IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき   作:薄影 (黒ウサギ党)

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第3話 完成!シュヴァルツェア・フラムドライ

 EOS四天王との実戦が終わってから2週間が経った。

 えっ? あの後どうなったかって? 泣きべそかいた4人を食堂に連れて行ってデザートを奢ったよ。

 ネーナはいちごパフェ。マチルダはホットケーキ。ファルケはバウムクーヘン。イオはアイアーシュッケと言うドイツのチーズケーキをそれぞれ頼んだ。

 

 

 時は現在に戻ってホルシュタイン基地食堂

 

 あれから4人とは仲良くなり食堂で仲良く飯を食べるようになったし知識は4人の方が先輩だから色々教えて貰ったりしてもらっている。

 この2週間はISに関する座学や対人訓練等の基礎訓練をやっていた。

 

「そういえばレオンって越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)の手術受けないの?」

「あ〜なんか適性結果待ちなんだよね今」

 

 食堂で食事をとりながらネーナが質問してきた。

 

『越界の瞳』とはISの適合性向上のために行われる処置。擬似ハイパーセンサーとも呼ぶべきそれは、脳への視覚信号伝達の爆発的速度向上と、超高速戦闘状況下における動体反射の強化を目的とした、肉眼へのナノマシン移植処理のことを指す。黒ウサギ隊(シュヴァルツェ・ハーゼ)のメンバーが全員眼帯をしているのは肉眼の保護と部隊の誇りという意味で付けている。この眼を使用すれば視覚能力(動体視力、視覚解像度等)を数倍に跳ね上げることができる。ISを展開していない状態でも、最高で2キロ先の目標を狙うことが可能になるらしい。

 

「え〜でも手術後の経過も問題ないですし不適合はないと思いますよ〜」

「でもボーデヴィッヒ隊長はずっと稼働しっぱなしなんだろ?」

「うっ! 確かにそうだけど! で、でも私達はなんともないし副隊長だってなんともないんだから!」

「まぁ検査結果が出てからだろ流石に」

 

 そんな話をしながら各々頼んだ食事を口に運んでいると食堂の入口からハルフォーフ大尉が入ってきた。

 そういえば今日は朝から姿を見てなかったな。

 

「あぁお前たちここに居たのか」

「「「「「はっ! 大尉!」」」」」

 

 俺たちは席を立ちやってきた大尉に敬礼をし大尉は敬礼を返して空いてる席に座った。

 俺たちも続いて自分の席に座った。

 

「それで大尉。今日は朝から見かけませんでしたけどどこに行っておられてたんですか?」

「ん? あぁ基地司令に呼ばれていてな少しそちらに行っていたんだ」

「シュバルツ中将にですか?」

 

 朝から中将の所に行っていたとは何かあったのだろうか? 

 

 

 時を遡ること6時間前の朝6時頃

 

 

 クラリッサは起床してドアの隙間に手紙が挟まっているのに気づいた。

 

「誰からだ?」

 

 おもむろに手紙を取り中身を見るとそこには『クラリッサハルフォーフ大尉8:00に私の部屋に来て欲しい。ボルフ・シュバルツ基地司令』と書いてあった。

 

「基地司令が私に?」

 

 クラリッサは時計を見て現在6:30であることを確認し制服に着替えるためワードローブを開けた。そこにはクラリッサがいつも着ている隊の制服を取り出し着替え始めた。

 そして自分の部屋を出てシュバルツ中将の元へと向かった。

 クラリッサはドアの前へ着くと腕時計で時間を確認した。7:55、5分前に到着し部屋のドアを叩いた。

 

「ハルフォーフです!」

「入りたまえ」

 

 中にいるシュバルツ中将から返事がありクラリッサはドアを開け入って行った。

 

「クラリッサ・ハルフォーフ大尉ただいま参上いたしました!」

「あぁ大尉こんな朝早くから呼び立ててすまないな」

「いえ! とんでもありません! 中将閣下!」

「とりあえず立ち話もなんだかけたまえ」

「はっ! 失礼します!」

 

 クラリッサはソファーに腰を落とした。

 

「さてと大尉。今回呼び出したのはブリューゲル少尉のこれからの事なんだが」

「レオンのことですか?」

 

 確かに現在レオンは我が黒ウサギ隊に入隊していることもISを動かしたこともこのホルシュタイン航空基地内だけの秘密にしている。これからと言うことはつまり世界に対して公にするということなのか? 

 

「あぁ昨日の晩にベルリンからこれが届いてな」

 

 そう言うとシュバルツ中将はテーブルの上に2枚の紙を私の前に置いた。

 

「読んでも?」

「構わない」

「では失礼します」

 

 内容は『現在ホルシュタイン航空基地特別IS部隊黒ウサギ隊に所属しているレオン・ブリューゲル少尉に対して階級を少尉から中尉に昇進及びドイツの国家代表候補生として世界に発表その後IS学園への異動とする』

 もう1つはIS研からか『IS適正検査結果、適正ランクA、越界の瞳の適正基準値をクリア後日改めて日時を連絡するためその日に招集されたし』

 

 なんだと!? レオンのIS適正がAだと! どういう事だ? つい最近まで動かすことが出来なかった人間が急にA判定だと……

 

「中将1つお聞きしたいことがあります」

「なんだね?」

「ブリューゲルとはなんなのですか?」

「………」

 

 答えないということは何かあるのだな。

 

「ふぅ、これはブリューゲル元帥以外の上層幹部の間でしか流れてない噂なんだが聞いた以上他言無用だぞ」

「はい」

「実はレオン・ブリューゲルは……」

「ッな!?」

 

 しばらくの沈黙が流れた。

 もしレオンがそうだとしたら今回の事も説明がつく。いやこの話題は心に留めておくとしよう。

 

「それでレオンはIS学園に向かわせるのですか?」

「そうだ。だがその前に国家代表候補生として発表をこちらでしろとのことだ。ご丁寧に中尉の階級章も同封されていた」

 

 中将はそう言うと階級章が入った箱をテーブルに置いた。

 

「それでこの事はレオンにどこまで言えばよろしいのですか?」

「ひとまず中尉への昇進と後日私から正式な発表がある事だけ伝えて構わん適正検査結果は後で配達局の者に届けさせる」

「了解しました。しかし急ですね」

「全くだ。こちらのことも考えて欲しいものだ」

 

 中将は目元を押さえてため息を吐いた。

 

「心中お察しします」

「あぁありがとう大尉。今日は本当にすまなかったな朝からこんな話をして」

「いえお構いなく。それでは私はそろそろ」

「あぁ大尉」

 

 私は中将に敬礼をし部屋を出ていった。

 

「さてと」

 

 時計を見るともうお昼近くだった。

 

「ふむ。この時間なら食堂にいるだろうな朝から何も食べてないしアイツに連絡しておくか」

 

 私はスマホを取り出し電話をかけた。

 2コールで相手がでた。

 

『やぁやぁ珍しいじゃんそっちから連絡するなんて』

「あぁこれから食堂に向かうなにか見繕ってくれ」

『OK! 任しといて!』

「あぁ朝から食べないんだよろしく頼むレティア」

 

 通話を切り私は食堂へと足を進めた。案の定そこには我が隊のメンバーが食事をしていた。

 私はその場所に歩いた。

 

 

 そして時は現在に戻る

 

 

「まぁせっかく全員揃っていることだ。ここで知らせておいた方が良いか」

 

 そう言うと大尉はポケットから小さな箱を取り出し俺の前に置いた。

 

「これは?」

「いいから開けてみろ」

 

 俺は大尉に言われるまま箱を開けた。すると中には階級バッジが入っていた。

 

「これは?」

「階級章?」

「しかも~中尉のですね~」

 

 箱を覗くとネーナとマチルダも覗いてきた。

 

「じゃ、じゃあレオンが昇級するってことですか?」

「そういうことだ。おめでとうレオン公式な発表は後日だが指揮官命令で本日付けで中尉に昇給とする」

「えっ……」

「「「「えーーーー!!!!」」」」

 

 俺がポカーンとしていると4人娘が驚いて声を荒げた。そしてその声に周りで食事をしていた基地職員たちがこっちを見てきた。

 

「お前たち静かにしろ」

 

 ハルフォーフ大尉が4人を静かに諌める。4人は周りを見てハッとして

 

「アハハ! なんでもないよ!」

「そうそう気にしないでくださ〜い」

「やれやれ」

 

 周りの職員たちがなんだよという顔をしてそれぞれ食事を再開して4人娘はふぅっとため息を吐いた。

 そんな騒ぎをしているとエプロン姿の女性がトレイを持ってこちらにやってきた。

 

「相変わらず賑やかねクラリッサ」

「ん? あぁお前か」

「お前かとは随分な言いようね同期に対して」

 

 大尉の同期と名乗った女性はハルフォーフ大尉の前に食事の乗ったトレイを前に置いた。

 

「ちょっと席ずれてね」

「あっはい」

 

 俺は自分のトレイを横にずらして席を移動した。

 

「あの大尉この方は?」

「自己紹介したらどうだレティア」

「ん? あぁごめんごめん置いてけぼりだったね。私はレティア・ヴィルマ。食堂員として働いてるから何か食べたいものがあったら私に言ってね。ちなみに階級はクラリッサと同じ大尉だからよろしくね!」

「はい! よろしくお願いします」

「うんうん元気があってよろしい」

 

 ヴィルマ大尉はウインクをして自己紹介をしてきた。

 

「あっ! 君が新しく隊に入ったって子だね!」

「あっはい! レオン・ブリューゲルです!」

「へぇ〜……えっ!? ブリューゲルって……ちょっとクラリん、この子ってあの女の弟なの!」

「その呼び方で呼ぶな! そうだレティア、少尉はブリューゲル中将の弟だ」

「マジかぁ……こんな良いイケメンの姉がアレねぇ……」

 

 ヴィルマ大尉は空いた口が塞がらないといった顔をしてこっちを見てきた。

 姉貴ってそんなに嫌われてるのか? 知らなかったな。

 

「んで? 何の話してたの?」

「機密事項だ」

「え〜教えてよぉ」

「クビになるか懲役刑になりたいんたら聞かせてやろう」

「oh.…それはやだなぁ私今の立場気に入ってるし」

「なら聞くな後日基地司令が正式に発表する。それまで待ってろ」

「はーい。じゃあ私戻るね久しぶりに喋れて楽しかったよクラリッサ♪」

 

 ヴィルマ大尉は席を立ち手を振りながら厨房に戻って行った。

 

「面白い人でしたね」

「全くだ。あの性格は昔から変わってない」

 

 大尉は食べ物を口に入れながら、やれやれといった表情を浮かべていた。

 

「それでは大尉。自分たちは戻ります」

「あぁ私も食事が終わり次第戻る」

 

 俺たちは食事を終わらせて大尉に敬礼をしてトレイを持って食堂を後にした。

 

「にしてもレティアの姉さんが副隊長と同期だったなんて驚いたなぁ」

「……確かに」

「あまり副隊長って昔の話しないものね〜」

「そうなのか?」

「うん。聞いても話題を変えられたりして結局そのまま私たちも聞かないようになって気にしなくなってたから」

 

 食堂を出て廊下を歩きながら大尉の事を話していると後ろから声をかけられた。

 

「あっ! ブリューゲル少尉!」

「ん?」

 

 呼ばれて振り返ると配達局の人間がこちらに向かって走ってきた。

 

「ブリューゲル少尉宛に封筒が届いております」

「あぁご苦労さまです」

 

 俺は配達員から封筒を受け取り彼は敬礼をしその場を立ち去った。

 

「なになにレオンにラブレター?」

「んなわけないだろ誰からだろ?」

 

 俺は封筒の後ろに書いてある宛名を見てみた。そこには『ドイツIS研究局』と記載されていた。

 

「IS研究局?」

「もしかして越界の瞳の検査結果なんじゃない!」

「あぁ! もう結果がでたのか」

「開けてみましょうよ〜」

「別に良いけど」

 

 俺はネーナとマチルダに催促されて封筒を開けて中身を取り出した。

 

「えーと『レオン・ブリューゲルの検査結果はIS適正A。越界の瞳の適正結果は良好、手術後の後遺症は問題なしと判断するため記述してある日時に記載されている場所に出頭せよ』だってさ」

「はぁ〜! ISの適正がAって! 私達よりも高いじゃない!」

「ま、まぁ専用機を扱うんだし普通はそ、それくらいあるんじゃないかな? 隊長も副隊長もAって聞いたし」

「へーそうなんだ。ちなみにみんなはどのくらいなの?」

「私はB+」

「私はB」

「わ、私はB-」

「…B+」

 

 意外と普通なんだな。てかネーナよB+判定貰ってて真っ先にやられるなよな……

 

「くぅー! 私もAランクだったら専用機貰えたのにー!」

 

 ネーナはそう言いながら地団駄を踏んでいた。

 

「そういえば俺も越界の瞳になったら皆みたいに眼帯付けなきゃいけないのか?」

「当たり前でしょ!」

「この眼帯は隊の証なんですよ〜」

「お、おう……」

 

 気迫に負けて少し後退りしてしまった。確かに隊に入ったんだから同じにするのは当たり前の話か。日本のことわざにもあるしな『郷に入っては郷に従え』って言うしな。

 

「あれ? 俺たち次はどこに行くんだっけ?」

「……整備場」

「あぁ! ありがとうイオ!」

 

 俺達が向かう整備員では現在4人のEOSの定期メンテナンスが行われており俺達もそれに参加することになっている。

 そして俺達は他愛もない会話をしながら整備場に向かって歩きだした。

 

 

 ーーーー黒ウサギ隊IS整備場ーーーー

 

 

 整備場に入ると整備員達がEOSの周りに集まっていた。

 

「ちわーっす」

「お邪魔しますね〜」

「し、失礼しますぅ」

「……」(ぺこり)

「失礼します!」

 

 先頭をネーナにして順番にドアから挨拶をして入っていった。

 それに気づいた1人の女性整備員がこちらに近づいて来た。よく見るとそれは我らが整備員のエースであるカティア・マルンフェルト准尉だった。

 

「ブリューゲル少尉!」

「マルンフェルト准尉!」

 

 手を振りながらやってきた准尉に対して俺も胸の辺りで手を振り返した。

 

「あっ! ネーナ達もいたんだ」

「あっ! いたんだじゃないわよ!」

「もう相変わらず、すーぐ大声出すんだからネーナは」

 

 准尉はネーナ達に気づくと仲良しみたいな会話をしていた。

 

「准尉はみんなのこと知ってるんですか?」

「えぇ同期ですから」

「そうカティアとは士官学校時代からの付き合いなんだよね。でもイオとは幼なじみだっけ?」

「うん……」

「そうなんですよイオって昔から口数が少ないからあんまり友達いなかったんですよね士官学校の時も大変でしたよ」

「へ〜そうだったんですね。そういえばみんなはどの士官学校に行ってたの?」

 

 まさかイオとマルンフェルト准尉が幼なじみだったとは。

 

「私達はミュンヘン士官学校。レオンは?」

「俺はベルリン士官学校だったな姉がそこに通ってたから母親がそこに通いなさいって、そこでハルフォーフ大尉と出会ったんだよ」

 

 ドイツの中学士官学校は主に4つありドイツの大都市に設立されている。首都ベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、ケルンの4つにあり男女別の寮があり遠方から来る学生たちも多い。

 

「私はISの適正は残念ながらCだったのでそのまま整備科でネーナ達はIS科に行くことになりました」

「なるほど」

 

 そんな会話をしているとEOSの周りにいた整備員の1人がこちらを見て。

 

「カティア整備長そろそろ始めませんかー?」

「あっ! うん始めようか! それじゃ少尉ネーナ行きましょうか」

 

 俺達はマルンフェルト准尉に促されて後ろを着いて行った。

 そしてEOSの前まで来るとそこには見たことの無い武器類がEOSの前に並べられていた。

 

「何これ?」

「シューゲル・カンパニーから送られてきた追加武装よ」

「あれ? そういえばこの前なんか持ってきてなかったか?」

「あぁあれは〜副隊長が無理だって言って付けなかったんですよね〜」

「なるほどね流石にあの天才(マッド)も納得してくれたんだな」

「めちゃくちゃ駄々こねてたけどね」

 

 あの時の大尉とのやり取りはそういうことだったのか……大尉ご愁傷さまです。

 

「て事でネーナ達に来てもらったのはEOSに付ける武装選びをしてもらおうと思ってね」

「へぇーまたこんなに良く持ってくるわね」

「あ〜私このハンマーが良いです〜」

「わ、私はこのライフルを」

「ん……私は……この機関銃……」

「あっ! この盾いい感じじゃない!」

 

 ネーナ達は買い物に来てはしゃぐ子供のように並べられている武器を見ている。

 んで? なぜ俺まで呼ばれたんだ? EOSの武器選びだけなら俺は要らなかったのではないだろうか? 

 

「准尉ここに俺が呼ばれた理由はなんですか?」

「あ〜えっと……実はここに呼んだのは私ではなくて……」

「えっ? じゃあ誰が?」

 

 准尉が読んだんじゃないんなら一体誰が? そう思った時

 

 バーン!!! 

 

 後ろのドアが勢いよく開けられその場にいた全員がドアの方を見た。そしてそこには見覚えのある白衣を来た人物が立っていた。

 

「久しぶりだな少尉!」

「シュ、シューゲル技師局長……」

 

 そうドイツが誇る天才技術者(マッドサイエンティスト)アーデルハイト・フォン・シューゲル技師局長がそこにいた。

 

「ハッハッハッ! 元気がないな少尉!」

「は、はぁ」

 

 相変わらず声がデカイなこの人。結構離れてるのにどんな声帯してんだよ。

 

「お久しぶりですシューゲル技師」

「うむ!」

「あのー今日はどのようなご用件で?」

「あぁ! 今回は君のISであるシュヴァルツェア・フラムドライの最終調整を済まそうと思ってな!」

「えっ?」

 

 今なんて言った? フラムの最終調整? マジで? 

 

「2週間前のデータを元に各種武装の調整や機体の最終調整を終わらせるつもりだ」

「はぁ……」

「なんだねこの気の抜けた反応は! 嬉しくないのかね!」

「えっいや〜いきなりだったのでなんかピンッとこなくって」

 

 そりゃそうだろいきなり来てISの最終調整やりまーす! なんて言われたら何処ぞのISオタクなら喜ぶだろうが俺軍人やぞ、そこまでテンション上がらんて。

 

「ま、とにかくだISを呼び出してくれたまえ!」

「あっはい」

 

 俺は待機状態である指輪に意識を集中させてフラムを呼び出した。

 

「それで俺はどうすれば良いんですか?」

「何もせずそのまま立っていてくれ」

 

 シューゲル技師はそう言うと近くにあった台に持っていたカバン基アタッシュケースを置いて開いた。

 中を除くとどうやらそれはパソコンのようだった。

 

「おーい君たちそこのケーブルをフラムとこのPCに繋げるのを手伝ってくれないか」

 

 技師はEOSの方に集まってた整備員達を呼んで作業を手伝わせ始めた。

 

「シューゲル技師局長繋ぎ終わりました」

「よろしい! では始めようではないか!」

 

 技師は手馴れた手つきでPCのキーボード叩き始めた。

 

 それから15分が経過した時ついにその時が訪れた。

 

「よし完了だ! 少尉フラムを1度待機状態に戻してくれその後もう一度呼び出せば再起動が完了する」

「了解です」

 

 俺はフラムを解除し待機状態に戻した。指輪を見ると少し色が変わっているのに気がついた。

 最初は黒色の指輪だったが今は中央部分が黒でその上下が青色になっていた。

 

「あれ? 指輪の色が変わってる」

「少尉! 早くしてくれないか?」

 

 やや怒り気味に技師に言われたのでもう一度意識を集中させフラムを呼び出す。

 そして現れたフラムはレーゲンとツヴァイクと同様の黒色であるが最初の頃にあった赤いラインが青になっており金色の部分も銀色に変化していた。

 

「なんか色変わってないか?」

「おぉ! 素晴らしい! なんと綺麗なんだ! レーゲンとツヴァイクはほとんど同じカラーリングだったがフラムはその2つとは真逆の色になるとは!」

 

 えっ!? 涙流してるのオッサン!? 何感動することなの!? 

 

 何故か目から涙を流し始めたシューゲル技師を見てちょっと引いてた時、整備場の扉から昼食を終えたハルフォーフ大尉が入ってきた。

 

「ほうフラムはこんな色になるのか隊長のレーゲンと私のツヴァイクとは全く違うな」

「あっ! 大尉」

「どうだレオン新しくなったフラムの乗り心地は?」

「そういえば最初の頃に比べてなんか軽い気がします」

 

 確かに最初の頃は補助装置やPICを使っててもなんか重い感じがしてたが今はそれが気にならないくらい軽く感じる。

 

「それはそうだPICもアップデートして最新バージョンにしてあるからな。さてと少尉そろそろ武器の確認もしてくれるかね?」

「了解です」

 

 俺はとりあえずプラズマ手刀(ブレード)を出してみた。

 

「どうだね! 前よりも長さが増えただろ!」

「確かに前よりは長くなってるなぁ」

 

 しかも色まで変わってるし……前はピンク色ぽかったよな。ここも青色になってるし……

 

「そうだ少尉の要望に合わせてプラズマ刀と実剣を使えるようにしたんだがどうだろうか?」

「本当ですか!」

 

 俺はプラズマ刀を引っ込めて手首を前に動かすとさっきまでプラズマ刀があった所から実剣である暗闇の剣(ドュンケルハイト・シュヴェーアト)が飛び出してきた。

 

「おぉー!」

「なぜ実剣を付けたんだ?」

 

 俺が目を輝かせて剣を見つめているとハルフォーフ大尉が疑問そうに声をかけてきた。

 

「なぜってプラズマ刀がもし使えなくなった時用に実剣も付いてた方が良いかなぁと思いまして」

「そうか……」

 

 なぜ少し目を背けるんですか大尉! 

 

「そんなことはどうでもいい! 次は脚部のプラズマカッターを起動したまえ!」

「了解です!」

 

 脚に意識を集中させると脛部分に付けられたプラズマ発生装置から青い閃光が迸り始めた。

 

「どうだね! このプラズマカッターは欧州連合が着手している第三世代ISの新武装のコンセプトの先駆けとなる代物を私が持てる技術を存分に使った兵装なのだ!」

 

 今この人なんか凄いこと言わなかったか? 欧州連合が取り組んでる新武装の先駆け? マジか天才(マッド)

 

「シューゲル技師なんかスラスターが前より増えてません?」

「あぁその通りだよ少尉! スラスターは初期の頃より増やし脚部にも取り付けることによりプラズマカッターでの足技の威力を格段にあげることができるのだよ! さらに腕部の各所にも小さなスラスターを取り付けることにより空力制御と細かな微調整を空中で行うことが可能なのだ!」

 

 なんかすげぇ力説を始めたぞこの人。何言ってんのか全く頭に入ってこない……

 

「あのー」

「ん? なんだね准尉」

 

 バツが悪そうに手を挙げたのは我らが整備隊のエースであるマルンフェルト准尉だった。

 

「スラスター増設した場合のパイロットへの不可などが懸念されると思うのですが……」

「そんなもの空軍パイロットなら対G訓練で体が出来上がっているだろ。ならば問題は無い!」

 

 え〜〜

 

(え〜〜)

 

 おそらく俺だけじゃなくてこの場にいる全員の心が1つになった瞬間だろう。

 いやさすがに対G訓練はしたけど戦闘機とISじゃあ根本的に違うのではないだろうか? 

 

「おっと! それでは私はここで失礼するよ諸君! なにぶん多忙なものでね! では! さらばだ!」

 

 本当に嵐のような人だな…てかホントに速いな五十路だよなあの人何かやってんのか? それとも人体改造でもしてんのか? 

 

「ま、まぁとりあえずフラムの最終調整も終わったことだし今日はもう上がろう」

「えっ!?」

「良いんですか!?」

「あぁ整備員のみなも今日は上がっていいぞ。明日から忙しくなるだろうからな充分に休息を取るように」

「「「はい!」」」

 

 珍しいこともあるもんだな大尉から隊員達に今日の終わりを告げると大尉は俺の横に来て。

 

「後で私の部屋に来てくれ」

「えっ?」

 

 大尉は俺に耳打ちをすると整備場から出ていった。

 

 

 ーーーー黒ウサギ隊クラリッサ・ハルフォーフの自室ーーーー

 

 夕方俺はハルフォーフ大尉の部屋の前に来ていた。

 コンコン

 

「ブリューゲルです」

「入ってくれ」

 

 俺は大尉の了解を得て部屋に入った。

 入ると大尉は上着を脱いでワイシャツとスカートでワイシャツのボタンを第3ボタンまで開けており、いつもは隊の制服で隠れてて分からなかったがその豊満な胸が少し見えて黒色の下着も見えて色っぽくて俺は見惚れてしまった。

 そして2つのマグカップを持ってソファに座った。

 

「レオンすまなかったな呼び出してしまって」

「いえ……大丈夫です大尉」

「大尉……か」

 

 

 ハルフォーフ大尉は少し寂しそうな表情を浮かべていた。

 どうしたんだろう? なにか悪いことでもしてしまったのかな? 

 

「大尉?」

「フフッせっかく2人きりなんだ上司部下の関係じゃなくて1人の友人として接してくれないか?」

「えっ!? いやしかし」

「士官学校の時みたいにクラリッサさんと呼んでくれないのか?」

 

 大尉は足を組みこちらに顔を向けて優しく微笑んできた。

 

「………ッ!」

 

 俺はあまり見せたことのない大尉のその笑顔にドキッとしてしまった。

 

「わ、わかりました。クラリッサ……さん」

 

 俺は覚悟を決めて大尉の事を名前で呼んだ。

 はぁ……しかし久しぶりだなこう呼ぶのも。

 

「アハハすまない! 久しぶりだったからな、ついからかってみたかったんだ」

「やめてくださいよ……クラリッサさん」

 

 たくこういう茶目っ気を見せるのは家族以外だと俺だけだと昔言ってたが……心臓に悪いんだよなぁ。

 

「ひとまず本題に入りませんか? わざわざ部屋に読んだってことは何かあるんでしょ?」

「あぁそうだな。これから話すことは朝に基地司令から聞いた事だから発表あるまで他言無用だからな」

「あの手紙の内容とは別ですか?」

「それには書かれてないことだ」

 

 さっきまでの笑顔から仕事モードの顔に変わる大尉を見て俺も顔が強ばった。

 

「レオン、お前のIS学園への入学が決まった」

「へっ? 俺がIS学園に?」

 

 予想してた内容とはかけ離れてたせいで気の抜けた声が口から出てしまった。

 

「あぁベルリン支局からの指示書で公式発表と同時にお前をドイツの代表候補生としてIS学園に送るという事だ」

「え〜この部隊に入って2、3週間程度で別の場所に配属って……前の大隊の時も1ヶ月もいなかっのに……」

「仕方ないさ、己の運命を呪え」

 

 ため息しか出ないわ。

 

「さてと、この話は終わりだ食事をしに行こう」

「は、はい」

「私が奢ってやるから元気を出せ」

 

 そして俺とクラリッサさんは部屋を出て2人で食堂へと歩いて行った。

 その後食堂員のレティアさんに「何!? 2人ってそういう関係なの!」と聞かれて2人で違うと反論したりして大変だった。なんならレティアさんが一緒に食事を食べ始める始末。

 

 それから2週間後の5月半ばホルシュタイン航空基地での緊急会見が行われその席に基地司令のボルフ・シュバルツ中将、黒ウサギ隊副隊長のクラリッサ・ハルフォーフ大尉そして俺レオン・ブリューゲルが座った。そして正式に俺の中尉への昇級とドイツ代表候補生発表及びIS学園への入学も発表された。

 そのあとは記者からの質問の嵐で大変だったよ……

 

 そして現在、俺はホルシュタイン航空基地の滑走路に用意された軍用輸送機の前で基地のみんなから盛大に見送られることになった。

 

「向こうでもゲルマン魂を忘れずに勉学に励むように」

「はい! シュバルツ中将閣下!」

「向こうに行って隊長に迷惑をかけるなよ」

「はっ! 気おつけます大尉!」

「うぅレオン向こうに行っても私達のこと忘れないでね」

「なに今生の別れみたいなセリフ吐いてんのお前は」

「帰ってくる時はお土産よろしくお願いしますね〜」

「……よろ」

「お前らなさりげなくお土産を要求するなよ旅行じゃないんだから……」

「お、お身体には気おつけて下さいね」

「ありがとうファルケだけだよそんなこと言ってくれるのは」

 

 そんな感じで会話をして輸送機に乗り込んだ。ロンメル大尉達は来なかったなぁ……

 そして輸送機が飛び立ちドイツの空へと駆け上がっていくのを窓から覗いてた時、後ろから戦闘機の編隊が輸送機の周りを囲んだ。

 

「みんな!」

 

 戦闘機のエンブレムは黒十字にドクロのマークが付いていた。そうそれは俺がいた328航空大隊の戦闘機だった。

 俺はかけてあったヘッドギアを付けると無線越しに

 

『よう少尉! いや中尉だったな』

「ロンメル大尉!」

『ドイツの領空を出るまでその機の護衛を任せられた。またこうして空を一緒に飛べるとは思わなかっただろ』

「はい!」

 

 そしてドイツの領空が終わる頃大隊は機体を反転させホルシュタイン航空基地へと戻って行った。

 

 やるぞ、みんなが俺のために色々してくれたんだ。

 

 そして輸送機は予定通りに日本に到着しパイロットにお礼の敬礼をして輸送機から降りた。

 

「旅行以外で日本に来るのは初めてだな」

 

 空港ロビーを出るとそこには『レオン・ブリューゲル様』と書かれたプラカードを持った緑髪のメガネの女性? が立っていた。

 なぜ疑問形かって? 身長が明らかに小さいんだよなぁ……目測でだいたい150ちょいちょいってとこかなって思っちゃって、てっきり少女かと思ってしまったよ。

 

「すみません」

「あっ! レオン・ブリューゲル君ですか?」

「は、はい自分がレオン・ブリューゲルです」

「良かった〜あっ! 私は山田真耶と言いますIS学園で教師をしています」

 

 その女性は名を名乗り胸を前に突き出したがその身体にそぐわない脅威の胸囲が上下に動いて周りの視線(俺も)を釘付けにした。当の本人は気づいてないようだ。

 

「それでは行きましょうか」

「あ、はい」

 

 真耶は振り向きレオンの前を歩き出した。

 山田真耶……どこかで聞いたような聞かなかったような……

 

「しかしブリューゲル君大きいですね〜」

「あぁ一応180はあります」

 

 傍から見れば教師と教え子というより親子みたいな身長差があり周りからは『でけぇ……』(二重の意味で)という声がたまに聞こえてくる。

 空港を出ると道路に止まっている黒色の車の後部ドアが開かれた。

 

「どうぞブリューゲル君」

「失礼します」

 

 中に入るとそこにはスーツ姿の女性が座っていた。

 

「織斑……千冬」

「ほう流石に知っていたか」

「有名人ですから……それにホルシュタイン航空基地にいる人間なら誰でも知ってますよ」

「フッとにかく入ったらどうだ?」

 

 俺は促されるまま車に乗り込んだ。そして真耶は運転席側に座った。

 そして車が発進すると千冬が口を開いた。

 

「お前ボーデヴィッヒとはあったことがあるのか?」

「いえIS学園に行く前では遠目から顔を見たくらいで話とか全く」

「そうか……多分驚くと思うぞ」

「はぁ?」

 

 驚くとは一体? なぜそんなこと言ったのか分からず首を傾げた。

 

「それからIS学園から事前に送られた参考書は読んだか?」

「あっはい、ここに来るまでの間に輸送機の中で読みました」

「なら良い、授業についていけないと泣きつかれても無理だから」

「アハハ(棒)そこの所は安心してください向こうで1ヶ月半みっちりと副隊長に叩き込まれましたから」

「それは良かったです、しかしあの参考書相当分厚かったと思うんですが全部読まれたんですか?」

「えぇなにぶん飛行中は暇でしたから」

 

 参考書ってあれだろ。あの週刊少年ジャ〇プみたいな分厚い本だろ、向こうで講義の間に読んだりしたしさっきも輸送機の中で残りを読んで空港に着く頃には読み終わったしな。

 

「しかし今年は異常だな」

「何がでしょうか?」

「確かに今年は専用機持ちがブリューゲル君を含めて7人その内2人は男性操縦者ですからね」

「あぁ全く忙しいったらないよ」

 

 専用機持ちがそんなにいるのか聞いてた話だと年に2、3人が良いとこと聞いたんだが。

 そんな感じである意味微妙な空気になっている車内で窓の外を見ると大きな建物が見えてきた。

 

「あれが……」

「はい! あれがIS学園です。これからブリューゲル君が3年間通い学ぶ場所になります」

 

 ついに来てしまったIS学園。まさかここに俺が来ることになるとは思ってもみなかった。

 車はIS学園のメインゲートを通り駐車スペースへと進み止まった。ドアを開けてIS学園の外観を見上げた。

 デカイな。いや当たり前だけど腕時計を見ると朝の7時だった。ドイツを夜に出て空港に着いたのが朝の6時だったから車で1時間か流石に疲れたな。

 

「ではこれから諸々の手続きをしてからクラスに案内しますね」

「了解です」

「それと手続きの間に制服に着替えておけよ事前に送られてきてただろ」

「はいわかりました」

 

 そして俺たちは学園内に入って行った。

 

 ここから俺のIS学園での生活が始まるのか。

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