IS シュヴァルツェ・ハーゼはかく語りき   作:薄影 (黒ウサギ党)

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第5話 雨VS炎

 よおレオンだ。

 現在IS学園2日目で心が傷心しきってるぜ。

 今はSHR中だ。

 隊に居た時に突貫だがISの知識も頭に叩き込んだ。だから授業で遅れることは無いはずだ。

 IS学園と言っているが実際は普通の高校と変わりない授業内容で専門授業としてISに関する授業があると言った感じだ。

 

「えー今日のIS授業は2組と合同で第2アリーナを使いますので皆さん遅れないようにしてくださいね」

「それでは日直号令!」

「起立、礼!」

 

 そしてSHRが終わり織斑先生と山田先生が教室を出た直後に一夏がこちらに走ってきた。

 

「おい! レオン速く行くぞ!」

「どうした一夏そんなに慌てて」

「男子更衣室はすごく遠いんだ! 速く行かないと間に合わない!」

「そんなに遠いのか?」

「あぁ! 第2アリーナとは真逆だ」

 

 なんと! それはやばいじゃないか! 

 俺と一夏は急いで教室を出た瞬間に待ってましたとばかりに各クラスから女子軍団が現れた。

 

「男子がでたぞーー!!」

「者共であえであえ!!」

「うわあああなんだ!?」

「は、走れ! レオン!」

 

 まるで津波の如く押し寄せてくる女子たち。

 

「待ちなさーい!」

「「待ちませーーん!」」

「おい! 一夏! あれに捕まったらどうなるんだ!?」

「確実にもみくちゃにされる……そして」

「そして?」

「遅刻が確定する」

「確定するとどうなる?」

「千冬ね、織斑先生の出席簿が振り下ろされる」

 

 出席簿が振り下ろされるだと? どういう意味だ? 

 

「と、とにかく走れ!」

「お、おう……ッ! 一夏止まれ!」

「えっ!?」

 

 俺が一夏に静止するように言うと一夏は急ブレーキをかけて止まった。

 

「レオンどうした! 捕まっちまうぞ!」

「大丈夫だよ」

「へ?」

 

「「「いただきまーーーす!!!」」」

「うわあああ!!」

「何をやっている! お前たち!」

 

 今にも飛びつかんとした女子たちの先頭が怒号によって急ブレーキをかけ止まったが後ろにいた女子たちは停止することが出来ずにぶつかり雪崩のように崩れていった。

 

「お、織斑先生……」

「お前たち性懲りもなく追い回すのはどうかと思うぞ」

「いや……でも……」

「はぁ。織斑、ブリューゲルお前たちはさっさと支度をしろ遅れたらどうなるかわかってるな」

「「は、はい!」」

「なら行け!」

 

 俺たちは走らずに早歩きでその場を後にした。その後追いかけてきた女子たちが織斑先生に説教をされ移動教室に遅れたものが現れたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 IS学園男子更衣室

 

「いや〜しかし酷い目にあったな」

「でもよく織斑先生が来るってわかったな」

「あ〜なんか殺気じみたもの感じたからなあの曲がり角で」

「凄いな」

 

 俺たちは織斑先生という助っ人に助けられ何とか男子更衣室に着きISスーツに着替えていた。

 

「そういえばレオンのISスーツってなんか俺のと違うんな」

「ん? あぁドイツで使われてる軍用スーツの新作でさ、まだ試作段階なんだけどな」

「へぇーなんかカッコよくて良いな」

「そういうそっちのは腹が冷えそうだな」

 

 学園仕様のISスーツは旧スク水のようなデザインであり耐久性に優れていて何故か小口径拳銃の弾丸程度なら完全に受け止められるそうだ。

 一夏のISスーツは急遽男性用に作られたものでありイングリッド社製のストレートアームモデルの特注品で下はスパッツ上は胸から上部分の半袖のような感じで腹部分は見えていてなんだか腹を冷やしそうな見た目だな。

 そして俺のISスーツはシューゲル・カンパニー製の軍用スーツでダイバースーツの様な見た目をしており肩と膝と首周りに装甲が付けられており見た目はもう某ロボットアニメのパイロットスーツの様だった。

 

「さてと着替えたし急ぐか」

「おう!」

 

 俺たちは制服をロッカーに入れて第2アリーナへと向かった。

 

 

 

 IS学園第2アリーナ

 

 

 第2アリーナに着くと先に来ていた1組と2組の女子たちが整列していた。

 

「あっぶね〜ギリギリじゃん」

「何とか間に合ったな」

「てか更衣室増やせねえのか?」

「増やして欲しいんだけど何せ男って俺とレオンの2人じゃんなかなか申請が降りないんだと」

 

 とりあえず俺達もそれぞれの位置に並んだところで織斑先生と山田先生そして2年の担任である桜庭由香里先生と副担任の生蘭祥(シェン・ランシャン)先生が列の前にやってきた。

 

「全員揃ってるな」

「はい!」

 

 織斑先生の声に全員が揃って返事をした。

 

「それでは山田先生お願いします」

「はい!」

 

 そして織斑先生に変わって前に山田先生が来た。

 

「今日のISの授業はSHRでも言った通り2組との合同となります。最初は訓練機での基本動作の応用で後半は専用機持ちの模擬戦を行ってもらいます」

 

 山田先生が今回の授業何用を説明し終わると2組の桜庭先生が1枚の紙を持って山田先生と変わる形で前に出た。

 

「これからそれぞれの班分けを行う各専用機持ちは生徒たちの指導をするように、それでは1組から発表していく」

 

 そして桜庭先生が各班の組み分けが終わりそれぞれの班に別れた。

 俺の班は1組から布仏さん神奈月美琴(かんなづきみこと)さんミシェル・カーバインさん。2組の榊原響(さかきばらひびき)さん李劉胤(リー・リュンイン)さんジェシカ・枢木さんの6人が俺の班のメンバーだ。

 

「で? この授業は何するのかな?」

「あ〜そうかレオちん初めてだもんね〜」

「この授業では練習機を使って基本動作の確認などを行います」

「ほぉじゃあ俺の役目は?」

「私たちのサポートネ」

 

 おう初めて聞いたぞその語尾に『ネ』ってつけてる中国人(チャイニーズ)! 

 

「サポートと言うと?」

「簡単に言えば私たちが実際に動かした後にアドバイスなどをくれればOKデース!」

「俺で良いのか? 付け焼き刃な知識とかしかないぞ?」

「「「良い!」」」

「ぬおっ!」

「前回は織斑君と組めなかったもんむしろ男子と組めてラッキー! って感じ」

「1組ばっかり男子と組めてズルいネ!」

「そうデース! 私たちにもオソソワケくだサーイ!」

「いや俺は物じゃ……」

「まぁまぁそろそろ始めないと織斑先生がこっちみてるよ」

 

 榊原さんのその言葉に一斉に向こうを見ると織斑先生の鋭い眼光と目が合ってしまった。

 

「そ、それじゃあ誰が最初に乗る?」

「わ、私からお願いしマース!」

 

 最初に日本製IS『打鉄』に乗り込んだのはジェシカ・枢木さん。流石実技でやってる分起動もすんなりさせて立ち上がった。

 

「それじゃあ歩いてみようか」

「ハーイ!」

 

 ジェシカさんは数メートル歩いて往復すると打鉄をしゃがみこませて打鉄から降りた。

 

「あっ……」

「ん? どうしたの?」

「えっ!? なんでもないよ! うんなんでも」

「うん?」

 

 ミシェルさんが残念そうな声をあげていたがなんなんだろ? 

 

「じゃあ次は」

「は〜い! 私が乗りま〜す」

 

 次に手を挙げたのは布仏さんだった。

 そういえば布仏さんの手初めて見た気がするな。

 いつも身の丈にあってない萌え袖の布仏さんの腕は他の子より細く見える。

 

「布仏さんちゃんと食べてる? お茶漬けばっかりじゃ栄養が入らんよ?」

「大丈夫〜ちゃんと食べてるよぉ」

「そう? それならいいんだけど」

 

 そんな会話をした後布仏さんは打鉄に乗り込んだ。

 

「飛びまーす」

 

 そう言うと布仏さんの乗った打鉄は宙を舞ってから降りてきた。だが布仏さんは打鉄をしゃがませず立たせたまま降りてしまった。

 

「ちょっと布仏さん! これじゃ次の人が乗れないじゃん」

「あちゃ〜やっちった」

「どうするかぁ」

 

 俺が悩んでいると山田先生かこっちに向かって走ってきた。あの暴力的なたわわなメロンを揺らして。

 

「どうしたんですか?」

「いや〜布仏さんがISをしゃがませないで降りてしまって」

「あー、コックピットが高い位置で固定されてしまった状態ですね。それじゃあ仕方ないのでブリューゲル君が次の方を乗せてあげてください」

「……はぁ?」

 

 後ろを見ると残った4人は明らかに笑顔を浮かべている。そして布仏さんはその4人に向かって親指を立ててグッと構えていた。

 おのれ謀ったな布仏! 

 

「だってそれが1番楽ですし。ブリューゲル君ISを出してください」

「は、はぁ……」

 

 とりあえず俺は言われた通りに自分の専用機であるシュヴァルツェア・フラムドライを展開し装着した。

 

「じゃあ、次は誰が」

「「「「はい!」」」」

 

 4人一斉に手を挙げた。

 

「ムッ!」

「なっ!」

「what!」

「ムムッ!」

 

 4人は是か非でも自分が貰うと目からバチバチと火花を散らせていた。

 んーこのままだとまた織斑先生の眼光が飛んできてしまう。どうしたものか……そうだ! 

 

「まぁまぁここは穏便かつ平等にじゃんけんで決めようよ」

 

 俺の提案に4人は1度こちらに顔を向けるとまた4人が見つめあい、そして手をグーにして構えると。

 

「「「「じゃんけーん!」」」」

 

 でた手は

 神奈月さんパー、ミシェルさんはグー、榊原さんもグー、李さんもグーという神奈月さんの一人勝ちスタイルになり決着がついた。

 

「やりましたー!」

「「「ぐおおおおお!!」」」

 

 神奈月さんは片手をあげてジャンプし負けた3人はその場に崩れ落ちた。

 

「それでは決まったことですし、ブリューゲル君神奈月さんを抱っこしてください」

「えっ!? なんでですか肩を踏み台にするとかじゃ駄目なんですか?」

「ISは飛べますから、安全にコックピットまで運べますから」

「な、なるほど」

「ではブリューゲル君運んであげてくださいね」

「あ、はい」

 

 そう言うと山田先生は織斑先生の所に行った後に一夏の班の方へ走って行った。

 

「それじゃあ神奈月さん持ち上げるけど大丈夫?」

「は、はい! お願いいたします!」

「んじゃちゃんと掴まっててね」

 

 俺は神奈月さんを持ち上げたがその姿はお姫様抱っこの形になってしまい周りのジャンケンに負けた組は悔しそうな顔をこちらに見せてきた。

 そのまま打鉄のコックピットに向かって飛びだった。

 

「ほい到着。そのまま背中から入っていってね、そこの装甲に掴まったら少し楽に入れるかも」

「はい」

「んじゃ手離すけど大丈夫?」

「……えぇ大丈夫です」

 

 俺は神奈月さんから手をどけ彼女は打鉄のコックピットに入り起動させて歩行を開始した。

 その後お約束のように彼女も立ったまま降りてしまった。

 

「私1人だけいい気分になるのは不公平だと思いまして」

「えぇー」

 

 そして俺は残りの3人計3往復をする羽目になったのは言わずもがなである。

 そんなこんなでISの授業前半が終わり一時休憩に入っていた。

 

「おつかれレオン」

「おぉ一夏もおつかれさん」

 

 休憩していると一夏がやってきた。その手にはペットボトルが握られていた。

 

「ほれ」

「おっ! 良いのか?」

「あぁ水で大丈夫だよな?」

Danke(ありがとう)

 

 俺は一夏の手から水のペットボトルを受け取ると蓋を開けて飲み始めた。

 

「ぷはぁうめぇ!」

「疲れた体には最高だよな!」

 

 俺たちは水を飲み疲れた体を潤していた。

 

「しかし後半に行う専用機持ちの模擬戦って誰がやるんだろうな?」

「さぁな? 俺と一夏だったりして」

「うへぇもう勘弁して欲しいよ」

「なんだ? 前にもやったことあるのか?」

「あぁクラス代表決定戦後にセシリアとな」

「へー」

「その後、鈴とセシリアのタッグが山田先生とやりあったんだよな」

「えっ!? 山田先生と!?」

「そうなんだよ、あの人ああ見えて元日本代表候補生なんだよ」

「マジか……」

 

 あの山田先生が元日本代表候補生だと……開いた口が塞がらないとはこの事か。あんな見た感じドジっ娘と言っても過言ではない人がか……人って見かけによらないね。

 そんな事を思っていると休憩時間が終了し全員が最初に集まった場所に集合した。

 

「ではこれより専用機持ちによる模擬戦を行う! 今から呼ぶ者は前に出ろ」

 

 織斑先生が全員の前に立ち次に行われる模擬戦の対戦メンバーを発表し始めた。

 

「ボーデヴィッヒ!」

「はい!」

「ブリューゲル!」

「えっ! あっはい!」

 

 呼ばれて前に出たのはまさかの俺とボーデヴィッヒ隊長だった。

 マジか……寄りにもよってこの組み合わせかよ。

 

「各人ピットで準備を整えろ残りの者はアリーナの観覧席に移動しろ」

 

 そして1組と2組のメンバーはそれぞれの出口を出て行ったそして俺は一夏にピットの位置を教えてもらい1人ピットへと向かった。

 

 

 IS学園第2アリーナIS用ピット

 

 着くとそこには織斑先生と山田先生が居た。

 

「先生……」

「ブリューゲル調子はどうだ?」

「いやまぁ調子は良いですけど何故俺なんですか?」

「あっそれは私から説明させてください」

 

 俺の質問に織斑先生ではなく山田先生がずいっと前にでて説明を始めた。

 

「実はですね今回の模擬戦を提案してきたのはボーデヴィッヒさんからでして」

「えっ?」

 

 隊長が? 俺を指名した……なぜ? 

 

「アイツなりにお前を見極めようとしているのかもな」

「見極める……」

 

 隊長が俺を見極める……それはつまり俺の実力を示せば隊員として認めてもらえるということなのだろうか? 

 ならば負けるわけにはいかなくなったじゃないか。

 俺はそう思い。俺は拳を掌に合わせてクラッキングをしてカタパルトへ向かった。

 

「あっ!」

「ど、どうしたんですかブリューゲル君?」

「あのーどちらかヘアゴム持ってないですか?」

 

 

 

 第2アリーナ西側ピット

 

 

 レオンのいる東側ピットとは逆側に位置する西側ピットには眼帯を付けた銀髪のロングヘアーの少女、ラウラ・ボーデヴィッヒがそこにいた。

 彼女は現在レオンが所属している黒ウサギ隊(シュヴァルツェ・ハーゼ)の隊長を務めるほどの実力者である。

 

「はぁ我ながら教官には無理を言ったものだな」

 

 今回の模擬戦はラウラが千冬に提案をして取り組まれたものでありレオンと自国の新型ISであるシュヴァルツェア・フラムドライの力量を自分の目で確かめることが目的であった。

 

「さて私も準備にかかるか……ん?」

 

 自分のISであるシュヴァルツェア・レーゲンの調整をしていた時ラウラのスマホから着信があり画面を見てみるとそこには隊の副隊長を務めているクラリッサ・ハルフォーフの名前があった。

 

「私だ」

『あっ! 隊長! 授業中かと思ったのですが失礼を承知で至急お耳に入れておきたいことがありまして』

「いや今は模擬戦の準備中だから問題ない。それでどうしたんだ?」

『はい、実はレオンのことで隊長が誤解されていると思い連絡した次第です』

「あぁその事か」

『隊長、レオンの実力は折り紙つきです初めて乗ったフラムを乗りこなしましたしネーナ達とも仲良くなりました。人間性も士官学校の頃から知っている私から言わせてもらえれば上と言ってもいいです。ですから……』

「クラリッサ」

『は、はい』

「今回の模擬戦で私は奴の実力を自分の目で確かめるつもりだ」

『隊長……』

「だから心配するな……それと心配をかけてすまない……ありがとうクラリッサ」

『い、いえそんな勿体ないお言葉』

「ではそろそろ時間だ切るぞ」

『はっ! ご武運を』

 

 私は通話終了ボタンを押して改めてシュヴァルツェア・レーゲンを再度展開してカタパルトへと歩みだした。

 

 

 

 

 カタパルトにフラムの脚を装着し出撃準備を整えるながら俺は山田先生から借りたヘアゴムを使い髪を後ろに纏めてポニーテールを作った。そして

 ウインド画面にカウントが始まった。

 

『3、2、1、GO!』

 

 勢いよく射出機からドームに飛び出し宙を舞った。

 

『IS反応あり』

 

 そう忠告文が画面に現れてレオンは上を見上げるとそこにはラウラとラウラのISシュヴァルツェア・レーゲンがそこにいた。

 

「来たか」

「お待たせしました」

 

 ラウラは腕組みをした体勢でレオンのことを見下げていた。

 

『ルールは相手のシールドエネルギーを0にしたらそこで終了とします』

「了解」

「わかりました」

『それではスタート!』

 

 開始のブザーが鳴るとお互いにまずは距離を空けた。

 最初に仕掛けたのはラウラだった。

 

(まずは様子見からだ)

 

 ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンのリボルカノンの銃口をフラムドライに向けて放った。

 

「うおっ!」

 

 ロックオン警報が画面に現れてから数秒でレーゲンからの初弾をかろうじて避けることに成功したが

 

「さすがはレーゲンだな遠距離武装を持ってないフラムだと距離を空けたのは失敗だったな」

「どうした? 貴様の実力はそんなものなのか?」

 

 すかさずラウラはリボルカノンでの追撃に入った。

 

「流石に相手が悪すぎるよな」

「そうですわね」

「確かブリューゲル君のISって完全近接型だったよね?」

「一夏と同じということか」

 

 第2アリーナの観客席で試合を見ている一夏、セシリア、シャルロット、箒は各々見た感じの意見を述べていた。

 

 

 

 さてどうやって攻めるか……あの砲塔が邪魔で近づけないな。

 俺はどうやって接近するか考えていると警報が耳に聞こえてきた。

 

「ッ!? やべ!」

 

 前を向くと6本のワイヤーブレードが飛んできていた。何とか避けたが何本かは当たったためシールドエネルギーが削られてしまった。

 

「クソッ! 当たったか!」

「フン! その程度の攻撃すら避けられないとは元戦闘機乗りとは思えんな!」

「言わせておけば……」

 

 流石にこのまま言われぱなっしなのも癪に障るからそろそろ反撃に出るか。

 俺はフラムのスラスターを一気に吹かしレーゲンに近づいた。

 

「一気に近づいたね」

「あぁ」

「まぁ近づかなきゃ攻撃出来ないしね」

「でもラウラのシュヴァルツェア・レーゲンにはあれがある」

 

 一夏や他の専用機持ち達は知っている。あのシュヴァルツェア・レーゲンにはあるシステムが搭載されていることを実際に戦い苦しめられた一夏達はレオンがどうやってそれを攻略するのかをただ見守っていた。

 

「ほぉ流石に機動性はシュヴァルツェアシリーズの中でも最速か」

 

 ラウラはフラムのスピードに感心するものの未だに余裕の笑みをこぼしていた。

 

 ここは一気に加速して背後を取るしかないな

 そして俺は隊長の背後を取り右腕のプラズマ手刀(ブレード)を現出させ隊長に向けて突撃した。

 

「甘いな!」

「なっ!? う、動けない……そうかこれが!」

「そうだ……これがAICだ」

 

 背後から攻撃を仕掛けたレオンだったがラウラが手をかざすと何故かシュヴァルツェア・フラムドライは空中で止まっていた。

 これがラウラ・ボーデヴィッヒの専用機シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代型兵器である。

 

AIC(慣性停止能力)

 正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラー。ISに搭載されているPICを発展させたもので対象を任意に停止させることができる、現在はシュヴァルツェアシリーズの3機に搭載されている。レーゲンは防御系でツヴァイクは攻撃系のAICを搭載している。1対1では反則的な効果を発揮するが、使用には多量の集中力が必要であり、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄い。

 だからこそ今現在1VS1(タイマン)ではレーゲンの方が有利なのだ

 

「さて動けなくなった獲物がどうなるかわかるな?」

「く、クソ」

 

 レーゲンのレールカノンがフラムに向けられる。

 

 う、動けフラム! お前にだってAICは搭載されてるだろ! なにより姉に負けるのは嫌だろ! 

 

「ファイヤー!」

「クッ!」

 

 巨大な爆煙が至近距離で起き2機のISを包み周りが見えなくなった。

 

「どうなったの!?」

「あの至近距離で砲撃されては流石に」

 

 その時黒煙の中から出てきた元い吹き飛ばされてきたのはフラムドライだった。

 

「ぐえっ!」

 

 痛って! シールドがあるけどこんな至近距離じゃ流石にダメージ飛んでくるわな! てかシールド半分切ったぞ!? 直撃してたら終わってたんじゃねぇか? 

 

(くっ! 何がおきた! 私は確かに奴に砲撃をしようとしたが何かが当たったぞ!?)

 

 先程のレールカノンの砲撃の直前にレオンは動かなくなったフラムの右手の人差し指をかろうじて動かしワイヤーブレードを射出して砲撃の軌道を逸らすことに成功した。

 ここで今一度フラムドライのワイヤーブレードの説明をしよう。フラムはツヴァイクと同じように攻撃型AICを搭載しているがその範囲がまた小さいため扱いが難しい、なぜならフラムのAICは指先部分にあるため射出時に発動される。その効果によりレーゲンのAICを抜けてレールカノンに当てることができたのだ。

 AICには3つの弱点がある。2つは前述の通り多人数戦闘とエネルギー兵器が主にある、そして最後の3つ目の弱点はAIC同士の干渉による阻害である。これによりフラムのワイヤーブレードがレーゲンに当てられたのだ。

 

 

 何とかなったがこれからどうするか……もうあれしかないのか……

 

「どうした? あるんだろフラムドライにも、第三世代兵器を出してみろ!」

「チッ! 隊長のご命令とあらばご覧に見せましょう」

 

 俺は体勢を戻すとレーゲンを見上げて操縦桿にコマンドを打ち込んだ。

 

hell leuchtend(赫灼)システムを使いますか?』

Jesus(YES)

 

 YESのコマンド押すとフラムの腕が赤く光だした。光りだしたかと思えば次の瞬間フラムドライの腕から炎が噴き出した。

 

「ほお、それが」

「そう、こいつがフラムドライの第三世代兵器『赫灼システム』です」

 

 

『赫灼システム』

 アメリカのボーイング社とドイツのシューゲルカンパニー社との共同兵器であり、アメリカ代表候補生でIS学園3年のダリル・ケイシーの乗る『ヘル・ハウンド』に使われている熱伝導ケーブルを内蔵しており各武装に熱を伝え火力を上げる。その過程でボディには耐熱コーティングを施されており炎から操縦者を守ることが出来ている。そしてワイヤーブレードのワイヤー部分にも熱伝導ワイヤーが使われており指先のAICを使うことで炎の鞭のような武装に変えられる。ただし欠点もあり炎を使う赫灼を使うたびに機体への熱が蓄積される。それによって機体性能の低下が見られるため後付として冷却タンクが10本が装備されている。

 

 

「それじゃあ行きますよ!」

「来い!」

 

 俺はスラスターを勢いよく吹かし瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行いレーゲンに向かって突っ込んだ。

 

「すげぇな」

「えぇ」

「あんな隠し球を持っていたとはな」

「でもデメリットもあるよね」

 

 そしてラウラは迎撃するためにワイヤーブレードを6本全部をフラムドライに向かって放った。

 それを赫灼で上がったスラスターで抜けると一気にレーゲンに接近した。

 

「くっ!」

 

 ラウラが手をかざしAICを発動する。

 

「それはもう見飽きましたよ!」

 

 俺は直前に空中でブレーキをかけて両手のワイヤーブレード8本をレーゲンに向けて放った。

 放たれたワイヤーブレードは炎が纏い射出スピードが上がっており前述した通りAIC同士でのエネルギー阻害されているためフラムのワイヤーはレーゲンのAICを抜け本体に当たった。

 

「なに!?」

「隊長ご存知なかったんですか! AICはAICで対処可能な事を!」

「チッ!」

 

 シールドエネルギーが減り1度後方にさがりレールカノンを構え始めた。

 

「くらえっ!」

 

 レーゲンのレールカノンから連発で砲撃をしてくる。それを躱わしながら接近する。

 

「取った!」

「クッ!」

 

 お互いにプラズマ手刀を出して鍔迫り合いになり火花が飛び散る。

 

「うぉぉぉ!」

「はぁぁぁ!」

(くっ! スペックではこちらの方が上のはずなのに! なぜ決めきれない!)

 

 ラウラは焦っていた。自分は戦う為に生まれた存在であるが故に一兵士に負ける事などあってはならなかった。ましてや信頼する教官や愛する(一夏)そして自分の事(出来損ない)を友と呼んでくれた親友(とも)達の為にも

 

「負けられないんだぁぁぁ!!」

 

 レオンの心にも負けられない理由がある。IS戦での初戦から負けのが嫌だというのもあるが、なにより俺の為に練習や座学を手伝ってくれたネーナ、ファルケ、イオ、マチルダや学園に快く送り出してくれた副隊長(クラリッサさん)それにISを動かせたことを喜んでくれた328大隊のみんなのためにも

 

「俺だって負けられねぇんだよォ!」

 

 赤と青のプラズマ手刀がぶつかり合いその度に火花が飛び散る。周りの生徒たちはそれをただ静かに見守っているが心の内では今にも叫びそうな思いを我慢している。

 

 だが長いようで短い戦いもついに決着が訪れた。

 

「はぁぁぁ! /うぉぉぉぉぉ!」

 

 お互いの両腕のプラズマ手刀での攻防が繰り広げられる中その瞬間は訪れた。

 

「なに!?」

 

 フラムのプラズマ手刀が突然消えた。

 

『エラー発生、熱伝導に損傷を確認』

「なんだと! 耐久力に問題ありかよ!!」

「隙あり!」

「まだまだ!」

 

 レーゲンの攻撃に合わせて左手のワイヤーブレードを射出しレーゲンの右腕に絡ませるとそのままワイヤーを引き戻し勢いよくレーゲンの上に飛び脚のプラズマカッターを起動、そのまま振り下ろした。

 

「うわッ!」

 

 ラウラはガードできずにそのまま地面へと落下し激突した。体勢を整えて顔を見上げた時にフラムドライが腕に炎を纏った状態で突っ込んで来ていた。

 

 

 ビーーーーーー! 

 そう終了のブザーが鳴り響いた。

 

『シュヴァルツェア・フラムドライ、リミットダウン!』

 

 アリーナ中にその放送が流れた。

 

『そこまで! 勝者ボーデヴィッヒ!』

「なん.だと!?」

 

 俺は自分のシールドエネルギーを見るとエネルギーが0になっておりフラムを見回したら常設してあった冷却タンクの数本が破損しておりそこから冷気が漏れ出ていた。

 赫灼の使用によるオーバヒートを冷やすための冷却剤が無くなった為に赫灼を使う事にシールドエネルギーが徐々に減っていたために最後の土壇場でリミットダウンを起こしてしまったのだ。

 

 

 

 東側ピット内

 

「はぁ〜」

 

 俺はフラムを解除して近くのベンチに座ってため息をついた。

 

 負けた。いい線いってたんだけどなぁ……

 

「あ〜あクラリッサさん達に申し訳がたたないな」

「おーいレオン!」

「あ?」

 

 俺がベンチで貧乏ゆすりをしながら天井を見上げていると客席にいた一夏と1組専用機持ちがやってきた。

 

「なんだみんなして」

「なんだとは失礼ではなくて?」

「まぁまぁセシリア落ちついて、ね?」

「でもさっきのは惜しかったよな」

「あぁまさかエネルギー切れになっちまうとはな、今度ちゃんと機体整備しないとな」

「それでもあそこまで追い詰められたんだから凄いよ!」

「あっ! ブリューゲル君! 皆さん!」

 

 そんな話をしていると奥から山田先生が走ってきた。あの凶暴な胸囲を揺らしながら。

 

「皆さん集まってますのでアリーナに集合してください」

「はい!」

 

 そうして俺たちは先頭を行く山田先生の後を追ってアリーナに向かった。

 

 

 

 一方その頃西側ピットではラウラがシュヴァルツェア・レーゲンを解除して息を整えていた。

 

「はぁはぁはぁ……」

 

 その額には汗が滲み出ていた。

 

(今一瞬恐怖を感じたのかこの私が!?)

 

 先程の勝負は結果的に見ればラウラの勝利だがトラブルさえなければレオンの勝ちだった。

 

「どうだった新しく入った部下の実力は?」

「ッ!?」

 

 ラウラが顔を上げると織斑先生が歩み寄ってきた。

 

「教官」

「織斑先生だ」

「あぅ」

 

 ラウラの頭に出席簿でチョップをお見舞いした。

 

「それで実際に戦ってみた感想はどうだボーデヴィッヒ」

「はい……正直に言うと恐怖を感じました。とても1ヶ月半で身につけたような技術ではありませんでした。もしこれが実戦だったら……」

「確実に死んでいただろうな」

「………」

 

 千冬の言葉に黙り込むラウラ。しかし実際のところ彼女が恐怖を感じ怯えたのは事実でありレオンの実力を認めるしか無かったのだ。

 

「それで答えは出たか?」

「はい!」

「なら直接本人に言うんだな」

 

 そう言うと千冬は後ろを振り向きアリーナに向かった。そのあとをラウラは追った。

 

 

 

 アリーナ中央に着くと反対側から織斑先生とボーデヴィッヒ隊長が歩いてきていた。

 

「それでは今回のIS授業を終了とする全員解散!」

「後日今回のレポートを提出してもらいますので皆さん忘れないように」

「はい!」

 

 一斉に更衣室に向かう女子たち俺と一夏はまたあの遠い更衣室へと歩みだそうとした時に呼び止められた。

 

「中尉!」

「はっ!」

 

 咄嗟に姿勢を正して振り向くとそこにはボーデヴィッヒ隊長が立っていた。

 

「た、隊長? 自分になにか?」

「今回の戦いでお前の実力はわかったお前の事を認めてやる」

「えっ? ですが自分は負けましたよ?」

「誰も負けたら認めないとは言っていない。そして昨日の言動について謝罪をさせて欲しい」

 

 そう言うとラウラはレオンに向けて頭を下げた。

 

「えっ!? 隊長そこまでしなくても」

「クラリッサから聞いて私は勘違いをしていた勝手にお前を敵として捉えていた先程クラリッサからも説明不足だったとの連絡が来た」

「……わかりました」

「そうか……ありがとう。改めてこれからよろしくなレオン」

「あっはいこちらこそボーデヴィッヒ隊長」

「私のことはラウラでいい。ここでは私も1生徒だ」

「わかりました」

 

 お互い握手を交わした。

 

「あと隊……ラウラ」

「ん? なんだ」

「一夏の事を嫁と言うのはやめた方がいいですよ」

「何故だ?」

「あれはオタク用語でして現実には使わないので後結婚していないので嫁や夫と呼ぶには無理があるかと」

「そうなのか?! しかしクラリッサが……」

「えぇクラリッサさんも偶に変な知識が出てしまうので辞めるように言っておいたんですが」

「そうだったのか……」

 

 ちょっとしゅん顔となったラウラを見て可愛いと思ってしまったが

 何とか溝を埋められたのかな? 

 そして俺と一夏は急いで更衣室に向かった。

 その後着替えて食堂で昼食を専用機持ち達と食べ午後の授業に望んだ。

 

 俺のIS学園2日目が終わった。




どうも薄影です。バトルシーンって書くと大変なんやな書ける人は凄いと思う今日この頃

何とか5話まで書けました。テンポが速いと思うが次から銀の福音戦になりますので待っててください。
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