何かしら? キリアン部隊長」
キリアン・ブライト、G-S-G-9の部隊長を務めるベテランだ。
「今回の作戦ではISを使うようですが何故です?」
「いい質問ね。今回この作戦を練るに当たってとある機関からの情報でテロリストが傭兵を雇ったことがわかったわ」
「そいつらがISを? 我々が言えたたちではないがISの軍備に使うのはご法度で……ましてやテロリスト風情が?」
「えぇ……残念ながらね。あなたも知ってるでしょ? IS相手にはISしかないということを」
「わかりました。しかし我々の方にISが使える人間がいないのはどういった了見で? まさかのEOSで戦えと?」
「それについてはちゃんと考えてあるわ。レオン・ブリューゲル中尉!」
「えっ? あっはい!」
「今作戦では貴方をG-S-G-9の担当に加えます」
「はっ! 了解しました!」
まさか今回俺は部隊から外されるとは……
「それでは各隊それぞれで作戦会議を……作戦開始時刻は
そして今回の会議は終了し各陣営がそれぞれの作戦を立てるため部屋を出て別の会議室に行く。
「ブリューゲル中尉! 我々は第5会議室にいる。なるべく早く来てくれ!」
「わかりました!」
そう言うとキリアンは他の隊員と共に部屋を出ていった。
「そういう訳なので俺は今回そちらには参加出来ないみたいなので」
「そうか、レオン武運を祈る」
「はっ!」
「キリアン部隊長に迷惑をかけるなよ」
「こっちは私たちに任せてよ!」
「レオンさんの分までテロリスト達をボコボコにしますから」
「し、心配はい、いりませんから」
「…………うん」d(˙꒳˙* )
イオは相変わらずだな。
「お前らこそ隊長と副隊長の邪魔するなよ!」
「うわぁぁぁ頭を撫でるな!」
そんな中慎まし会話をした後、俺はみんなに対して敬礼をした。
みんなもまた敬礼で返してくれて心が軽くなった。
部屋を出て第5会議室へと向かう。
「お待たせして申し訳ありません!」
「おぉ〜レオン! ふんっ!」
「ぬわっ! あっぶねーなジェシカ!」
部屋に入るなりボディーブローをしてくるジェシカ、それを受け止めてはじき返す。
「いや〜相変わらず奇襲は上手くいかないな〜」
「たく、ほんっと変わらないなお前は」
「仲がいいことは大変結構なんだが、そろそろ作戦会議を始めても良いかな?」
「すみません隊長!」
「申し訳ありません!」
中央の机には倉庫街の地図が広げられており、1つの倉庫に赤いピンが刺さっていた。
「上からの情報によると倉庫に潜んでいるテロリストは麻薬の密輸入を行っているのと自爆用の構成員を集めてるそうだ。情報局によると近日中に行動を起こすとの事だ。なんとしてでも阻止するぞ!」
「「「「はい!」」」」
「では班わけを行う。A班隊長ジェシカ、マルケ、バーニス、クリス、ブリューゲル中尉」
「「「「「「はい!」」」」」」
まさか俺がジェシカの班に組み込まれるとは。
「次にB班……」
その後AーD班まで決まり、A班が正面からB班が裏手から突入となりC班は向かいの建物からの援護射撃、D班はA班とB班が突入してから屋根から突入援護とそれぞれの役割になった。
「良し、全班車両に移動する!」
全員が部屋を出て1階ロビーを出て駐車場に向かうとそこには側面にG-S-G-9と刻印された専用の輸送車が4台駐車されていた。
周りを見ると他にも輸送車があり各方面に行く部隊のために集められたようだ。
そして俺たちの輸送車に到着するとキリアン部隊長が後方のドアを開けて中から装備1式を並べ始めた。
「ブリューゲル中尉のはうちの部隊の予備ですまないが」
「いえ、大丈夫です」
俺は装備を受け取り近くに停めてあった母の車のボンネットの上に置いた。
「あっ! でも防弾チョッキがないや」
「あぁそれなら、車の中にあるから大丈夫だ」
そう言いながら車のトランクを開けて防弾チョッキを取りだした。
「おぉ準備が良いねぇ流石レオンのお母さん」
「まぁ良く命狙われる人だからね」
ハハハと笑う2人を『なんで笑ってんだ?』という顔をしながら他の隊員たちが見ていた。
そうしていると別の場所に向かう部隊も駐車場にやってきた。
「いや〜レオンが加わって助かるよ」
「ベルリン警察はIS持ちいないもんな」
「さすがにEOSで戦うのはねぇ? うちのEOSって」
「暴動鎮圧用だもんな」
「そういえばさ? はいプレート」
「何だよ? あんがと」
「あの娘とはどういった関係なのよ?」
「ただの上司と部下それに……同級生だよ」
「え〜ホントかな〜」
「しつけぇな。マガジンくれ」
「そういう事にしておいてあげるよ。はいマガジン」
俺がラウラとそんな関係……? 冗談キツイぜ。俺なんかが……。
「ほら! 無駄口叩く暇があるならさっさと乗れ!」
「イエスマム!」
キリアン部隊長に言われ、俺たちは輸送車に乗車した。ちなみに俺たちは3号車だ。
議事堂から出発してから数時間後、場所はベルリン南方にある倉庫街。
全員、輸送車から降車して隊列を組んで目的地に向かっていた。
『ここから各隊別れるぞ』
「イエスマム!」
通信越しにキリアン部隊長は俺たちに命令し作戦会議で指定された箇所へと向かった。
「A班正面入口に到着」
『B班裏口に到着』
『C班狙撃位置に到着』
『こちらD班。こちらも位置に着いた。本部こちら倉庫街担当、全員配置についた』
本部へ通信をし待機している。
作戦本部
「了解待機せよ」
『こちらベルリン郊外担当こちらは準備完了いつでもイケます』
『こちら北海担当まもなくタンカーに到着します。開始時刻と同時に奇襲しますのでいつでもどうぞ』
他の担当部隊から続々と通信による作戦開始待ちの通信が来る。
「元帥、各班準備完了との事です。まもなく開始時刻です」
「わかったわ」
通信兵から報告を聞き、ガブリエラは耳につけたインカムをONにして通信を開始した。
「各員、これよりテロリスト掃討作戦を開始する! 時刻合わせ10秒前……
通信越しにカウントダウンが始まる。
『
『突入!』
「レオン!」
「おう!」
扉を固定してる金具にショットガンを撃ち破壊し扉を蹴破る。
蹴破ったドアから催涙グレネードを投げ込む。数秒後、破裂音と共に煙が中に充満する。
突入班は事前にガスマスクを被り、中へと入っていく。
「
数時間前、倉庫内
「これだけの構成員が集まればベルリンは火の海になるぜ」
「隊長! 今週の麻薬の製造終わりました」
「よぉしさっさと運ぶぞ! 先生方今回の警護はよろしくお願いしますよぉ」
麻薬組織のリーダーは後ろにいる2人の女性に敬語で頭を下げる。
「わかってるよ。ねぇ姉さん」
「そうね……ただ急いだ方が良いかもね」
「ん? それはどういう……」
ズドン! ズドン!
「っ!? な、なんだ!?」
「あら〜来ちゃったか。隊長さんマスクつけておいたほうが良いわよ」
「えっ? そ、それは、どういう……」
カランカラン
「ッ!?」
パーン!
響く破裂音と共に部屋が煙に包まれる。
「うぇ! ゴホッゴホッ! クソッ催涙ガスか!」
中にいた人間は催涙ガスを吸い込み咳き込み涙を流す。
「ぜ、全員、ゴホッゴホッ、マスクをつけろ!」
その声に全員が慌ててマスクをつける。
そして
「Es ist die Polizei.!」
突入部隊が突入してきた。
ダダダ……ダダダ……
激しい銃声が倉庫内に響く。
警察とテロリスト双方の銃声が鳴り響く。しかし所詮は寄せ集めのテロリスト、対テロ部隊であるG-S-G-9に叶うはずがなく徐々に数を減らしていく。
「くそ! 先生方やっちゃってくださいよ!」
「チッ、役ただずが……」
「そう言わないの、これもお仕事なんだから」
そういう2人は胸元にあるペンダントが光りだす。
「それじゃあまずは……」
光から出現された機械の腕、その手にはショットガンが握られ銃口を壁側に向ける。
「ばーん」
倉庫内を進むA班、途中で出会す敵を撃ちながら進む。
このまま行けば余裕で制圧できるな……だがISを使ってるやつはどこだ? 嫌な予感がする。
「はっ!? 危ない!」
俺は咄嗟に前の隊員を後ろから蹴り飛ばす。
「グハッ! な、何すん……」
ズガーン!
「へっ……」
さっきまでいた壁が破壊された。
「レオン!」
「こっちは任せろ! お前らは制圧を続けてくれ!」
ジェシカは頷き蹴り飛ばした隊員と一緒に奥へと向かった。
「さて」
破壊されて穴の空いた壁から中に入る。
中に入るとそこには既にISを展開した女性が2人いた。
「準備万端って感じって訳か」
コキコキ。
首を揺らして鳴らしながら歩み寄る。
「へ〜1人でISに挑むってことは……あなた」
「レオン・ブリューゲルだな!」
「やれやれ、俺も有名人になったな」
マスクを取って顔を晒す。
「うちの上層部はあなたのことを歓迎してるのよ。それで」
「それでうちに着いたらあんたにはそれ相応の立ち位置につけてもらえるよ!」
いちいち交互に喋ってるのが腹立つな。
「はっ! 冗談はその交互にする喋り方だけにしとけよ。お前らの仲間になるだ? ゴミ共と一緒にするなよ」
「残念ね」
「ならISだけ置いてけや!」
スラスターを吹かし一気に詰めてくる片割れがパンチを繰り出してくる。
「フラム!」
パンチを繰り出してきた拳をフラムを部分展開して受け止める。
「ここじゃあ狭ぇから上で殺り合おうやっ!」
「うぇ?」
腕に力を込めて一回転してから上に放り投げる。
フラムを完全展開し屋根に空けた穴から空へと飛ぶ。
それを見つめるもう1人のIS操縦者である姉はふと疑問に思った。
(それにしてもおかしいわ。これだけ騒いでるのに周りの住人達が反応していないなんて……まさか!)
急いで窓から外を見ると辺にある民家や商店などの電気が全て消えていて当たりを照らしているのは街灯のみだった。
「やられた!」
咄嗟に上で戦ってる妹の方に視線を向けてから倉庫内の銃声に耳を傾ける。
(今優先するべきは敵IS! そっちを終わらせたら下の連中を排除すればいい)
I妹が敵と戦っている空に飛ぶ。
「ハッハ! やるじゃん!」
「チィ! ちょこまかと!」
倉庫から飛び出し空での攻防戦をしているレオンとテロリスト②はお互い鍔迫り合いをする度に空に火花が光る。
「お前もしかして接近戦しかできないのか?」
「…………」
図星かよ……となるあっちの方は射撃専門ってことか。
敵が接近専門なら俺の領分だ!
「行くぜ!」
スラスターを吹かし一気に接近する。
「うおっ!?」
「オラっ!」
拳を握り殴りかかる、相手は咄嗟にガードをするが勢いよく後ろに吹っ飛んでいく。
「赫灼!」
赫灼システムをONにする。腕部分から炎が現れて纏まりつく。
「新技の試し撃ちさせてもらうぜぇ」
腕の炎の出力を上げると纏まり付いていた炎の勢いが上がっていく。
「
赤い炎が黒に変色していき黒炎に変わる。
「塞いでくれよぉ」
構えをとりスラスターを吹かす。
「消え……!?」
ラファールのウインド画面から姿が消えたのだ、正確にはレーダーに捉えられなかったのだ。
「デッド・バーン!!」
「うしっ……!」
後ろに現れたフラムに対してラファールは盾を現出させたがギリギリのところで間に合わず攻撃が直撃した。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
吹っ飛んでいく緑色のラファール。
その時
「ッ!? 警告音!」
アラートと同時に下方から弾丸が飛んできた。
「予想通り射撃専門か!」
「そうよ私たちは姉妹で役割を分担してるの。羨ましい?」
「いや別に」
とりあえず1人は吹っ飛ばしたがこいつは強いぞ。アドバンテージは向こうにあるし熱拳伐倒はもってあと5分……それまでにケリをつけないと。
奇襲用にしか使えないフラム唯一の遠距離攻撃。
「バニシング・ジェット・バーン!」
「わーお!」
最大火力の遠距離攻撃を打ち出したが華麗に避けられた。そしてラファールの手に握らていたアサルトライフル『ガノン』の引き金を引いた。
「チィ! ヘルカーテイン!」
飛んでくる弾丸の雨を炎の壁で防ぐ。
「詰めが甘いよ!」
「なっ!?」
炎の壁が消えた瞬間、目の前にテロリスト①が接近していた。
その手には先程のアサルトライフルは無く両手にはハンドガン『バウンス』が握らていた。
「そらそら!」
「ちょっ、予想と違うじゃ、ねぇ、か!」
奴が行っている戦法はガン=カタ。2丁拳銃を用いて行う近接戦闘術。
主な近接攻撃はカンフーを使い、2丁拳銃をその攻撃の合間に銃撃を加える戦法だ。
銃の突きを腕のブレードで受け流すと同時に逸れた先から銃弾が横をかすめる。
「あぁさっきの言葉だけど少し訂正」
「あ?」
「私、接近戦も得意なの♪」
「あぁそうかい!」
銃とブレードがぶつかり合い膠着状態になる。
まずいなそろそろタイムリミットだ。
腕の炎が徐々に元の色に戻りつつある。
「あたしの事を忘れんなー!」
「もう戻ってきたか!」
後方から吹っ飛ばしたテロリスト②が戻ってきていつの間にか現出させた剣を振りかざして襲いかかってきた。
剣をブレードで受け止める。
「戻ってきたぜ!」
「あのまま戻ってこなくて良かったんだがな!」
「ちょっとお姉ちゃんも混ぜてよ!」
「チッ! クソが!」
鍔迫り合いしている中、後方からテロリスト①が迫ってきた。
「あぁもう! めんどくせぇ!」
スラスターを吹かしテロリスト②の背後に回り蹴り飛ばす。
「ぐぇっ!」
「あら危ない」
「お姉ちゃーーーーん!! せめてうけとめてーーー!!」
吹っ飛んでくる妹を華麗に避けて前進してくる姉。
「そぉれ!」
「くっ!」
またもや銃撃と格闘技のあわせ技が始まる。
あと少し……もう少し炎を出し続けないと。
一方倉庫内では未だにテロリストとG-S-G-9が銃撃戦を繰り広げられていた。
倉庫内を飛び交う銃弾の嵐。
「ねぇ上はどうなったかな?」
「知らねぇよ。IS同士の戦いなんてテレビで観たモンドグロッソでしか観たことねぇよ」
「隊長! このままだとジリ貧だよ」
「わかってる! ミーシャ! フラッシュ!」
「了解!」
ミーシャと呼ばれた隊員が胸ポケットから閃光手榴弾を取り出しテロリストの方にピンを外し投げ込む。
「ッ!? フラッシュバン!」
強烈な光と音が倉庫内に響き渡る。
「突撃!」
ジェシカの合図に隊員全員が身を隠していた場所から一気に敵へと詰め寄る。
「うっ!」
「グァ!」
徐々にテロリスト達を制圧していくG-S-G-9メンバー。最初は数で圧倒していたテロリスト達も徐々に数が減っていき奥へ奥へと押しやられていった。
「ちくしょう!」
「ボスどうなってだよ!」
「警察がISを使うなんて聞いてないぞ!」
「うるせぇ! 俺だってそんなこと聞いてねぇよ! くそぉ……よりにもよって対テロ部隊が来るなんて……先生方はあっちのISと殺りあってるし、どうしたら良いんだ……」
倉庫内の一室に立て篭もっているテロリスト達は怒鳴りながら現状をどう対処するか考えていた。
「と、とりあえず先生方が戻ってくるまでこのを死守だ! いいな!」
ドアにありったけの物を立てかけてバリケードを作り徹底抗戦の体制に入ったテロリスト達。
そして倉庫中央でテロリストを殲滅したG-S-G-9第A班は点呼をとっていた。
「隊長、全員点呼完了です。欠員は無しです」
「OK。リュエルは私と屋根に登ろう」
「屋根にですか?」
「そう、レオンの援護にね」
「はぁ」
ニヤッと笑みを浮かべるジェシカに頭はてなを浮かべているリュエル隊員。その手には中に置いてあった妙にデカイアタッシュケースを持っていた。
「こちらA班隊長ジェシカ」
『どうしたジェシカ?』
「班を二手に分けます。臨時の隊長はミーシャに」
『わかった。お前はどうするんだ?』
「上で戦ってる戦友の援護を」
そして二手にに分かれたA班。一方は屋上へ、もう一方は立て篭もったテロリストの掃討するために奥へと向かった。
「よっこいしょ」
「普通外のハシゴ使わない?」
2階の窓から屋根に出てくるジェシカとリュエル。
空を見上げると3機のISが空中戦を繰り広げているのが見えた。
「少し押されてるみたいね」
「よーしリュエル準備手伝って」
「あいさ」
手に持ってたアタッシュケースを置き蓋を開けて中身を取り出す。
中に入っていたのはSMAWというロケットランチャーで肩撃ち式の多目的ロケット擲弾発射器である。軽便な火力支援兵器としてアメリカ海兵隊や中華民国海軍陸戦隊で使用されている。
「それにしても良いのかな?」
「ん〜? 何が?」
「これテロリストからの押収品でしょ? 勝手に使ったら隊長に怒られるんじゃない?」
「良いの良いの。どうせ押収したらしたで倉庫に置きっぱになるんだし、それに」
「それに?」
「1度で良いからロケットランチャーをぶっぱなして見たかったの!」
「え〜〜」
子供かよと心で思ったリュエルなのである。
そんなこんなで取り出し終えて弾頭の入ったコンテナを本体に取り付けてジェシカはスコープを覗いて狙いを定め始める。
「装填完了!」
「ファイヤー!」
上空では未だにIS3機による戦闘が続いていた。
「めんどくさいなコンビネーションってやつは」
1対2という構図はIS学園でも経験したが相手はそれなりの場数を踏んでいる。油断すればタダでは済まないだろう。
「あのさぁいい加減堕ちてくれない?」
「あぁ?」
「あなたを倒して下の連中の援護に行きたいのよ」
なるほど予想以上にG-S-G-9がお仲間を押し込んでいるからこっちを速く片付けたいってことかい。
「まぁついでにあんたのISも貰ってあげるから……死ねよ!」
IS用ククリナイフを思いっきり振り下ろす、それをプラズマ手刀で受け止める。
「へぇーやるじゃん! だけどさ!」
「チィッ!」
『避けなさい!』
「了解!」
「ッ!?」
ニヤリと笑みを浮かべ鍔迫り合いから横に避けるテロリスト②。その後ろにはライフルを構えたテロリスト①の姿があった。
「クソが……」
ガンッ!!
鈍い金属音が空に響いく。
「やった!」
「流石お姉ちゃん!」
「「イエーイ!!」」
勝利を確信したテロリスト姉妹は喜びのハイタッチをしていた。
だがその喜びを妨げる音が響いた。ISの警報音だ。
「えっ?」
視線を下に向けるとこちらに向かって飛んでくるロケット弾。
「うわッ!」
避ける暇もなく直撃を受ける2人。しかし流石はISと言うべきかエネルギーシールドに阻まれてダメージは少量。
「一体何事!?」
「あっ! お姉ちゃんあれ!」
妹に指を刺された方角をセンサーの倍率を上げて見る。そこには先程までいた倉庫の屋根に2つの人影が見えた。
「アイツらか…」
「よくもやってくれたなぁ!」
倉庫上で直撃したのを見ていたジェシカとリュエルは空を見上げいた。
「いや〜当たったね」
「当たっちゃたね。てかなんかこっち見てない?」
「見てるねぇ」
「んな事言ってる場合じゃないって! こっち来てるって!?」
ブチ切れて突っ込んでくるテロリスト②に慌てるリュエル。しかし隣に立っているジェシカは冷静に次の弾を装填していた。
「テメェら!」
「うわぁぁぁ!! ジェシカ! 冷静に装填してる場合じゃないよ! 速く逃げよう!」
「大丈夫大丈夫、時間は稼いだし。この1発で準備が整うから」
「うぇ?」
そう言うジェシカは耳のインカムを指で押して通信を送る。
「そうでしょ? レオン」
構えて撃つ。真っ直ぐ突っ込んでくるテロリスト②はそのまま弾に直撃するが関係なく突っ込んでくる。
「死ねーー!!」
『ッ!? 待って!』
「えっ?!」
姉の突然の静止を通信越しに聞いた瞬間センサーに熱源反応が現れた。
「な、なんだ!?」
『こ、これは?』
テロリスト姉妹を取り囲むように小さな赤い粒のようなものが覆っている。
「なっ! まさか!」
テロリスト①が先程勝ちを確信した相手の方に顔を向けるとこっちを見てニヤけるレオンの顔があった。
「ッ!? クッソー!」
慌てて手にアサルトライフルを出現させるが時すでに遅しだった。
「へっ。シュタンド・バーン」
パチン!
指パッチンをすると周りの粒がバチバチと鳴り始め思いっきり光だし大爆発を起こした。
「うわッ! 目がぁ~目がぁ~!! あ~あ~目がぁ~あ~あ~!!」
「うーんサングラスかけてても眩しいな」
眩い閃光と爆音が辺りに響く。周りの建物に振動が走る。
黒煙から2つの影が地面に落ちていく。
テロリスト姉妹の乗るラファールはエネルギー切れを起こしてそのまま搭乗者を乗せたまま落ちていった。
「レオンお疲れ!」
「おうよ。援護サンキューな」
屋根に降りてジェシカとハイタッチをする。
「ひぃー! 先生方がやられた!」
「もうダメだおしまいだ.逃げるだぁ」
「くそぉ」
立て篭もってIS2機の救援に期待していたテロリスト達は唯一ある窓から外を見ると、そこには黒焦げになって落ちていくISが見えた。
バキッ!
その時固定していたドアを蹴破り隊員達がなだれ込んできた。
「降参!」
立て篭もっていたテロリスト達は全員銃を両手で頭の上に掲げて降参のポーズを取っていた。
「副隊長どうします?」
「国際法に則るしかないわね。全員動くな! 動けば直ぐにでも射殺する!」
「聞いたな! その場で動くな!」
隊員のうち2人がテロリスト達を拘束していく。
『目標達成! 総員集合!』
インカムからキリアン部隊長からの通信が聴こえ俺はジェシカとリュエル隊員をISの腕に乗せて屋根から飛び降りる。
「ありがとうレオン」
「おう!」
「ジェシカ!」
「おぉ! おつかれミーシャ!」
お互いに敬礼をしてハイタッチを交わす。
「部隊長! こちらに!」
1人の隊員の呼び掛けに数名を残して声の方に向かった。
「こいつらは」
「あぁさっきレオンと殺りあってIS乗りだ」
「うわぁ……黒焦げ」
「でも息はしているようです」
「確かISには操縦者を守る絶対防御があると聞くそれのお陰で助かったんだろう」
ISにはIS自身を守るエネルギーシールドとは別にシールドのエネルギーが無くなった後に操縦者に被害が及ばないように絶対防御というパイロット保護システムが搭載されている。
あの爆発で生きてるのがいい証拠である。
「とりあえず拘束しておけ」
「了解!」
2人を起こして手首に手錠を掛ける。
「ふふふ」
「ん? 何がおかしい?」
「思い出したのよ」
「思い出した? 何がだ?」
「貴方……第3出身でしょ?」
「!?」
な、何でこいつがあの場所を知ってるんだ? あの場所を知ってるのは.俺たちだけで職員は全員処分したはず……
「私たちはNo.を貰えなかった不良品.でもねその後.覚醒したの! そしてあの日、貴方達に向けて撃ったのは私よ」
「なん……だと……ぐッ!」
「ヴッ……!」
「ちょ、ちょっとレオン!」
俺は怒りに任せてテロリスト①を殴っていた。それをジェシカを含めて3人で抑える。
「クソッ! 離せ! お前が……お前があんな事しなければアイツは!」
「ブッ! アッハッハッハッハッ!! ざまぁないね! あぁ面白いもの見せてもらったお礼に良いこと教えてあげる」
「あ゙?」
「今回の作戦ってさ3方向同時作戦なんでしょ?」
「な、何故それを!」
「それでさ……陸の方……つまり私たちともう一方は囮みたいなもんなのよ。貴方達海の方はなんて説明された?」
「それは臓器売買組織だと」
「まぁ……ある意味臓器売買ではあるか.まぁ貴方にはこう言えばわかるでしょ」
不敵な笑みを浮かべてこちらを見つめるテロリスト①は口を開いた。
「
「ッ!?」
こんな言葉聞く日が来るなんて思わなかった。まずい! あっちにはラウラが!
「クソッ!」
俺はジェシカ達を振り払い使っていたアサルトライフルを手にしてフラムを起動した。
「ジェシカ! こいつ借りていくぞ!」
「えっ……あっ……うん」
そして俺は空に飛び立つとそのまま北海の方へと全速力で飛んで行った。
「…………」
「どうしたジェシカ?」
「いえ……あんな顔のレオン……初めて見たので(一体どうしたっていうのレオン。いつも冷静沈着のあんたがそんな慌てるような顔して)」
「アッハッハッハッハッ!!!」
レオンが居なくなったその場には高く笑う女の声だけが響いていた。
ドイツの空を1機のISが飛んでいる。
レオン・ブリューゲルが使うシュヴァルツェア・フラムドライだ。
「本部聞こえるか! こちらレオン・ブリューゲル!」
『こちら本部ブリューゲル中尉どうしました?』
「こちらの任務は完了。現在北海に向けて飛行中、状況を教えて欲しい」
『現状は……あっ……元帥』
通信越しの担当者が言葉を濁すのを感じた直後インカムから聞き覚えのある声が聞こえた。
『レオン私よ』
「母さん!?」
『あなたが担当地域から無断で飛び立ったのは大目に見るわ』
「何があったんだよ!」
『言葉では言い表せないからそちらに映像を送るわ。隊員のボディカメラの映像よリアルタイムだから気おつけて』
ISのウインドウ画面に本部から送られてきた映像ファイルを開く。
「なっ!?」
そこに映っていたものは酷いものだった。
『うわぁぁぁ!!』
『た、たすけてくれ!』
『こいつら……一体なんなんだ!』
「クッ!」
俺は映像を閉じる。そして更にスピードを上げて空をかける。
「母さん! 近くに居る船に隊員たちの救助の要請を!」
『わかったわ。レオン無理だけはしないでね』
「了解!」
通信を切り、ラウラ達が居るタンカーに向けて飛んで行った。
お久しぶりです薄影です。ようやく15話を更新出来ました!リアルが忙しすぎて帰ったら即寝落ちしてました...
2ヶ月経ってしまってすみません(って読んでくれてる人がいるかわからないですけど...笑)
次はラウラ視点になります。オリジナル回なのでキャラの名前とか考えるのが大変です。
まだ書きますのでお付き合いよろしくお願いします。