IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき 作:薄影 (黒ウサギ党)
レオンと別れた私は自分の部隊と共に輸送ヘリに乗っている。
目的地は北海に浮かぶタンカー内で行わている臓器売買の撲滅及び臓器売買組織の壊滅だ。
今回の作戦は空から空軍によるタンカーにいる見張りや対空兵器の破壊。そしてISと海軍の特殊部隊による内部の制圧という流れになる。
「本部からホークス1」
『こちら本部』
「まもなく目標地点に到着する空軍の連中の様子は?」
『了解。まもなくそちらの上空を通過する注意せよ』
轟音と共に輸送ヘリの上を戦闘機が通過しヘリ内に振動が発生する。
あの戦闘機は確かホルシュタイン基地の328大隊の物か。レオンは大丈夫だろうか.
『ご搭乗の皆様こちら機長です。まもなく目標のタンカーに到着いたします。座席を元に戻し降りる準備をなさってください』
パイロットなりのジョークなのだろう。緊張をほぐす為に良くやるらしい。
「良し、お前達準備は出来ているな!」
「はい隊長!」
「いつでも!」
「どこでも〜」
「ひ、火の中……」
「……水の中」
バーン! っと効果音か付いていそうな決めポーズでこちらを見るネーナ、マチルダ、ファルケ、イオの4人。
いつもこんな感じだったのか.
「そ、そうか.」
むぅ……これはだいぶクラリッサには苦労をかけているな、この作戦が終わったら労ってやらねばな。
そう思っていると本部から通信が届いた。
『これより作戦を開始する』
ついに始まった。
作戦開始と同時に先行していた戦闘機の編隊がバルカン砲による掃射をして船の上に居た兵士達をなぎ払っていく。
その後ラウラ達を乗せた輸送ヘリはタンカーの上にてホバリングをして後方の降下扉が開く。
『よぉし! お姫様方降下開始だ!』
「行くぞ!」
「
そして私とクラリッサはISを展開しながら降下、それに続いてネーナ達もEOSで降下していく。
甲板に降りるとけたたましく警報が鳴り響きブリッジから中にいたテロリスト達が次々と出てき始め各々持っている銃で射撃を始めてきた。
(EOSなら小銃程度なら大丈夫だが問題はあの機関銃だな)
「クラリッサ! 我々で先行して機関銃を抑えるぞ!」
「了解です隊長!」
「ネーナ!」
「はい!」
「今からお前を臨時隊長とする他のメンバーとこれから来る部隊と協力しろ!」
「っ! はい!」
「行くぞ! クラリッサ!」
そして私達はスラスターを吹かしデッキに向かって跳躍する。
「うわぁぁぁ!!」
「あ、ISだ!!」
「撃て! 撃て!」
撃たれてくる銃弾を防御AICで防ぐ。
「クラリッサ!」
「はい!」
その後ろからクラリッサがツヴァイクによるワイヤーブレード20本による串刺し攻撃で敵を串刺しにする。
流石にこの甲板上でレールガンは撃てないため我々の装備は近中戦用にしてある。
「う、うわぁぁぁ!!」
運良く攻撃から避けた1人は叫び声をあげながらブリッジ内に逃げていく。
「すみません隊長! 1人逃しました!」
「追うぞ!」
逃げる敵を追って行こうとしたが問題が発生した。
「ISを付けた状態では入れないな」
「解除して進むしか無いですね」
「仕方ない白兵戦装備は持ってきているな」
「えぇもちろんです」
ラウラとクラリッサはISを解除して拡張領域からアサルトライフルと予備のマガジンが装備されている防弾チョッキを取り出し更に拳銃の入ったホルスターを取り出し腰に装着した。
「ネーナ!」
『はい! 隊長!』
「私とクラリッサは中に突入する外の方は任せた!」
『了解です!』
ネーナに外の殲滅の指揮を任せて私達は中に突入するためドアに手をかけた。
「準備は?」
「いつでも」
「行くぞ! 背中は任せた」
「はっ!」
ドアを開け銃を構えて左右確認をする。
「クリア」
隊列はラウラが前でその後方にクラリッサという形になっている。
通路を進みながら曲がり角や交差している場所をクリアリングしながら進む。
その一方テロリストは船内を走っていた。
「はぁはぁ.クソ!」
「おい外はどうなってるんだ!」
「お前ら! これから来るやつを足止めしろ!」
通路を進んでいく途中で船外に向かっている仲間と出会い向かってくるラウラとクラリッサの足止めを命令していた。どうやらこの男がテロリストのリーダーだったようだ。
「隊長はどうするんだ?」
「アレを使う」
「おいおいアレは大事な商品だろ? 取りに来る連中になんて説明するだよ?」
「うるせぇ! 俺らが殺られたらそれこそ意味が無くなるだろうが! 是が非でもアイツらを殺せればいいんだよ!」
そう言うとリーダーの男は船内の奥へと消えて行った。
「居たぞ! 撃て撃て!」
逃げた男を追っていたラウラとクラリッサが曲がり角を曲がろうとした時反対側から銃を持ったテロリストの1団と遭遇してしまった。
「なっ!? 下がれ!」
角に下がったと同時に弾丸の雨がなだれ込んできた。
「くっ! 応戦する!」
お互い撃っては隠れるのを繰り返していく。
「隊長このままではジリ貧です」
「そうだな私が行く援護を頼む」
「わかりました」
「良し! 3でいくぞ」
「はい!」
「3、2、1、今だ!」
その合図を皮切れにクラリッサが銃で相手を牽制するために射撃を行うと同時にラウラは角から出て一直線に敵の方へと駆け出した。
「ッ!?」
「ぐはッ!」
「うわっ!」
「ガッ!」
向こうがの角に向かってスライディングをするラウラはそのまま壁に足で着地すると隠れていた敵に向けて弾丸を掃射した。
気付いた時には時すで遅くテロリスト達は弾丸を受けて倒れていった。
「クリア!」
その言葉を聞いてクラリッサは空になったマガジンを交換しながらラウラの方へと走った。
「隊長お怪我は?」
「大丈夫だ問題ない」
「さっき逃げた奴は見当たりませんね」
「あぁ恐らくこの奥に逃げたんだろう」
テロリスト達の遺体を確認すると先程逃げた男の姿が無く奥に通路があることから奥に向かったと推測した2人は走り出していた。
「クソ! こんな仕事引き受けなきゃ良かった!」
船内の奥に着いたリーダーは何やら機械の操作盤を操作していた。
辺りを見回すと何やら緑色の液体が入った容器が無数に並んでおり、その中には人が入っていた。
「これで……良し!」
操作盤での操作を終えると周りの容器の中に入っていた液体が徐々に排出されていった。
全ての液体が排出され終えると容器が上へと持ち上がっていく。
リーダーはその内の一体に向かって歩いていき。
「命令だ。この船に居る侵入者共をぶっ殺せ!」
容器の中に居た人物はゆっくりと目を開きリーダーの方へと顔を向ける。
「どうしたさっさと行けよ! ブッ!」
苛立ちからかリーダーはその人物の頭を叩いた瞬間、後ろに吹き飛んでいた。殴られたのだ。
「な、何しやがる!」
「あ〜〜あっ?」
容器に入ってた人物の容姿は長い銀色で長髪の女性でよく見ると周りの容器に入っているのも同じ容姿の女性だった。
「あっ.え……れ、れいれいは……しぇ、しぇん、にゅっしゃ……の、は、はり、じょ……?」
「な、なんだこいつ.まともに喋れないのか?」
そしてゆっくりとリーダーに近づいてくる女性に恐れて後ろに退こうとするリーダーだったがすぐ後ろには別の容器が壁になっており退路を塞がれてしまっていた。
「しぇ、しぇんにゅっしゃの、は、はい、りょ」
「ま、待っ、ブヘッ! や、やめっ、ゴブッ!」
「はい、りょ〜!」
「う、うわぁぁぁ!!」
廊下を走っていたラウラとクラリッサは遠くから聞こえてくる悲鳴に足を止めた。
「今の声は?」
「さっきの男の声か? この先だ!」
その声がする方へと急ぐ2人。
そして到着したのは一際大きい扉の前だった。
「ここのようだな」
「えぇ行きますか?」
「あぁ、その前に弾の確認をしよう」
2人は壁に寄りかかりマガジンの残弾を確認する。
「準備はいいかクラリッサ?」
「いつでもどうぞ」
「行くぞ」
ラウラは壁のスイッチを押すと扉がゆっくりと開いていく。
2人は壁に寄りかかったまま扉が開ききるのを待ってから中に入った。
「なっ!?」
「こ、これは……」
中に入るとおびただしい量の空の容器とその量と同じ数の女性が立っていてその内の1人の傍には追っていたリーダーの男が横たわっていた。
男の顔は見るも無残な姿になっており、もう誰なのかわからないほど殴られた痕跡があった。
「そこのお前!」
「うぇ.?」
「これはお前がやったのか!」
ラウラとクラリッサはその前に立っている女に対して銃を構えて質問を投げかける。
「質問に答えろ!」
「う〜〜ハハッ」
「何がおかしい!」
こちらに顔を向けた女がラウラを見るなりニヤッと不敵に微笑む。
そして周りにいた女性達も一斉にラウラに視線を向けた。
(なんなんだこいつらは? しかもあの姿は……どう見ても……)
ラウラはこちらを見てくる者たちの姿を見て疑問に思っていた。なぜならその姿はラウラとレオンにそっくりだったのだから。
「ぐっ!? あっ……!!」
「っ!? 隊長!」
急に頭を抑えて地面に膝をつくラウラ。それに気づいたクラリッサは銃口を向けたまましゃがみこんでラウラに問いかける。
「どうしたんですか!? 隊長!」
「あ、頭……頭の中で誰かが喋りかけてくる……!」
(ナンデナンデナンデナンデナンデナンデ)
(オマエダケガジユウデイラレル)
(ズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイ)
(シネシネシネシネシネシネシネ)
ラウラの頭の中で声が響いていた。その声の主は今目の前にいる女たちで、彼女たちは喋ることはできないがお互いに脳内での会話をしている。つまりは思念会話である。
その思念をラウラに対して使い脳内に直接話しかけているのだ。
「あぁ…うるさい……だ、黙れ…」
「隊長! どうしたんですか隊長!」
頭を抑えて苦しみだすラウラ。それに気を取られクラリッサは目を離してしまう。
それを敵は見逃さなかった。
「ッ!?」
目を離した瞬間、敵の1人が走ってきたのだ。
クラリッサはすぐさま持っていたアサルトライフルを構えて引き金を引いた。
ダダン!!
放たれた弾丸は見事命中し接近していた敵はその場で倒れ込む。
「はぁ…はぁ…次も動いてみろ! 容赦なく撃つ!」
クラリッサは左眼に付けられた眼帯を外し自らにも投与されているナノマシンをフル起動させ両眼の『
しかしその警告も敵は聞いてか聞かずか徐々に接近してきた。
(まずいな隊長がこの状態では、まともな戦闘ができない。一先ずここを脱して外の味方と合流するべきだな)
「隊長。一先ずここを脱しましょう。さぁ私の肩に手を回してください」
クラリッサはラウラの右肩を引き寄せて左腕で体を支えて立ち上がった。
そしてゆっくりとゆっくりと後ろに後退る。
しかしそれを見逃すほど敵は甘くはなかった。クラリッサ達が後ろに1歩下がると1歩前に足を出してくる。
「ふふ」
「あはっ!」
まるで嘲笑うかのように次々と口を開く敵たちは1歩また1歩と歩み続ける。
クラリッサはようやく扉に到着し壁にあるスイッチを押す。
扉がゆっくりと開き外の廊下に出る。
(ここから外に出るまで隊長を守り抜けられるだろうか……)
クラリッサは担いでいるラウラに目をやってからどうするかを考えながら脱出するために歩きだした。
そしてクラリッサは後ろに目をやると先程出てきた扉から続々と敵が出てき始めた。
「チィ!」
ぞろぞろと出てくる敵の中から先程笑った女が出てきて天井を見上げてからラウラとクラリッサの方へと向き直る。
そして手を挙げラウラ達の方へ降ろした瞬間周りにいた集団が一斉に走り出した。
「クソ!」
クラリッサは片手で構えていた銃から手を離してラウラを抱えて走り始めた。
「はぁ…はぁ…」
後ろから迫り来る敵集団を躱しながらクラリッサは走る。だが時期に体力が無くなると感じ近くの部屋に逃げ込む。
扉を近くのテーブルや椅子などで塞ぎ簡易的なバリケードを作り奥の片隅にラウラを降ろしてラウラの防弾チョッキから銃のマガジンを抜き地面に置いた。
「隊長すみませんがここで辛抱してください」
クラリッサは自分の銃を持ち直してチェンバーチェックを行い弾を確認してから扉の方に銃身を向ける。
ここで篭城して外からの救援を待つ方針に変えたのだ。
外では扉をこじ開けようとする激しい音が響いていた。
一方その頃外の甲板で戦っている黒ウサギ四天王(自称)のメンバーはと言うと。
海上から来た海軍の特殊部隊と合流しテロリスト達を徐々に排除していった。
「良し! このまま行けば楽勝に終わるわね!」
「ここが終わったら〜隊長達を追いかけないと〜」
「そ、そしたら」
「レオンに……自慢……できる」
張り切るメンバーを他所に特殊部隊達は銃撃をしている。
「お嬢さん方? 喋ってる暇があるんなら戦ってもらえるとありがたいんだがね? その乗ってる兵器は飾りかなにかか?」
突然耳の通信機から男の声が耳に響いた。
声の主は海軍特殊部隊『フロッグマン』の隊長『アビゲント・リューデリッヒ』だった。
「なにさ! ちゃんと戦ってるけど!?」
『ほーう、ならお前らの隊長殿に戦闘中にお喋りをするのか聞いても良いんだなぁ?』
「そ、それだけは!」
『だったら働けや!』
「は、はいぃ〜!!」
臨時とはいえ隊長を任せてもらったラウラとクラリッサにこの事を聞かれたら褒められるどころか叱られてしまうと感じたネーナは持っていたEOS用のアサルトライフルから自前の愛剣である
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
「うおっ!? なんだあの女!? グエッ!」
まさに鬼神のごとくネーナは敵をバッサバッサと斬り伏せていく。
「ヒュー、やるじゃないか」
「すげぇ……」
瞬く間に甲板上のテロリストを殲滅したネーナは凄いドヤ顔をしてアビゲント隊長を見ていた。
「おい! 後ろ!」
『えっ? 後ろ?』
アビゲント隊長はドヤ顔しているネーナの後ろの扉がゆっくり開いているのをいち早く気づきネーナに通信で危険を伝えてきた。
扉がゆっくりと開くとそこには大量の白い手が飛び出して来た。
「ヒィィッ!」
咄嗟のことて反応に遅れたネーナはEOSごと押し倒されてしまい、その上では強化ガラスを叩く謎の人達がいた。
「うわぁぁぁなんなのよー!」
『ネーナ!』
『今行きます〜ファルケとイオは援護〜』
『り、了解……』
マチルダが他の2人に援護射撃を要求して自分は一気にブースターを吹かしネーナのいる位置に向けて跳躍した。
「皆さ〜ん。船から落とされないように〜」
マチルダは空中で全隊員に対して全体通信をしながら持っている
「おいやべぇぞ!」
「総員どこかに掴まれー!」
アビゲント隊長は全体通信で隊員達にそう叫ぶと自身も近くの手すりにしがみついた。
ドガーン!!
大きな衝突音と共に船が大きく傾く。
マチルダが放った戦鎚による衝撃波でネーナのEOSに引っ付いていた敵集団は大きく飛び上がった。その瞬間ネーナはブースターを吹かし跳ね上がった敵を空中で一回転斬りを繰り出しそのまま着地した。
「サンキュー マチルダ!」
「ネーナ1度後退〜」
「OK! イオ、ファルケ援護よろしく!」
その言葉を合図に後方からイオとファルケの援護射撃が開始された。
扉から出てくる者たちはことごとく銃弾の前に倒れていくが全く数が減らないことに周りには焦りが見え始めた。
「もう……弾が……」
「無くなっちゃうよぉ」
そして弾切れが起きた瞬間、扉から雪崩のごとく敵が押し寄せてくる。
「クソ! 撃て撃て!」
その言葉を皮切れにフロッグマン隊員の一斉掃射が開始されたが敵集団の波に徐々に後退を余儀なくされていった。
しかしそれも長くは続かなかった四天王と隊員達は甲板前方に追い詰められていた。
「ちくしょうなんなんだコイツらは!」
「隊長このままではもちません! 撤退の許可を!」
「ダメだ! まだ任務を完遂していない! 何としても任務を……ぐはっ!」
「た、隊長! うわっ!」
隙を見せた瞬間に敵の一部が人間離れした跳躍をして一気に距離を縮めアビゲントと他の隊員達に殴りかかってきた。
「突破された!?」
「ネーナ!」
「しまっ!」
フロッグマンの防衛線が突破されたことに気づいたネーナだったが目線を外したことが仇となり3人に抑え込まれてしまった。
他のメンバーも助けようとしたが防衛線を突破してきた他の敵と接敵して助けに行けなかった。
「うわぁ! は、離せ!」
ネーナの悲痛の叫びも虚しく敵集団は自身の拳から出血しながらEOSの強化ガラスを一身に叩き続けていた。
「ひぃぃ!」
いくら強化ガラスとはいえ強度にも限界がある。その瞬間が来てしまった。
ピシッ!
そんな音がコックピット内で響くと強化ガラスにヒビが入り始めていた。
「もうヤダよ! 誰か助けてよーーー!!!」
涙を流しながらそう叫ぶネーナ。しかしその声が他のメンバーに届くことは無かった。
そして遂に
バリンッ!
唯一の守りであった強化ガラスが割れてしまったのだ。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
割れた強化ガラスから伸ばされる血塗られた手がネーナに近づいたその時。
「ゔっ……ぐはっ!」
「えっ……?」
目の前の敵がいきなり血を吐き出し、その体からは血に染まった銀色の刃が剥き出しになっていた。
そしてその身体が徐々に後ろに引っ張られていくと刺した人物が姿を現した。
「れ、レオン……」
黒ウサギ隊ラビット6……レオン・ブリューゲルが目の前に立っていた。
「なに泣いてんだよネーナ」
「な…!? 泣いてない!」
「いやいや、泣いてるじゃんw」
「こ、これは…そう! 目にゴミが入っただけだし!」
「はいはい。そういうことにしておこう」
「聞けぇーー!!」
冗談交じりに笑うとネーナは目に涙を浮かべながら怒ってきた。
「ぐぅーー! うがぁぁぁ!!」
「おっまだ生きてた」
身体を貫かれてもなお生命力が尽きていない目の前の敵に対してレオンは目を鋭くして睨みつけていた。
こいつら生命力が高いだけの奴らか…これなら焼けば死ぬか。
さっさと他の奴らの助けもしないといけないし、ここにもあと2匹いる訳だしな。
「フンッ!」
力を込めると刃先から炎が出て敵の身体を焼き尽くした。
「さてと」
俺はネーナの前にしゃがみこんで言葉を発した。
「ネーナお前に頼みがある」
「えっ?」
「マチルダ達と協力して皆を船外に逃がせ。できるだろ臨時隊長?」
「で、できるけど…レオンは?」
「俺は…コイツら全員…火葬にするし船は沈める」
「まっ、待って!」
「あ?」
「まだ隊長と副隊長が……」
そういえばこの場所で見当たらない姿があると思ったらラウラとクラリッサさんが甲板にいないのか。
「2人はどこだ?」
「船内に逃げたテロリストを追って中に」
「わかった。あとは任せてくれ」
俺はネーナに指先の扉を見つめてからもう一度ネーナの方に向き直る。
「2人は必ず助ける。だから外のみんなは頼んだ」
「うん……わかった」
「ここに来る前に近くのフリゲート艦に救援信号送っといたから無事に逃がせよ」
そして振り向き残っていた2体に向き直り睨みつける。向こうも警戒しながらこちらを睨みつけている。
「来いよ。出来損ない共」
俺は手を相手に向けて来いとジェスチャーをした。
それに感化されて2体同時にこちらに向かって襲いかかってきた。
「甘いわ!」
両手で2体の頭を鷲掴み、そのまま地面に叩きつける。その状態で炎を手から出して顔面を焼いた。
焼き続けている時に頭から下つまりは身体が痙攣を起こしながら暴れ回っていたが数秒で力尽きて動かなくなった。
「さてと」
起き上がり周りを確認する。
まずは隊員から救うか。
手の火力を微調整して瞬発的な爆破力に変更して直撃した瞬間に吹き飛ばせるようにした。
人の頭くらいなら首から弾き飛ばすくらい余裕だろう。
スラスターを吹かし近くの隊員の方に向かう。
勢いよく手のひらで頭に当てると手のひらから1点に集中した炎が弾ける。
そしてそこに残っているのは頭だけがどこかに吹き飛んだ死体だけが残されていた。
「次」
次々と隊員を襲っていた敵の頭を吹き飛ばしていきラウラ達が入って行った扉へと向かった。
1度振り返り甲板の状態を確認するとネーナ達が隊員達を誘導しているのが見えた。
あっちは任せていいな。
そして俺はフラムを解除して持ってきていたアサルトライフルを手に持って残弾とマガジンを確認して中に入った。
中に入り慎重に奥へと進んでいく。すると奥の方から銃声が聞こえてきた。
「あっちか!」
俺は進む足を早めて銃声の方へと進んでいく。
そして銃声が最も大きい場所へと近づいた時、角から顔を覗かせると1つの部屋の前に群がる群衆が見えた。
「あそこか.」
扉を破って中に入ろうとする集団だったがこじ開けたドアが狭く1人ずつ中に入って行くのが見えた。
そして中からは銃声が聞こえてくる。中にクラリッサとラウラがいるのは確定のようだ。
「さて行くか」
俺は角から出た。そしてライフルを構えながら群衆の元に歩み始めた。
「おい!」
ぴゅーぴゅっ!
俺は声をかけた後に口笛を吹き注意をこちらに向けさせた。
それに応えるように集団が一斉にこちらに向いた。
「…………!」
「…………!」
声が発せられないのか口を大きく開けて叫んでいるようだった。
そして標的を変えたようで一斉に向かってきた。
ダダンッ! ダダッ!
向かってくる敵を1人ずつ的確に弾を当てていく。
ダダッ! ダンッ! ダダンッ!
射撃を続けながら前身していく。弾が無くなればストックで殴ってその隙にマガジンを交換する。
大量に居た敵も次第に数が少なくなっていき、レオンは群がっていた先の扉の前まで接近していた。
そして最後の敵を倒しマガジンを交換してからレオンは部屋に入った。
「副隊長、隊長ご無事でしたか!」
「はぁ.はぁ.レオンか?」
「お怪我は?」
「いや、私は大丈夫だ。だが隊長が.」
そう言われラウラの方に目線を向けると頭に手を当てて苦しんでいるラウラの姿があった。
俺はそっとラウラの頭に手を置く。
あいつらにあてられたか。
「副隊長」
「なんだ?」
「残弾は?」
「あいにくもう空だ。レオンが来なかったらコイツでどうにかするつもりだったよ」
そう言って見せてきたのは軍支給のコンバットナイフが握られていた。
「あはは.それなら俺のを使ってください」
俺は腰のベルトに付けてあるホルスターから拳銃を取り出して副隊長に手渡した。副隊長は拳銃を受け取ってからマガジンを出してから
「これからどうするんだレオン?」
「一先ずここから脱出します。船の近くにフリゲート艦が待機してるので隊長を連れて脱出を。ネーナ達が他の隊員達を誘導してるので後で褒めてやってください」
「了解した。しかしこの船はどうする? 我々が脱出したら先程のヤツらが野放しになってしまうぞ?」
「それなら俺が残って焼きます」
「ッ!? しかしレオン!」
「聞いてるんでしょ基地司令から俺の事を」
「っ!」
レオンの言葉を聞いて黙ってしまうクラリッサ。
「さぁ時間がありません。早く行きましょう」
「そ、そうだな」
クラリッサは横にラウラを背中におぶさって扉へと歩き出した。
隊列は前衛にレオンその後ろにクラリッサが着く形になっている。
甲板に出るための扉に着き外へと出ると先程まで大勢居た隊員達の姿が居なくなっていた。
「全員無事に脱出できたみたいですね」
「あぁ後は我々だけだな」
『副隊長ぉ!』
通信機越しに耳をつんざく大声が響いた。ネーナの様だ。
「ネーナか!」
『ご無事で良かったぁ』
「あぁ心配をかけたな。良く私の代わりに隊長職を全うした」
『はい!』
通信越しでもわかるような泣き声で喋るネーナに少し安心感が現れる。
「行きましょう副隊長」
「あぁ、隊長走りますので少し揺れます」
改めて背中に乗せているラウラの体勢を整えてネーナのいる位置まで走った。
その場所に立っているネーナはEOSを艦に置いてきたようで装備一式を変えて待機していた。
「ネーナ!」
「副隊長! よくご無事でぇ。それにレオンも」
「あぁ。通信でも言ったが良くやった」
「はい!」
褒められて口角が上がるネーナ。
「それじゃ2人を頼むよネーナ」
「まっかしといて! レオンも派手にやっちゃってよね!」
「おうよ!」
俺とネーナは拳を合わせて別れる。
「さてと」
俺は首の骨をポキポキと鳴らしながら先程来た道を戻る。
「ん?」
向かっていると視界に人影が見えたので上を向いてみるとさっきまで居た場所に人が居た。
銀髪の綺麗な長髪を後ろで束ね、服装は迷彩柄の上着で下は黒1色のズボンを履いていた。しかし異様な物が右腕に見えた。
「おいおい。普通それは人の力では持てないんだがな?」
それが持っているのはThe男のロマン兵器『パイルバンカー』だった。
「たく。なぁ! その武器を降ろして話し合うって選択肢はあるのかな?」
「あ〜〜んッ! んッ!」
それはこちらに手を見せて『待て』のポーズをしながら咳き込んでいる。まるで壇上に上がった人が喉の調子を整える時にやる仕草と同じに見えた。
「あ〜あっあっ。失礼。ようやくあなた達の言語を理解できたので」
こいつ理解度が異常に速い。成長型か? ここで仕留めないとまずいな。
「やる気ってことだよな?」
「えぇ。こちらからも質問しても?」
「んだよ」
「あの娘。私とそっくりの可愛い娘」
「それで?」
「あれが私のオリジナルなら.殺したい」
「やらせると思うか?」
「殺りますとも」
俺はフラムを起動し 戦闘態勢に入ると同時に相手へと飛びかかる。
拳とパイルバンカーの杭が衝突した瞬間、物凄く大きな音を辺りに響かせた。
「おいおいマジかよ.普通あんなもんぶっ放したら腕が吹っ飛ぶだろうがよぉ」
そう言いながらレオンは相手の方を見上げると打ち出した杭を収納し直していた。
たまにいるんだよなぁ.妙に強化が成功してるタイプの奴。やりずらいから嫌いだわぁ。
「いーやっはー!!」
「ちぃ!」
今度は向こうからこちらへと飛び降りながらパイルバンカーを構えていた。
「うらぁ!」
「くっ! 重っ!」
空中から重い一撃を喰らうと足元の甲板が下に沈んでいく。
「くぅ! ぬおっ!?」
重みに耐えられず床が抜けてしまい2人して下に落ちていった。
「ちぃ! ふん!」
ガシッ!
不意に後ろから捕まれ顔を向けると、そこには一緒に落ちてきた女がいた。
「てめぇ! 離しやがれ!」
空中で体勢を整えて手から火を放ち減速をして落ちるスピードを調整するが2人分の落ちる勢いが強く地面に衝突してお互い別々の方向へ吹っ飛んだ。
ガシャンガシャン!!
大きな音が内部に響く中フラムを纏っているレオンは相手より先に起き上がった。
「いてて。クソ結構落ちたな」
上を見あげると落ちてきた穴が随分小さく見えた。
「ここは?」
フラムのウインドウ開きタンカーの見取り図を開いて現在地を確認していた。ウインドウ越しに女の方が見えるが衝撃が強かったようで未だに立てないでいる。
「あ〜ここは第1船倉か.ん?」
不意に後ろに何かある気がして後ろに目をやると、そこには無数の培養槽があった。
「これは相当あるな。ここまで作るには相当の金が必要なはずだ。もしあの施設の生き残りがいるなら.」
「う〜〜痛いですね。衝撃を逃がしたつもりでしたが流石に生身では無理がありました」
後ろからの声に振り向くと女が頭を押さえながら立ち上がった。
「生きてたか。そのまま死んでても良かったんだぜ?」
「いえいえそういう訳にいきませんからオリジナルを殺すまでは生きますよ」
「あぁそうかい!」
脚に力を入れて女の方へと飛んでいき拳を叩き込む。
女は右腕のパイルバンカーを盾にして攻撃を防ぐが生身の人間のため後ろに吹き飛んでいった。
吹き飛んだ先には培養槽があったがそのままぶつかりガラスを割りながら吹き飛んでいった。
割れた培養槽から女と同じ出で立ちをした人型がぼとりと出てくる。レオンは咄嗟に身構えるが倒れたまま起き上がってこない。
「まだ起動前か?」
「えぇ.その通りです」
「ッ!」
後ろから聞こえる声に反応し振り返ると吹き飛んだ先から上半身だけを起き上がらせている女の姿があった。
「あーあ、せっかく産まれる命がもったいない.」
「産まれるなくて良いんだよこれ以上は」
女は立ち上がると腕時計を一瞬確認していた。
「そろそろお時間なのでここらでお暇させていただきます」
「え〜そうなのか。じゃあ気おつけて帰ってくれ.なんて言うと思うか!」
相手がお辞儀をするために頭を下げている隙にスラスターを吹かし一気に距離を詰めて拳を振りかぶった時、右腕のパイルバンカーの穂先が床に突いているのが見えた。
「ぬおっ!?」
ドカーン!! と物凄い衝撃音が爆風が辺りを襲いレオンも衝撃で吹き飛ばされる。
「クソっ!」
吹き飛ばさたのを姿勢制御で体勢を整え視線を戻すとそこに女の姿はそこには無く代わりに開けられた穴から大量の海水が船内に流れ込んできた。
「逃げられたか.」
レオンは冷静に近くの遺体を掴みあげて腕を切り落としてフラムのストレージに冷凍処理をしてから入れた。
「さてと」
上を見あげると落ちてきた穴が塞がれていた。どうやら船内に海水が流れてきたせいで船のバランスが崩れて穴の上に何かが乗っかってしまったようだ。
「時間が経てば船は沈むな.とりあえず地道に外に出るか」
俺はフラムを解除してからそのまま空いている扉から廊下に出て外へと向かって走り出した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
下から流れてくる海水を背に俺は全速力で走っていた。
船首側だったために船の角度が海水で傾き始めだしたのだ。
「どっせい!」
勢いよく扉を蹴破り外に出ると既に船の前方部分はだいぶ前のめりになっており踏ん張っておかないと滑っていきそうになるくらいだった。
「やべぇ.脱出のこと考えてなかったわ.」
フラムで飛べばいいと思ってるいるそこの貴方。
ごめんなさい無理です。なにぶんここに来る前の戦闘とさっきのでだいぶエネルギー消費してます。飛べると思うが途中で落ちます、この鉄の塊で海に落ちたくないです。
「うーんどうしたものか? 海にダイブするにしても近くにいたボート類は全部フリゲートの方だし.」
迷ってる時間は無いのだがどうしたものか.
「ん?」
ふと耳を凝らしてみるとどこからかヘリのプロペラ音が聞こえてきた。
柵から身を乗り出して上を見上げるとそこには陸軍の輸送ヘリであるCH-53Gがホバリングしていた。
『中尉! こっちだ! 上がってこい!』
ヘリの後部ハッチから身を乗り出して手でこちらに合図している隊員が見えた。
俺は傾く船を走りながら上へと目指しヘリが空中待機している高さまでやってきた。
「急げ!」
そう言われ、走り出しそのまま手すり使いヘリへとジャンプし飛び乗った。
「良し! 退避!」
隊員がパイロットにそう叫ぶとヘリは船から離れていく。そして後部ハッチの扉が閉まる中、外を見ると船が海中に沈んでいく光景が見えた。
作戦行動中であったフリゲート艦『ハンブルク』では格納庫の中で怪我した隊員たちの救護活動で大騒ぎしていた。
「輸血パック足りないぞ!」
「誰かこっちに包帯持ってきて!」
「軽傷者は中へ! 重傷者はここで治療する!」
医療班のメンバーが格納庫に運ばれた隊員たちの怪我の具合を見ながら船員たちに指揮を取っている。
その中で一際目立つ白衣を着た女性が的確に怪我人を処置しながら周りの医師達に指示を出していた。
彼女の名前は『エミーリア・ベットナー』ハンブルク常駐の船医でネーナ・ベットナーの実の姉である。
「やれやれ、人手が足りないねぇ」
「姉さーーーん!!」
「ん?」
外から大声で自分を呼ぶ声に振り向くエミーリア。その目に映ったのはこちらに大きく手を振りながら向かってくる妹の姿だった。
「なんだ愚妹じゃないか?」
「ぬぅ.久しぶりに会う妹にそのセリフは無いんじゃないかなぁ?」
姉からの愚妹発言に前のめりにコケるネーナは姉に向かって反論の言葉を放った。
「それで? なんの用だ?」
「あっそうだった! 隊長が!」
「ん〜?」
ネーナが指す方を除くとクラリッサにお姫様抱っこされている気絶したラウラがいた。
「久しいなハルフォーフ」
「相変わらず感情が少ないなエミーリア。久しぶりの再会にふけっていたいが一先ず隊長を診てくれないか?」
クラリッサは腕に抱いているラウラをエミーリアの方へと差し出す。
「ふむ.見たところ精神的による疲労のようだな.これならしばらく休ませておけば大丈夫だろう。医務室のベッドで休ませてやれ」
エミーリアは親指で後ろのドアを指さしてから他の怪我人へと歩みだした。
そして黒ウサギ隊一行は医務室に着きクラリッサがラウラを空いている
「うぅ.隊長.」
「泣いてんじゃないわよ! お姉ちゃんが言ってたでしょ! た」
「ええい騒ぐな!」
心配しているが騒がしいメンバーをクラリッサは一喝した。
眠っているラウラは夢を見ていた。
それは自分が育った施設の光景だった。鉄の子宮から生まれ最初に貰った名は遺伝子強化体『C-0037』という数字だった。
37番目ということはそれより前の『姉』という存在がいたのだろうが見たことも会ったことすらも無い、ただひたすらに武器を兵器を完壁にこなす為の兵士として私は育てられていた。
だがある日のことだいつものように調整用カプセルの中で調整を受けていた時だ私の方に近づいてきたのだ。彼女はここの所長のようで容姿がどこか私に似ているようだった。そして彼女は私のカプセルに手を置きこう言った。
「そうね.この子には私のファミリーネームをあげましょうか。1文字違いで『ラウラ.ラウラ・ボーデヴィッヒ』と名付けましょう。これからはそれが貴方の名前よ。覚えておきなさいね」
あぁ.そうだ.その時から私の名前はC-0037からラウラ・ボーデヴィッヒになったんだったな.
そんな昔の光景を見ながらラウラは深い眠りへと戻った。
時間は少し進みハンブルク甲板では未だに医療班が怪我人の処置に追われていた。数は先程よりも減っていたがそれでもまだ足りていない状況だ。
「やれやれ、そろそろ物資も足りなくなってきたな.ん?」
ふと遠くから何やら音が聞こえてくるのでエミーリアは海の方へと視線を向ける。
そこに見えたのはこの船に搭載していた陸軍の輸送ヘリCH-53Gがこちらに向かって来るのが見えた。
そしてヘリが後部甲板のヘリポートに着陸態勢に入っているのが見えた。
「全員! ヘリが着陸するぞ! 担当してる者は患者に覆いかぶされ! それ以外は医療器具が飛ばないようにしろ!」
そう言われ周りの医療班のメンバーは手当ての手を止めて怪我人の上に覆いかぶさり、それ以外のメンバーは小さいメスなどの医療道具など上から布を被せたり器具などを固定し始めた。
「ふぅ.全く。みんな無事か!」
奥のメンバーに声をかけるとバラバラに「大丈夫でーす」と声が帰ってきた。
ヘリの扉が開き中から出てきたのはレオンだった。
「助かりました大尉」
「いや間に合ってよかったよ」
レオンは大尉と握手を交わしてから甲板に降りた。
「おやおや誰かと思ったら我がドイツ初の男性IS操縦者であるレオン・ブリューゲル中尉殿ではないか」
「ご無沙汰しておりますエミーリアさん。IS適正検査の時以来ですね」
俺がフラム・ドライを動かした騒動の後に俺はケルン大学病院でありとあらゆる検査を受けた、その時担当していた人物が今目の前にいるエミーリア・ベットナーだった。
「大学病院は良かったんですか?」
「あぁあそこには臨時で行っていただけだ。本来はここハンブルクの常駐医師だよ」
「なるほどぉ」
「それよりもボーデヴィッヒ少佐だろ? 中の医務室で眠ってるはずだ」
「ッ! ありがとうございます!」
俺は敬礼をして奥の扉へと向かって走り出した。
ハンブルク内医務室前
駆け足でドア前まで着いたのち息を整えてから扉を開けて中に入った。
「副隊長」
「レオン、無事だったか!」
「えぇ何とか生きてます。それより隊長は?」
「あぁ、エミーリアの話では精神的疲労による疲れだと言っていた。しばらく休めば良くなるそうだ」
「そうですか.良かったぁ」
レオンは安堵のため息をつきすぐ近くの椅子に座り前のめりに項垂れる。
「レオンお前も疲れているだろう? ここは私が見ておくからお前も休め」
「副隊長.いやクラリッサさん」
「なんだ?」
「俺の事.基地司令からどこまで聞いてますか?」
「.全部だ」
「そう.ですか.隊長には?」
「言ってはいない。基地司令からはレオンから話すだろうと言われた」
「そう.ですよね.はぁ」
そうか.ついに話す時が来たか.まぁいずれは話さなければいけないと思ってたしちょうど良いのかな?
「いやクラリッサさんもお疲れでしょう? 俺は.」
レオンは言葉を止めて1度ラウラの方を向いてからもう一度口を開く。
「ラウラに話さなければいけないことがあります」
お久しぶりです薄影です。
長らくお待たせしてしまってすみませんでした。次からはレオンの過去についての話になります。なるべく早く更新しますので気長に待っててください。